通信制高校に進学するにあたって、校風や登校頻度のほかに学費が気になる人も多いのではないでしょうか。
 
高校の学費は、公立・私立によって大きな差がありますが、条件を満たせば無償になる制度や学校独自の免除制度などがあるため、学費が高いと感じた場合でも安く抑えられる可能性があります。そのため、学費と関連制度を事前に調査し、シミュレーションしたうえで検討することが大切です。
 
今回は、通信制高校の学費・授業料の目安、全日制高校との比較、無償化になる高等学校等就学支援金制度について解説します。学費や授業料の心配を解消して、自分に合った高校を選びましょう。

1. 通信制高校の学費【公立・私立比較】

通信制高校は、公立と私立で学費・授業料が異なります。
 
例として、都立高等学校の通信制課程と私立の明聖高等学校の学費を比較しました。

種別 都立高等学校の通信制課程 私立明聖高等学校WEBコース
入学金 500円 40,000円
授業料/年 (※)8,400円 300,000円
1年次の学費 8,900円 340,000円
3年間の学費(※2) 25,700円 970,000円

※336円/単位×25単位で算出
※2入学金+(授業料×3年間)で算出

参考:

都立高等学校、中等教育学校(後期課程)の授業料・入学料及び特別支援学校高等部の授業料について|東京都教育委員会
学費|明聖高等学校
 
上記には、教科書・教材費や制服購入費、修学旅行の積立金などは含まれていません。全日制高校と同様、公立と私立を比較すると、公立のほうが学費が安いことがわかります。
 
ただし、高等学校等就学支援金制度や奨学金、特待生制度などを活用すると、学費を抑えることは可能です。また、私立では独自の奨学金制度や免除制度を設けている学校も多いため、進学を希望する通信制高校の募集要項をよく読むことが大切です。
 
学費の目安をつかんだら、各種制度をよく調べて、どこまで学費を抑えられるかシミュレーションしてみましょう。

1.1. 通信制高校と全日制高校の学費の違い

通信制高校と全日制高校の学費を比較する前に、全日制高校における公立・私立の学費の違いを見てみましょう。

引用:2調査結果の概要|令和3年度子供の学習費調査|文部科学省

令和3年の全日制高校の学費を比較すると、通信制高校と同じように公立のほうが安いことがわかります。
 
この調査結果から入学金と授業料を抽出して、通信制高校と比較してみましょう。

種別 通信制高校 全日制高校
公立 私立 公立 私立
入学金 500円 40,000円 16,143円 71,844円
授業料/年 (※)8,400円 300,000円 52,120円 288,443円
1年次の学費 8,900円 340,000円 68,263円 360,287円
3年間の学費(※2) 25,700円 940,000円 172,503円 937,173円

※336円/単位×25単位で算出
※2入学金+(授業料×3年間)で算出

参考:都立高等学校、中等教育学校(後期課程)の授業料・入学料及び特別支援学校高等部の授業料について|東京都教育委員会
学費|明聖高等学校
2調査結果の概要|令和3年度子供の学習費調査|文部科学省
 
公立高校を比較すると、通信制高校のほうが学費が安くなっています。一方、私立の学費は、通信制高校と全日制高校で大きな差がありません。
 
結果だけを見ると、学費を抑えたい人にとっては公立がよい気がします。
 
ただし、学費の安さから公立を選択しても、校風が合わずに途中で辞めることになれば、支払った学費は戻ってこないため注意が必要です。その後、私立の通信制高校に編入する場合、二重に学費がかかることになります。
 
こうした事態を防ぐためにも、高校を選ぶ際は、学費だけではなく学校の特色やコース、サポート内容も比較して、自分に合った高校を選ぶことが大切です。
 
「私立は学費が高すぎる」と思われる人は、まず無償化・免除制度を調べたうえで実際の学費をシミュレーションしてみましょう。そして、学校の特色を踏まえた進路の検討をおすすめします。

