「絵を描くことを仕事にしたい」「ものづくりに興味がある」と考えて、高校のデザイン科に興味をもっている人もいるでしょう。高校のデザイン科を卒業後、どのような進路があるのかも気になりますよね。
 
今回は、高校のデザイン科で学べる内容や魅力を明聖高校のデザインコースをもとに解説します。また、卒業後の進路も紹介するので、高校のデザイン科が気になっている人は、ぜひ最後までお読みください。

デザイン科がある高校!明聖高校って?

デザイン科がある高校として、明聖高校を例に紹介します。
 
明聖高校は、次のキャンパスとコースをもつ通信制高校です。

キャンパス 中野キャンパス 千葉本校 WEBコース
コース ・全日デザインコース
・全日ITコース
・全日総合コース
・全日コース
・全日ITコース
・通信コース

不登校生徒へのサポートや基礎学力の向上を中心に取り組めるよう、先生方がカウンセリングやメンタルヘルスの資格を所持しているのが特徴です。単位制であるため、3年間で74単位を修得できれば、高校卒業資格を取得できます。
 
中野キャンパスには、全日デザインコースがあり、デザインやアートの基礎を学べます。

全日デザインコースで学べる内容

中野キャンパスの全日デザインコースでは、国語や数学、英語など一般的な教科のほかに、次の専門科目があります。

授業 内容
デッサン演習 デッサンの基本的な技法を学び、絵画やイラスト作成の基礎を身につけます
キャラクターデザイン キャラクターデザインの方法やコツを学び、自らキャラクターを生み出せるようになります
デジタルイラスト技法 iPad Proとタッチペンを使って、デジタルイラストの描き方を習得できます

普通科に進むと学べないような専門的な知識と技術を身につけられるため、高校卒業後にアートやデザインの道に進んだとき、基礎を身につけた状態からスタートできます。

全日デザインコースの魅力

専門科目を通じて基礎力を身につけられるほかに、校内作品展示や特別講義も魅力です。
 
2022年には、学園祭の作品展で入賞した生徒たち向けに、特別講義が実施されました。特別講義では、アニメ「呪術廻戦」で作画監督を担当された飯島弘也さんと「僕のヒーローアカデミア」で原画を担当された川村乃愛さんをお招きし、現場の話を聞かせてもらったり、作品の講評をしてもらったりしました。
 
また、現在業界で活躍しているプロや専門的な知識と技術をもつ講師から、実践を通してデザインを学べる点も魅力です。
 
明聖高校のデザインコースに在籍すると、姉妹校である千葉デザイナー学院の卒業・進級制作展に行ってさまざまな作品を見たり、学生から話を聞いたりできます。また、日頃の授業や活動では、千葉デザイナー学院の講師陣のバックアップを受けながら専門的な知識と技術を学ぶことが可能です。
 
明聖高校のデザインコースを卒業した先輩のなかには、千葉デザイナー学院へ進学し、デザイン業界で活躍している人もいます。

高校のデザイン科に進学するメリット

高校のデザイン科に進学するメリットは、デザインの専門学校や大学へ進む前に基礎を身につけられているため、進学後に周囲と差をつけられることです。普通科の高校からデザインの専門学校や大学へ進むことも可能ですが、3年分の学びの差は大きいでしょう。
 
また、授業の一環で高校生のうちにコンテストへ挑戦するケースもあり、早くから経験を積めます。高校生のうちから賞を獲得できれば、その後の進路にもよい影響を与えられます。

高校のデザイン科がおすすめの人

ものづくりが好きな人やさまざまな製品のデザインをついチェックしてしまう人は、デザイン科に入ることで自分の興味を深堀りできるかもしれません。
 
お菓子のパッケージやCDのジャケットなど、身の回りの製品にはデザインの工程があります。次のように考えられる人は、デザインを学ぶと将来に活かせるはずです。

● これは誰のために作られたのか
● 何のために作られたのか
● どうしてこの形にしたのか
● この色を選んだ理由はなにか

また、イラストを描くのが趣味な人もデザイン科で基礎を身につけることで、スキルアップできる可能性があります。ただし、学校によって学べる内容が異なるため、イラストを学べるかどうかは確認が必要です。

高校のデザイン科を目指す方法

ここでは、高校のデザイン化を目指す方法を次の2つに分けて紹介します。

● 一般的な入学試験の内容
● 明聖高校の入学試験の内容

学校によって試験内容が違うため、複数のデザイン科を比較して、入りたい学校を選びましょう。

一般的な入学試験の内容

公立高校の入学試験は、中学校の成績と学力検査・面接での総合的な評価になる場合が多いようです。学校の公式サイトに過去問題が掲載されていることもあるので、調べておくとよいでしょう。
 
公立高校の学力検査は5教科が多いのに対し、私立高校は英語と国語のみなど教科が限定されている場合があります。
 
学校によりますが、実技試験でデッサンを科すこともあるようです。その場合は、どの程度のレベルが必要なのかを調べ、画塾に通うなどして対策が必要となります。

明聖高校の入学試験の内容

明聖高校のデザインコースの入学試験には、学科試験がありません。出願書類を提出し、個人面接を受けたら入学試験は終わりで、デザイン系の実技試験もありません。
 
そのため、中学校で勉強がわからなかった人や、不登校で学習できなかった人も受けやすくなっています。また、これからデザインを学びたい人にとっても挑戦しやすいでしょう。
 
ほかの学校の入学試験と比較する際の参考にしてみてください。

転入学もできる!

