現在通っている高校から通信制高校に転校したいとき、編入学と転入学の2つの方法があります。編入学と転入学はそれぞれ意味とやり方が異なるため、違いを知ったうえで自分に合ったほうを選ぶ必要があります。
今回は、通信制高校への編入学と転入学の違いや条件、流れを解説します。通信制高校への転校を考えている人は、参考にしてみてください。
通信制高校への編入学・転入学の違い
編入学と転入学は、退学後のタイミングと転校先の通信制高校に入学するための手続きタイミングが違います。両者の概要は、以下のとおりです。
種類 | 概要 |
---|---|
編入学 | 高校を退学した人が、期間を空けてあらためて通信制高校に入り直すこと |
転入学 | 現在通っている高校を退学せずに次の学校へ移ること |
編入学は、現在通っている高校を退学してから通信制高校へ入学する手続きをするため、高校に在籍していない「空白期間」が生まれます。履歴書には「〇〇高校 中途退学」と記載してから、新しい学校の名称を書くことになります。
一方、転入学は、現在の高校に通いながら通信制高校への入学手続きを進めるので、空白期間が生まれないのが特徴です。履歴書を書くときは、前校の退学履歴は書かず、「〇〇高校 入学」と記載できます。
前の高校の単位は引き継げる?
編入学と転入学は、どちらも前の高校の単位を引き継げる可能性があります。ただし、実際に単位を引き継げるかどうかは、出席日数や単位の修得状況によって変わるので注意が必要です。
例えば、全日制高校に入学したもののほとんど学校に通っていなかった1年生は、授業を受けていないので、1年生の課程を修了していないと判断される可能性があります。
この場合、通信制高校の1年次への編入学・転入学になるでしょう。本来はひとつ下の学年の人たちと一緒のクラスになるかもしれません。
単位の引き継ぎができるかどうかを確認したい場合は、現在の学校の先生や、転校先の通信制高校に問い合わせてみましょう。
通信制高校に編入学・転入学する条件
通信制高校に編入学・転入学するときは、それぞれの条件を満たす必要があります。ここでは、時期と年齢、居住地域に絞って、最低限の条件を紹介します。
条件 | 編入学 | 転入学 |
---|---|---|
時期 | 4月入学が多い | 毎月受けつけている学校もある |
年齢 | 満15歳以上 | |
居住地域 | 「狭域」か「広域」かで変わる狭域通信制高校:高校が所在する地域に居住地があること広域通信制高校:学校が設定する範囲内に居住地があること |
編入学・転入学できる時期
編入学・転入学できる時期は、通信制高校によって異なります。例えば、都立の通信制高校と私立の通信制高校である明聖高校の編入学・転入学できる時期は、以下のとおりです。
時期 | 都立の通信制高校 | 私立の明聖高校(※) |
---|---|---|
編入学 | ・4月(第1学年以上の課程を終了した人のみ) | ・4月(編入学試験は2~3月に実施) |
転入学 | ・4月(1学期) ・9月(2学期) ・1月(3学期)(学期のはじめ) |
・5月 ・6月 ・7月 ・8月 ・9月 ・10月 ・11月 ・12月 ・1月 ・2月(千葉本校のみ)(各月1回) |
※ 募集コース・学年によって、転入学の可否が異なります
一般的に、編入学は4月入学が多くなっています。
一方、転入学は毎月受けつけている通信制高校もあり、自分のタイミングで入学できる可能性があります。
関連記事:通信制高校への転入学は高2でも大丈夫?学年別の注意点や手続きも解説|通信高校生ブログ|明聖高等学校
編入学・転入学できる年齢
通信制高校へ編入学・転入学するには「満15歳になっていること」が条件のひとつになります。
例えば、14歳の中学生が編入学・転入学することは不可能です。学校教育法という法律では、保護者が満15歳までの子どもに義務教育を受けさせることが定められています。法律に従うと、15歳以上の人しか高校に入学できない仕組みになっています。
現在高校生の人や、高校に通っていたけれど中退したという人は、確実に年齢の条件を満たしています。年齢の上限は決まっていないため、長期間にわたって高校に在籍していない人も、通信制高校への編入学・転入学が可能です。
