不登校は、本人と家族だけでは解決が難しいことも少なくありません。「不登校はダメなことだから、相談するのは恥ずかしい」(本人)、「家庭の問題は家庭内で解決しなければいけない」(保護者)といった理由で、第三者への相談をためらってしまうこともあるかもしれませんが、無理に家庭の中だけで対処しようとすると、場合によっては不登校が長引いたり、不登校を繰り返したり、保護者まで心身の健康を損なってしまったりする恐れもあります。
ここでは、不登校の悩みを相談できる主な窓口や専門機関の一覧やそれぞれの特徴、効果的な活用方法について解説していきましょう。

【本人・保護者】不登校について相談できる窓口・専門機関一覧

不登校は本人にとっても保護者にとっても苦しい状況ですが、それ自体は決して悪いことでも、劣っていることでもありません。気後れすることなく、本人や保護者の状況に応じて専門家の力を借りることが、早期に根本的な解決へ向かうためには不可欠だといえます。

本人や保護者が相談できる窓口や専門機関には、具体的に次のようなものがあります。主な窓口のメリット・デメリットもあわせて、詳しく見ていきましょう。

【学校】

担任など在籍校の教員
・メリット
学校での本人の様子を把握したり、学校復帰に向けた具体的な対応を検討したりするために、担任をはじめとした学校との連携は不可欠です。保健室・相談室登校の可否や人間関係への対処、柔軟な授業の受け方への対応など、より実際的な解決策について相談できます。

・デメリット
教員個人の力量や学校の運営の在り方によっては、本人の状況を十分に把握してもらえていなかったり、効果的な対処をしてもらえなかったりする場合もあります。

スクールカウンセラー
・メリット
小・中・高校生のメンタルヘルスの専門家として、本人の話にしっかり耳を傾けてくれ、アドバイスをしてくれます。在籍校と連携しやすいのもメリットです。

・デメリット
傾聴に徹するカウンセラーの場合は、相談が具体的な解決策につながらないこともあります。

【公的機関】

ひきこもり地域支援センター(都道府県、指定都市)
・メリット
社会福祉士、精神保健福祉士、臨床心理士などの専門家が在籍し、不登校やひきこもりの相談を無料で受け付けています。地域におけるひきこもり支援の連携拠点となっているため、医療機関や民間の不登校支援施設を紹介してもらえることもあります。

・デメリット
基本的には相談を受け付けたり、支援機関を紹介したりする形でのサポートがメインであるため、具体的な活動支援を直接受けられないセンターも見られます。

教育相談センター(都道府県・市区町村)
・メリット
教育相談員・発達相談員(心理・福祉)などの専門家が、教育や子育ての観点から無料で相談に乗ってくれる窓口です。不登校からの学校復帰を支援する適応指導教室(教育支援センター)の利用窓口になってるケースも見られます。適応指導教室に通所して、学習支援や集団活動などの指導を受けた際には、学校の出席として扱ってもらえる場合もあります。

・デメリット
特に適応指導教室は在籍校への復帰を前提としているため、本人が焦らされていると感じる恐れもあります。

その他
幅広く教育や子育て、子ども自身の悩みについて相談を受け付けている公的な窓口には、以下のようなものもあります。

  • ● 児童相談所(都道府県)
  • ● 保健所(都道府県、指定都市など)
  • ● 24時間子どもSOSダイヤル(文部科学省)
  • ● ヤング・テレホン・コーナー(警視庁)
  • ● 子どもの人権110番(法務局)

【民間施設】

カウンセリング施設
・メリット
カウンセリングを通じて、子どもが心のストレスを軽減しながら、前向きなエネルギーを取り戻せることが期待できます。不登校の解決にとどまらず、幅広く子どもの自立を支援してもらえる場合もあります。

・デメリット
継続的な利用が経済的な負担になる可能性があります。また、学校復帰は子どもの自発性にゆだねられていることもあり、具体的な解決策を提示してもらえない場合があります。

フリースクール
・メリット
必ずしも学校復帰を目的としておらず、幅広く社会復帰に向けたサポートを行っています。フリースクールでの学びを通じて子どもの視野が広がったり、フリースクールが子どもの居場所になったりするケースもあります。

・デメリット
利用には少なくない費用が掛かります。加えて、フリースクールの数自体がそれほど多くないことや、在籍校と連携できるケースが少ないことも難点です。また、活動方針や運営方針が本人に合わない可能性もあります。

その他
民間でも、子育てや教育の悩みに幅広く対応する相談窓口が開かれています。

  • ● キッズひまわりホットライン
  • ● チャイルドライン

【医療機関】

精神科、心療内科
・メリット
医学的なアプローチで、うつ病や発達障害、起立性調節障害などの心身の症状を治療してもらえます。

・デメリット
担当医が必ずしも不登校に関して理解があるとは限りません。また、薬物治療を行う場合は、副作用が生じる可能性もあります。

なお、これらの施設・機関の中には、不登校中の子どもの居場所になる可能性があるものもあります。詳しくは、以下の記事もご参照ください。

不登校になったとき、どんなところが居場所になる?さまざまな選択肢を考えてみよう

不登校の相談窓口を上手に活用するために、保護者が子どもにできるサポート

以上のような専門機関や相談窓口は、保護者のほうから利用を促すのではなく、あくまで本人の意思をもとに利用することが重要です。子どもが「不登校について誰かに相談したい」「学校に行くために心の準備をしたい」といった想いを口にするようになったら、保護者は次のようにサポートしてみましょう。

「どこに相談すればよいか」を相談する

適切な相談先を判断するために、まずは「どこに相談すればよいか」を保護者が支援窓口などに相談してみるとよいでしょう。相談先としては、学校の担任や、自治体の教育相談センター、その他の公的な電話相談窓口が考えられます。

話し合いながら一緒に相談先を考える

具体的な悩みの相談先は、本人と保護者がコミュニケーションを取りながら、一緒に考えてみましょう。その際には保護者の意見を押し付けてしまわないように注意が必要です。

保護者だけで相談してみる

もし、本人がなかなか第三者への相談に踏み切れないようであれば、保護者だけで相談にしてみるのも手です。相談してみた感想を子どもに伝えることで、利用の心理的ハードルを下げるとともに、自分に合っているかを判断してもらえます。