小中学校で子どもが不登校になったとき、子どもはもちろん、親もストレスを抱えることがあります。「子どもがこのまま不登校だったらどうしよう」と思うと、プレッシャーを感じることでしょう。子どもの不安を受け止める前に、親はストレスをためずに安定した心構えでいることが大事です。この記事では、親の漠然とした不安を少しでも解消できるよう、親ができることを紹介します。

不登校の子どもに親がストレスを感じるとき

不登校の子どもに対して、親がストレスを感じるのはどのようなときなのでしょうか。

将来に不安を覚えたとき

まずは、不登校だったことが受験や就職でマイナスに働くのではないか、という不安を覚えたときです。たとえば、出席日数が足りなかったり定期考査を受けられなかったりすると、受験において内申に響く可能性があります。また就職にあたっては、最終学歴が応募要件を満たせずやりたい職種に就けない、高卒と中退とでは初任給が異なるといったことがあります。このように将来が不安になると、親もストレスを感じてしまうでしょう。

不登校になる原因がわからないとき

子どもが不登校になる原因はさまざまなものがあり、特定は難しいものです。子どもの年齢によっては、今自分が感じている心境をうまく言葉にできないことがあります。また、「悩みを伝えるとかえって親を心配させてしまうのでは」と思い、言葉にできない子どももいるでしょう。子どもがなぜ不登校になったのかがわからないと、親もどのようにサポートしてあげればよいのかがわからず、不安になってしまいます。

世間体を気にしたとき

「他の子は普通に通えているのになぜ」とつい考えてしまい、自分自身を責めてしまうこともあります。「子どもを不登校にした親」とレッテルを貼られて噂されているのではと考え、どんどん自分を追い込んでしまうと、ストレスもたまっていきます。

子どもが不登校になるほど感じているストレスとは?

ここからは、文部科学省が公表している『令和3年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果について』を参考に、小中学校で多い不登校の要因を紹介していきます。要因の上位となっているのは、「無気力・不安」「生活リズムの乱れ、あそび、非行」「いじめを除く友人関係をめぐる問題」「親子の関わり方」です。
 
参考:令和3年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果|文部科学省

友人などの人間関係

同資料によれば、不登校児童・生徒の9.7%が「いじめを除く友人関係をめぐる問題」に悩んでいます。友人の他にも先生と合わないなど、人間関係がストレスになっているケースは少なくありません。

学校生活

学校生活では、勉強や運動の成績で競争が起こり、どうしても他者と比べられてしまいます。その競争に疲れて不登校になってしまうケースもあります。また、児童・生徒本人が自由な気質であるのに、学校の規則で禁止事項が多いと窮屈に感じるかもしれません。その結果、ストレスがたまって不登校になることも考えられます。

進路についての悩み

特に受験期では、進路についての悩みも出てきます。やりたいことが見つからない、やりたいことがあって学力が追いつかない、などと悩んだ結果、ストレスがたまって不登校になってしまうケースもあります。

親の干渉

「親子の関わり方」も不登校の原因のひとつです。成績や進学先、生活態度などを家族が過度に口を出し、それを子どもがストレスに感じるケースもあれば、まったく自分に興味がない家族に対して子どもがストレスを感じることもあります。

学校でストレスを感じやすい子どもの特徴とは?

ストレスを感じやすい子どもの特徴のひとつとして覚えておきたいのが、HSCという概念です。
 
HSCは「人一倍敏感な子ども」という意味で、アメリカの心理学者エレイン・N・アーロン氏が提唱した言葉です。アーロン氏はHSCを「感覚や人の気持ちに敏感で傷つきやすい子ども」と定義しています。HSCの子どもは人の気持ちに敏感であることから、過度な気遣いをして疲れてしまうこともあるようです。なおHSCは気質の話であり、病気や障がいではありません。
 
HSCについて詳しくは、下記の記事をご参照ください。
不登校に多いHSCとは?人一倍敏感な子供の特徴と接し方

子どもの不登校でストレスを溜めないためにできることとは?

不登校になった子どもに寄り添うためには、親もストレスをためないようにしなければなりません。そのためにできることは何でしょうか。

不登校は特別なケースではないことを知る

当事者の親としては「自分の子がまさか不登校になるなんて」という気持ちになるかもしれませんが、不登校は決して珍しいことではありません。
 
文部科学省が公表している『令和3年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果について』によれば、不登校の児童・生徒は小学校では81,498人(全小学生の1.3%)、中学校163,442人(全中学生の5.0%)となっています。自分の子どもが不登校になることが決して特別なケースではないと知っておくと、心の安寧につながるかもしれません。

親自身の生活を充実させる

親自身がストレスを感じたとしても、子どもに干渉しすぎないことが重要です。親の過干渉は、子どもとの関係をかえって悪化させかねません。
 
また、不登校に向き合おうとして親が仕事を辞めるケースもあります。効果がある場合もありますが、仕事を辞めると今度は経済的な不安が発生するおそれがあります。仕事を辞めてまで子どもにずっと寄り添うべきか、それとも仕事を続けていつもどおりの生活をするかどうかは、結論を急がず、ゆっくり立ち止まって考えるのがよいでしょう。

子どもを完全に理解しようとしない

不登校は誰にでも起こりえることで、何が原因となっているかは簡単に特定できるものではりません。「子どもが何を考えているのかわからない」と途方に暮れるのではなく、そもそも子どもの気持ちを完全には理解できないものと心得ておきましょう。

段階に合わせて対応を変えてみる

子どもが不登校になってから復学するまでの心理状態は、いくつかの段階に分けることができます。不登校になったばかりの子どもに対して「学校に行こう」と呼びかけても、逆効果になってしまうおそれがあるため、子どもが今どの段階にいるのかを親は知っておく必要があります。心理状態に合わせた適切な対応を心がけましょう。
 
なお、不登校になってから学校に復帰するまでの子どもの心理状態については、下記記事で詳しく説明しています。あわせてご参照ください。
不登校から学校に行くきっかけをつかむには?保護者が子どもにできること

ストレスを抱えないために知っておきたい!不登校の支援とは?

親子でストレスをためないためには、問題を家族だけで抱え込まないことが大切です。近年では、さまざまな公共機関や団体が不登校の支援サービスを提供していますので、積極的に活用していきましょう。
 
例えば、児童相談所(児童相談センター、児童家庭支援センターとも)では、18歳未満の子どもに関する相談を受け付けています。他にも「ひきこもり地域支援センター」「発達障害者支援センター」など、悩みに応じてさまざまな相談先があります。
 
不登校の支援について、詳しくはこちらをご参照ください。
不登校支援とは?学習支援とメンタルサポートの現状などを紹介

通信制高校ならもっと自由に勉強できる!

もし、子どもが授業に追いつけなくなってしまった場合には、通信制高校への編入学という選択肢もあります。
 
明聖高校の通信コース・WEBコースは、スクーリング(登校)回数が少なめになっているため、不登校を経験した子どもでも無理なく通うことが可能です。また、中学校の勉強からやり直すことができるうえ、理解度に合わせて学習を進められる環境が用意されています。加えて、学校にはカウンセラーが常駐しており、気軽に悩みを相談できます。
 
このように通信制高校であれば、不登校の経験がある子どもでも自分のペースで勉強を進めることが可能です。
WEBコース|明聖高等学校(千葉・中野の総合通信制高校)