子どもが不登校になった場合、子どもと向き合う時間を増やすため、仕事を辞めることを検討する方もいると思います。一方で、子どもに対して過干渉になると逆に本人のストレスになる場合もあるため、辞めるか否かは判断に迷うところでしょう。当記事では、そのような状況になったとき、親が意識したほうがよいことをご紹介します。
統計から見る仕事と不登校の関係
不登校になってしまう子どもの数はここ数年で特に増加傾向にあり、文部科学省の調査※によると、2019年度には約18万人の小中学生が不登校になっています。その原因はいくつかありますが、同調査によると小中学生全体で「親子の関わり方」を不登校の主因とする割合が10.2%に上り、全体でも3番目に位置しています。
また、別の調査※2では、子どもを含む家族と過ごす時間が取れない理由に、「仕事が忙しいから」と回答する親が77.5%もおり、こちらは1番目になっています。こうしたこともあり、不登校になった際に、親が仕事を辞めて子どもとの関わり方を見直そうとする考えにいたっても不思議ではありません。
とはいえ、親子の関わり方はそれぞれの形があるため、一概に仕事を辞めて関わる時間を増やしたからといって、子どもがすぐさま登校できるようになるとも限りません。むしろ、子どもに対して過干渉であることが不登校の原因である可能性も考え、慎重な対応が必要です。
※文部科学省初等中等教育局児童生徒課 令和元年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果について
※2 文部科学省生涯学習政策局 男女共同参画学習課家庭教育支援室 【家庭教育関連データ】
子どもが不登校になったとき親が仕事を辞めて改善するとは限らない
子どもの不登校には親子関係も一因として挙げられることや、仕事のせいで家族間でのコミュニケーションが取りにくい状況があることを確認しました。しかし、不登校になったからといっても親が仕事を辞めるかどうかは、立ち止まって考える必要があります。
経済的な不安から家庭内環境が悪化する場合がある
川崎医療福祉大学の研究※によれば、経済的に不安定になることによって家庭にもさまざまな影響が発生し、それが複雑に絡み合うことで親子関係や家庭の状況を悪化させることにもつながると指摘されています。
また、岡山県の子どもの貧困対策に係る生活実態調※2によれば、調査結果から見える傾向として以下のような点を指摘しています。
- ①学校の授業でわからないことが多い割合が高い。
- ②学校以外での勉強時間が少ない割合が高い。
- ③進学先の希望を「高校まで」とする割合が高い。
- ④放課後に子どもだけで過ごしている割合が高い。
- ⑤朝食を毎日食べない割合が高い。
- ⑥家庭で大人と社会の出来事についてまったく話をしない割合が高い。
- ⑦自分は価値のある人間だと思わない割合が高い。
- ⑧夢や目標をかなえるためにがんばっている割合が低い。
<所得が少ない世帯の子ども>
(※2 参照元:子どもの貧困対策に係る生活実態調査結果(最終報告)を取りまとめました – 岡山県ホームページ(子ども家庭課) )
こうした点も踏まえて、親が仕事を辞めるかどうかは慎重に考える必要があるでしょう。
※不登校から見える家庭環境―子どもを取り巻く環境への包括的な支援が必要なことを伝える― 不登校と子どもの貧困―貧困問題がつくり出す『通いづらさ』に着目して―
※2 参照元:子どもの貧困対策に係る生活実態調査結果(最終報告)を取りまとめました – 岡山県ホームページ(子ども家庭課)
子どもが不登校になった場合に親が気を付けることとは?
干渉しすぎないよう注意する
親の過度な心配や干渉はかえって子どもを追い詰めてしまう場合があるため、その点を踏まえて接する必要があります。不登校であることを責めたり、登校を急かしたりするのはやめましょう。まずは、子どもの気持ちに寄り添い、本人が主体性を発揮しやすい環境を作ることが大切です。
親自身がストレスを溜め込まないようにする
子どもが不登校になる背景には、「学校生活での人間関係」や「学業不振」「子どもの体調面でのトラブル」など、さまざまな原因が複雑に絡み合っている場合が多いです。不登校は誰にでも起こりえることですので、親自身は自分を責めないようにしましょう。
また、「子どもが不登校になるのは親の教育のせい」という古い考えを持った人が、心ない言葉をかけてきても、親は自責の念にかられる必要はありません。
家庭のなかで対応するのが難しいと感じたら、外部の支援機関などを積極的に活用し、親の負担が大きくならないようにすることが大切です。
親の対応については下記の記事で詳述していますので、こちらも参考にしてみてください。
不登校は親のせいではありません。疲れを感じないためのポイント5つ
不登校に関して悩んだら明聖高校にご相談ください
子どもが不登校になってしまったら、子どもはもちろん親も不安な気持ちになるものです。不登校になった子どもに対して、どのように接したらいいかと迷うこともあるでしょう。子どもの進学などに関して相談したいと考える方もいらっしゃると思います。
こうした保護者が抱きやすい不安や悩みについて、明聖高校では「夜間保護者相談室」を開催し、保護者との連携を強化するなどの支援に力を入れています。
また、明聖高校は教員がカウンセリングやメンタルヘルスの専門研修を受講し、資格を有しているなど、不登校の子どもをサポートする体制も強固です。子どもの不登校で悩んでいるのであれば、明聖高校にご相談ください。
まとめ
不登校は誰にでも起こりえることで、何が原因となっているかは簡単に特定できるものではりません。そのため、親が仕事を辞めて子どもとの時間を増やしたからといって、改善するかどうかはケースバイケースです。ただ、家庭の経済状況が悪化することで、子どもも親も負担が大きくなることはあります。そのため、家庭だけで悩みを抱え込み、結論を出してしまうのではなく、外部の専門機関などを頼ることは大切です。明聖高校は不登校の生徒の受け入れ体制も整っており、相談窓口も設置しています。不登校での悩みや進学先についてお困りであれば、明聖高校にご相談ください。
参考URL:
不登校の子どもに適切な対応をするために。家庭での向き合い方と利用できる施設を解説
不登校は親のせいではありません。疲れを感じないためのポイント5つ
文部科学省初等中等教育局児童生徒課 令和元年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果について
文部科学省生涯学習政策局 男女共同参画学習課家庭教育支援室 【家庭教育関連データ】
子どもの貧困対策に係る生活実態調査結果(最終報告)を取りまとめました – 岡山県ホームページ(子ども家庭課)
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