不登校になると「自分だけが前に進めないのでは」と不安になることがあります。「他の人はどうして不登校になったのか」「どのように乗り越えたか」など、自分以外の人たちの様子が気になることもあるでしょう。
今回は、全国的な調査結果をもとに、不登校になった理由を紹介します。また、不登校を乗り越えた先輩の体験談も紹介するので、不登校で不安な気持ちを抱えている人はぜひ最後まで読んでください。
みんなの不登校の理由は?さまざまなきっかけ
文部科学省が発表した「令和2年度不登校児童生徒の実態調査 結果の概要」では、最初に学校へ行きづらいと感じ始めたきっかけを紹介しています。
ここでは、同調査をもとに次の5つの項目に分けて不登校の理由を解説します。
● 学校での人間関係(友人、先輩・後輩、先生)
● 勉強がわからない、おもしろくない
● 学校やクラスになじめない
● 生活リズムの乱れ
● その他
現在、不登校で悩んでいる人の中には、なぜ学校に行けないのかがわからない人もいるかもしれません。ほかの人たちの理由を見てみると、原因が見つかることもあるので、参考にしてみてください。
学校での人間関係(友人、先輩・後輩、先生)
学校での人間関係がきっかけで学校に行きにくくなった人のなかには、以下の理由を挙げている人がいます。
最初に行きづらいと感じ始めたきっかけ | 小学生 | 中学生 |
---|---|---|
友達のこと(いやがらせやいじめがあった) | 25.2% | 25.5% |
友達のこと(上記以外) | 21.7% | 25.6% |
先生のこと (先生と合わなかった、先生が怖かった、体罰があったなど) |
29.7% | 27.5% |
兄弟姉妹や親しい友達の中に、学校を休んでいる人がいて、影響を受けた | 7.2% | 5.9% |
(複数回答可)
参考:令和2年度不登校児童生徒の実態調査 結果の概要|文部科学省
友達のことに関する2つの項目を合わせると小学生が46.9%、中学生が51.1%となり、高い割合です。小学生では、無回答を含む21種類のうち、先生のことが一番高い割合となっており、友達だけはなく先生との関係に悩む人も多いことがわかります。
勉強がわからない、おもしろくない
勉強がわからない、おもしろくないと感じたことがきっかけであるケースも、全体と比較すると高い割合です。中学生は、小学校よりも勉強の難易度が上がり、授業数も増えるぶん、割合が高くなっています。
最初に行きづらいと感じ始めたきっかけ | 小学生 | 中学生 |
---|---|---|
勉強が分からない (授業がおもしろくなかった、成績がよくなかった、テストの点がよくなかったなど) |
22.0% | 27.6% |
(複数回答可)
参考:令和2年度不登校児童生徒の実態調査 結果の概要|文部科学省
学校にいる時間のほとんどは授業時間であるため、授業がつらくなると学校から足が遠のいてしまうでしょう。
「学校に行ってもどうせわからない」と考えて登校しなくなる人もいれば、「自分は勉強ができないダメな人間なんだ」という劣等感から登校できなくなってしまう人もいます。
学校やクラスになじめない
学校やクラス、部活動になじめないことがきっかけで学校に行きにくくなったケースもあります。
最初に行きづらいと感じ始めたきっかけ | 小学生 | 中学生 |
---|---|---|
入学、進級、転校して学校や学級に合わなかった | 7.4% | 10.0% |
学校のきまりなどの問題 (学校の校則がきびしかった、制服を着たくなかったなど) |
2.7% | 7.8% |
1~7以外(※)の理由で学校生活と合わなかった | 13.3% | 12.3% |
部活動の問題 (部活動に合わなかった、同じ部活の友達とうまくいかなかった、 試合に出場できなかった、部活動に行きたくなかったなど |
2.1% | 13.3% |
(複数回答可)
※1~7以外とは、本記事でいうと「学校での人間関係(友人、先輩・後輩、先生)」「勉強がわからない、おもしろくない」「学校やクラスになじめない」の3つで紹介したきっかけ以外のこと
参考:令和2年度不登校児童生徒の実態調査 結果の概要|文部科学省
小学生よりも中学生のほうが、学校やクラスになじめないと悩んでいる人が多いとわかるでしょう。
生活リズムの乱れ
