子どもが不登校やひきこもりになったとき、親として何かできることはないのでしょうか。この記事では不登校とひきこもりの違いを説明するとともに、不登校やひきこもりになる原因や親として子どもにしてあげられる対応について3つ解説します。
不登校とひきこもりの違いとは?
子どもが学校に行けず家にいる状態を指して「不登校」と「ひきこもり」の2つが使われますが、それぞれの言葉の違いはどのようなものがあるでしょうか。
不登校の定義
まずは、「不登校」の定義を確認してみましょう。文部科学省は不登校について次のように説明しています。
「『不登校』には,何らかの心理的,情緒的,身体的,あるいは社会的要因・背景により,児童生徒が登校しないあるいはしたくともできない状況にある者 (ただし、「病気」や「経済的理由」による者を除く)」
この定義は1992年におこなわれた学校不適応調査研究協力者会議で定められており、今なおこの定義が使用されています。
ひきこもりの定義
不登校と似た言葉として「ひきこもり」も使用されますが、こちらはどのような定義がされているのでしょうか。ひきこもりに関して、厚生労働省では以下のように説明しています。
「仕事や学校に行かず、かつ家族以外の人との交流をほとんどせずに、6カ月以上続けて自宅にひきこもっている状態」
この2つを比較すると、「不登校」は高校生までの学校に通う児童や生徒までが対象になっていますが、「ひきこもり」はそれ以上の年齢の方までを含む広範な定義となっています。また、ひきこもりの場合は6カ月以上にわたって家にふさぎ込む状況が続くという長期間に及ぶものです。
不登校やひきこもりになる原因とは?
以上のように不登校とひきこもりの定義は異なりますが、その原因には共通しているものもあります。文部科学省が実施する「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」から、不登校の原因となるものをピックアップしました。
不安・情緒不安定など精神的なもの
転校によって環境が変わったり、学業不振に陥ったりするなど子どもにストレスがかかることで、学校に行きたくない気持ちから不登校になることが考えられます。その状態が長く続いてしまうと、そのまま家にひきこもってしまうことにつながるでしょう。
無気力
学校生活が楽しくなかったり、学業や部活動にやりがいを感じられなかったりすると学校生活に対してやる気が出ず、不登校になってしまうことがあります。そのまま放置しておくと、社会からも孤立してしまってひきこもりになる可能性があります。
人間関係の悪化
いじめとまではいかないにしても、友人からからかいを受けていたり、喧嘩などで人間関係が悪化したりすると不登校の原因になってしまいます。友人関係以外にも教職員との関係まで含めると、不登校のきっかけとしても多くの割合を占めています。
いじめ
上記の調査では、いじめは不登校の原因としてはそこまで高い比率を占めているわけではないことがわかります。小・中学校の児童・生徒がいじめを原因として不登校となっているのは全体の2%程度です。ただし、この結果は学校からの回答をもとにしている点は、考慮すべきかもしれません。
また、北海道大学の研究によると、いじめが関係して不登校になると、ひきこもりにまで発展しやすくなることが示唆されています。
親が子どもにできる対応3つ
それでは、子どもが不登校やひきこもりになったときに、親はどのようなことができるでしょうか。以下に3つの対策を挙げました。
子どもの話を真剣に聞く
もしも、子どもが何かに悩んでいるのであれば真剣に話を聞いてあげましょう。ストレスの感じ方や感受性は人それぞれですから、子どもにとってどこにストレスがかかっているかに耳を傾けることが重要です。
子どもの置かれた状況や心境を把握できれば、その中から解決に向けて行動を起こすこともできるかもしれません。子どもが話し始めたら「他の子も一緒だ」、「大した悩みじゃない」などと頭から否定はせず、子どもの気持ちに共感してあげましょう。
子どもを焦らせない
子どもの話を聞くことは大切ですが、悩みを打ち明けるように強要することや学校に行くよう無理強いさせるのは子どもとの関係が悪化する要因にもなるため危険です。子どもの置かれた現状を認めつつ関係を維持しておくことで、子どもから親に話しやすい環境を整えておきましょう。
また、不登校やひきこもりになっていることに対して親が焦燥感を抱いていては、それが子どもにも伝わってしまいます。現状に不安を感じても、長期的な視点を持って子どもと接することが大切です。
子どもの友人や知人に協力をあおぐ
特に、人間関係の悪化が原因で不登校やひきこもりになっている子どもに対しては、友人や知人の力を借りることも1つの手です。同年代とのコミュニケーションや関係構築ができるようになれば、自然と自信の回復もできるでしょう。
こうした対策は親の力だけでは難しいのも現実です。親だけで抱え込んでしまっては自分も不安な気持ちが強くなりますから、外部にも目を向けて協力をあおぐことで有効な解決策が生まれる場合もあります。
専門カウンセラーが常駐するなど明聖高校は充実のサポート体制
明聖高校は通信制ならではのサポート体制が整っていますから、一人で悩むことなく不登校の生徒を支援できます。教員はカウンセリングやメンタルヘルスの専門的な知識や資格を有しており、専任のカウンセラーが常駐している点も特徴です。
また、学校説明会でも相談会を設けていたり、夜間にも保護者相談室を開いていたりしますので、ご家族単位でサポートすることができます。
おわりに
「不登校」と「ひきこもり」は似ている言葉ですが、不登校は学校に行かない高校生までの児童や生徒を指すのに対して、ひきこもりは年齢に関係なく6カ月以上にわたって家に閉じこもっている状態を指します。
不登校とひきこもりの原因として挙げられるのが、不安・情緒不安定など精神的なもの、無気力、人間関係の悪化、いじめ、親子関係です。親が子どもに対してできる対策としては、「子どもの話を真剣に聞く」「子どもを焦らせない」「友人や知人の協力をあおぐ」などが考えられます。
明聖高校では、通信制を生かした不登校に対する支援体制が整備されており、不登校やひきこもりに悩むご家庭に対しても幅広い角度からサポートができます。
参考:
e-ヘルスネット – 不登校 / 登校拒否(ふとうこう / とうこうきょひ)
厚生労働省 – ひきこもり関連施策
厚生労働省 – 子供・若者の意識に関する調査 (令和元年度)第3部
厚生労働省 – 生活状況に関する調査 (平成30年度)III 調査結果
北海道教育大学 – 不登校の研究:教師・親の望ましい支援のあり方
東京都 ひきこもりサポートネット – 悩んでいませんか?コラム
文部科学省 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査-用語の解説
厚生労働省 ひきこもり施策について
明聖高等学校は、千葉・中野にキャンパスを構える通信制高校です。全日コース・全日ITコース・通信コース・WEBコースに分かれており、一人ひとりに合わせた高校生活を過ごすことができます。