全日制高校では、成績などが一定の基準を下回ってしまうと原級留置(留年)という処置がなされます。留年してしまった場合はもう一度同じ学年をやり直すか、高校を辞める以外に選択肢はないのでしょうか。今回は、留年になる基準と、高校を留年してしまった場合の「通信制高校へ転入学・編入学」という選択肢についてご説明します。

留年の基準は?出席日数と成績がポイント

高校の場合は留年となる基準が学校によって違いますが、基本的には出席日数と成績に一定の基準が設けられている場合が多いです。

必要な出席日数に届かないと留年になる可能性がある

出席日数については、多くの全日制高校の場合、出席日数の3分の1以上を欠席すると単位を修得できません。ただし、出席日数に厳しい学校では4分の1以上の欠席で単位を落としてしまうところもありますし、学校によってはさらに厳しいところもあります。

出席日数がどれくらい必要かについては、生徒手帳などを確認するか、事前に先生などに聞いておきましょう。

成績に悪影響を与える落第点に注意

テストで落第点を取ると成績にマイナスの影響を与えます。落第点とは、一般的に「赤点」と呼ばれるものです。テストで何点以下を取ると落第点になるかは学校によって異なります。教科によっても基準が異なる場合があるため、詳しいことは該当教科の先生に聞きましょう。

落第点を取ってしまったからといって、即留年につながることはほとんどありません。一度の落第点が進級にまで影響を与えることは少ないです。ただし、落第点を取ったあと「同じ教科で何度も落第点を取る」「追試験でも基準点を下回る」「補習授業を受けない」といったことをしてしまうと留年につながってしまうため、注意してください。

基本的に落第点があるのは学内の定期テストだけです。学外で行われる模擬試験は成績に影響せず、落第点はありません。

留年してしまったら?自分の事情に合わせて選択しよう

留年してしまったときの選択肢は、「学校に留まる」「学校を辞める」だけではありません。もう1つの選択肢として「通信制高校への転入学・編入学」があります。自分の抱える事情や状況を考え、より良い選択肢を選びましょう。

在籍している学校に留まる

在籍している学校で卒業を目指す場合、もう一度同じ学年を履修することになります。「1学年下の生徒と授業を受ける」「元クラスメイトが1年早く卒業してしまう」といったことが気にならないのであれば、転校などの手続きが必要ないぶんスムーズに再スタートしやすいです。

ただし、体調不良など普段から何かしら欠席しやすい状況にある場合、「同じ学校で必要な出席日数をクリアできるか」という点は考慮したほうがよいかもしれません。

通信制高校などに転入学・編入学する

在学している学校に残ったとしても卒業が難しそうな場合、通信制高校へ転入学・編入学するという選択肢もあります。

例えば、体調不良などで登校できない事情を抱えている場合、同じ学校に通い続けるよりも、事情に合った学校を探したほうがよいかもしれません。勉強のペースについていけないと感じている人も、学校を選び直すことで無理のない形で勉強できます。

全日制高校とはここが違う。通信制高校ならではのメリット

卒業までの日数を短縮できる場合がある

ほとんどの全日制高校は学年制を導入しているため、留年が決まったら1年多く学校に通わなくてはいけません。できるだけ早く卒業したいと思っても、卒業するのに4年かかってしまいます。

しかし、通信制高校は単位制ですので、必要な単位を多く履修することで卒業までの日数を短縮できる場合があります。

生徒の年齢もさまざまで留年した際の遅れがそれほど気にならない

全日制高校で留年してしまうと、1学年下の生徒と授業を受けることになるため、留年してしまったことをどうしても意識してしまいやすいです。

しかし、通信制高校では働きながら在籍している人や、一度中途退学して高校に入り直した人など、同じ年齢の人ばかりではありません。幅広い年齢層の人が、それぞれの理由で通信制高校を選んでいるため、留年した際の遅れをあまり気にせず過ごすことができます。

学習面でのサポートが充実していることが多い

通信制高校には、さまざまな事情で転入学・編入学してくる人がいます。その中には、学習面での不安や悩みを抱えている人が少なくありません。そのため、学習面へのフォロー体制が整っている学校が多いです。

どういったサポートが受けられるかは学校のホームページを見たり、資料を請求したりすることで調べられますので、学校選びの段階でチェックしておきましょう。

自分のペースで学習し卒業を目指すことができる

通信制高校の場合、全日制高校や定時制高校と違い毎日登校する必要はありません。自分の生活に合わせて、自分のペースで卒業を目指すことができます。

特に、留年の原因が出席日数だった場合、通信制高校に転入学・編入学することで「登校しなければならない」というプレッシャーから解放されるのは大きなメリットです。体調不良などで思うように登校できなかった人も、心身の負担を軽減することができます。