編入学・転入学できる居住地域
通信制高校には、狭域と広域があり、どちらを選ぶかで編入学・転入学できるかどうかが変わります。
狭域通信制高校は、高校が所在する都道府県か、隣接した1都道府県のなかに居住地があることが条件です。例えば、東京都にある狭域制通信制高校が神奈川県を募集エリアに設置しているなら、東京都か神奈川県に住んでいる必要があります。
一方、広域通信制高校は、学校が設定する範囲内で編入学・転入学が可能です。日本全国47都道府県どこからでも入学できる通信制高校もあります。もし、住んでいる地域に通信制高校がなくても、全国から入学を受け入れている広域通信制なら、編入学・転入学できるはずです。
通信制高校に編入学・転入学する流れ
通信制高校に編入学・転入学するときは、必要書類を提出して、学校が指定する学科試験・面接を受ける必要があります。ここでは、編入学・転入学の手続きまでの流れを簡単に解説します。
関連記事:全日制高校から通信制高校への転入学・編入学のすすめ。よくある疑問にも答えます|通信高校生ブログ|明聖高等学校
準備
まずは、編入学・転入学したい通信制高校の手続きに必要な書類をそろえます。公式ホームページからダウンロードできる学校が多いので、確認してみてください。
必要書類は、募集要項に書かれています。新入生用ではなく、編入生・転入生の募集要項を確認してください。
例えば以下は、明聖高校の令和7年度内のWEBコースにおける募集要項の一部です。
詳しくはこちら:転入生募集要項|明聖高等学校
本人と保護者が用意する書類は、「入学願書」と「作文」だけだとわかります。
「調査書」「転学照会書」「在学証明書」は、現在通っている高校に用意してもらわなければなりません。
学校によっては、作文ではなく小論文だったり、志望理由書が必要だったりします。募集要項をよく見て、準備を進めましょう。
関連記事:通信制高校の志望理由・動機の書き方は?入試の作文・面接対策をしよう|通信高校生ブログ|明聖高等学校
学科試験(ない場合が多い)
通信制高校に編入学・転入学するときは、学科試験がある学校もあります。ただし、ほとんどの学校は学科試験をおこなわず、書類と個人面接で審査します。明聖高校も同様で、学科試験はありません。
面接
通信制高校では、学科試験を実施しない代わりに、個人面接(場合によっては親子面接)を実施するケースがあります。
広域通信制高校では、オンライン面接を実施している学校が増えてきており、遠方に住んでいても問題ありません。明聖高校でも個人面接を実施しており、Web出願に限りオンラインでの面接が可能です。
関連記事:通信制高校入試の面接はどう対策する?よくある質問や当日のマナーを押さえよう|通信高校生ブログ|明聖高等学校
入学手続き
無事面接を通過したら、編入学・転入学の手続きを進めます。手続きタイミングは編入学・転入学する時期によって異なります。
入学金の振込期限や説明会などの日程が決まっている場合が多いので、よく確認のうえ、期限までに手続きを進めましょう。
通信制高校への編入学・転入学で解決できる悩み
通信制高校に編入学・転入学すると、現在抱えている悩みを解決できる可能性があります。編入学・転入学を迷っている人は、参考にしてみてください。
学力の悩み
通信制高校のなかには、小中学校の学習内容を復習して、基礎学力を底上げする授業や補習が組まれている学校があります。
高校までの学習内容に不安がある人や、わからないことがあって高校の学習でつまずいた人の学力の悩みを解決できるでしょう。
なお、大学受験向けの授業を受けられる学校もあるので、学力を向上したい人にとってもメリットがあります。
学習時間・ペースの悩み
通信制高校の多くは毎日登校する必要がなく、自宅学習でマイペースに学習を進められます。
例えば、高校を中退して仕事をしている人は、仕事が終わったあとや休日に集中して学習することが可能です。
また、心身の健康に不安がある人も、調子のよいときを見計らって、自宅で休憩しながら学習を進められます。
前校での不適応(雰囲気が合わなかった)の悩み
