子どもが学校に行けない理由がわからず、休ませてよいか迷われている保護者の方もいらっしゃるでしょう。「家でゲームをしたい」「気が乗らない」などの理由で学校を休みたがる子どももいますが、なにか困ったことがあり、どうしても行けない子どももいるのです。
 
そのため、まずは学校を休ませてから、お子さんと向き合うことが大切です。
 
本記事では、子どもが学校に行けない理由と保護者がすべきではない対応を解説します。お子さんとゆっくり向き合う時間をとり、お子さんのペースで対応していきましょう。

子どもが学校に行けない理由

子どもが学校に行けない理由には、主に以下が考えられます。

● 勉強が難しい
● いじめ被害にあった
● 友達がいない
● 先生とうまくいかない
● なんとなく気が乗らない

学校に行けない理由がわかれば対策をとれるため、本人から事情を聞きたい保護者の方も多いでしょう。しかし、本人にも理由がわからない場合や、うまく言語化できない場合もあり、必ずしも明確化できるわけではありません。
 
また、最初に学校へ行けなくなったきっかけと、今通えない理由が異なることもあります。例えば、先生の叱責がきっかけとなって学校を休んだら、「こんなことで休んだらまた怒られるかも」と不安が大きくなってしまった、というケースです。
 
このように、子どもが学校に行けない理由はさまざまあるうえ、複雑に絡み合っています。

子どもが学校に行けないときに保護者が避けるべき対応

お子さんが学校に行けないとき、保護者は対応に気をつけなければなりません。お子さんは、学校を休んでいることに対して罪悪感をもったり、自信を失ったりしています。すべきではない6つの行動を紹介するので、お子さんの心をさらに追い詰めることがないように、気を付けてみてください。

甘えや仮病だと決めつける

特に問題なく学校に通っていたはずの子どもが、急に学校に行けなくなると、甘えや仮病を疑ってしまうこともあるでしょう。しかし、安易に決めつけるのはよくありません。
 
学校で辛い思いをしている子どもが親に仮病を疑われたら「何もわかってもらえない」と感じてしまいます。すると、自分の気持ちを話さなくなったり、だれも頼れなくなったりして、心身に悪影響を及ぼすおそれがあります。

学校に無理矢理連れて行く

学校に無理矢理連れて行くことも、子どもにとってよくありません。特に、強く抵抗したり閉じこもったりする場合は、学校に行けない大きな理由があると想定した方がよいでしょう。
 
学校に相談するとともに、無理に学校に行かせず、様子を見守ることが大切です。

学校に行けない理由をしつこく聞く

お子さんに学校に行けない理由を問い詰めることも避けましょう。理由があっても話せず、苦しんだ結果、学校へ行けなくなったのかもしれません。また、本人にも理由がわからず、うまく話せない可能性もあります。
 
しつこく学校に行けない理由を尋ねると、子どもは「何か話さなきゃ」と焦り、嘘をついたり理由を無理に作り出したりすることがあるため、静かに見守ることが大切です。

学校に行けないことを責め立てる

お子さんが学校に行けないことを責め立てたり、怒ったりすることもよくありません。
 
周囲から向けられる目や保護者の方の都合もあり、本当は学校に行って欲しいという想いもあるでしょう。しかし、一度それらは脇に置いて、子どもの気持ちに向き合う必要があります。
 
そして、お子さんが「親がいつも味方してくれる」と安心できる居場所となることが大切です。
 
したがって、責めるような言葉などはなるべく避けて、お子さんの気持ちに寄り添いましょう。

子どもの話を聞かない

保護者の方から、学校に行けない理由を正したり、行けないことを責め立てたりすることは避けるべきですが、お子さんが話をしたいときに聞かないのもよくありません。
 
お子さんは、必死でSOSを出しているのにもかかわらず、本気で向き合ってくれないため、暗い気持ちになってしまいます。特に、話を聞かずに学校に行かせることのないように注意してください。
 
