不登校のお子さんが家で過ごしている間、ゲームばかりやっていて「依存症になるのでは?」と心配されている保護者の方もいるでしょう。
休養のためとゲームを許したものの、禁止や制限をしたほうがいいのではないかと考えるのも無理はありません。
 
今回は、ゲーム依存症の定義・症状やゲームばかりやってしまう理由、対処法について解説します。
いきなりゲームを禁止するとお子さんに悪影響が及ぶ場合もあるため、正しい知識を身につけたうえで、ご家庭に合った対処法で安心してゲームをさせられる環境を整えましょう。

不登校中の子どもがゲームばかり!これって依存症?

不登校中の子どもがゲームばかりしていると、「依存症になるのでは?」「もう依存症になっているのでは?」と心配される保護者の方は多いです。
 
対処法を考えるときは、まず「ゲーム依存とはどういう状態なのか」を正しく理解しておくことが大切です。
 
参考:ゲーム依存 相談対応マニュアル|ゲーム依存相談対応マニュアル作成委員会|独立行政法人国立病院機構 久里浜医療センター

ゲーム依存の定義と症状

ゲーム依存とは「ゲームの過剰使用」と「それによる明確な問題」がセットになった状態を指します。
つまり、ゲームがやめられなくなって生活に支障が出る疾病です。
 
ゲーム依存(ゲーム障害)は、WHOの国際疾病分類(ICD)にも記載されており、国際的にも正式に疾病と認められています。
 
WHOのICD-11における「ゲーム依存(Gaming disorder)」では、以下の4つの基準をすべて満たし、かつ12ヵ月間その状態が続くとゲーム依存と判断されます。

  • ● ゲームのコントロール障害
  • ● ゲームが日常生活の最優先事項になっている
  • ● 問題が起きているにもかかわらずゲームを継続またはエスカレートしている
  • ● 個人・家族・社会生活などに著しい障害を引き起こしている

ただし、重症の場合は12ヵ月間より短くても診断される場合があるようです。
 
参考:Gaming disorder|World Health Organization
参考:ゲーム依存 相談対応マニュアル|ゲーム依存相談対応マニュアル作成委員会|独立行政法人国立病院機構 久里浜医療センター

「ゲームのやりすぎ」と「ゲーム依存」の違い

ゲーム依存の定義を踏まえると、単純にゲームをする時間が長いだけでは依存とはいえません。
ポイントは、ゲームのやりすぎで以下のような明確な問題が起こっているかどうかです。

  • ● 学校への遅刻・欠席が増えている
  • ● 昼夜逆転している
  • ● ひきこもり状態になっている
  • ● 家族への暴言・暴力が増えている

このように、以前と「生活が大きく変わった」「家族にも支障が出ている」のであれば、ゲーム依存が疑われます。

今すぐ確認できるチェックリスト

お子さんがゲーム依存になっているかどうかを知りたい場合は、チェックリストを使ってみてください。
 
こちらは、WHOが定めるICD-11における「ゲーム依存(Gaming disorder)」に準拠したスクリーニングテスト「ゲームズテスト」と呼ばれるものです。

質問項目 はい いいえ
1. ゲームを止めなければいけない時に、
しばしばゲームを止められませんでしたか。
1 0
2. ゲームをする前に意図していたより、
しばしばゲーム時間が延びましたか
1 0
3. ゲームのために、スポーツ、
趣味、友達や親せきと会うなどといった
大切な活動に対する興味が著しく
下がったと思いますか。
1 0
4. 日々の生活で一番大切なのはゲームですか。 1 0
5. ゲームのために、
学業成績や仕事のパフォーマンスが低下しましたか。
1 0
6. ゲームのために、
昼夜逆転またはその傾向がありましたか
(過去12ヵ月で30日以上)。
1 0
7. ゲームのために、学業に悪影響がでたり、
仕事を危うくしたり失ったりしても、
ゲームを続けましたか。
1 0
8. ゲームにより、
睡眠障害(朝起きれない、眠れないなど)
や憂うつ、不安などといった心の問題が
起きていても、ゲームを続けましたか。
1 0
9. 平日、ゲームを1日にだいたい何時間していますか。 0
1
2
2時間未満
2時間以上6時間未満
6時間以上

