「通信制高校へ進学すると人生が終わるのではないか」と不安に感じている方が見受けられます。文部科学省が平成28年に策定した「高等学校通信教育の質の確保・向上のためのガイドライン」に基づき、通信制高校の教育の質は徐々に向上しており、かつてのイメージとは変わってきているのです。
 
今回は、「通信制高校に進学すると人生終わり」といわれる理由と、ネガティブなイメージを払拭する通信制高校の現実と魅力をお伝えします。通信制高校への進学に不安を抱えている保護者の方や、中高生のみなさんは、ぜひ最後までお読みください。

通信制高校へ進学すると人生終わりなの?心配される理由

「通信制高校へ進学すると人生終わりなの?」と心配される理由は、大きく分けて3つあります。

● 全日制より進学する人が少ないから
● 中退を経験する人もいるから
● 進学・就職しない人もいるから

まずは、データをもとに正しく実態を把握しましょう。

全日制より進学する人が少ないから

文部科学省が毎年実施している「学校基本調査」を見ると、全日制高校と比較して通信制高校に進学する生徒数が少ない実態がわかります。

種別 通信制 全日制 定時制* 合計
令和6年度生徒数 29万118人 282万6,224人 7万2,191人 318万8,533人

参考:学校基本調査 令和6年度(速報)|文部科学省 をもとに作成
定時制*(高校):全日制とは異なるタイムスケジュールで通う高校。一般的に4年で卒業となる。
参考:定時制高校とは?通信制高校と何が違うの?
 
進学した人全体の約89%が全日制高校へ進学しているのに対し、通信制高校へ進学する生徒は約9%です。通信制高校へ進学する人が周りにあまりいないため実態が知られておらず、「通信制高校へ進学すると人生終わりなのではないか」と心配されているのだと考えられます。

中退を経験する人もいるから

文部科学省が令和5年度に調査した「子どもの成長過程を解明するための長期的な縦断調査に関する調査分析」を見ると、全日制高校よりも通信制高校のほうが「学校を辞めた経験がある」人の割合が高いことがわかります。

種別 通信制 全日制 定時制
学校を辞めた経験がある 2.9% 0.4% 5.9%
辞めた経験がない、不明 97.1% 99.6% 94.1%

参考:子どもの成長過程を解明するための長期的な縦断調査に関する調査分析|文部科学省 をもとに作成
 
定時制高校も入れて比較するとわずかな差ですが、中退しやすいというイメージにつながっているおそれがあります。その結果「通信制高校に進学しても高校卒業資格を取得できないのでは」といった不安感をもつ人もいるでしょう。

進学・就職をしない人もいるから

令和5年度の「学校基本調査」で各学校の卒業後の進路を比較すると、通信制高校は進学・就職に該当しないその他の割合が高いことがわかります。

種別 通信制 全日制 定時制
大学進学率 24.1% 61.6% 17.1%
専修学校進学率 22.7% 16.1% 19.7%
就職率 14.9% 13.8% 36.4%
その他 38.3% 8.5% 26.8%

参考:学校基本調査 令和5年度|文部科学省 をもとに作成
 
高校卒業資格を取得し、大学や専門学校への進学、就職を考えている人にとって、不安になる要素のひとつです。
 
ただし、全体の数字だけで実態はつかめません。
 
例えば、文部科学省が発表した「通信制高校の第三者評価制度構築に関する調査研究最終報告書」の「公立A高等学校の事例」には、次の記述があります。

A高等学校は中部地方にある狭域通信制の高校で多部制(三部制)・単位制の課程を併設している高校である。
 
(中略)
 
また、卒業するのがやっとで、進学にも就職にも向かない生徒、卒業はしたけれど、生活環境がほとんど変わらない生徒も多い。その一方で、県内の進学校で不登校になってしまい、本校に転校してきて、有名大学に合格する生徒もいる

