「学校に行くのが怖い」という気持ちが大きくなると、教室に入れなかったり、学校へ行く前にお腹や頭が痛くなったりします。
 
学校が怖いと感じる背景には「怒られるのが怖い」「疲れるから怖い」など、人それぞれの理由があります。理由がわかると、気持ちをやわらげることや対処が可能です。
 
今回は、学校が怖いと思う理由や気持ちをやわらげる方法を解説します。「学校が怖いけれど理由がわからない」と困っている人や「怖くて学校に行けない」と悩むお子さんをもつ保護者の方は、ぜひ最後までお読みください。

学校が怖い理由を考えてみよう

学校が怖いと思う理由には、例えば次の5つがあります。

●先生に怒られるのが怖い
●友達・先輩との人間関係が怖い
●勉強が難しくて怖い
●生理現象が怖い
●病気の症状が出るのが怖い

5つの理由のなかにあてはまるものがあれば、原因を取り除くことで学校が怖い気持ちをやわらげられる可能性があります。自分やお子さんにあてはまるものがないか、確認しながら読んでみてください。

先生に怒られるのが怖い

先生に怒られた経験がある人にとっては、それが怖い気持ちの原因かもしれません。特に、先生から「急に怒鳴られた」「やっていないことで責められた」など、理不尽な怒られ方をすると恐怖につながります。
 
また、なんとなく自分にだけ厳しいと感じる場合は、先生との相性が悪い可能性も考えられるでしょう。
 
文部科学省が令和3年に発表した「不登校児童生徒の実態把握に関する調査報告書」では、最初に学校へ行きづらいと感じ始めたきっかけのなかで「先生のこと」を理由に挙げている人の割合は以下のとおりで、小学校のなかでは最も高くなっています。

●小学校:29.7%(21の理由のなかで1位)
●中学校:27.5%(21の理由のなかで3位)

「先生のこと」のなかには「先生が怖かった」も含まれています。
 
同調査の「今の気持ち」に関する自由記述には以下の回答があり、先生への恐怖心は簡単に拭えないことがうかがえます。

今は頑張って学校に行けているが、先生に対しての恐怖心はまだあり、学校が好きに
なったわけではない。行かなきゃいけないから行っている。勉強が全然できてなく
て、周りの人と比べてしまうが、これから自分のスピードで頑張れるようにしたい。

引用:不登校児童生徒の実態把握に関する調査報告書|文部科学省
 
この場合、自分の気持ちをコントロールする方法を身につける、学校や専門機関に相談するなどの対処が必要です。

友達・先輩との人間関係が怖い

学校では、先生よりも友達や先輩と過ごす時間のほうが長いため、人間関係でトラブルがあると学校が怖くなります。
 
例えば、だれかの行動を見て笑ったりバカにしたりするクラスメイトがいると「自分も同じことをされるのではないか」と怖くなりますよね。コソコソと話している様子を見て、自分の陰口かもしれないと考えてしまうこともあるのではないでしょうか。
 
不登校児童生徒の実態把握に関する調査報告書」の「今の気持ち」に関する自由記述にも、同様の回答があります。

人の目が怖い。先生になにか言われるのがいやだ。自分の過ごしやすい環境を用意し
てくれたので、前よりは学校に行きやすくなった。友達のこそこそ話が怖い。進路が
心配。勉強においつけない。

引用:不登校児童生徒の実態把握に関する調査報告書|文部科学省
 
また、人間関係に悩んでいる友達やいじめられているクラスメイトがいる場合「自分もそうなるのではないか」と恐怖を抱く原因になります。
 
友達や先輩と距離を置いたり、恐怖心が強いときは学校を休んだりして、恐怖心をやわらげることが大切です。

勉強が難しくて怖い

勉強が難しい、わからない人は「授業中にあてられたらどうしよう」と、授業が怖いと思うようになります。
 
また、わからないことやできないことを無理にやろうとすると、疲れてしまうこともあるでしょう。「疲れるのが怖い」という気持ちが、学校への恐怖感につながることもあります。
 