引用:ゲーム依存 相談対応マニュアル|ゲーム依存相談対応マニュアル作成委員会|独立行政法人国立病院機構 久里浜医療センター をもとに作成
 
各質問項目に対する回答の数字を合計した結果が5点以上の場合、ゲーム依存が疑われます。
 
なお、以下のページから10問版のテストが利用できます。
選択肢をクリックすると点数が出るので、すぐにチェックしたい場合にご活用ください。
 
IGDT-10(10問版インターネットゲーム障害テスト)|独立行政法人国立病院機構 久里浜医療センター

不登校中の子どもがゲームばかりになりやすい理由

不登校中のお子さんが、家でゲームばかりしているというのは保護者の方にとって心配な状況でしょう。
お子さんがゲームばかりになってしまうのには理由があるかもしれません。
 
ゲーム依存を心配してやめさせる前に、お子さんがゲームばかりになる理由を考えてみましょう。
 
参考:ゲーム依存 相談対応マニュアル|ゲーム依存相談対応マニュアル作成委員会|独立行政法人国立病院機構 久里浜医療センター

ゲームが逃げ場になっている

不登校中のお子さんは、さまざまな葛藤を抱えています。
将来に不安を感じ「学校復帰しなければならない」と焦る一方、不登校のきっかけとなった人間関係や学業不振の悩みが解消できず、「何かしなければいけないけれど、どうすればいいかわからない」と感じている状態です。
 
このような心理状態で、ほかに夢中になれるものがないと、ストレスや不安を解消するために、ゲームに熱中してしまうことがあります。
 
特に不登校中は日中の外出が難しいため、手っ取り早く現実を忘れられるゲームに手を伸ばしてしまいがちになるのです。

ゲームが居場所になっている

プレイヤー同士が交流できるオンラインゲームにハマっている場合は、そのコミュニティが子どもの居場所になっていることもあります。
 
学校などのリアルな世界で人間関係に悩む子どもにとって、共通の趣味で結ばれたゲーム内の仲間は、唯一のよりどころになりやすいのです。
相手の顔が見えないからこそ、「気軽に関われる」「社交的になれる」などのメリットもあります。
 
ただし、「仲間に認められたい」という想いがエスカレートすると、ゲーム内のランクを高めようと、多くの課金してしまう場合もあるため、注意が必要です。
 
以下の記事では、不登校のお子さんの居場所について解説しているので、あわせてご覧ください。
 
関連記事:不登校の子どもの居場所とは?多様な選択肢と選び方のポイントを解説|通信高校生ブログ|明聖高等学校
関連記事:居場所がない原因とは?対処法と新たな選択肢を解説|通信高校生ブログ|明聖高等学校

依存性が高いゲームが増えている

近年主流となっているオンラインゲームは、オフラインゲームよりも依存性が高いといわれています。
 
依存性が高いといわれるのは、次のような特徴があるためです。

  • ● 無料ではじめられるにもかかわらず、アップデートが繰り返されて終わりがない
  • ● ガチャ課金システムのようにギャンブル性が強い
  • ● ログインボーナスやイベント開催などが頻繁にあり、プレイしないと手に入らないアイテムがある
  • ● ランクや成績が可視化されることで、他者との競争意識が強化される
  • ● ゲーム内で仲間とつながることで非日常感を味わえる

これらの要素は、子どもも大人も関係なく、ゲームに熱中させやすくします。

いきなり禁止は待って!ゲームの制限が子どもに与える影響

「そんなに依存性が高いならオンラインゲームをやめさせよう」「ゲームは禁止にしよう」と考える保護者の方もいらっしゃるかもしれませんが、少し待ってください。
 
お子さんが心配でゲームをやめさせたい気持ちはわかりますが、いきなり禁止するとかえって悪影響が出る場合があります。
 
そのため、禁止する前にゲームの制限が子どもに与える影響を知っておくことが大切です。
 
参考:ゲーム依存 相談対応マニュアル|ゲーム依存相談対応マニュアル作成委員会|独立行政法人国立病院機構 久里浜医療センター

ストレスや不安の逃げ場を失うおそれがある

ゲームが逃げ場・居場所になっているお子さんにとっては、突然の禁止が心の支えを奪うことになります。
ストレスや不安のはけ口がなくなることで、別の問題行動が表出する可能性があるのです。
 