学校生活ではなく、日常生活の影響で学校に行きにくくなった人もいます。
最初に行きづらいと感じ始めたきっかけ | 小学生 | 中学生 |
---|---|---|
生活リズムの乱れ (朝起きられなかったなど) |
25.7% | 25.5% |
インターネット、ゲーム、動画視聴、SNS(LINEやツイッターなど)などの影響 (一度始めると止められなかった、学校に行くより楽しかったなど) |
18.1% | 17.3% |
(複数回答可)
参考:令和2年度不登校児童生徒の実態調査 結果の概要|文部科学省
生活リズムの乱れによって睡眠不足になると、学校へ行っても授業に集中できなかったり、体調が悪くなったりするため、学校に行きたくなくなります。不登校になったあとも改善できなければ、悪循環でしょう。
また、家族の生活環境の変化が原因で、生活リズムが乱れてしまうこともあります。
その他
ここまで紹介したきっかけのほかに、以下が挙げられています。
最初に行きづらいと感じ始めたきっかけ(※) | 小学生 | 中学生 |
---|---|---|
身体の不調 (学校に行こうとするとおなかが痛くなったなど) |
26.5% | 32.6% |
親のこと (親と仲が悪かった、親がおこった、親の注意がうるさかったなど) |
6.7% | 8.9% |
親の学校に対する考え (親がそもそもが学校に行く必要はないと考えていたなど) |
1.3% | 1.8% |
家族関係 (自分以外の家族どうしの仲が悪かった、 家族が失業した、家族が離れ離れになったなど) |
4.9% | 6.2% |
家族の世話や家事が忙しかった | 1.1% | 1.2% |
なぜ学校に行かなくてはならないのかが理解できず、 行かなくてもいいと思った |
13.6% | 14.6% |
きっかけが何か自分でもよくわからない | 25.5% | 22.9% |
特にきっかけはないと思う | 2.2% | 1.5% |
※「その他」と「無回答」は除外
(複数回答可)
参考:令和2年度不登校児童生徒の実態調査 結果の概要|文部科学省
不登校のきっかけとして、小学生では上から2番目、中学生ではもっとも高い割合を占めるのが身体の不調です。理由はわからないけれどおなかや頭が痛くなり、学校に行けなくなることがあります。
自分では気付いていなくても、学校や日常生活のなかで受けたストレスが原因で身体に症状が出ることもあるのです。
身体の不調以外にも、さまざまなきっかけがあるように、不登校の理由は人それぞれかつ多種多様であることがわかるでしょう。
不登校の理由がわからないときの対処法
自分でもどうして不登校になったのか、理由がわからない人もいるでしょう。「令和2年度不登校児童生徒の実態調査結果の概要」では、小学生の25.5%、中学生の22.9%が「きっかけが何か自分でもよくわからない」と答えています。
不登校の理由がわかると対処しやすいですが、わからないときはどうしたらよいか困りますよね。
そこで、不登校の理由がわからないときは、次の3つの方法で原因を探ってみましょう。
● 学校を休んでいる間はどのような気持ちか整理しよう
● 3つの要素から原因を探ってみよう
● 信頼できる人に相談しよう
原因がわかると、解決方法が見つかることもあります。
学校を休んでいる間はどのような気持ちか整理しよう
学校を休んでいる間に、自分がどのような気持ちで過ごしているか確認してみてください。もし「ほっとしている」や「楽な気持ち」であれば、学校生活に原因があるかもしれません。
次のデータから、不登校の人たちが学校を休んでいるときの気持ちを参考にして、自分の気持ちを振り返ってみましょう。
気持ち | 小学生で「あてはまる」と答えた割合 | 中学生で「あてはまる」と答えた割合 |
---|---|---|
ほっとした・楽な気持ちだった | 37.6% | 36.5% |
自由な時間が増えてうれしかった | 36.9% | 34.7% |
早く学校に戻りたかった | 8.7% | 9.4% |
勉強の遅れに対する不安があった | 31.7% | 44.7% |
進路・進学に対する不安があった | 21.2% | 40.8% |
自分のことが嫌で仕方なかった | 23.0% | 35.1% |
参考:令和2年度不登校児童生徒の実態調査 結果の概要|文部科学省