文部科学省が令和3年に発表した「不登校児童生徒の実態把握に関する調査報告書」では、最初に学校へ行きづらいと感じ始めたきっかけのうち「勉強が分からない」を選んだ人の割合は以下のとおりです。

●小学校:22.0%(21の理由のなかで6位)
●中学校:27.6%(21の理由のなかで2位)

中学校にあがると勉強が難しくなり、わからなくなることも多いため、小学校と比較すると割合が高くなっています。
 
勉強のサポートを受けたり専門家に相談したりして、恐怖心をやわらげることが大切です。

生理現象が怖い

生理現象とは、おならやげっぷ、おしっこなど、人間が生きていくうえで自然と起こる現象のことです。
 
学校では、トイレでも「ほかの人におならの音を聞かれたらどうしよう」と、恐怖を感じる人がいます。普段からお腹の調子が悪くなりやすい人や、トイレに行く回数が多い人にとっては、授業中も心配ですよね。
 
このように、学校のなかで生理現象が起こることに不安を抱えている人にとって、学校が怖くなってしまいます。
 
対処方法として、学校に相談して校内にリラックスできる居場所を作ってもらう、職員トイレを使わせてもらうなどの方法があります。

病気の症状が出るのが怖い

過敏性腸症候群や起立性調節障害などの病気を抱えている人の場合、「学校で症状が出たらどうしよう」と、恐怖感を覚えることがあります。
 
また、食物アレルギーやてんかんに対する薬が処方されている人は、自分自身でコントロールができない病状が突発的に起こってしまう可能性があり、命に関わるおそれもあるため、不安に感じるのは無理もありません。
 
自分では対処できない症状があると、恐怖感もより大きくなるでしょう。
 
病院と密に相談し、学校で症状がでたときの対応を万全にしておくと、恐怖心がやわらぐ可能性があります。

理由がわからないけれど学校が怖いときの原因

学校が怖いと感じる5つの理由にあてはまらなかった人のなかには、理由がわからない人もいるでしょう。その場合、自分で気付いていない、または学校に原因がないこともあります。
 
学校に原因がない場合、例えば以下の原因が考えられます。

●母子分離不安(子どもが母親と離れることで不安を感じること)
●不安障害(パニック障害、社会不安障害など)

この場合、心や身体になんらかの症状が出ている可能性が高いため、病院を受診して適切な治療を受けることが大切です。

学校が怖い気持ちをやわらげる方法

怖い気持ちをやわらげる方法を知っておくと、いざというとき役に立つはずです。ここでは、大きく分けて3つの方法を紹介します。

●怖い理由を解決する
●信頼できる人に相談する
●リラックスできる居場所をつくる

ただし、学校が怖いときは、無理に学校に行かなくても大丈夫です。学校に行こうとするとお腹や頭が痛くなる、心臓がドキドキするなどの症状がでるのであれば、学校を休むことも考えましょう。
 
気持ちに余裕が出てきてから、学校が怖いという気持ちと向き合ってみてください。

怖い理由を解決する

学校が怖い理由がわかっているのであれば、解決すると恐怖心がやわらぎます。
 
怖い理由を解決する方法は、大きく3つに分けられます。

●自分の気持ちをコントロールする
●環境を変える
●相手に変わってもらう

ここでは、自分ひとりでできる方法として、自分の気持ちをコントロールする2つの方法を紹介します。

●悪い予測をしないようにする
●呼吸法を身につける

恐怖を感じたときに試してみてください。

悪い予測をしないようにする

恐怖とは、人間のストレス反応のひとつです。「また先生に怒られるかもしれない」「友達に無視されたらどうしよう」などの悪い予測がきっかけで、恐怖を引き起こされることがあります。
 