まずは、お子さんがゲームに没頭している背景を理解することが大切です。

ゲームの禁止が暴言・暴力につながる場合がある

強制的にゲームを取り上げようとすると、お子さんの暴言・暴力につながるケースは少なくありません。
 
特にADHDといった発達障害をもつお子さんの場合、衝動的な反応が出る場合もあるため注意が必要です。
 
いきなり禁止するのではなく、ご家庭ではこのあと紹介する対処法を試しながら、必要に応じて医療機関や依存症専門の機関を頼るなどしましょう。

ゲームばかりしている不登校の子どもへの対処法

ゲーム依存を防ぐためには、禁止ではなくお子さんに寄り添いながら段階的な取り組みが重要です。
 
ここからは、保護者の方が今日からできる具体的な対処法を紹介します。
 
参考:ゲーム依存 相談対応マニュアル|ゲーム依存相談対応マニュアル作成委員会|独立行政法人国立病院機構 久里浜医療センター

親子で話し合ってルールを決める

ルールを決めるときは、保護者の方から一方的に押しつけるのではなく、子ども自身が納得できるように話し合うことが大切です。
 
話し合いで決めておくべき内容は、以下を参考にしてみてください。

  • ● 1日何時間までか
  • ● 何時以降はやらないか
  • ● 寝るときにどこにデバイスを置くか
  • ● ルールを守れなかった場合の対応(理由・期間・返却の条件)

一度決めたルールでも、子どもの様子を見ながら繰り返し話し合って更新していく必要があります。
また、家族全員が同じルールを守ることで定着しやすくなります。

声かけと見守りを大切にする

ゲームのルールを守らせるために、保護者の方から声かけをする場合もあるでしょう。
そのときは、圧迫感を与えるフレーズを言い換えることをおすすめします。
 
例えば、お子さんが時間を守らない場合は、以下のような声かけがあります。

圧迫感のある声かけ 適切な言い換え表現
「これ以上やったらゲームを取り上げるよ」 「あと〇分過ぎたらゲームを預かるよ」
「時間だからやめなさい」 「あと5分で区切りにしてね」
「ルールはどうしたの?」 「一緒に決めたルールはどうだったっけ?」

子どものうちは、ルールを守れないことが往々にしてあります。
一緒に決めたルールだからこそ、お子さんに思い出させたり考えさせたりする声かけが必要です。
「お母さん(お父さん)はこう思っているけど、あなたはどう思う?」というように、問いかけてみましょう。
 
また、ときには自分で気付かせるような働きかけも求められます。
あらかじめタイマーをかけておき、ルールを守れる仕組みをつくっておくことで、保護者の方は声かけせずとも見守れる体制を整えることが可能です。
 
ついついルールを守れていないときばかりに注目してしまいますが、ルールを守れたときこそ積極的に褒めてあげることも大切です。

ゲーム時間を自然に減らせる環境を整える

禁止や制限が悪影響になることもありますが、あらかじめゲームの時間を自然に減らせる環境を整えておくと、改善が見込めるケースもあります。
 
例えば、以下のような仕組みがあります。

ゲームを長時間できない仕組み 具体例
インターネット機器やゲーム機は保護者が貸し出す ・ルーターは保護者が管理し、決めた時間になったら切断する
・ゲーム機は保護者からのレンタルにし、ルールを守れない場合は貸し出さないようにする
時間と場所を決める ・保護者の目が届くリビングで、保護者が家にいる18時から20時までゲームを許可する
・寝るときは保護者にゲーム機やスマートフォンなどをすべて預ける
お金の使い方を決める 毎月1,000円は自由に課金してよいが、追加で課金したい場合は保護者に相談させる
設定を管理する ゲームを起動できる時間を2時間に設定する

