「高校生活で頑張ったこと」の質問は、高校生の就職活動や大学入試の面接はもちろん、大学生の新卒採用面接でも聞かれる質問ですが、基本的な回答の仕方は共通しています。
ポイントを絞って回答を作成することで、面接官が知りたい志願者の人間性や物事への向き合い方を伝えることが可能です。

本記事では、「高校生活で頑張ったこと」の回答例を5つ解説します。面接での答え方のコツも紹介するので、参考にして練習してみてください。

「高校生活で頑張ったこと」を質問する理由

面接官は「高校生活で頑張ったこと」の質問を通して、以下の4つの内容を知りたいと思っています。

  • 人間性を知るため
  • 物事と向き合う姿勢を知るため
  • 出来事に対する振り返り方を知るため
  • コミュニケーション力を見るため

面接官は「高校生活で頑張ったこと」を聞きながら、志願者が入学後・入社後にどのような活躍をするかイメージしています。具体的なイメージが浮かびやすいよう、面接官が知りたいことが伝わる回答ができると好印象です。

人間性を知るため

面接官は「高校生活で頑張ったこと」のエピソード全体を通して、回答者の人柄や人間性を知りたいと思っています。
大学や専門学校入学後に卒業まで学習を継続できるか、入社後に自社で能力を発揮し成果を出せるか、という目線で志願者を見極めます。

例えば志望校や企業が「粘り強く頑張り続ける人」を求めている場合、志願者が3年間部活を頑張り続けたエピソードなどがフィットするはずです。
相手が求める人柄や人間性に合ったエピソードを選択できると、好印象を与えられます。

物事と向き合う姿勢を知るため

面接官は「高校生活で頑張ったこと」の回答から、志願者の物事への向き合い方や乗り越え方を知りたいと思っています。
進学・入社後、困難に直面したとき乗り越えられるか、あるいはどのように向き合って解決していくかを見極めています。

回答によっては「うちの学校(会社)ではやっていけない」と判断されることもあります。そのため志願者は、エピソードを踏まえて「あなたの学校(会社)で、わたしはこれだけ頑張れますよ」とアピールする必要があるのです。

出来事に対する振り返り方を知るため

「高校生活で頑張ったこと」は過去の出来事であるため、回答を伝える際は過去を振り返ることになります。面接官は、この質問を通して「過去に起きた出来事に対する振り返り方」も見ています。

以下の2つの具体例を見ると、同じエピソードでも振り返り方によって人物に対する印象が大きく異なることがわかるでしょう。

振り返り方 体育祭でリレーのアンカーをつとめ、最後に1位を取ったおかげで逆転優勝できた。 体育祭の最終種目であるリレーまで2位で負けていたが、みんなで積み重ねた得点と声援に背中を押されリレーで1位を獲得し、優勝を勝ち取ることができた。
人物に対する印象 「自分のおかげで優勝した」という自分本位な印象を受ける 「みんなの力があったから優勝できた」という仲間意識を感じる

どちらが好まれるかは、志望校や企業の理念や求める人物像によって異なります。そのため、回答を作成する前に、志望校や企業の理念や求める人物像を調べておくことが大切です。

コミュニケーション力を見るため

面接官は「高校生活で頑張ったこと」の伝え方から、質問に的確に答えられるか、言葉づかいは適切か、というコミュニケーション力を見極めています。
入学・入社後に他者と円滑なコミュニケーションを築けるかどうかは、その後の活躍を大きく左右するためです。

スラスラと回答を述べられるかどうかではなく、丁寧かつ正確に会話のキャッチボールができるかどうかが大切です。

結論
話す内容 何を頑張ったか
回答例 わたしが高校生活で頑張ったことは、数学の勉強です。
理由・内容
話す内容 なぜ頑張ったか
どのように頑張ったか
回答例 中学校のときは数学が苦手で、いくら勉強しても平均以下の点数しか取れませんでした。自分は〇〇大学に入りたいと思っていたので、数学の点数を上げたいと思い、毎日の課題のほかに問題集を解き続けました。自分で考えてもわからないところは先生に聞きに行き、わからない状態が続かないようにすることを意識していました。
結果
話す内容 頑張ってどうなったか
頑張って何を得たか
回答例 毎日の努力と先生の協力もあって、数学で平均点以上を取れるようになりました。それどころか、今では一番の得意科目といえるほどです。
自分一人で解決できない問題は、誰かの力を借りながらでも最後までやり切ることが大切だと学びました。
活用
話す内容 結果を受けて今後どのように生かすか
回答例 大学入学後も自分で考えても解決できない問題に直面したとき、協力を求められるような人間関係を築いていきたいです。