この場合は「予測しない」ことで、恐怖をやわらげられます。つい癖で悪い予測をしてしまう人は、気付いたときに違うことを考えるようにしてみましょう。
 
今日の給食のメニュー、好きなテレビ番組のことなど、なるべく楽しいことに考えを切り替えて、悪い予測を消してしまいます。これを繰り返すうちに、悪い予測をする習慣が薄れていくでしょう。

呼吸法を身につける

人間は、恐怖を感じたとき、心臓の動きが速くなったりお腹が痛くなったりと、身体に症状としてあらわれることがあります。症状が出ると、怖い気持ちもより一層強くなるため、症状をやわらげる呼吸を知っておくと役立ちます。
 
次の手順で、腹式呼吸を練習してみましょう。

1.軽く背筋を伸ばし、目を閉じてお腹に手をあてる
2.ゆっくりと口から息を吐く
3.息を吐ききったら、3秒かけて鼻から息を吸う
4.1~3番を5~10分繰り返す

息を吐くときはお腹のへこみ、吸うときはふくらみを意識すると、深い呼吸ができます。恐怖を感じたときは、腹式呼吸で深く・ゆっくりと呼吸をすると、リラックス効果で恐怖をやわらげることが可能です。

信頼できる人に相談する

自分だけでは解決のために行動できない、よい解決策が思い浮かばないこともあるでしょう。その場合は、お家の人や信頼できる学校の先生などに相談して、一緒に考えてもらうのがおすすめです。
 
また、カウンセラーに頼る方法も考えてみてはいかがでしょうか。
 
学校に相談すると、スクールカウンセラーを派遣してくれる場合があります。病院にかかっている場合は、臨床心理士や公認心理師などの専門家が話を聞いてくれるでしょう。
 
カウンセラーに相談すると、問題の原因や状況を整理して考えられるため、学校が怖い理由を明らかにしたり、具体的な改善策を考えたりできます。話を聞いてもらうだけでも、恐怖がやわらぐ人もいるはずです。

リラックスできる居場所をつくる

リラックスできる居場所に行くと、恐怖心がやわらぐ効果を期待できます。
 
学校のなかでも、保健室やカウンセラー室などリラックスできる場所を探して、恐怖を感じたらその場所へ行くと安心できます。学校の先生と場所やルールを決めたうえで、先生方のなかで周知してもらえば、授業中でも気持ちのコントロールが可能です。
 
学校外でもリラックスできる居場所をつくっておくと安心です。家だけではなく、親せきの家や公園など、気分転換ができる場所を見つけておくとよいでしょう。ただし、安全のため、いつ・どこに行くのかは必ずお家の人に伝えてください。
 
また、リラックスできる方法を身につける、アイテムを持つのも効果的です。
 
例えば、リラックスできる香りをかぐ、スクイーズを触るなどです。事前に学校の先生とルールを決め、クラスメイトに周知してもらうと、周りの目を気にせずにいつでも気持ちをコントロールできます。

学校を怖がるお子さんの保護者の方ができること

「学校を怖がって行きたがらない」「恐怖で眠れない様子だ」など、学校を怖がる
お子さんが心配な保護者の方も多いでしょう。自分たちだけでは解決できないこともあるため、どうしてよいかわからないこともありますよね。
 
ここでは、保護者の方ができることを大きく3つに分けて解説します。

●子どもの話を聴く
●生活リズムを整える
●肯定的な声かけをする

もし、学校が怖いのが理由でお子さんが不登校になった場合は、不登校でも大丈夫であることを忘れないでください。学校は、お子さんの心身に悪影響を与えてまで行かせるところではありません。
 
共働きで休めない、頼れる親戚が近くにいない場合は、昼間のお子さんの管理が難しいですが、お子さんが健やかに育つためには学校を休ませることも大切です。
 
そのことを念頭に置いたうえで、3つの方法を取り入れてみてください。

子どもの話を聴く

お子さんの話を聴くだけでも、恐怖をやわらげられます。話を聴くときは、次のポイントを意識してみてください。

●なにかをやりながらではなく、話を聴くことに集中する
●子どもの気持ちに共感する
●保護者としての意見や気持ちを押しつけない

話すのが苦手なお子さんの場合は、保護者の方がお子さんの話した内容を繰り返し、話を整理しましょう。お子さんが「つらい」「怖い」など感情をあらわす言葉を発したときは、「怖いんだね」のように繰り返してあげると共感にもつながります。
 