2. 通信制高校の学費例【明聖高校の場合】

私立の通信制高校は、さまざまなコースが設置されているため、コースによって学費が異なる場合があります。
 
例として、明聖高校の学費を紹介します。

コース 全日コース(※) 通信コース(千葉本校)
WEBコース
入学金 40,000円 40,000円
授業料/年 300,000円 300,000円
施設費/年 10,000円 10,000円
コース学習費/年 516,000円
コース施設費/年 30,000円
学費合計 896,000円 350,000円

※千葉本校:全日コース/全日ITコース、中野キャンパス:全日デザインコース/全日ITコース/全日総合コース

参考:学費|明聖高等学校
 
全日制コースは、週5日の登校が基本で、デザインやITなど専門性の高いコースで学ぶことが可能です。なお、週5回必ず通わなければならないわけではなく、学校と相談しながら登校日数を調整できます。
 
コースの詳細は、以下のページをご覧ください。
全日コース|千葉本校|明聖高等学校
全日ITコース|千葉本校|明聖高等学校
全日デザインコース|中野キャンパス|明聖高等学校
全日ITコース|中野キャンパス|明聖高等学校
全日総合コース|中野キャンパス|明聖高等学校
 
千葉本校の通信コースとWEBコースは、配信型の授業や自宅学習などの通信教育を主体として、レポート提出と年間3~4日の登校(スクーリング)で卒業に必要な単位を修得するコースです。全日制コースと比較すると、登校の負担と学費を抑えながら学べます。
 
コースの詳細は、以下のページをご覧ください。
 
通信コース|千葉本校|明聖高等学校
WEBコース|明聖高等学校

3. 通信制高校で学費以外に発生する費用

通信制高校では、学費以外に発生する費用があります。
 
例えば明聖高校の場合、先ほど紹介した学費のほかに、次の費用が発生します。

項目 費用
教科書・副教材/年 約16,000円~20,000円
明聖高等学校育英会費/年(※) 12,000円~144,000円
制服代・体操服(※2) 約85,000円
コース別の学習機器・機材 約100,000円~200,000円

※WEBコースは負担なし
※2千葉本校通信コースとWEBコースは任意で購入
 
参考:学費|明聖高等学校

私立だけではなく、公立でも同様に入学金と授業料以外に費用が発生するため、注意が必要です。
 
例えば、都立高等学校の通信制課程の学費以外の費用項目は以下のとおりです。

  • ● 教科書・副教材
  • ● 学習機器・機材(あれば)
  • ● 実習に必要な教材費(科目ごとに異なる)
  • ● 日本スポーツ振興センター共済掛金(165円/年)
  • ● レポート等郵送費

学校によって金額が異なるため、事前に調査してから比較検討しましょう。

4. 通信制高校の学費が無償に!高等学校等就学支援金制度とは?

高等学校等就学支援金制度とは、適用条件を満たすと高校の学費が無償化される制度です。

引用:高等学校等就学支援金リーフレット(概要版)|文部科学省
 
ここでは、適用条件と利用時の注意点を解説します。

4.1. 適用条件

高等学校等就学支援金制度の受給資格は、以下の両方を満たす生徒です。

  • ● お子さんが国内に在住し、高等学校等に在学していること
  • ● 保護者が所得要件を満たしていること(世帯年収約910万円未満)

所得要件の計算式は以下のとおりです。

保護者等の課税標準額(課税所得額)×6%-市町村民税の調整控除額(※)

※政令指定都市の場合は「調整控除額」3/4を乗じて計算

参考:高等学校等就学支援金リーフレット(概要版)|文部科学省
 
算出額が30万4,200円未満だった場合、所得要件を満たします。
 
上記の計算式によって算出された金額ごとに、支給額が以下のように変わります。

算出額 支給額
154,500円未満 最大396,000円
154,500円以上304,200円未満 118,000円

参考:高等学校等就学支援金リーフレット(概要版)|文部科学省
 
また、在学する高校の種別によって、支給額の上限が変わります。

高校の種別 支給上限額
公立高校 118,800円
私立高校(全日制) 396,000円
私立高校(通信制) 297,000円
国公立の高等専門学校(1~3年) 234,600円