他愛のない話でも、お子さんが話したいことにはしっかりと耳を傾け「何でも聞いてくれる」という安心感を与えましょう。

焦って学校への復帰にこだわる

学校に行けなくなってしばらく経つと、早く復帰させなければならないと焦ってしまう保護者の方も多いでしょう。このとき、無理に復帰させるのはよくありません。
 
そもそも、学校復帰をゴールにしてしまうと、本人も焦ってしまいます。また、学校での問題が解決していない状態で復帰となると、心身に大きな負担がかかるはずです。
 
休んでいる間に、根本的な問題の解決を目指すことはもちろん、学校に復帰する以外の選択肢も考えておきましょう。
 
関連記事:不登校からの学校復帰は焦らなくても大丈夫。準備と登校までのステップ|通信高校生ブログ|明聖高等学校

子どもが学校に行けない理由がわからないときに考えたいこと

子どもが学校に行けない理由がわからないときは、なにをどのように対応したらよいのかわからなくなりがちです。
 
その場合は、次の2つを踏まえて、お子さんの気持ちや疑われる原因を考えてみましょう。ただし、決めつけないように注意してください。

学校に行けないときの子どもの気持ち

まずは、学校に行けないときのお子さんの気持ちに寄り添うために、不登校の子どもの気持ちを知りましょう。
 
文部科学省が発表した「令和2年度不登校児童生徒の実態調査」を見ると、学校を休んでいる間の不登校の児童生徒の気持ちを考えることが可能です。

引用:令和2年度不登校児童生徒の実態調査|文部科学省
 
小学生は「ほっとした・楽な気持ちだった」と回答した割合がもっとも高く、次いで「自由な時間が増えてうれしかった」となっており、安心の気持ちが大きいようです。ただし、勉強の遅れや進路・進学に対する不安や自己嫌悪感を抱く子も約4~6割(※)の割合でいます。
 
中学生は「勉強の遅れに対する不安があった」と回答した割合がもっとも高く、不安の方がやや大きくなっています。
 
小中学生ともに、学校に行かなくてよい安心感とともに、不安や自己嫌悪感を抱えていると考えられます。そのため、ネガティブな気持ちに寄り添った対応が求められるのです。
 
独立行政法人教職員支援機構が作成した「不登校児童生徒の対応について」によると、不登校の背景には以下があるとされています。

● 日常生活における身体的疲労・精神的疲労が長期に続いた結果、エネルギーが低下している
● エネルギーの低下が強まり、思考力・集中力・意欲が低下するとともに、不安が高まる
● さまざまな原因から強い対人不安・緊張を抱えている場合もある

参考:不登校児童生徒の対応について|独立行政法人教職員支援機構
 
このように、不登校中はエネルギーの低下によって、お子さんの不安感や緊張が強まっているかもしれません。お子さんの気分が落ち込んだり元気がなかったり、頭痛や腹痛など原因不明の体調不良がある場合は、エネルギーが低下しているサインです。
 
保護者の方は、問い詰めたり責め立てたりとお子さんの不安を煽るような対応を控え、回復を待つことが大切です。
 
※「あてはまる」「少しあてはまる」と回答した児童生徒の割合の合計

学校に行けないときに疑われること

お子さんが学校に行けない理由を話せない、わからないとき、理由を知りたい保護者の方も多いでしょう。独立行政法人教職員支援機構が作成した「不登校児童生徒の対応について」によると、小中学生が学校に行けないときに疑われる背景は、以下のとおりです。

● 集団不安・母子分離不安
● いじめ
● 気疲れ
● 心身症
● 神経症
● 家庭環境の課題
● 発達障害
● その他病気

参考:不登校児童生徒の対応について|独立行政法人教職員支援機構
 
保護者の方は、原因にアタリをつける一方で決めつけをせず、必要に応じて専門機関を頼り、専門的な見解からお子さんの不安を取り除くためのサポートをすることが大切です。
 
なお、中高生の場合は、「学校に行くのが大儀」「学校にも家にも居場所がなく夜遊びに走る」など、上記にはない理由で学校に行けないこともあります。

学校に行けない子どもへの適切な対応

お子さんが学校に行けないと、保護者の方も不安や焦りを感じるでしょう。そのようななかでも、適切な対応を意識することで、お子さんの回復をサポートすることが可能です。ここでは、学校に行けないお子さんへの適切な対応を4つ紹介します。

