小学校、中学校の間にさまざまな理由から不登校になってしまった子どもは、勉強への取り組みが不十分になってしまう傾向にあります。勉強に対する意欲を失った子どもに対しては、本人の不安を排除し、学習意欲が高まる環境を用意することが重要です。通信制高校には、小学校、中学校で不登校を経験している多くの生徒が在籍しており、学習サポート体制も充実しています。今回は不登校の子どもの勉強について、詳しくお伝えします。

不登校は特別な状況ではない

文部科学省が公表している『児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果』によると、2022年に小中学校で不登校になっている児童生徒は、299,048人にのぼります。児童生徒1,000人当たりの不登校児童生徒は31.7人(全体の約3.2%)で、10年連続で増加しており、過去最多となっています。これらの数字を見ても、不登校は決して特別なことではなくなってきているということがわかります。
 
不登校の現状について、詳しくは以下のページもご覧ください。
不登校の現状ってどうなってるの?政府の調査から見る実情 | 通信高校生ブログ

不登校中に勉強ができない原因

不登校は、子どもの状態によっていくつかの種類に分けることができます。タイプによって支援の仕方も異なるため、それぞれのタイプについて知っておきましょう。

子どもが無気力状態になっている

文部科学省が実施した調査『令和元年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果について』によると、小中高を通じて不登校の主因として最も多い回答が、「無気力・不安」です。不登校になったことに明確な理由がなく、なんとなく学校に行く気が起こらないといった理由で不登校になってしまうのがこのタイプです。
ただし、精神的には落ち着いており、自身が興味を持ったことに関しては熱心に取り組むことができます。そのため、通学しなくても学べる通信制高校で自身の意欲に応じて学ぶことができれば、学力面での自信がついて本人の充足感につながることが期待できます。
 
無気力タイプの不登校について、詳しくは以下のページもご覧ください。
無気力タイプ(型)の不登校とは?原因や解決方法を紹介

学校の勉強に追いつけなくなっている

学校生活のなかで、勉強についていけないことを悩み、不登校になってしまう場合もあります。不登校になればさらに勉強が遅れてしまうため、ますます学校に行きづらくなるという悪循環に陥ることも珍しくありません。
勉強に追いつけず悩んでいる場合は、本人や周囲が焦らないようにすることが何より重要です。遅れた勉強を一気に取り戻そうとはせず、学習内容や範囲を絞りこみ、勉強に対するハードルを下げることから始めましょう。まずは得意科目や興味のある科目など、手をつけやすいところから始めることで達成感を得られます。勉強習慣がつくことでモチベーションの向上が期待できるため、苦手な科目にも着手しやすくなります。
 
不登校中でもできる勉強方法について、詳しくは以下のページもご覧ください。
不登校になっても勉強は追いつく?自宅での効率のいい学習方法を紹介

将来について悩んでいる

将来の目標や、やりたいことが見つからず、勉強や通学への意欲が高まらないというタイプの子どももいます。将来の夢がはっきりしていれば、逆算して進路を決められますが、将来のイメージが漠然としている状態では、なかなか難しい面もあるでしょう。
国立教育政策研究所の調査によると、中学3年生の4割近くが、将来就きたい職業や仕事が決まっていないと回答しています。(「キャリア教育に関する総合的研究 第一次報告書」(2020年3月))
 
卒業後の進路が明確になっていない場合は、将来の可能性を広げやすい進路を選ぶことをおすすめします。多様な進路実績のある普通科の高校に進学すれば、勉強しながら進路や将来の夢をじっくり検討することができます。高校生活のなかで、自分の好きなことや得意なことを見つけたら、おのずとその分野への興味関心が高まり、必要な学習へのモチベーションも高まっていくことでしょう。
 
中学校卒業後の進路について、詳しくは以下のページもご覧ください。
将来の夢がなくても大丈夫。中学生の進路の選択肢と決め方

不登校中の勉強方法

不登校中であっても勉強は続けていきたい、あるいは学校復帰のために勉強を再開したいと考える人も少なくないと思います。学校に行っていない期間でも、自分自身で勉強を続けることは可能です。ここでは、具体的な勉強方法の例をお伝えします。

自主学習

子ども自身の学習へのモチベーションが高い場合は、自宅で教科書、参考書や問題集を用いた自主学習もできるでしょう。添削指導や動画で授業を視聴できる通信教育サービスを利用するのも一つの選択肢です。

