「学校に行きたくない」と思うことは悪いことではありません。しかし、「もっと頑張らないといけない」と自分を責めてしまう人や、罪悪感を抱いてしまう人もいると思います。なかには、悩んでいることを周りに話せず、一人で抱え込んでしまっている人もいるでしょう。すでに不登校になっている人も、学校に行きたくないと感じている人もケアが必要であることには変わりません。今回は、「学校に行きたくない」と感じているとき、どう自分に向き合い、対処すればよいのかをご紹介します。

中高生の方へ:学校に行きたくない理由は人によってさまざま

まず知っておくべきは、学校に行きたくない理由は人によってさまざまだということです。自分の悩みをうまく言葉にできずモヤモヤを感じている人も、ほかの人の悩みを知ることで自分の気持ちを整理できるかもしれません。学校に行きたくない理由としてよく挙げられるのは、次のようなものがあります。

  • ・人間関係に悩んでいる
  • ・学校の先生と相性が悪い
  • ・入学や進級による新しい環境になじめない
  • ・進路に不安を感じている
  • ・勉強についていけない
  • ・校則が肌に合わない

不登校になってしまう原因について詳しくは以下の記事をご覧ください。
不登校になってしまう原因は何?通信制高校で乗り越えた生徒の体験談を紹介 | 通信高校生ブログ
 
   
もちろん、これら以外にも理由はありますし、それぞれの要因が複雑に絡み合っているせいで、うまく整理できない場合もあります。自分がどう感じているのかを大切にしましょう。

中高生の方へ:そもそも学校に行かなくてよい?不登校のデメリットとは

今学校を休んでいる人のなかには、そもそも学校に行く必要はないのではないかと考えている人もいるかもしれません。ただ、学校を中退してしまうことにはいくつかのデメリットがあります。

大学へ進学するハードルが上がる

大学に入学するためには、高校を卒業しているか「高等学校卒業程度認定試験(高卒認定)」に合格している必要があります。もし高校を退学してしまうと、あとから大学に行きたいと思った場合にまず高卒認定を受けなければならないため、大学進学のハードルは高くなります。
 

高卒認定にさえ合格できれば、大学進学は可能です。中退してしまったらといってもう大学に行けない、というわけではありません。
 

高卒認定について、詳しくは以下記事をご覧ください。
高卒資格と高卒認定、どちらを取得するほうがいい?取得方法や証明内容の違いを解説

就職する際に応募ができない企業が増える

中卒の場合、就職に不利になることもあります。企業によっては応募要件に最終学歴を指定しているところもあるため、最終学歴が中学校卒業(中卒)か高校卒業(高卒)かで選べる仕事の選択肢も変わってきます。
 

就職において高卒認定が役に立つケースは多くあります。応募要件を「高卒以上」としている場合、中卒でも高卒認定を取得している人なら要件を満たしていると判断する企業も少なくありません。高卒認定をどのように扱うかは企業によりますが、なかには高卒認定を高卒と同等に扱うところもあります。

 
なお、高校をやめるデメリットについてもっと詳しく知りたい方は、あわせて以下の記事をご参照ください。
高校・学校を辞めたい…と思ったときに知っておきたいデメリットや解決方法 | 通信高校生ブログ

中高生の方へ:自分に向き合い、前に進むための3ステップ

学校へ行きたくない人のなかには、学校を休むことに対してよくない印象を抱いている人もいると思います。
 

しかし、学校を休むことは決してネガティブなことではありません。本人の消耗してしまっているエネルギーを充填したり、抱えている問題と向き合ったりするために必要な期間です。少しずつ段階を踏んで心身を回復させ、無理なく前に向かえるようになることを目指しましょう。ここからは、学校を休んでいる間に自分と向き合い、前進するための3つのステップを紹介します。

【ステップ1】学校を休むことをポジティブにとらえる

大事なのは、学校を休むという行為をポジティブにとらえることです。休息を取り、自ら問題の解決に向かっていくために、今は学校を休むことが必要であると認識しましょう。

【ステップ2】ゆっくり休息を取る

心身が回復するまでは、思う存分ゆっくり休みましょう。一日中ベッドのなかにいてほとんど活動できなかったり、昼夜逆転したりしてしまうこともあるかもしれませんが、心にゆとりが戻ってくるまでは、無理に直そうとしなくても大丈夫です。逆にこの段階で無理やり活動しようとすると、十分に心が休まらず、むしろ逆効果になってしまう恐れもあります。