引用:通信制高校の第三者評価制度構築に関する調査研究最終報告書|文部科学省
 
進路が決まらない生徒もいる一方で、なかには有名大学に合格する生徒も通信制高校にはいます。そのため、通信制高校では大学進学や就職ができないわけではありません。
 

人生は終わらない!通信制高校の明るい現実

「通信制高校へ進学すると人生が終わるのではないか」と不安に感じるデータを紹介しましたが、卒業後の進路ひとつを見ても、学校ごとに実態は大きく異なります。そのため、全体の数値データだけで「人生終わり」とはいえないでしょう。
 
次のように、通信制高校の明るい現実を示すデータも複数あります。

● 通信制高校への進学者は増えている!
● 通信制高校は不登校経験者の居場所になっている!
● 卒業後の進路も幅広く夢がある!

通信制高校は、未来を切り拓く場所のひとつになることがわかるはずです。

通信制高校の生徒数は増えている!

「学校基本調査」では、令和5年度と比較して令和6年度における全日制高校の生徒数が2万1,724人減少した一方で、通信制高校の生徒数が2万5,144人も増えています。

種別 通信制 全日制 定時制 合計
令和6年度生徒数 29万118人 282万6,224人 7万2,191人 318万8,533人
令和5年度生徒数 26万4,974人 284万7,948人 7万553人 318万3,475人
増減 +2万5,144人 -2万1,724人 +1,638人 +5,058人

参考:学校基本調査 令和6年度(速報)|文部科学省 と 学校基本調査 令和5年度|文部科学省 をもとに作成
 
少子化が加速しているのにもかかわらず、通信制高校の生徒数が増加していることから、通信制高校の魅力が浸透しはじめていると考えられます。

通信制高校は不登校経験者の居場所になっている!

文部科学省が発表した「高等学校通信教育の現状について」によると、通信制高校に在籍する生徒のうち「小・中学校及び前籍校における不登校経験がある生徒」の割合は、狭域通信制で48.9%、広域通信制で66.7%です。

【在籍生徒の実態等】

  狭域通信制 広域通信制
小・中学校及び前籍校における不登校経験がある生徒 48.9% 66.7%
外国と繋がりがある(外国籍・日本語を母語としない)生徒 2.8% 2.4%
ひとり親家庭の生徒 26.9% 18.7%
非行経験(刑法犯罪等)を有する生徒 2.1% 4.1%
特別な支援を必要とする生徒 11.8% 3.0%
心療内科などに通院歴のある生徒 11.0% 4.8%

引用:高等学校通信教育の現状について|文部科学省
 
小中学校時代に不登校を経験した人でも安心して通える学校として、通信制高校がよりどころになっていることがうかがえます。

卒業後の進路も幅広く夢がある!

通信制高校の卒業後の進路は幅広く、自分のペースで勉強をしながら夢を叶えられる可能性が十分にあります。
 
先述したとおり、全体の数値データを見ると、通信制高校の卒業生のうち進学・就職をしない人が40%ほどいます。ところが、学校によって進路決定率や状況は大きく異なります。
 
例えば、通信制高校である明聖高校の進路決定率は、約88%です。

また、大学進学率は37.7%となっており、全体の数値よりも高くなっています。

種別 通信制高校全体(※) 明聖高校
大学進学率 24.1% 37.7%
その他 38.3% 11.9%

※参考:学校基本調査 令和5年度|文部科学省 をもとに作成
 
進学先は、早稲田大学や明治大学などの有名大学から、昭和音楽大学といった専門性の高い大学までさまざまです。就職先も多様で、卒業生は医療系や農業など幅広い分野で活躍しています。
 
明聖高校では、本当に自分に合った進路を選択できるように、生徒がじっくり考えられる進路探究プログラムを組んでいます。以下のページで詳しいプログラム例を紹介しているので、ぜひご覧ください。