「結論」パートは、短く簡潔に述べます。「理由・内容」と「結果」パートは長くなりすぎないよう、伝えたい内容を絞って具体的にしましょう。「活用」部分は、志望校や企業へのアピールにつながるので、相手が求める人物像に寄せるとよいでしょう。

「高校生活で頑張ったこと」の回答例

先ほど紹介した伝え方に沿って「高校生活で頑張ったこと」の回答例を紹介します。

  • 部活動で頑張ったこと
  • 勉強で頑張ったこと
  • 資格取得で頑張ったこと
  • 学校行事で頑張ったこと
  • 人間関係で頑張ったこと

回答を作成する際の参考にしてみてください。

部活動で頑張ったこと

部活動で頑張ったことの回答例は、以下のとおりです。

結論
話す内容 何を頑張ったか
回答例 わたしが高校生活で頑張ったことは、部活動です。サッカー部の一員として、チームに貢献しました。
理由・内容
話す内容 なぜ頑張ったか
どのように頑張ったか
回答例 3年生になると、自分たちがチームを率いていく立場になりました。自分は役職についていませんでしたが、後輩との関係がよかったため、3年生と後輩の間に立つ役割を担うようになったのです。
結果
話す内容 頑張ってどうなったか
頑張って何を得たか
回答例 後輩が言いにくいことを代弁したり、3年生の想いを後輩に伝えたりすることで、我慢せずに自分の意見を言える雰囲気ができたように思います。
意見を伝えるときは、信頼関係の構築が大切だと実感しました。そして、クッションのような役割があると、大人数いるチームでも円滑なコミュニケーションが取りやすいと気付きました。
活用
話す内容 結果を受けて今後どのように生かすか
回答例 誰とでも気楽に話せる雰囲気を大切にし、良好な人間関係の構築に努めます。

勉強で頑張ったこと

勉強で頑張ったことの回答例は、以下のとおりです。

結論
話す内容 何を頑張ったか
回答例 わたしは、得意だった英語に力を入れました。
理由・内容
話す内容 なぜ頑張ったか
どのように頑張ったか
回答例 将来、英語を使う仕事に就きたいと考えており、高校生のうちに英語の4技能を向上させたかったためです。
入試の前に英検準一級の取得を目指しました。
結果
話す内容 頑張ってどうなったか
頑張って何を得たか
回答例 高校2年生の半ばで英検二級を取得し、3年生の秋に目標だった英検準一級にも合格できました。
ストレートにはいかず、落ちることもありましたが、その度に自分の力を再認識し計画を立て直すことで、最終的に目標を達成することができたと思います。
目標を達成するためには、チャレンジの度に振り返り、計画の見直しと再チャレンジというくり返しが大切だと学びました。
活用
話す内容 結果を受けて今後どのように生かすか
回答例 入学後も、自己成長のための目標を立て、達成するまでプロセスを見直しながら、さまざまな挑戦を繰り返したいと思います。

資格取得で頑張ったこと

資格取得で頑張ったことの回答例は、以下のとおりです。

結論
話す内容 何を頑張ったか
回答例 わたしは、日商簿記検定2級の取得を目標とし、努力しました。
理由・内容
話す内容 なぜ頑張ったか
どのように頑張ったか
回答例 高校卒業後は事務職として働きたいと思っており、高校生のうちに最低限の知識とスキルを身に付けておきたいと思ったからです。
2年生で進路を考えた際に目標を定めたので、そこから毎回検定にチャレンジしました。
結果
話す内容 頑張ってどうなったか
頑張って何を得たか
回答例 最初は資格取得に向けた学習方法がわからず、落ちてしまいました。解けなかった問題やわからなかった問題を重点的に復習することで、3年生の11月の検定で合格できました。合計3回の検定を受けるなかで、わからないことやできないことを潰していくことが、成長につながるのだと実感しました。
活用
話す内容 結果を受けて今後どのように生かすか
回答例 わからないことやできないことをそのままにせず、克服できるよう努力したいと思います。

学校行事で頑張ったこと

学校行事で頑張ったことの回答例は、以下のとおりです。

結論
話す内容 何を頑張ったか
回答例 わたしは、文化祭の企画委員としてイベントを成功させるために尽力しました。
理由・内容
話す内容 なぜ頑張ったか
どのように頑張ったか
回答例 それまであまり目立ったことをしてきませんでしたが、最後の思い出として何か挑戦したいと思ったからです。
わたしは、タスクの分担や進捗管理を担当しました。
結果
話す内容 頑張ってどうなったか
頑張って何を得たか
回答例 最初は、役割分担が明確でなく、期限までに何をすべきかわからないメンバーがいたので、思うように作業が進みませんでした。
そこで、定期的なミーティングを設定し、各メンバーの進捗状況を確認し、必要に応じてサポートと調整をおこないました。
これにより、プロジェクト全体の進行がスムーズになり、期限内にすべての準備を完了させることができました。
大きな企画を成功させるためには、細かいタスクの進捗管理が大切であるとわかったのです。
活用
話す内容 結果を受けて今後どのように生かすか
回答例 大きな物事を進める際には、タスクを細分化し定期的にチェックすることを忘れず取り組みたいと思います。

