働きながら学びたい人ややりたいことが別にある人や集団生活が苦手な人にとって、「全日制高校」という学びのスタイルは、少し窮屈に感じられることがあるかもしれません。通信制高校では、レポートの提出とスクーリングを中心とした自由度の高い高校生活を送れます。今回は「全日制高校から通信制高校への転入学・編入学」を考えている人に向けて、転入学・編入学の特徴やメリットをご紹介します。
スムーズな転入学・編入学に向けた4つのチェックポイント
通信制高校への転入学・編入学を検討するにあたっては、まず、事前に次の項目を確認しておきましょう。
- ・住んでいる地域から入学できるか
- ・教育課程や修得単位は条件を満たしているか
- ・転入学・編入学できる時期はいつか
- ・出願の際には各種書類が必要
これらを先に確認しておかないと、いざ手続きを行おうとした際に、「条件を満たしていなくて出願できない」といったことになりかねません。それぞれの項目を詳しく見て、スムーズな手続きに備えましょう。
1.住んでいる地域から入学できるか
一般的な公立の通信制高校の場合は、高校と同じ都道府県内に住所や勤務地(保護者ではなく生徒本人の勤務地)がなければ入学することができません。一方で、私立の広域性通信制高校の場合、自分の住んでいる地域が募集区域に該当していれば入学することができます。募集区域は学校によって異なりますので、希望している高校の募集要項をチェックしておきましょう。
2.教育課程や修得単位は条件を満たしているか
転入学・編入学を考えているなら、あらかじめ希望する高校に依頼して、単位を照合してもらいましょう。必要な単位が修得されていないなど、条件を満たしていない場合は、転入学・編入学募集に出願できないこともあります。単位照合は募集の出願前に行わなければならないため、行きたい高校が決まったら早めに相談しておきましょう。
3.転入学・編入学できる時期はいつか
転入学・編入学ができる時期は、それぞれの学校によって異なります。例えば、都立高校の場合、転入学できるのは各学期の最初(4月、9月、1月)、編入学できるのは学年の最初となる4月のみです。私立の場合は随時受け付けている高校もあるため、希望する高校の募集要項を調べて把握しておきましょう。
4.出願の際には各種書類が必要
出願の際には入学願書をはじめとする各種書類が必要になります。そのほかにも、在籍していた高校の学籍、就学状況証明書や成績・単位取得証明書、教育課程表などの提出が必要な場合がありますので、事前に必要な書類を確認しておきましょう。
転入学・編入学はどう違う?対象者と入学時期を把握しよう
転入学・編入学はよく似た入学の仕組みですが、この2つは対象となる人と入学の時期が異なります。それぞれ詳しくご説明しましょう。
転入学
高校に在籍している生徒が、退学することなく別の高校の同じ学年に入学することです。退学せずに高校を移れるため、一般入試を受け直す必要がありません。また、都立高校の場合、転入学できるのは各学期初めになります。私立の場合は学校によりますが、随時受け付けている高校もあるため、こまめに情報収集しておくとよいでしょう。
編入学
高校を中途退学した人や海外から帰国した人などが、新たに高校に入学することです。高校を退学して年数が経っていても問題なく、すでに修得済みの単位を引き継ぐことができます。編入学の時期は、公立の高校であれば4月の1回のみです。私立の場合は学校によりますので、希望する高校に問い合わせてみるとよいでしょう。
編入・転入について詳しくはこちらの記事もご覧ください。
通信制高校へ転入学・編入学する条件は?こんな悩みを持った人におすすめ
通信制高校への転入学・編入学でできるメリット
全日制高校での高校生活に不便さを感じている人は、通信制高校に転入学・編入学して学習スタイルを変えることで、悩みが解消される可能性があります。期待できるメリットについてご紹介しましょう
自分のライフスタイルに合わせやすい
全日制高校の場合、学校に登校して授業を受けるのが基本的な学習スタイルですが、通信制高校は自主学習とレポートの提出を中心に学習を進めます。登校が必要な「スクーリング」は週数回~年数回で、学校にいる時間は多くありません。このため、「働きながら高校へ行きたい」という人や「スポーツや芸能活動と学業を両立したい」という人にとって、自分のライフスタイルに合わせた高校生活を送りやすいというメリットがあります。
病気がちな人や集団生活が苦手な人も通いやすい
現在通っている全日制高校での生活が負担になっている人にとっても、通信制高校への転入学・編入学はメリットがあります。例えば、「病気がちで登校するのが負担な人」や「集団生活が苦手で大勢で授業を受けたくない人」にとって、毎日学校へ通うのは大変です。通信制高校であれば、自宅などでの自主学習をメインに学べるため、これらの負担を軽減できます。また、上記の問題を抱えている人をフォローする体制が整っている学校も多いため、学校を探す際にチェックしておくとよいでしょう。
【Q&A】転入学・編入学についてのよくある疑問
さまざまなメリットの期待できる通信制高校への転入学・編入学ですが、全日制高校で学んできた人にとっては「転入学・編入学という制度になじみがなく、よくわからない」「通信制高校に入って、実際にやっていけるのだろうか」など、不安を感じることも多いと思います。そこで、ここではよくある2つの疑問にお答えしましょう。
単位は引き継がれる?単位として認められるのはどこまで?
転入学・編入学する場合、これまで在籍していた高校ですでに修得している単位は引き継がれます。ただし、全日制高校は学年制を採用している場合が多いため、単位を修得できるのは進級時であることに注意してください。例えば、2年次に転入学を行うなら、1年次の単位を修得していることになりますが、1年次の途中で転入学を行うと、修得単位はゼロということになります。
通信制高校と仕事と両立できる?
通信制高校で働きながら学んでいる人は少なくありません。通信制高校の生徒がスクーリングに出席する日以外に何をしているかを調べた調査では、半数近くの生徒が「仕事(アルバイトを含む)をしている」と答えています(文部科学省平成23年度「高等学校教育の推進に関する取組の調査研究」委託調査研究報告書)。通信制高校は自分のペースで学習を進めやすいため、全日制高校と比べて仕事と学業が両立しやすい環境になっています。
おわりに
全日制高校での生活が自分に合わないと感じている人は、通信制高校へ転入学・編入学することで問題が解決する場合があります。通信制高校は、毎日学校に登校する必要がない分、学習の自由度が高く、自分のライフスタイルに合わせた形で勉強することができます。転入学・編入学を使えば、すでに修得済の単位を引き継ぐことが可能です。仕事を続けながら高校卒業を目指したい人や、スポーツや芸能活動に打ち込みたい人、毎日学校に通うのが負担な人は、ぜひ検討してみてはいかがでしょうか。
参考URL
都立高等学校の転学・編入学について|東京都教育委員会ホームページ
令和2年度転入学・編入学情報(1学期)|徳島県ホームページ
【アンケート調査】通信制高校に期待すること・不安なこと | 通信制高校ナビ
通信制高校の入学・転入・編入の条件|通信制高校ナビ
Q&A単位制-県立高等学校再編計画/千葉県
なんで通信制高校にしたの?3600人の理由ときっかけ [通信制高校] All About
なぜ通信制高校が注目されるのか? 専門家に聞く「通信制高校の歴史といま」(手島純さんインタビュー・前編) – クリスクぷらす
財団法人 全国高等学校定時制通信制教育振興会報告書
明聖高等学校は、千葉・中野にキャンパスを構える通信制高校です。全日コース・全日ITコース・通信コース・WEBコースに分かれており、一人ひとりに合わせた高校生活を過ごすことができます。