通信制高校の入試では、推薦入試でなくても面接があることが多くなっています。中学校までで受験を経験していなかったり、アルバイトに応募したことがなかったりする人は、通信制高校の入試が生まれて初めての面接になるという人もいるでしょう。
今回は、通信制高校の面接でよく聞かれる質問や当日の服装など、押さえておきたいポイントを解説します。

通信制高校の入試では、学力の有無より面接を重視!

入試で面接を行う通信制高校は多く、調査によると、その割合は65%にも上っています。逆に、学力検査(一般的な筆記試験)を行っている通信制高校はわずか7.5%です。明聖高校でも、入試当日は学力検査は行わず、作文(出願時に提出)と個人面接を行っています(WEBコースではWEB面接も行っています)。

このように、通信制高校の入試では、志願者(受験者)の学力よりも、その人柄を見ているのが特徴です。「この高校に合っているか」「卒業まで学習を続けられそうか」「入学後はどのようにサポートしていくのがよさそうか」という点をチェックしています。人柄は、出願書類や作文だけではなかなか見えないため、高校の先生と志願者が直接対面して言葉を交わす面接が特に重視されているのです。

通信制高校の面接でよくある質問は?面接官が見ているポイントを解説

通信制高校入試の面接対策では、次のような質問をよくされます。面接官が見ているポイントとあわせて解説していきましょう。

志望動機

入学へのやる気があるかを測るための質問です。「なぜ、全日制ではなく通信制高校なのか」「通信制高校の中でも、どうしてこの高校に入学したいと思ったのか」といった聞き方をされることもあります。

高校生活への抱負

学習や高校生活に対するやる気、卒業したいという意欲を見る質問です。「高校ではどのようなことを学びたいですか」「入学後に取り組みたいことはありますか」のように質問されます。高校を中退している人は、中退した理由を聞かれることもあります。

中学生活について

志願者の人柄や、その人柄を形作る背景を知るための質問です。「中学校のときにがんばったことはありますか?」「中学校では部活動をしていましたか?」のように聞かれます。中学校で不登校だったり、部活動に参加していなかったりした場合には、学外の活動や独学で取り組んだことなどを答えても大丈夫です。

卒業後の進路希望や将来の夢

目標や夢をかなえたいという強い想いや、実現に向けて行動を起こそうとしている姿勢を見る質問です。将来の夢そのもので評価されることはありません。また、もし夢や目標が決まってなくても「通信制高校での学びや先生・友だちとの出会いを通じて、将来の目標を探していきたい」と素直に伝えられればよいでしょう。

自分の長所・短所

志願者の人柄を見ながら、志願者が自分のことを客観的に見ることができているかを見る質問です。

得意な科目・苦手な科目

学習に対する姿勢や、どういうところにつまずきそうかを見る質問です。得意/苦手な理由もあわせて聞かれることがあります。

趣味

自分の好きなことをどう説明するかというコミュニケーション面を見る質問です。

休日の過ごし方

息抜きや気分転換ができているかを見る質問です。特に通信制高校は自主学習がメインですので、学習の合間の息抜きを含めた自己管理ができることが大切になります。とはいえ、休日の過ごし方そのものが評価されるわけではなく、これも入学後のサポート方針を考えるための質問になっています。

面接対策では、これらの質問に対する答えをあらかじめ準備しておきましょう。答えを一字一句暗記する必要はありませんが、しっかり準備していれば、入学意欲の高さを評価してもらえるはずです。家族や学校の先生とシミュレーションしたり、自分の答えを録音したりして練習してみましょう。

また、どの質問に対しても、正直に自分の想いや経験を伝えることが大切です。「学力や不登校のことなど、本当のことをいったら落とされてしまうかもしれない」と不安に思うかもしれませんが、通信制高校の先生は「志願者のありのままを受け止め、高校に受け入れたい」という想いで面接をしているため、心配する必要はありません。むしろ「これまでの困難を通信制高校で克服したい」という気持ちを評価してくれるでしょう。嘘をついたり、オーバーにいったりせずに、素の自分を知ってもらうつもりで臨むことが第一です。
 
▼志望動機の書き方について詳しくはこちら。
通信制高校の志望動機の書き方は?入試の作文・面接対策をしよう

要注意!通信制高校の面接で避けたい受け答えと改善のコツ

志願者を受け入れるために行われる通信制高校の入試では、不合格になることはほとんどありません。ただし、次のような面接の受け答えは評価を下げる可能性があるため、注意しましょう。

受け答えの内容

想いを正直に伝えることは大切ですが「本当は勉強なんてしたくないけれど、親にいわれたから仕方なく高校に行くことにした」のような、受け身・ネガティブな受け答えは、面接官の印象があまりよくありません。例えば「勉強は苦手だけれど、両親から高校卒業の重要性を聞いて考えが変わり、高校に行こうと考えた」のように、言い方ひとつで印象が主体的でポジティブになります。

また「何となく、この高校が楽しそうだから」のような、抽象的でぼんやりした受け答えも望ましくありません。面接官が自分の人柄や想いをはっきりイメージできるように、具体的に答えましょう。例えば「修学旅行や体育祭などの行事がとても楽しそうで、友だちがたくさんできると思ったから」のように言い換えられます。可能であれば、自分のエピソードを交えて答えてみましょう。

また、言うまでもなく、ふざけた受け答えはするべきではありません。また、法律違反やいじめ、暴力などに抵抗がないと判断されるような内容を面接で答えると、不合格になる可能性が高いです。

面接中の態度

面接中に最低限のマナーが守れていないと「この志願者は、本当にこの高校に真剣な気持ちで入学したいと思っているのだろうか」と疑われてしまいます。例えば、足を組む、椅子にもたれかかって座る、スマートフォンをいじる、タメ口で受け答えする、といった態度はよくありません。挨拶も「失礼いたします」(入退室時)、「よろしくお願いします」(面接開始時)、「ありがとうございました」(面接終了時)などは、最低限のものは押さえておきましょう。

とはいえ、堅苦しい雰囲気である必要はありません。緊張するかもしれませんが、リラックスした態度で臨みましょう。また、コミュニケーションが苦手な人は、面接官の目を見てはっきり話せないこともあるかもしれませんが、無理せず、真剣に自分の想いを伝えれば問題ありません。

好印象の服装で通信制高校の面接を受けよう!

通信制高校入試の面接の服装は、基本的には高校から指定されることはありませんが、受け答えのマナーと同じように、服装のマナーをチェックされます。面接官の印象がよい服装で臨みましょう。

制服のある中学校や高校に通っている人は、普段着ている制服で問題ありません。シャツの第一ボタンやズボンの裾などに注意して、着崩さないようにしましょう。

制服を着るのが難しい場合は、落ち着いた清潔感のある私服にします。例えば、襟付きのシャツ/ブラウスに、パンツかスカートを合わせ、男性であれば夏場以外はジャケットを着る、といった形です。色は、黒、白、グレー、紺色、ベージュといった落ち着いた色にしましょう。Tシャツやジーンズ、スウェット、ジャージ、露出が多すぎる服装は好ましくありません。

髪は地毛の色にし、落ち着いた髪型にまとめましょう。ピアスなどのアクセサリーは外しておきます。女性の場合、メイクはノーメイクが望ましいといわれますが、仕事などで日常的にメイクをしている人は薄めのナチュラルメイクでも問題ありません。