高校を中退する理由は人それぞれです。一度は中退したものの、編入学して高卒資格を取りたいと考える人もいるでしょう。では、中退者が編入学できる高校にはどのようなところがあるのでしょうか。また、高校を中退したままでは、就職などにどのように影響してくるのか、本記事でご紹介します。

高校中退者の就職事情は厳しい

文部科学省の調査によると、2021年の高校中退者は約3万9,000人でした。内訳は公立高校が約2万1千人、私立が約1万8千人で、中退率は1.2%となっています。

過去三年間の高校中退者人数推移
参考:文科省「令和3年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果について 」

また、内閣府の調査では、高校中退者のうち、56.2%が現在「働いている」と回答しています。ただし、そのうち約8割がフリーターやパートといった非正規雇用です。
 

こうしたデータからも、高校中退者は高卒者と比べて、就職事情が厳しいという現状が見えてきます。高校中退者は「中卒」という扱いになり、就職に不利になるケースが多いようです。さらに、「中学新卒」ではなく、「中学既卒」という扱いになることで、結果として、中学新卒より競争の厳しい学歴不問の中途採用求人に応募せざるを得ない状況になっています。
 

ここで、厚生労働省が2022年におこなった学歴別・産業別の入職者数に関する調査を見てみましょう。働いた経験のない「未就業者」だけを見ると、高校新卒では年間約62万人、高校既卒では約55万人が就職しています。働いた経験のない中学既卒者(高校中退者を含む)では、年間約23万人が就職しているという結果です。
 

この調査からは、中学既卒者(高校中退者を含む)は、就職できる業種が限られる傾向にあることがわかります。調査データを見ると、中学既卒の就職先は「宿泊業、飲食サービス業」「卸売業、小売業」に偏っているのが現状です。一方、高卒では、これら2つ以外にも、「製造業」「生活関連サービス業・娯楽業」「医療・福祉」「教育・学習支援業」などの業種への就職が多くなっており、就職先の幅が広がっています。
 

また、厚生労働省の調査「若年者雇用対策の現状等について」では、高校中退と高卒で、離学直後の就業状況に大きな差が出ています。高卒で就職した場合は、正規雇用の割合が46.1%ですが、高校中退の場合、6.5%と割合が大幅に低下します。
 

このように、高校中退者を待ち受ける就職状況は厳しいため、可能であれば、高校に編入学し、高卒資格を取っておくのが理想だといえるでしょう。
離学後の就業状態(高校中退)
離学後の就業状態(高卒)
参考:厚生労働省「若年者雇用対策の現状等について」
※上記グラフデータには、非正規雇用(アルバイト・パート、契約・派遣等)、働いていない(失業、無職で何もしていない、無職で進学準備・結婚準備等、その他・在学中)の小項目を含む。

高校に転入学し、通い直すメリットとは?

高校に通わなくても、試験に合格すれば「高卒認定」を取得することは可能です。ただしその場合、高校卒業と同等程度の学力があると認定されるものの、最終学歴は「中卒」となるため、注意が必要です。
高校を中退した場合でも、あらためて高校に転入学して、必要な条件を満たせば、高卒資格を取得することができます。ここでは、高校に転入学し、通い直すことによるメリットを2点お伝えします。

学業以外の経験を積める

高校を卒業するメリットは学力を証明できることだけではありません。高校を卒業したという実績は3年間にわたる高校生活で、仲間との集団活動を通してさまざまな経験を得たことの証明にもなります。同じ目標をもった仲間と切磋琢磨しながらともに学ぶ経験は、自主学習だけでは決して得られない、とても有意義なものです。
 

また、人間関係や心身の不調などで以前の学校に通えなくなってしまった人にとっても、新たな環境での再チャレンジは、自信を取り戻すきっかけになることでしょう。

「高卒」になることでキャリアアップが目指せる

高校を中途退学してしまった場合、最終学歴は「中卒」になります。その後のキャリアを考えると「高卒」になることのメリットはかなり大きいといえるでしょう。社会では、学校以上にコミュニケーションスキルが求められます。そのため高校で「学力以外の人生経験も積んできた」ということは、就職活動において評価されるポイントです。
 

また、最終学歴によって給与の変わる仕事もあるため、中学卒業か高校卒業かは収入面においてもとても重要な問題です。さらに先述のとおり、最終学歴が中卒である場合、残念ながら仕事の選択肢はかなり少なくなってしまうのが現状です。将来、まだ何の仕事をしたいかわからないという場合も、今後のために、なるべく多くの選択肢を確保しておくことが賢明だといえます。
 

高卒資格と高卒認定についてより詳しく知りたい方は、以下の記事をご参照ください。
高卒資格と高卒認定、どちらを取得するほうがいい?取得方法や証明内容の違いを解説 | 通信高校生ブログ

高校中退者の編入学を受け入れてくれる高校はたくさんある!