言葉でうまく表現できないときは、文章や絵で書いてもらい質問してあげるのもよいでしょう。
 
学校が怖い理由を明らかにしようとして「先生が怖いんでしょ」と決めつけることのないよう注意し、あくまでお子さんの気持ちと言葉をすくい取ってあげてください。
 
本人でも理由がわからないときや、怖い気持ちを反芻して話せないときもあるため、ゆっくり時間をかけて聴いてあげることが大切です。
 
お子さんの話を聴いたあとはメモにまとめたうえで、必要があれば学校や病院などへ相談しましょう。

生活リズムを整える

お子さんが「学校が怖い」といって頭痛・腹痛の身体症状を訴えている場合、生活リズムの乱れが原因のこともあります。
 
例えば、朝ごはんを食べていない、寝る時間が遅いなど生活リズムが崩れている場合は、生活リズムを整えられるようサポートしましょう。
 
生活リズムを整えるポイントは、以下を参考にしてみてください。

項目 ポイント
運動 1日15分間身体を動かす(歩く、体操など)
学校 恐怖感が強いときは無理をせず、休んでもよい
睡眠 寝る時間・起きる時間を決めて、十分に睡眠をとる
休息 活動の合間に休憩をとる(時間を決めておくとよい)
栄養 1日3食をよく噛んで食べる
入浴 適度に入浴し、新陳代謝を促進する

生活リズムとともに自律神経が整うと、頭痛や腹痛の症状がやわらぎ、気持ちも改善する場合があります。

肯定的な声かけをする

お子さんが学校に対して恐怖を感じているときは、大きなストレスを抱えている証拠です。ストレスを解消するためには、肯定的・楽観的な考え方が大切ですが、本人は悪い予測や心配にとらわれてそれどころではないでしょう。
  
そこで、保護者の方による肯定的な声かけで、お子さんの心を少しでもポジティブな方向へシフトさせることが大切です。
 
お子さんの話から、うまくいっていることや肯定的な部分を言語化して伝えてあげることで、物事を肯定的にとらえられるように促します。
 
また、いざというときは「逃げてもいい」「休んでもいい」と逃げ道を用意してあげておくと、お子さんの気持ちが楽になるでしょう。

怖くて学校に行けない日が続くなら新しい選択肢を考えよう!

子どものころは「学校がすべて」と思いがちで、怖くて学校に行けないことに罪悪感を覚えたり乗り越えようと考えたりします。しかし、学校へ行けなくても、次のようにさまざまな選択肢があるため、焦らなくても大丈夫です。

●特認校(※)への転入学を検討する
●フリースクールに行く
●通信制高校へ進学・編入学する

※特認校とは、さまざまな事情で指定された小中学校に通えない児童生徒が、手続きを踏むことで通学できる学校
 
特認校やフリースクールは、小中学生が環境を変える手段として効果的です。もし、高校生で今の高校が怖い場合は、通信制高校への編入学を検討してみてはいかがでしょうか。
 
通信制高校は、全日制高校とは違って少ない登校日数で高校の卒業資格を取得できる高校です。学校が怖くて行けない人でも、自宅学習やオンライン学習を通じて自分のペースで学習を進められます。
 
明聖高校では、オンラインで学べるWEBコースなら、学校への恐怖を感じずに学習に集中できるでしょう。
 
高校卒業資格を取得するために必要なスクーリング(登校)は、本校がある千葉県だけではなく、東京や大阪など各地でも開催されているため、千葉県以外の方でも問題ありません。
 
詳しくは、以下のページをご覧ください。
WEBコース|明聖高等学校