学校から離れて安心な気持ちの人もいれば、不安を感じている人もいます。今、自分がどのように感じているか、安心・不安をそれぞれ書き出してみてください。
気持ちを整理すると、不登校の理由がわかることもあるので、試してみてください。
3つの要素から原因を探ってみよう
不登校の原因は、大きく分けて次の3つに分類されるといわれています。不安や心配を書き出し、3つの要素に分類すると原因がわかるかもしれません。
3つの要素 | 不安・心配の例 |
---|---|
学校生活 | ・クラスメイトが自分を見ながらヒソヒソ話しているように見えるのが不安 ・体育はみんなの前でマット運動をしなければならないのが恥ずかしい ・部活の顧問がよく怒る先生で怖い |
家での生活 | ・親の仲が悪く、ケンカする声を聞くのが怖い・弟ばかりひいきされている気がしてつらい |
本人の問題(学校・家にあてはまらない) | ・ゲームのしすぎで生活習慣が乱れてしまい夜眠れない |
例えば、学校生活の不安・心配が多いのであれば、学校の先生やスクールカウンセラーに相談し、環境を改善するといった解決策につなげられます。
3つの要素すべてに不安や心配があるケースは、ひとつずつ対処していく必要があります。
信頼できる人に相談しよう
上記の2つの方法で原因が見つからない場合や、自分一人ではうまく気持ちを整理できない場合は、お家の人やカウンセラーなど信頼できる人に相談しましょう。
話しているうちに、不登校のきっかけや原因が見つかることもあります。もし、見つからなくても、悩みを共有できると、心が軽くなるはずです。
無理に原因を突き止めなくても大丈夫!焦らずゆっくり乗り越えよう
原因を探ってみたけれど見つからなかった、あるいは気持ちの整理がしんどい場合は、無理に原因を突き止める必要はありません。
不登校の原因は、大人になって心が成長してからわかることもあります。今は、原因を突き止めることよりも「自分がどうしたいのか」「将来どうなりたいのか」を考えるほうが大切です。
不登校だと、勉強の遅れや進学に対する不安が生まれたり、学校に行けない自分が嫌いになったりすることもあるでしょう。不安を少しでもやわらげたい人は、次の3つの方法を試してみてください。
● 自宅でも勉強できる環境を作ろう!
● 学校以外の居場所を作ろう!
● 友達と連絡をとろう!
どれも難しい人も、自分ができることから、焦らずゆっくり始めましょう。
自宅でも勉強できる環境を作ろう!
学習の遅れが心配な人は、自宅でも勉強できる環境を作ってみてください。最近は、学校に行かなくても次の方法で勉強を進められます。
● YouTube
● スマホアプリ
● 通信教材
● 家庭教師
教科書どおりにやろうとせず、好きな教科や単元から始めてかまいません。「家でも勉強ができるんだ」と思うと、学習の遅れへの不安が薄れるはずです。まずは、勉強ができる環境を整え、習慣を作りましょう。
学校以外の居場所を作ろう!
不登校は、どうしても家にこもりがちになってしまうので、息抜きできる場所が必要です。
無理はしなくてもよいですが、習い事や親戚の家、支援センターなど、気軽に行ける場所を探しましょう。
ただし、平日の学校がある時間帯に出かけるときは、トラブルに巻き込まれるおそれがあるため、お家の人とよく相談したうえで行き先を伝えておきます。
友達と連絡をとろう!
友達に連絡をとって、学校の様子を聞いてみるのも気分転換になるかもしれません。
ただし、友達が学校に行っている時間に連絡すると、不信感につながるおそれがあるため、放課後の時間に合わせて連絡しましょう。また、友達とのトラブルが原因で不登校になった人や、学校の様子を知りたくない人は、無理をしなくてかまいません。
友達に会いたい気持ちがきっかけとなり、学校に行けるようになるケースもあるため、試してみてください。
通信制高校できっかけをつかんだ!不登校を乗り越えた明聖高校生の体験談!
不登校になった人たちは、さまざまな方法や考え方を通じて、不登校を乗り越えています。ここでは、通信制高校で高校卒業資格を取得し、大学進学や就職を成功させた元不登校の先輩の体験談を紹介します。
● Mさん(男性):先生が支えてくれて、勉強への意欲を取り戻せた!
● Tさん(男性):さまざまな通信高校生と交流できて、視野が広がった!