人間関係で頑張ったこと

人間関係で頑張ったことの回答例は、以下のとおりです。

結論
話す内容 何を頑張ったか
回答例 わたしは、友人との関係のなかで自分の意見を言えるように頑張りました。
理由・内容
話す内容 なぜ頑張ったか
どのように頑張ったか
回答例 自分の意見を言えず周りに流されてしまうところがあり、卒業までに自分を変えたいと思ったからです。
相手に受け入れてもらえる言葉を選びながら、少しずつ伝える努力を重ねました。
結果
話す内容 頑張ってどうなったか
頑張って何を得たか
回答例 最初は、意見を伝えることで友人関係が壊れたらどうしようと不安でした。しかし、思い切って友人とは反対の意見を述べても、受け入れてもらえることがわかってきたのです。
今では、友人が間違ったことをしたときに「それは違うよ」と伝えられるようになりました。
その結果、周りに流されて行動することが減り、自分が正しいと思ったことをストレスなく選択できるようになったのです。
活用
話す内容 結果を受けて今後どのように生かすか
回答例 周りの反応を気にせず、自分が正しいと思ったことは伝えるようにしていきます。

「高校生活で頑張ったこと」の答え方のコツ

「高校生活で頑張ったこと」を答える際は、以下の3つのコツを押さえると面接官に人柄が伝わりやすくなります。

    エピソードはインパクトがなくてもOK
    1分~1分30秒程度にまとめる
    企業が求める人物像を意識する

それぞれについて、詳しく解説します。

エピソードはインパクトがなくてもOK

面接では、特別な経験やインパクトのある体験の方が評価されそうに思われますが、評価されるのは回答内容ではなく回答の仕方や考え方です。エピソードにインパクトがなくても大丈夫なので、失敗エピソードや日常の小さな気付きをピックアップしてみましょう。

1分~1分30秒程度にまとめる

具体的なエピソードを交えながら話すと回答時間が長くなってしまうため、1分~1分30秒を目安に回答を作成しましょう。
回答を作成したあとは、時間を計りながら練習するのがおすすめです。
回答を簡潔にまとめるためには、エピソードを1つに絞るとよいでしょう。

企業が求める人物像を意識する

単純に質問に答えるだけでなく、志望校や企業が求める人物像を意識すると好印象です。事前に相手が求める人物像を調べ「わたしはあなたが求めている人物像です」と伝えられる内容を構築します。
ただし、嘘を伝えるのはよくありません。あくまで、自分の経験と体験から近づけられる部分を見つけるようにしましょう。

「高校生活で頑張ったこと」がない!?高校生活を振り返るポイント

「高校生活で頑張ったこと」がないと困っている人もいるのではないでしょうか。高校生活を振り返ってみると、頑張ったことは少なからずあるはずです。
以下のポイントを振り返ってみてください。

ポイント
部活 ・部活動で部長や副部長を務めることで、リーダーとしての立ち振る舞いが身についた
・3年間最後まで活動を続けるなかで、忍耐力と継続力が身についた
・いくつかの部活動を経験し、自分に合う活動を見つけられた
勉強 ・苦手科目を投げ出さず、点数を上げられた
・得意科目に力を入れ、テストや模試で安定した点数を獲得できた
資格 ・将来の夢に役立つ資格を取得した
・数多くの資格を取得し、自信がついた
・資格のレベルアップに挑戦した(英検3級から2級など)
行事 ・マラソン大会で完走した
・文化祭で店舗の会計に挑戦した
生徒会活動 ・図書委員会の当番を忘れずに勤め、先生からの信頼を得られた
・生徒会役員として職務を全うした
人間関係 ・友人の意見を聞いて自分の行動を変えた
・先生に対する関わり方に気をつけた
アルバイト ・放課後は毎日アルバイトに勤しみ、社会経験を積んだ
・アルバイト代を貯めて目標のものを購入できた

「こんな経験をしたから成長した」あるいは「考え方が変わった」というように、頑張ったことが変化につながるエピソードを見つけられるとよいでしょう。

「通信制の高校に通っていること」は面接でマイナスポイントになる?

通信制高校に通っていることは、面接でマイナスポイントにはなりません。通信制高校に通っていると、偏見を持たれるのではないかと不安な人もいるはずです。
通信制高校に通う人にはさまざまな事情がありますが、そのなかで何を学んだのか、どのように成長したかが大切です。

したがって、本記事で紹介したポイントを押さえ、自分の経験や人柄が伝わるよう回答できれば問題ありません。