本来はゲームを買い与えるときに仕組みを作るのがベストです。
途中で変更するときは、お子さんとよく話し合い、本人が納得したうえで進めましょう。

ゲーム以外の楽しみを一緒に見つける

ゲームができない時間に代わりとなる活動があると、ゲームばかりの生活を改善できる可能性があります。
 
例えば、以下のような活動ができる環境を整えてあげたり、サポートしてあげたりしてみましょう。

  • ● 読書
  • ● イラスト
  • ● スポーツ
  • ● 音楽

リアルの生活が充実すると、ゲーム依存の予防につながります。
ゲームも楽しみながら他の活動も少しずつできるようになる状態を目指すことが大切です。

ゲームに使う時間とお金について一緒に考える

お子さんは、ゲームの時間を有意義なものととらえていることが多いです。
しかし、大人から見ると、ゲームばかりに時間をかけるのはもったいないと感じるのではないでしょうか。
 
そのため、ゲームに費やす時間の価値を、勉強や運動と比較して一緒に考える機会を作ることも大切です。
特に、ゲーム内課金については同じ金額で購入できるモノと比較して、その価値を実感させる必要があります。
 
お子さんが「もったいない」と思えるだけでも、意義があるはずです。

子どもに家庭での役割を与える

特にオンラインゲームでは、実在するプレイヤーと協力してゲームをする場合が多く、人の役に立ったと感じる場面が少なくありません。
また、人よりも高いレベルやランクが可視化されると、「自分はできるんだ」と思えます。
 
このように、お子さんがゲームのなかで自己有用感を高めているケースもあるため、ゲーム以外でも「人の役に立てた」「認められた」という体験を積ませることが大切です。
 
すぐに達成できる小さな役割を与え、実行したらほめる・感謝を伝えることを続けてみましょう。
ゲーム以外で自己有用感を得られる機会が増えると、ゲームへの依存度が下がりやすくなります。

保護者自身の心身を整える

お子さんへの対応を続けるには、保護者自身が心身ともに健康であることが大切です。
疲れ切った状態では、声かけが雑になったり圧迫的になったりしやすいため、逆効果になってしまう場合もあります。
 
依存症の家族会への参加や相談機関の活用によって、心身が整う効果が期待できます。
また、意図的にお子さんから離れて、リフレッシュできる時間を作ることも意識してみましょう。

抱え込まず専門機関に相談する

お子さんがルールを守れない、または暴力がひどいなど家庭での対応に限界を感じたら早めに専門機関を頼りましょう。
 
受診を検討する目安は以下のとおりです。

  • ● お子さんの睡眠障害や気分の落ち込みが続いている
  • ● お子さんの暴力・暴言がエスカレートしている
  • ● ゲームへの課金額が増えている

すでに依存症になっている場合は、本人や家族の力だけでコントロールするのは難しいでしょう。
まずは保護者だけでも相談に行き、専門的な知見からアドバイスをもらうことがお子さんのためになります。

ゲーム好きな不登校の子どもだから楽しめる学びの環境もある

ゲームが好きなお子さんにとって、その興味や熱量を活かせる学び方があります。
それが、オンラインの学校を通じた学びです。

明聖高校のWEBコースでは、オンライン上でアバターを使った学習スタイルをとっており、顔を出さずに安心してコミュニケーションがとれます。

ゲームに熱中できるお子さんは、デジタルへの親しみや集中力が高い場合が多く、WEBコースの学びのスタイルと相性がよいのです。
 
また、通信制高校だからこそ、自分のペースで学べるというメリットもあります。
 
不登校だからこそ、自分のペースで楽しみながら学べる環境を選ぶこともひとつの選択肢です。
 
なお、明聖高校には、本気でゲームを頑張るeスポーツ部があります。
以下の記事では、eスポーツ部の活動を紹介しているので、あわせてご覧ください。
 
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