高校を中退しても、編入学して高卒資格の獲得を目指している人はたくさんいます。文部科学省の調査によると、2017年度の編入学者は全日制普通科240人、全日制専門学科60人、全日制総合学科43人、定時制1,016人、通信制5,176人にまでのぼります。
 

編入学は、一度高校で1学年以上の課程を修了し、退学したあとに、また高校への入学を希望する人向けの制度です。1年生のときに退学してしまった場合は、単位が修得できていないため、新入学の扱いとなります。
 

以上を踏まえて、高校中退者の編入学を受け入れてくれる高校にはどのようなところがあるのか、詳しく見ていきましょう。

通信制高校

報告課題(レポート)と、スクーリング、そして単位認定試験をこなすことで指定の単位を取り、卒業できる高校です。2017年度には約5万3,000人が卒業し、高卒資格を取得しています。
 

報告課題は、例えば都立通信制高校であれば、年間約82~86通が目安です。スクーリングは、年間 20 日前後の高校が多くなっています。単位認定試験は、年1~2回が一般的です。
 

編入学のタイミングは、年1回4月のみという高校もあれば、1年のうち複数回入学のチャンスがある高校もあります。出願の際は、以前に在籍していた高校の学籍・就学状況証明書や成績・単位取得証明書、教育課程表などの提出が必要な場合もあります。入試は、面接や作文でおこなわれることが一般的で、学力検査がおこなわれないケースが多くなっています。

定時制高校

通学し、主に夜間4時間(17時ごろ~21時ごろ)に授業を受ける高校です。2018年度は約2万人が定時制高校を卒業しています。4 年(または3年)で卒業できる「学年制」の高校と、一定の単位数を満たせば学年に関係なく卒業できる「単位制」の高校があるのが特徴です。
また、授業の時間帯については、午前部・午後部・夜間部の3部制を採用している高校も多く見られます。
 

入試では、高校1年修了程度レベルの学力検査と個人面接がおこなわれるパターンがメジャーです。なかには学力検査のない高校や、特に成人の志願者に対して、学力検査の代わりに作文を提出することで受験できる高校もあります。入学のタイミングは4月開始が一般的です。

全日制高校

公立・私立の全日制高校でも、編入学を受け入れている高校は複数あります。
 

入学のタイミングは、公立は定時制の場合と同様に4月が基本。入試も定時制と同じような内容・難易度です。一方、私立は、10月に編入学を受け入れているところもあります。私立の入試では、学力検査がなく、書類審査と面接、作文などで評価する学校も多くあります。

明聖高校の全日コース・通信コース・WEBコースも編入学が可能!

千葉県と東京都にキャンパスを持つ私立の明聖高校でも、全日コース・通信コース・WEBコースで高校中退者の編入学を受け入れています。入試は学力検査がなく、個人面接と出願時の書類・作文のみで評価。入学のタイミングは4月です。
 

全日コースは、上記の全日制高校と同じシステム、通信コースは通信制高校と同じシステムのコースです。WEBコースは、インターネットを利用した自宅学習をメインとしたコースで、動画授業を見たあと、Web上で確認問題を解いて学習します。年間4日程度のスクーリングとWeb上でのレポート提出、年1回の単位認定試験を経て、高卒資格を取得することが可能です。
 

いずれのコースもスクーリングが必要ですが、明聖高校では、特に前の高校で不登校になった経験があるなど、心の悩みがある場合でも安心して通学できるサポート体制を整えています。教員がカウンセリングの資格を持っているほか、カウンセラーも校内に常駐しています。
 

また、教室で授業を受けづらい場合は、個別学習室で学習することも可能です。登校そのものが難しい場合には、テレビ・ラジオで講座を視聴したり、DVD教材で学習したりして、「視聴報告課題」を提出し、出席時数に振り替えることもできます。
 

編入学には不安もあるかと思いますが、たとえ一度中退したことのある人でも、充実した高校生活を送れるよう学校全体でサポートするのが、明聖高校の特徴です。