このまま高校に通うかどうかを迷っている人は、中退後の不安を感じているのではないでしょうか。中退後の影響や選択肢を知っておくと、準備をしてから新たな道に踏み出せます。
今回は、高校を中退したあとに受ける影響と、中退後の7つの選択肢を解説します。高校中退を考えている人は、本記事を読んでから、あらためて中退するかどうかをじっくり考えてみてください。
高校を中退したらどうなる?3つの影響
高校を中退すると、高校卒業資格を取得できません。
中退後に高校卒業資格を取得できないまま過ごすと、次の3つの影響が出ると考えられます。
● 大学・専門学校に進学するハードルが上がる
● 就職で応募できない企業が増える
● なにをしたらよいかわからなくなる
どのような影響が出るのかを知っておくと、中退の決定や中退後の進路選択で役立ちます。
大学・専門学校に進学するハードルが上がる
大学に入学するためには、高校卒業資格(高等学校又は中等教育学校を卒業した者)や高卒認定(高等学校卒業程度認定試験に合格した者)などの資格が必要です。
高校を卒業すると、高校卒業資格を取得できるため大学進学を目指せます。しかし、高校を中退すると、高校卒業資格を得られないため、大学への入学資格が認められません。
高校を中退した人が大学に進学したい場合、高校卒業資格や高卒認定の取得を目指して、進路を決める必要があります。
就職で応募できない企業が増える
高校を中退すると中卒扱いになり、就職先の選択肢が狭くなります。高卒以上向けと比較して中卒向けの求人数は少なく、募集している業種も偏る傾向があるためです。
一般的に、高校中退の場合は「宿泊業、飲食サービス業」「卸売業、小売業」などの業種の求人が多くなります。
一方、高卒以上の場合、「建設業」「製造業」「運輸業・郵便業」「生活関連サービス業・娯楽業」「医療・福祉」など、幅広い業種で求人募集がおこなわれています。
高校を中退したあとに高卒認定に合格しても、学歴は高卒にはなりません。そのため、高校を中退した人は、応募資格が高卒以上に設定されている求人に応募できなくなってしまいます。
なにをしたらよいかわからなくなる
高校を中退すると、学校の友達に会う機会が減り、一人で過ごす時間が増えます。
今までは、学校で勉強していれば時間が過ぎましたが、それが丸ごとなくなるため、なにをしたらよいかわからなくなる人もいるでしょう。
学校のない生活のなかで、生活習慣が乱れたり、心身の健康が崩れたりするおそれもあります。明確な目標や目的がなく高校を中退したいと考えている場合は、本当に辞めてもよいのかじっくりと検討することが大切です。
以下の記事では、高校を辞めたいと思ったときに知っておいてほしいことを解説しているので、あわせてご覧ください。
関連記事:高校・学校を辞めたい…と思ったときに知っておきたいデメリットや解決方法|通信高校生ブログ|明聖高等学校
高校中退後はどうしたらいい?7つの選択肢
高校を中退すると大学・専門学校への進学や就職に影響は出ますが、やり直すことも可能です。
ここでは、高校中退後の進路として、7つの選択肢を紹介します。
● 全日制高校に編入学する
● 通信制高校に編入学する
● 働く+定時制高校に編入学する
● 高等専修学校に入学する
● 高等専門学校(高専)に入学する
● 独学で高卒認定を取得する
● 海外に留学する
● 働いて生活する
高校中退を決める前に、それぞれの選択肢と取ったときの未来を想像してみましょう。
全日制高校に編入学する
全日制高校に編入学すると、高校卒業資格を取得するまでの道が再び開かれます。授業を受けられるため独学で頑張る必要がない点と、進路指導を受けられる点がメリットです。
ただし、中退したタイミングによっては、学年が変わる場合があります。基本的に、公立高校の入学タイミングは4月であるため、年度途中に高校を中退した人は、次の年度の4月に編入学することになり、年齢がひとつ下の人たちと同じ学年になります。
私立であれば、10月に編入学を受け入れている高校もあるため、公立・私立両方で探してみるとよいでしょう。
なお、編入学をするためには、各学校が設定している学力検査や面接、作文などの試験に合格する必要があります。
関連記事:高校を中退しても編入学できる?中退者を受け入れてくれる高校を紹介|通信高校生ブログ|明聖高等学校
通信制高校に編入学する
通信制高校とは、郵送やインターネットを使った通信教育で規定の単位を修得することで、高校卒業資格を取得できる高校です。学校やコースによって登校日数が異なりますが、年に数回程度の登校(スクーリング)と自宅学習で単位を修得できる学校が多くなっています。
通信制高校の魅力は、「全日制高校の学び方が合わなかった」「毎日学校に通うのが難しい」などの悩みを抱える人が、自分のペースで学べることです。ただし、高校卒業資格を取得するために、レポートの提出が必要であるため、自宅学習や自己管理が求められます。
編入学の方法や仕組みは学校によって異なります。例えば、明聖高校のWEBコースであれば、全日制高校で修得した単位や在籍期間を引き継いだうえで編入学が可能です。これまでの頑張りが活かされ、編入学後の修得単位数が減る分、負担も軽くなります。