通信制高校である明聖高校には、毎年さまざまな理由で不登校になった背景をもつ生徒が入学してきます。同じ悩みや心の傷を抱える仲間や、カウンセラー資格をもつ先生たちと関わりながら、少しずつ自分を取り戻し、夢をつかみとった先輩もたくさんいます。
不登校になり「将来が不安」「どうしてよいかわからない」と悩んでいる人は、先輩の体験談を読んで、通信制高校を選択肢に入れてみてください。
Mさん(男性):先生が支えてくれて、勉強への意欲を取り戻せた!
Mさんは何事にも一生懸命取り組む性格で、中学校の頃は、授業、学校行事、部活動と、あらゆることに全力投球していました。そのためにクタクタになってしまうことも多く、やがてすべてに疲れ切って、不登校になってしまったといいます。
そこで高校では、自分のペースで高校卒業を目指せる通信制高校に行くことを決め、学校説明会での雰囲気がよかった明聖高校を選びました。
明聖高校では、担任の先生はもちろん、関わりのあったすべての先生がMさんに寄り添った対応をしてくれたといいます。Mさんは「がんばりすぎなくて良いんだ」と安心したそうです。
自分のペースで高校生活を送るなかで、Mさんは学習への意欲を取り戻し、自ら大学へ進学するという目標を立てて勉強するようになりました。そして大学に合格し、現在では毎日、充実した大学生活を送っているといいます。
Tさん(男性):さまざまな通信高校生と交流できて、視野が広がった!
Tさんは全日制高校に通っていましたが、クラスの雰囲気が合わず、不登校になってしまいました。学習を続けたいという気持ちがあったため、明聖高校に転入学を決めました。
通信制高校である明聖高校には、年齢も背景もさまざまな生徒たちが集まっており、とても刺激的だったといいます。友達と相談し合ったり、励まし合ったりするなかで、閉じていた心が開かれていくのを感じたそうです。視野も広がり、進路についてさまざまな可能性を自分から探していけるようになりました。
現在は自動車関連の企業に就職し、毎日意欲的に仕事に取り組んでいます。あきらめかけていた高校卒業資格を取得できたことが、自信につながっているそうです。
以下の記事では、Tさんの体験談も紹介しているので、あわせてご覧ください。
関連記事:不登校になってしまう原因は何?通信制高校で乗り越えた生徒の体験談を紹介|通信高校生ブログ|明聖高等学校
不登校に悩むお子さまのサポートをお考えの保護者の方へ
不登校の理由はいろいろあり、お子さん自身がはっきりとわかっていないケースがあります。原因がわかれば対処できると考え、理由をはっきりさせるためにお子さんを質問攻めにしてしまわないように注意しましょう。
不登校のお子さんにとって、もっとも大切なことは心の休養です。保護者の方は、理由をはっきりさせたい気持ちを抑え、お子さんの休養のサポートを優先する必要があります。
以下の記事では、保護者の方向けに不登校のお子さんのサポート方法を紹介しているので、参考にしてみてください。
関連記事:
不登校から学校に行くきっかけをつかむには?保護者が子どもにできること|通信高校生ブログ|明聖高等学校
不登校は甘えじゃない!親ができる不登校になった子どもへの4つの対応|通関連記事:信高校生ブログ|明聖高等学校
中学生が不登校になる原因は?親ができることや今後の進路も紹介|通信高校生ブログ|明聖高等学校
【保護者向け】不登校への支援は何がある?最新の支援情報まとめ|通信高校生ブログ|明聖高等学校
まとめ
不登校の理由はさまざまあり、大きく「学校生活」「家での生活」「本人の問題」に分けられます。理由によっては、心に傷が残るため、なかなか登校できないこともあるでしょう。また、原因がわからないこともあるはずです。大切なのは、無理をして学校に行くことではなく、心を休めたり傷を治すことです。しっかり休み、エネルギーを十分蓄えられたときに一歩踏み出せば、先生や友達、家族が助けてくれるでしょう。もし、第一歩の踏み出し方がわからないときは、通信制高校が力になってくれるはずです。不登校で進学の悩みを抱えている人は、明聖高校へ気軽に相談してください。
参考URL:
令和2年度不登校児童生徒の実態調査 結果の概要|文部科学省
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