参考:高等学校等就学支援金リーフレット(概要版)|文部科学省
 
世帯年収にもよりますが、私立の通信制高校の場合は最大29万7,000円の支給を受けられるため、学費を抑えることが可能です。

明聖高校の学費に高等学校等就学支援金制度を活用した場合

高等学校等就学支援金を満額受給できる場合、明聖高校の通信コースとWEBコースの学費は以下のとおりです。

コース 通信コース(千葉本校)
WEBコース
入学金 40,000円
授業料/年 300,000円
施設費/年 10,000円
高等学校等就学支援金合計 (※)-297,000円
学費合計 53,000円

※世帯年収の目安:590万円未満

参考:学費|明聖高等学校
 
5万3,000円まで抑えられれば、学費の問題で私立の通信制高校を選択しにくいご家庭でも、選択肢として検討できるはずです。
 
以下のページでは、世帯年収の目安ごとに明聖高校の各コースの学費を紹介しているので、参考にしてみてください。

学費|明聖高等学校

4.2. 利用する際の注意点

受給要件を満たしていても、高等学校等就学支援金制度を利用できない場合があります。
 
例えば、以下の生徒は制度の対象になりません。

  • ● 高等学校等をすでに卒業している生徒
  • ● 3年(定時制や通信制は4年)を超えて在学している生徒

また、過去に別の高校に在籍していた場合は、在籍期間によって支給期間が短縮されたり、支給対象外となったりするためご注意ください。
 
高等学校等就学支援金制度の詳しい内容は、以下のページをご覧ください。

関連記事:就学支援金とは?通信制高校も対象?受給要件や申請方法をチェックしよう|通信高校生ブログ|明聖高等学校

5. 通信制高校の学費を抑えられるその他の制度

高等学校等就学支援金制度の受給要件を満たせないご家庭でも、通信制高校の学費を抑えられる制度があります。自治体や学校独自の制度を調査して、学費を抑える手段を探してみてください。

5.1. 奨学金

奨学金制度とは、高校や大学の学費としてお金を借りられる制度です。返済が必要な貸与奨学金と返済が不要な給付奨学金があります。
 
民間の金融機関が提供する教育ローンよりも利率が低いうえ、卒業後に返還がはじまるため、在学中は安心して学校に通うことが可能です。
 
奨学金制度には、以下の例があります。

    ● 日本学生支援機構の貸与型奨学金(国の奨学金制度)

    ● あしなが育英会奨学金(民間非営利団体の奨学金制度)

    ● 新聞奨学生制度(各新聞社の奨学金制度)

ほかにも、さまざまな奨学金制度があるので、調べてみてください。

5.2. 特待生制度

特待生制度とは、進学先の高校が独自に設定している条件を満たすことで学費の免除を受けられる制度です。
 
例えば、明聖高校では、新入生を対象にスポーツ特待生制度を用意しています。私立の通信制高校は、明聖高校のように独自の特待生制度を設けていることが多いため、問い合わせてみるとよいでしょう。
 
明聖高校のスポーツ特待生制度に興味がある人は、入学相談室にお問い合わせください。

【入学相談室】
平日9:00~18:00(土日祝休み)
千葉本校:043-225-5622
中野キャンパス:03-5340-7210

5.3. 自治体独自の制度

自治体が独自に設置している奨学金制度や給付金制度もあります。
 
例えば、千葉県では、私立高校の入学者に対して入学金軽減制度を設けています。
 
【千葉県 私立高等学校入学金軽減制度の概要】

保護者の要件 入学金軽減額
1号 生活保護を受給されている方 入学金の全額、
または15万円のいずれか低い額
2号 保護者等全員の算定基準額(※)を合計した額が51,300円未満である方
(年収350万円未満程度の世帯に相当)

※「市町村民税の課税標準額×6%-市町村民税の調整控除の額」から算出された額

引用:令和6年度私立高等学校入学金軽減制度|千葉県
 
明聖高校の入学金は4万円ですが、保護者要件を満たせば軽減されます。
 
千葉県には、ほかにも授業料を免除する「私立高等学校等授業料減免制度」や、貸与奨学金の「千葉県奨学資金」などの制度があります。
 
以下のページに具体的な減免額をまとめているので、参考にしてみてください。

学費サポート|入学案内|明聖高等学校