明聖高校WEBコースの編入学については、以下のページをご覧ください。
働く+定時制高校に編入学する
定時制高校とは、夜間やその他の特別な時間・時期に授業をおこなう高校です。夜間定時制課程では、日中働いている生徒が夜間に授業を受けます。全日制高校よりも1日あたりの授業時間が短いため、4年ほどかけて卒業するのが一般的です。
なお、最近では、昼間に授業を受けられる昼間定時制課程や午前・午後・夜間の3部制を取り入れる高校もあります。
授業を受ける時間帯が異なる一方、修学旅行や学校祭などの学校行事もあり、全日制高校とそれほど変わらない学校生活を送れます。
ただし、働きながら通うことが一般的であるため、体力が必要です。学年制の場合は、授業に出席しなければ卒業要件を満たせないため、人によっては途中で苦しくなることもあるでしょう。
高等専修学校に入学する
高等専修学校とは、働く際に役立つ実践的な知識や技術を学べる職業教育をおこなう場です。例えば、卒業と同時に栄養士や調理師、建築士、測量士などの国家資格や、国家試験の受験資格を得られます。
全日制・定時制・通信制などの高校と同じように、卒業後は大学入学資格を取得できる点も魅力です。一方で、高校卒業資格は取得できないため、学歴は中卒になります。
専門的な知識・技術を身につけて、卒業後すぐに働きたい人にとっては絶好の学びの場です。ただし、学ぶ内容が専門的であるため、入学後の方向転換が難しいデメリットがあります。また、国語や数学などの普通科目の授業が少ないため、学力を身につけたい人には向きません。
高等専門学校(高専)へ入学する
高等専門学校(以下、高専)とは、卒業後即戦力として働ける、工業分野、商船分野における技術者の養成を目的とした教育機関です。
高専の修業期間は5年間(商船学科は5年6ヶ月)で、卒業後は短期大学卒業生と同じように「準学士」の称号が付与される点で魅力です。
高度で専門的な教育を受けられる点ではメリットですが、5年間通わなければならないなど、修了までには体力が必要な学校です。
独学で高卒認定を取得する
高卒認定とは、試験に合格すると、高校を卒業した人と同じレベルの学力があると認定する資格です。高校卒業資格とは違って、学歴は中卒のままですが、大学・専門学校の受験資格を得られます。
高校中退後、高校に通わずに大学・専門学校への進学を目指したい場合は、高卒認定の取得が必要です。自力で勉強しなければならないデメリットはありますが、乗り越えれば進路選択の幅が広がります。
高校卒業資格と高卒認定、どちらを取得すればよいかわからない人は、以下の記事を参考にしてみてください。
関連記事:高卒資格と高卒認定、どちらを取得するほうがいい?取得方法や証明内容の違いを解説|通信高校生ブログ|明聖高等学校
海外に留学する
高校中退後は、海外へ留学する方法もあります。海外の学校で学ぶことには、英語力が身につく、視野が広がる点などのメリットがあります。ただし、海外の学校で単位を修得できても、日本の高校卒業資格を取得できるわけではありません。
また、海外留学の手段として高校中退を考えているのであれば、じっくり考えることをおすすめします。以下のように、高校に通いながらでも、海外留学はできるためです。
● 全日制高校と提携の留学先に留学する
● 全日制高校を休学して留学する
● 通信制高校に通いながら留学する
海外留学後に、大学・専門学校への進学を考えているのであれば、中退せずに留学する方法を選択したほうが効率的な場合があります。
以下の記事では、通信制高校に在学しながら留学するメリットを解説しているので、参考にしてみてください。
関連記事:通信制高校なら留学しながら高校卒業を目指せるメリットが!原級留置(留年)についてもお答えします|通信高校生ブログ|明聖高等学校
働いて生活する
高校中退後は、働いて生活する方法もあります。
● 正社員として就職する
● アルバイトとして働く
● 自分で会社を作る
自分で働いて収入を得られるため、自立した生活を送れます。働いて学費を貯めてから、高校や高等専修学校に通い直すことも可能です。
ただし、高校中退時点では中卒であるため、就職先の幅が狭い点がデメリットです。将来的に、高校卒業資格を取得を考えているのであれば、定時制や通信制高校で学びながら働く方法も考えてみましょう。
高校中退者のその後|データからわかる実態
7つの選択肢を紹介しましたが、ここではデータをもとに、実際の高校中退者の実態を紹介します。
● 中退後の選択はアルバイトが多い
● 中退したことを後悔している人もいる
● 約8割が高卒資格が必要だと考えている
先輩たちの声を踏まえて、中退するかどうかを考えてみてください。
以下の記事では、先輩たちが高校を中退した理由を解説しているので、あわせてご覧ください。
関連記事:高校中退の理由で多いのは?就職活動でどう伝える?再スタートを切るための向き合い方|通信高校生ブログ|明聖高等学校
中退後の選択はアルバイトが多い