明聖高校について|進路指導|明聖高校

通ってみてわかった!通信制高校の魅力

通信制高校の魅力は、通っている人たちが一番よくわかっています。
 
明聖高校に通う先輩たちは、さまざまな事業を乗り越えて、安心して学校に通っているという声をいただきました。

千葉本校 全日コース
中1の時にいじめが原因で学校に行かなくなりました。中学校の先生から明聖高校を勧められて入学しました。また同じようにいじめにあうのではないか?と不安もありましたが、クラスメイトや先生方に優しく接してもらい、今は学校に行くことがとても楽しみです。行事や研修も多く、中学の時にできなかったことを思いきり楽しめています。

千葉本校 通信コース
前の高校では入学してすぐに病気を患ってしまい、毎日通えなくなりました。ただ高校は必ず卒業したい、勉強がしたいという気持ちが強かったので、明聖高校の通信コースに転入しました。先生方が明るいので、月に2回のスクーリングも楽しみになりました。授業も分かりやすく、レポートで分からなかった部分も丁寧に教えてくれます。進路についても親身にアドバイスしてくれるので、安心して相談しています。

校舎・コース紹介|千葉本校|先輩生徒インタビュー-千葉本校|明聖高校
 
自分の在り方次第で、通信制高校でも十分に夢を叶えられます。目標をもちつつ自分のペースで努力を重ねれば、先輩たちのように「通信制高校へ進学すると人生が終わるのではないか」という不安が吹き飛ぶほど楽しい高校生活が送れるはずです。

通信制高校で充実した高校生活を送るポイント

通信制高校に進学したあと、充実した高校生活を送るためは、次の3つのポイントが大切です。

● 目標をもって過ごす
● 生活リズムを整える
● 周りの人に協力してもらいながら学習を進める

通信制高校で夢を叶えて明るい未来をつかみとるために、ぜひ参考にしてください。

目標をもって過ごす

将来の夢や目標をもって過ごすことで、計画的に学習を進められます。
 
まずは「就職したい」「楽しい仕事に就きたい」など漠然とした目標で構いません。通信制高校で高校卒業資格をとったあとの未来を想像することが大切です。
 
今はまだ目標をもてなくても、進路指導やサポートが充実している通信制高校を選ぶと、在学中に目標を見つけられるでしょう。

生活リズムを整える

通信制高校のなかには、全日制高校と比較して登校日数が少ないコースがあるため、自己管理が求められます。
 
自分で時間割を作り、毎日同じスケジュールで過ごすことがおすすめです。生活リズムを整えることで、心身の健康にもつながります。

周りの人に協力してもらいながら学習を進める

自己管理は大切ですが、すべてを一人でやろうとするとうまくいかないこともあります。
 
一人で頑張れないときは、お家の人や先生を頼って、協力してもらいながら学習を進めてみましょう。例えば、学習を進める時刻を決め、お家の人に必ず声をかけてもらうなどです。
 
自分に合った方法を見つけて、力を借りながら学習を進めることで、高校卒業資格を取得しやすくなるはずです。

通信制高校への進学を希望するお子さんをもつ保護者の方へ

ひと昔前は、通信制高校に通う人が少なかったため、保護者の方にとっては未知の世界で不安も多いでしょう。現在は、通信制高校のイメージや教育の質が大きく向上し、一人ひとりに合った学びの場として浸透しつつあります。
 
学校教育法施行規則の改正があり、平成27年4月から、全日制・定時制高校でも遠隔授業で単位を修得できるようになりました。そのため、全日制高校と通信制高校の教育課程の両方を受けるハイブリッド型の教育課程も出てきています。
 
全日制高校と通信制高校の垣根がなくなっていくことで、通信制高校への偏見がますます薄れていくでしょう。これからの子どもたちにとって、通信制高校はスタンダードな進路のひとつになっていくはずです。
 
とはいえ、ご自身が通信制高校の出身でない限り、なかなか実態をつかみにくいでしょう。まずは、通信制高校の説明会や相談会に参加し、ありのまま感じている不安や心配を話してみてください。
 
以下のページでは、明聖高校に通う生徒の保護者の方の声を紹介しているので、ぜひご覧ください。

保護者からの声|明聖高等学校