前の高校の雰囲気が合わずに不登校になってしまった人も、少ないスクーリング(登校)の機会を利用して、少しずつ新しい学校になじめるようになります。
どうしても登校が難しい場合は、オンライン授業やDVDなどの教材などによる学習で振り替えられる場合もあります。
ほかにも、明聖高校では少人数制の個別学習室で指導を受けられるため、集団での学校生活が苦手という悩みの解決につなげることが可能です。
友人関係の悩み
通信制高校にはさまざまな目的を持った生徒が通っています。なかには、「高卒資格の取得が第一の目標だから、あえて友だちを作らなくてもいい」と考える人もいます。
もちろん、友だちを作りたい人は、行事や部活動などを通じて、ゆっくりしたペースで人間関係を築くことが可能です。
友人関係の悩みが原因で前の高校に通えなくなったという人は、悩みから解放されるでしょう。
また、学校内でいじめが起こらないよう、先生の目がしっかり行き届いています。カウンセラーが心のケアをしてくれる通信制高校もあり、対人関係で不安がある人が安心して通うことが可能です。
通信制高校に編入学・転入学したら後悔する?先輩の声
今通っている高校から通信制高校へ編入学・転入学して、後悔しないかどうか不安な人も多いはずです。そこで、明聖高校に編入学・転入学した先輩たちの声を紹介するので、参考にしてみてください。
千葉本校 全日コース:人間関係の悩みから明聖高校へ転入学!新しい環境で再スタート
別の高校に入学しましたが、人間関係がうまくいかず、明聖高校に転入しました。途中から来た私に、先生方やクラスメイトが良い雰囲気を作ってくれ、学校生活にスムーズにとけ込むことができました。現在は友達から勧められた部活に入部し、放課後に楽しく活動しています。今はこの仲間と一緒に卒業まで思いっきり楽しもうと思っています。
中野キャンパス 全日ITコース:学力の悩みで明聖高校へ転入学!楽しみながら専門知識を習得
前の高校では、授業についていけずに学校を休みがちでした。
中野キャンパスに転校してからは、勉強を基礎から教えてくれて、先生も優しいので楽しく登校しています。
また、興味のあったITの勉強もでき、将来はIT関係の大学への進学を考えるようになりました。最新のPCで専門家の先生が教えてくれるので、独学では勉強できない知識を身につけられます。今後は、様々な知識を身につけて、独自のプログラムを組んでみたいです。
千葉本校 通信コース:病気をきっかけに明聖高校へ転入学!マイペースな高校生活を実現
前の高校では入学してすぐに病気を患ってしまい、毎日通えなくなりました。ただ高校は必ず卒業したい、勉強がしたいという気持ちが強かったので、明聖高校の通信コースに転入しました。先生方が明るいので、月に2回のスクーリングも楽しみになりました。授業も分かりやすく、レポートで分からなかった部分も丁寧に教えてくれます。進路についても親身にアドバイスしてくれるので、安心して相談しています。
先輩たちは、明聖高校に編入学・転入学してから、自分なりの楽しみや目標を見つけて生き生きと過ごしています。後悔するのは怖いですが、新しい環境になってから頑張りたいことを見つけるのでも遅くはありません。
先輩たちの声も参考にしながら、通信制高校への編入学・転入学を考えてみましょう。
関連記事:先輩生徒インタビュー-千葉本校|明聖高等学校
まとめ
編入学・転入学は、現在通っている、または通っていた高校が合わないと感じる人が、高校を選び直せる機会です。
無理をして現在の高校に自分を合わせたり、高校に行くことをあきらめたりせず、自分に合った高校を選び、編入学・転入学を検討してみてはいかがでしょうか。
出願条件や編入学・転入学の方法などについては、希望する通信制高校に相談してみましょう。
参考URL:
第4条 (義務教育)|文部科学省
都立高等学校の転学・編入学について|東京都教育委員会
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明聖高等学校は、千葉・中野にキャンパスを構える通信制高校です。全日コース・全日ITコース・通信コース・WEBコースに分かれており、一人ひとりに合わせた高校生活を過ごすことができます。