インターネット学習塾

一人で勉強を進めることに不安がある場合は、インターネット学習塾やオンライン家庭教師のサービスを活用するのもよいでしょう。わからない内容を質問・相談できる環境があることで、立ち止まることなく勉強を継続しやすくなります。

自宅以外の環境で気分を切り替えて勉強したい場合は、塾に通うという選択肢もあります。塾は個別学習や少人数制、集団学習などのさまざまなタイプがあるため、子どもの状況を見て適したものを選びましょう。不登校の生徒への配慮をしてくれる塾も少なくありません。

フリースクール

フリースクールは、不登校の子どもに対して通所指導をおこなう民間施設です。フリースクールでは、学習活動や教育相談、体験活動などをおこなっています。一般的に運営方針はかなり柔軟であり、学校以外の新たな居場所として検討してもよいでしょう。ただし「スクール」という名称ではあるものの、学校の出席扱いにはならない場合が多い点には注意が必要です。
 
いずれの方法も、学校のように毎日の学習計画を網羅的に管理してくれるものではありません。不登校中の勉強は、子ども自身でペースを作り、自身を律して勉強を続けていくことが大切だといえるでしょう。
 
不登校中の勉強方法について、詳しくは以下のページもご覧ください。
不登校中の勉強はどうすればいい?自分に合った勉強方法を見つけよう | 通信高校生ブログ

勉強をしない子どもに対して親ができること

不登校中、子どもの勉強には親のサポートが欠かせません。しかし、親が過剰に介入したり、強制したりすると、子どもの気分が滅入ってしまい、かえって勉強の意欲を削ぐ原因にもなりかねません。そうならないためにも、まず子どもとよく話すことを心がけましょう。
子どもが自分のことを打ち明けやすい関係づくりに努め、まずは共感的に受け入れることが重要です。子どもが不登校になると親自身が不安になってしまい、厳しく当たってしまったり、何とか悩みを聞き出そうとしたりするケースも見られます。これでは子どもが一層心を閉ざしてしまいます。
 
決して焦らせず、本人の自発的行動を待つ姿勢を保ちましょう。勉強のペースや範囲に関しても本人の意向を聞きながら、親子で納得がいくまでじっくりと相談することが大切です。
 
自宅での学習方法や、注意すべきことについて詳しくは以下のページもご覧ください。
不登校になっても勉強は追いつく?自宅での効率のいい学習方法を紹介 | 通信高校生ブログ

通信制高校を選ぶことで解決できることも

通信制高校にはさまざまな背景を持つ生徒が集まります。そのため、一般的な全日制高校よりもきめ細かなサポート体制が整えられている学校が多いのが特長です。

不登校生徒へのサポートがある

通信制高校には不登校だった生徒も大勢通っています。登校できない理由は人によって異なるため、それぞれにあったサポートが必要です。
 
明聖高校では、最初は教員と相談しながら本人にとって無理のない登校日数や登校時間を決めています。教員はカウンセリングやメンタルヘルスの資格を取得しており、校内にカウンセラーも常駐しているため、日々の悩みをすぐに相談できます。集団行動に抵抗がある生徒は「個別学習室」を活用し、少人数体制で授業を受けられるなど、それぞれのペースに合わせた学習ができるのは通信制高校ならではの強みだといえるでしょう。
 
不登校生徒へのサポートについて、詳しくは以下のページをご覧ください。
不登校生徒へのサポート体制|通信制高校(千葉・中野)|明聖高等学校

中学校の学習からやり直せる

通信制高校のなかには、中学校での勉強に苦手意識があったり、不登校で勉強が遅れたりした生徒のためのサポートが充実している学校も数多くあります。
明聖高校では、基礎学力をサポートするプログラムを用意しています。中学校の総復習で自分の学力を理解することから始め、不安なポイントをひとつずつ解消することが可能です。
千葉本校と中野キャンパスでは、国語・数学・英語の基礎(中学校の学習範囲)を再確認するための「リラーン」という独自科目も設定されています。2年次以降も選択制で学ぶことができるので、苦手科目も含めて着実に習得できるのです。
 