まずは休ませる

不登校では、エネルギーの低下が疑われるため、負担になる行動を避け、十分な睡眠と休養を取ることが大切です。
 
早期介入によって短期で改善することもあるため、心身の不調や登校しぶりが見られたときは、すぐに休ませる必要があります。
 
学校を休ませている間は、お子さんのエネルギーを取り戻すための生活が求められます。基本的には、自分のペースでのんびり過ごさせ、家族を中心にサポートをおこないましょう。
 
不登校になると、家にいる間中インターネットやゲームばかりの生活にならないかと不安になる方もいるでしょう。回復には時間がかかるため、ある程度は目をつぶり、まずは本人のペースで生活させることが大切です。
 
少しずつエネルギーが戻ってくるので、家の手伝いから家族との外出など、少しずつ家でやることを増やし、日常生活に戻っていくのが理想です。

子どもの話を聴く

お子さんが学校に行けなくなったときは、お子さんの話をじっくり聴くことが大切です。保護者の方の意見や気持ちは伝えず、お子さんの言葉に耳を傾けましょう。
 
学校に行けない理由を話せなくても、今の気持ちは話せるはずです。「つらい」「苦しい」などの言葉が出たら、「つらいんだね」「苦しいんだね」と理解を示し、安心感を与えることが大切です。

安心して過ごせる居場所をつくる

低下したエネルギーを回復するためには、お子さんにとって安心・安全な環境が必要です。
 
自宅の居心地がよすぎるからといって不登校が長引くことはあまりないため、とことん居心地のよい環境を整えましょう。
 
本人の気持ちに寄り添ってくれる人がいる場所は、お子さんにとっての居場所になります。お子さんに寄り添いながら、環境づくりを進めてみてください。

自分のペースで過ごさせる

お子さんが学校に行けないときは、不登校を3段階に分けたうえで、各段階に合った対応をすることが必要です。

● 充電期(初期):自分のペースでのんびり過ごす
● 安定期(中期):家のなかでできることをやる
● 活動期(回復期):少しずつ自分のペースで外出する

充電期では、エネルギーの低下が顕著であるため、自分のペースでのんびり過ごさせたうえで、家族を中心にサポートをおこないます。
 
自宅で落ち着いた様子が見られるようになれば、安定期です。まだ疲れやすい状態であるため、無理に家族以外の人と関わったり外出をしたりすると、回復が遅れるおそれがあるため、家のなかでできることをおこないましょう。
 
お子さんのエネルギーが戻り、家族以外の人との関わりや外出に疲れを感じなくなってきたら、登校を考えます。最初は、保健室や相談室登校や、数時間のみの登校など、少しずつ慣らすのが理想です。ただし、あくまでお子さんのペースで進めることが大切です。
 
無理強いをせず、「待つ」「見守る」ことを心がけましょう。
 
関連記事:不登校の回復期とは?3つの段階ごとのサインと保護者に求められる対応を解説|通信高校生ブログ|明聖高等学校

学校に行けない子どもの新たな選択肢「通信制高校」

不登校が長引くと、「将来ちゃんと働けるのか」「大学には行けるのか」など、保護者の方の不安や焦りは大きくなるでしょう。一方で「お子さんには寄り添わなければならない」「見守らなければならない」といった気持ちもあるため、苛立ちを覚えることもあるはずです。
 
学校に行けない子どもの選択肢として通信制高校の実態を知っておくと、不安が和らぐかもしれません。
 
通信制高校とは、オンライン授業や自宅学習などの通信教育を中心としたカリキュラムで高校卒業資格の取得を目指せる高校です。全日制高校と比較して登校日数が少ないコースもあるため、不登校のお子さんの居場所として注目を集めています。
 
以前の通信制高校のイメージは変わりつつあり、最近では自由な校風や自分のペースで学べる環境が認知されるようになってきています。
 
通信制高校である明聖高校のWEBコースは、年間3~4日程度の登校であるため、学校生活の負担を抑えられます。教員は全員が心理系の資格を取得しており、寄り添った対応で、少しずつ学校や社会への復帰を目指すことが可能です。
 
小中学校で不登校だった先輩たちの卒業後の進路決定率は約88%で、進学・就職先も多岐にわたります。

学校に行けないお子さんをもって、不安を抱えている保護者の方は、ぜひ明聖高校の学校相談会にお越しください。
 
学校説明会・相談会|明聖高等学校