「若者の意識に関する調査(高等学校中途退学者の意識に関する面接調査)報告書」では、高校中退者が現在していることのなかで「就労(アルバイト)」が43.4%ともっとも高い割合です。
出典:若者の意識に関する調査(高等学校中途退学者の意識に関する面接調査)報告書|内閣府 子ども若者・子育て施策総合推進室
「特になにもしていない」と回答した人はわずか4.0%に留まっており、進学・就職やその他のやるべきことをやっているのが現状です。
中退したことを後悔している人もいる
中退したことを後悔していない人のほうが割合は高いものの、後悔している人も24%前後います。
出典:若者の意識に関する調査(高等学校中途退学者の意識に関する面接調査)報告書|内閣府 子ども若者・子育て施策総合推進室
同調査では、中退を後悔していない人は、その後の進学や就職などのさまざまな選択肢で成果を上げ、それを実感していると指摘しています。つまり、中退後の選択肢について、じっくり考えることが大切です。
約8割が高卒資格が必要だと考えている
高校中退者の約8割は、中退後に高校卒業資格が必要だと考えています。
出典:若者の意識に関する調査(高等学校中途退学者の意識に関する面接調査)報告書|内閣府 子ども若者・子育て施策総合推進室
同調査には、高校中退を後悔していない人でも、67.5%が高校卒業資格が必要だと考えていることも記載されています。大学・専門学校への進学を目指す人にとっては、高校卒業資格が重要であるためです。
また、アルバイトを探すときも求人情報に「高卒以上」と書かれているケースがあり、働くにしても必要だと実感しているようです。
高校中退を考えている人へ|じっくり考えてから決めよう
「若者の意識に関する調査(高等学校中途退学者の意識に関する面接調査)報告書」では、高校中退者から中退を考えている人へのメッセージが掲載されています。
【中退を考えている人へ一言伝えるとしたら】
『現状が無理だから辞めるとか妥協的な退学じゃなくて、中退後の具体性だとか、目的意識を持って辞めないと、後半戦しんどいんじゃないかって思います。』
『自分で一生懸命考えて、それで中退を選んだんやったら。それで中退を選んだその道をちゃんと歩んでいきやし。悩んでるんやったら、ちゃんとほかの人に相談できんことでも、やっぱできるだけ相談して、ちゃんとした答えは他人じゃなくて自分で考えて、それで自分で決めてほしいっていうことですね。』
出典:若者の意識に関する調査(高等学校中途退学者の意識に関する面接調査)報告書|内閣府 子ども若者・子育て施策総合推進室 より抜粋
高校中退者の実態やメッセージを踏まえて考えると、中退前にその後の進路と必要な資格を考えておくことが大切です。
高校中退後は明聖高校で高卒資格を取得しよう
高校中退後は、一時的に休息の時間を設けてもよいでしょう。しかし、いずれは自立のために進学や就職が必要になるため、その準備をしなければなりません。
高校卒業資格を取得するための選択肢のひとつとして、通信制高校をおすすめします。
通信制高校とは、郵送やインターネットなどを使った通信教育で必要な単位を修得し、高校卒業資格を取得できる高校です。学校やコースによっては、年に数回の登校(スクーリング)で済むため、全日制高校が合わなかった人に適しています。
自分のタイミング・ペースで学べるため、アルバイトや趣味と両立できる点も魅力のひとつです。
通信制高校である明聖高校のWEBコースは、年間4日程度のスクーリングとオンライン授業を通じて学べます。中退前の全日制高校の単位や在籍期間を引き継いだうえで、必要な単位を修得すれば卒業できる仕組みです。
転入学も可能なので、中退を決める前に一度相談会・説明会に足を運んでみてください。
まとめ
高校中退は進学や就職に影響を及ぼしますが、目の前から選択肢がなくなるわけではありません。編入学や高卒認定、就職など、前向きに再スタートするための手段はあります。必要であれば、支援機関も利用できます。自分がどうしたいかをしっかりと考え、自分に合う道を選びましょう。
参考URL:
高校・学校を辞めたい…と思ったときに知っておきたいデメリットや解決方法|通信高校生ブログ|明聖高等学校
高校を中退しても編入学できる?中退者を受け入れてくれる高校を紹介|通信高校生ブログ|明聖高等学校
高卒資格と高卒認定、どちらを取得するほうがいい?取得方法や証明内容の違いを解説|通信高校生ブログ|明聖高等学校
通信制高校なら留学しながら高校卒業を目指せるメリットが!原級留置(留年)についてもお答えします|通信高校生ブログ|明聖高等学校
高校中退の理由で多いのは?就職活動でどう伝える?再スタートを切るための向き合い方|通信高校生ブログ|明聖高等学校
若者の意識に関する調査(高等学校中途退学者の意識に関する面接調査)報告書|内閣府 子ども若者・子育て施策総合推進室
中卒・高校中途退学した方やその保護者の方へ|愛知労働局|厚生労働省
明聖高等学校は、千葉・中野にキャンパスを構える通信制高校です。全日コース・全日ITコース・通信コース・WEBコースに分かれており、一人ひとりに合わせた高校生活を過ごすことができます。