高校生活においても、いじめや友人関係のトラブルが起こることは少なくありません。もう成人に近い高校生とはいえ、いじめられる側が精神的に耐えられなくなったとしても、決しておかしいことではありません。いじめに対して学校に行かないことは、身を守るために正当な方法です。この記事では、いじめから身を守るための相談先や親の心構え、将来への選択肢などをご紹介します。

高等学校のいじめの状況

文部科学省が公開している公的データを基に、高等学校におけるいじめの状況から確認していきましょう。

高等学校のいじめ認知件数は横ばい

令和3年(2021年)に文部科学省が公表した「いじめの現状について」によると、令和2年(2020年)高等学校におけるいじめの認知件数は13,126件とのことです。また、いじめを認知した学校数は3,080校で、総数の54.5%となりました。小中学校のいじめの認知件数は増加傾向にありますが、高等学校においてはおおむね横ばいとなっています。

いじめや友人関係のトラブルが原因で不登校となる割合は約9.3%

次に、いじめが原因の不登校の割合を見てみましょう。同じく文部科学省が公表している「令和3年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果について」を見ると、いじめが主たる要因とした不登校の割合は約0.2%となっています。なお、「いじめを除く友人関係をめぐる問題」を主たる要因としている不登校の割合は約9.1%で、2つ合わせると約9.3%という結果になりました。いじめとまでいかなくても、友人関係に悩む高校生は少なくないことがわかります。
 
参考:文部科学省「令和3年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果について」

いじめで不登校になったときの相談先

いじめの認知件数はここ数年横ばいとはいえ、決して無視できるものではありません。もし、子どもが不登校になったときはどこへ相談すればいいのでしょうか。

担任や学年主任、その他教員

通っている学校の先生に相談するのが最初の手段です。学校での本人の様子をもっとも把握している教員であれば、保健室登校や柔軟な授業の受け方など登校までの具体的な対応をおこなえます。

スクールカウンセラー

スクールカウンセラーは生徒へのアドバイスや保護者との相談など、メンタルヘルスの専門家として学校内で多岐にわたり活動しています。担任だけでなく、学校内で相談先を複数持っておくことは大切です。

ひきこもり地域支援センター

ひきこもり地域支援センターは、社会福祉士、精神保健福祉士、臨床心理士などの専門家が在籍している機関です。不登校やひきこもりの相談を無料で受け付けています。

教育相談センター

教育委員会が主体となっている機関です。教育相談員・発達相談員などの専門家と無料で相談できます。
 
その他、児童相談所や24時間子供SOSダイヤルなど、相談先はいくつかあります。詳しくは下記記事をご参照ください。
不登校の悩み、どこに相談すればいい?主な専門機関と相談窓口一覧|通信高校生ブログ|学校法人花沢学園 明聖高等学校

不登校になった子どもにできる親の対応

親が家庭でできる対応は、子どもの声に耳を傾け、見守りながら子どもの意思にしたがってサポートすることにつきます。まずは、家庭を子どもが安心できる場所にして、本人が本心を話しやすい環境をつくりましょう。子どもの今の様子を認めて、話してくれるまで見守ることが大事です。学校については「休んでもいい」と親子で共通認識を持つとよいでしょう。

 
子どもが自分の思いを話してくれるようになったら、より詳しく悩みや経緯を聞いていきます。一度に聞けなくても焦る必要はありません。将来への考えを口にするようになったら、意思を尊重し、復帰に向けたサポートをおこなっていきます。
 
復帰に向けたサポート方法のほか、詳しくは下記記事をご参照ください。
不登校の子どもに適切な対応をするために。家庭での向き合い方と利用できる施設を解説|通信高校生ブログ|学校法人花沢学園 明聖高等学校

もうこの学校にいたくないと感じるなら通信制高校への転入学・編入学の検討を

実際の対面を伴う通学が嫌になってしまったと感じたときに考えたいのが、通信制高校への転入学・編入学です。
ここからは、通信制高校への転入学・編入学について紹介します。

高校2年生からの転入学も大丈夫

多くの通信制高校では入学資格に年齢制限を設けていないため、転入学は何年生からも可能です。ただし、在籍期間の関係で、3年で卒業できないケースがあるため、特に3年生の場合は注意が必要です。また、転入学の時期が限られている学校もあります。

 
その他転入学・編入学にあたって注意したいことなど、詳しくは下記記事をご参照ください。
通信制高校への転入学は高2でも大丈夫?学年別の注意点や手続きも解説|通信高校生ブログ|学校法人花沢学園 明聖高等学校

大学への進学に不利になることはない

通信制高校に通ったからといって、全日制高校の生徒よりも大学への進学に不利になるということはありません。通信制高校によっては、指定校推薦の枠も有しています。最近では、有名大学への推薦枠がある通信制高校も珍しくなくなりました。

 
指定校推薦については、下記の記事もあわせてご参照ください。
信制高校も指定校推薦を受けられる!メリットなどを解説|通信高校生ブログ|学校法人花沢学園 明聖高等学校

 
また、通信制高校卒業後に、美大や芸大へ進学することも可能です。美大・芸大の実技試験対策として、デッサンやデザインの力を身に着けるために、美術系の予備校に通う人も少なくありません。時間を有効活用できる通信制高校なら、高校と予備校を両立しやすくなります。
 
美大・芸大への進学を考えている人は、下記もあわせてご覧ください。
通信制高校から美大・芸大への進学はできる!通信制を選ぶメリットや進学先例を紹介|通信高校生ブログ|学校法人花沢学園 明聖高等学校

失敗しない通信制高校の選び方

最後に、通信制高校の選び方のポイントをご紹介します。

通いやすさ

通信制高校のコースによっては「スクーリング」と呼ばれる、学校に行く日数が設定されています。スクーリングが年何回あるか、通いやすい場所にあるかをチェックしておきましょう。

学習サポート体制

通信制高校の通信コースやWEBコースなどは基本的にひとりで学習し、学習の成果としてレポートを提出します。レポートの難易度は高くないものの、自分ひとりで取り組まなくてはならないため、人によっては大変だと感じるかもしれません。学力に不安がある場合には、通信制高校の学習サポート体制について詳しく調べておくのがおすすめです。

カウンセリング体制

人間関係に不安がある場合は、通信制高校のカウンセリング体制もチェックしておきたいところです。学校にカウンセラーが常駐しているか、全教員にカウンセリング講習を義務付けているかなどを調べておくとよいでしょう。
 
その他、通信制高校の選び方については下記をご参照ください。
通信制高校の後悔しない選び方を5つご紹介!自分のスタイルに照らして考えよう|通信高校生ブログ|学校法人花沢学園 明聖高等学校