【ステップ3】家族と話し合いながら自分に向き合う

エネルギーが回復し、問題に向き合うための余裕が出てきたら、自分の思いを家族に話してみてもよいでしょう。周囲がどう思っているかよりも、あなたが今何を感じ、どうしたいのかが重要です。
 

休息を十分に取り、家族で話し合いながら徐々に心を整えていくことが大切です。焦る必要はありません。十分に心身のエネルギーを充填し、準備が整ったら学校への復帰の準備を少しずつ進めていきましょう。
 
不登校からの学校復帰については、以下の記事も合わせてご覧ください。
不登校からの学校復帰は焦らなくても大丈夫。準備と登校までのステップ | 通信高校生ブログ

家族と話をしにくい場合は別の相談先を活用しよう

悩みを抱えながらも、家族と話をしにくい人や、そもそも家庭に居場所がないと感じている人もいると思います。そういった場合は、相談窓口や専門機関を活用するのもよいでしょう。ここでは、悩みを相談する際に利用できる窓口をご紹介します。

スクールカウンセラー

学校にスクールカウンセラーがいる場合は、そちらに相談してみてもよいでしょう。専門家としてしっかりと話を聞いてくれます。スクールカウンセラーであれば、学校と連携を取りやすいというメリットもあります。

教育相談センター

教育相談センターは、都道府県など自治体が運営している機関です。直接来所しての相談や電話での相談を受け付けているところが多いですが、センターによってはメールなどで相談できるところもあります。また、不登校の悩みだけでなく、学校生活や友人関係、いじめの問題など、幅広い相談に乗ってくれます。詳しくは、お住まいの地域の教育相談センターのWebサイトなどを確認してみましょう。

ひきこもり地域支援センター

ひきこもりに特化した相談窓口です。各都道府県、指定都市などに設置されています。臨床心理士、社会福祉士などの資格を持つ支援コーディネーターが相談支援をおこない、必要な支援に結び付けるなどの対応をしてくれます。

子どもの人権110番

不登校やいじめ、親からの虐待など、さまざまな問題を解決するための相談窓口で、子どもも大人も相談することができます。電話は近隣の法務局または地方法務局につながり、職員もしくは人権擁護委員が対応してくれます。
 
不登校について相談したい場合は、以下の記事も合わせてご覧ください。
不登校の悩み、どこに相談すればいい?主な専門機関と相談窓口一覧 | 通信高校生ブログ

親御さん向け:親が子どもにできることとは

我が子が学校を休むようになったら、親御さんは心配になると思います。ただ、無理に子どもを学校に行かせようとしたり、自分の教育が悪かったと自分を責めたりしてしまうと、事態はさらに悪化してしまう可能性があります。
以下では不登校になった子どもに親がしてあげられることを紹介しています。

子どもの話に耳を傾ける

まず重要なのは、子どもの話をしっかりと聞く姿勢を持つことです。心配になっていろいろと事情を聞きたくなる気持ちはわかりますが、問い詰めてしまうと子どもが塞ぎ込んでしまう可能性もあります。ありのままを受け止める心を持ち、子どもが自分の言葉で話してくれるのを待ちましょう。

専門機関に相談する

カウンセラーや相談センターといった専門家、専門機関に頼るのも大切です。悩みを誰にも打ち明けられない状況というのは、子どもにとっても親にとっても大きなストレスになります。子どものことで悩んでいる場合は、親もカウンセラーやセンターなどに相談し、抱え込まないようにしましょう。
 

また、学校になじめない要因として、発達障害があるのではないかという議論もあります。発達障害かどうかは専門的な機関で診断してもらわないとわかりません。発達障害にもさまざまな種類があり、特徴もバラバラです。子どもが発達障害かもしれないと思ったら、抱え込まずに専門の機関に相談するようにしましょう。
 
不登校になった子どもとの関わり方については、以下の記事で詳しく解説しています。あわせてご参照ください。
不登校は親のせいではありません。疲れを感じないためのポイント5つ | 通信高校生ブログ