なお、明聖高校なら転入学も可能です。普通科に進学したものの、やっぱりデザインを学びたいと思い直した人におすすめです。
 
転入学の試験も入学試験と同様で、学科試験と実技試験がなく、出願書類を提出し個人面接を受けるだけです。現在、普通科や別の科に通いながらも本格的にデザインを学びたいと考えている人は、転入学も選択肢として考えてみましょう。

高校のデザイン科の卒業後の進路

高校のデザイン科を卒業後の進路には、大きく分けて次の5つの道があります。

● デザイン系の専門学校・大学
● グラフィックデザイナー
● Webデザイナー
● イラストレーター
● 企業で経験を積んで独立

もし、このなかに将来目指している職業がある人は、高校のデザイン科への進学を考えてみるとよいでしょう。

デザイン系の専門学校・大学

高校のデザイン科を卒業後は、デザイン系の専門学校や大学に進学する人もいます。
 
例えば、姉妹校の千葉デザイナー学院では、次のようなことが学べます。

コース 学べる内容
グラフィックデザインコース ・広告写真
・動画編集
・Webデザイン
・パッケージデザイン
・ユニバーサルデザイン
ゲームCG・キャラクターデザインコース ・キャラクターデザイン
・Live2D
・3DCG
・立体造形
・アニメーション
WEBデザインコース ・Webマーケティング
・コーディング
・ブランディング
・Webデザイン
・アニメーション
・広告デザイン
イラストレーションコース ・デッサン、クロッキー
・リアルイラスト
・描画表現
・造形
・ブランディング

高校のデザイン科よりも専門的な知識と技術を身につけたうえでデザイン会社に就職できるため、即戦力として活躍できるメリットがあります。また、専門学校や大学の卒業資格も取得でき、高卒よりも幅広い求人に応募が可能です。
 
以下の記事では、通信制高校からも美大や芸大へ進学できることやメリットを解説しているので、あわせてご覧ください。
関連記事:通信制高校から美大・芸大への進学はできる!通信制を選ぶメリットや進学先例を紹介|通信高校生ブログ|明聖高等学校

グラフィックデザイナー

高校のデザイン科を卒業後は、デザイン系の会社に就職して、グラフィックデザイナーとして活躍する人もいます。
 
グラフィックデザイナーとは、商品のパッケージや広告、出版物など、商品のビジュアル面をデザインする仕事です。シンボルマークや社名、ロゴなどもデザインします。
 
ひとりで仕事をする場合もありますが、イラストレーターやカメラマン、ライターなどと分業し、チームで製作物を作ることもあります。
 
依頼主が作りたいものを確認し、細かい内容や媒体、予算、納期などを決めていくのもグラフィックデザイナーの仕事です。

Webデザイナー

高校のデザイン科を卒業後は、Web制作系の会社に就職して、Webデザイナーとして活躍する人もいます。
 
Webデザイナーとは、企業のWebサイトやWeb広告などを作る仕事です。
 
仕事内容は画面のデザインやレイアウトなどのビジュアル面だけではありません。依頼者の要望に添ってサイトのコンセプトを決めたり、サイトの機能を決めたりもします。
 
また、サイトの動作確認や不具合の修正、サイトを公開する作業もあります。
 
小規模の仕事は個人で制作する場合もありますが、規模の大きいサイトを1人で作ることはほとんどありません。ページごとのデザインやページに組み込む機能の作成、制作進行管理などを分担しておこないます。
 
デザインの知識やスキルと併せて、プログラミング言語などのパソコンスキルを求められることも多い職業です。

イラストレーター

高校のデザイン科を卒業後は、デザイン系の会社や出版社に就職して、イラストレーターとして活躍する人もいます。
 
イラストレーターは、広告や出版、商品のパッケージなどに使われるイラストを制作します。人物画や風景画、植物や動物、機械など、制作するイラストは仕事によってさまざまで、依頼主の要望に合わせてイラストを制作します。
 
パソコンやタブレットを使って、デジタルイラストを制作するのが主流になっています。イラスト自体がそのまま商品になるほかに、印刷物の表紙や商品のパッケージなどに使用されることもあります。
 
以下の記事では、イラストレーターになるための方法を解説しているので、参考にしてみてください。
関連記事:イラストレーターになるには?目指すために必要な技術|通信高校生ブログ|明聖高等学校

企業で経験を積んで独立

グラフィックデザイナーやWebデザイナー、イラストレーターは企業への所属も可能ですが、独立してフリーランスになることもできます。
 
実績や経験がないうちから独立する場合、確かな技術に加えて、経営面や会計面の知識も必要です。
 
企業に就職して経験を積んだり、人脈を作ったりしたあとに独立する人もいます。本人の実力にもよりますが、独立後に会社員時代よりも年収が上がる場合があります。
 
ただし、独立後は仕事を取ってくるための営業を自分でおこなわなければなりません。また、売上や税金の会計処理、確定申告なども自分でおこなう必要があることを覚えておきましょう。

高校のデザイン科に進学する際の注意点

高校のデザイン科では、国語や数学などの授業もありますが、デザインやイラストなどの専門科目が入ってきます。
 
もし、次のような理由で途中でデザインをやめたいと思ったとき、コースの変更や編入学のために必要な学力や単位が足りていない場合があります。

● グラフィックデザイナーを目指して高校のデザイン科に入学したものの違う職業に就きたくなったケース
● 理系の大学に進学したくなって大きく進路を変更するケース
● デザインの勉強に飽きてしまうケース

現時点で、デザイナー以外にも将来の夢がある場合は、デザイン科以外の選択肢を検討するのも良いでしょう。高校の普通科を卒業しても、デザイン系の専門学校や大学に進むことは可能です。