学習サポートについて、詳しくは以下のページをご覧ください。
基礎学力向上のサポート|通信制高校(千葉・中野)|明聖高等学校

専門的な勉強もできる

通信制高校には、学校に応じて各種の専門科目を学べるコースが用意されています。
明聖高校を例に紹介すると、全日ITコース、全日デザインコースがあります。
 
全日ITコースは、ゲームプログラミングやCG、ロボット製作、映像編集などの学習を中心としたカリキュラムとなっています。パソコンの基本操作からスタートし、楽しくプログラミングを学べるのが特長です。全日デザインコースでは、アナログとデジタル両面からデザイン、アートの表現方法や基礎知識、基本操作を学ぶことができるほか、1年生から多彩なデザインカリキュラムが設定されています。専門コースはいずれも業界で活躍するプロの講師が担当しており、プロを育成するためのカリキュラムが整っていることが強みです。
 
また、通信制高校は高校卒業資格を取得できるため、美大や芸大への進学もできます。高校生のうちから授業内で専門知識を学ぶ機会があるだけでなく、時間を有効活用して受験のための塾に通うことも可能です。将来取り組みたい目標が明確になっている場合は、高校生のうちからいち早く学び始めることもひとつの案だといえるでしょう。
 
通信制高校から美大・芸大への進学について、詳しくはこちらをご覧ください。
通信制高校から美大・芸大への進学はできる!通信制を選ぶメリットや進学先例を紹介

やりたいことと両立ができる

将来に向けて、勉強以外に取り組みたいことが決まっている場合は、通信制高校を選ぶことで目標のためにより多くの時間を費やせるようになります。例えば、芸能活動やスポーツ活動をしている場合、一般的な全日制高校との両立は難しいという人も多いでしょう。
高校生でしかできない活動に全力で取り組みつつ、さらに高校卒業資格を取得したいと考える人にとって、通信制高校はピッタリの場所です。自主学習が中心なので、日中に仕事やトレーニングがある人でも、早朝や夜など学習のタイミングの融通が利きます。
近年では、インターネットで学習できるコースを設置している学校も多く、通勤中や仕事・トレーニングの合間にもますます学習しやすくなっています。
 
以下の記事では、先輩たちが通信制高校を選択した理由について紹介しています。あわせてご参照ください。
通信制高校に行きたい!先輩たちはどのような理由で通っているの?

不登校のあと勉強ができるようになった体験談

明聖高校には、さまざまな経歴を持った生徒が通っています。なかには不登校を経験したものの、通信制高校に通うことで勉強や学校生活ができるようになったという生徒もいます。
 

●Aさん(中野キャンパス 全日ITコース)

Aさんは、以前の高校で授業についていけず、学校を休みがちでした。しかし、明聖高校に転校して勉強を基礎から学び、さらに興味のあったITの勉強を深めることで、将来はIT関係の大学進学を考えるようになりました。
 

●Bさん(中野キャンパス 全日ITコース)

Bさんは中学校でいじめに遭い、不登校になっていました。中学校の先生に勧められて入学した明聖高校では、優しいクラスメイトや先生と接し、行事や研修など中学でできなかった学校生活を楽しめています。
 

●Cさん(中野キャンパス 全日総合コース)

中学校では遅刻や早退が多く、保健室登校をしていたCさん。明聖高校では自分のペースで学ぶことを先生たちが応援してくれるため、中学で経験できなかったことがたくさんできるようになりました。将来は資格取得のために大学進学を目標にしています。
 
なお、先輩生徒のインタビューは、こちらのページで詳しく紹介しています。あわせてご参照ください。
先輩生徒インタビュー|中野キャンパス|明聖高等学校(千葉・中野の総合通信制高校)

通学が難しそうならオンライン授業を選ぶ

高校で勉強をしたいけれど通学が難しいという場合や、全日制の学習スタイルが合っていないという場合は、オンライン授業に対応したコースを検討しましょう。
 
明聖高校のWEBコースは、動画視聴の授業と、年間4日程度のスクーリング(通学)で単位修得を目指すオンライン学習スタイルのコースです。動画授業は、スマートフォンやパソコン、タブレット端末を使って、24時間いつでも何度でも視聴できます。理解できるまで繰り返し何回も確認できるため、自分の理解度に合わせて勉強を進められます。授業のあとは「サイバーチェック」で理解度を確認できるため、学習内容の取りこぼしも防げます。
 
加えて、年に4回程度のスクーリングでは、対面授業で直接先生の授業を受け、日頃の学習での疑問を解消することができます。
 
明聖高校のWEBコースについて、詳しくは以下のページもご覧ください。
WEBコース|明聖高等学校(千葉・中野の総合通信制高校)