絵やイラストを描くのが好きな人、得意な人の将来の仕事の選択肢のひとつにイラストレーターがあります。しかし「イラストレーターになりたい」と考えていても、どうすればなれるのか、どんな技術やスキルが必要なのかがわからず、悩む人も多いかもしれません。
 
この記事では、イラストレーターの仕事内容やイラストレーターに向いている人、求められる能力、やっておくべき準備、具体的な進路の選び方についてご紹介します。

イラストレーターとは?

はじめに、イラストレーターの仕事内容や働き方、将来性について解説します。

仕事の内容

イラストレーターとは、クライアントから依頼を受け、要望通りのイラストを制作する仕事です。イラストが掲載されるのは、雑誌やカタログ、小説の挿絵、チラシなどの紙媒体から、WebサイトやWeb広告、ゲームやSNS、LINEのスタンプなどのデジタル媒体まで、多岐にわたります。
 
工業製品の図面やマニュアルに関する図解を描くテクニカルイラストレーター、医療に関連する図解やイラストを描くメディカルイラストレーターなど、特定の分野のイラストを専門に担当するイラストレーターもいます。

働き方

イラストレーターの働き方は、大きく分けて「正社員」「パート・アルバイト」「フリーランス」の3つに分かれます。正社員やパート・アルバイトは、デザイン事務所やゲーム会社など、日頃からイラストを必要とする企業や事業所に所属し、専属のイラストレーターとして働きます。フリーランスは特定の企業に属さず、個人事業主のイラストレーターとして働きます。いずれもメリット・デメリットがあるため、自分がイラストレーターとして何を大切にしたいかを考えて働き方を選ぶ必要があります。
 
イラストレーターの働き方別のメリットとデメリットを以下にまとめました。

働き方 メリット デメリット
正社員 ・収入が安定している
・社会保障が手厚い
・将来受け取る年金の額が高い
・研修などのスキルアップの機会がある
・社会的な信用がある
・働く時間を選べない
・働く場所を選べない
・仕事内容が決まっている
パート・アルバイト ・ある程度働く時間を選べる
・正社員よりも責任が重くない
・転勤や異動がない
・勤務年数と収入は比例しない
・やや雇用は安定していない
フリーランス ・働く時間を選べる
・働く場所を選べる
・取引相手や仕事を自分で選べる
・やればやるほど収入が上がる
・収入が安定しない
・仕事以外の手続きも自分で行う必要がある
・一緒に働く仲間がいない

なお、イラストレーターの仕事は、イラストの制作に必要な画材やツールなどが自宅にそろっていれば、いずれの働き方でも在宅での勤務が可能です。

将来性

近年、AIをはじめとしたIT技術が進歩したことで、今後イラストレーターを含めたさまざまな仕事がAIに取って代わられるかもしれないといわれています。しかし、クライアントが求めるものに対しての制作はAIには難しく、またAIによる制作では著作権の所在が不明になってしまうことから、イラストレーターは今後も求められる仕事であり続けるでしょう。従来の紙媒体やWeb媒体のほか、スマートフォンアプリやゲーム、メタバース、VTuberなどのバーチャルタレントなど、新サービスや新技術のキャラクターデザインなどの面でも、イラストレーターの存在は欠かせません。
 
ただし、将来的にイラストレーターとして安定して仕事を得るには、オリジナリティのあるイラストを生み出す創造力や、クライアントの要望をしっかりとくみ取る対応力が必要です。最新の技術やトレンドを常に勉強しながら自分のスキルを磨く努力をすることで、イラストレーターとして長く活躍し続けられるでしょう。

イラストレーターに向いている人とは

では、具体的にどんな人がイラストレーターに向いているのでしょうか。3つのポイントをまとめました。

絵を描くことが好き、得意

イラストレーターは要望に応じてさまざまなイラストを制作するため、絵を描くことが純粋に好き・得意という人に向いています。ただし、クライアントからの要望に沿った絵やイラストを描くため、自分の好きな絵やイラストだけが描けるわけではありません。絵やイラストを描くこと自体が好きで、どんな要望に対しても楽しみながら対応できる人がイラストレーターに向いているでしょう。

向上心がある

常に今より上のレベルを目指している人や、自分の技術を磨きたいと強く思っている人も、イラストレーターとして成功できる可能性が高いです。高い技術があれば、多くの依頼が得られる可能性が高まります。今の自分に満足せず、「1年後は依頼数を倍にする」「違う分野の依頼も受けられるようにする」などの目標を立て、達成するために努力をし続ける人は、イラストレーターとして成功できる可能性が高いでしょう。

精神的な強さがある

イラストレーターは、クライアントからの期待に応えるプレッシャーや納期通りに成果物を納品する責任感と常に戦わなければいけません。どんな時でも依頼をしっかりとこなせる精神的な強さを持つ人はクライアントからも信頼が得られやすく、イラストレーターに向いています。

イラストレーターに求められる能力とは

続いて、イラストレーターに求められる3つの能力を見ていきましょう。

高い描画能力

イラストレーターに求められるのは、依頼通りの絵やイラストを描くことです。クライアントの要望に沿った絵やイラストを継続して制作するためには、高い描写能力が必要となります。トレンドや最新の技術を取り入れるなど、常に描写の技術を磨くことが必要です。

コミュニケーション能力

イラストレーターはひとりで作業することが多い一方、依頼内容のすり合わせ、納期やスケジュールの調整、修正回数や報酬の交渉など、クライアントや仕事の関係者とやり取りを行う機会もたくさんあります。クライアントの要望や考えを読み取り自分の意見や気持ちを的確に伝えられるコミュニケーション能力があれば、イラストレーターとしてスムーズに仕事が進められるでしょう。

オリジナリティ

イラストレーターとして継続的に依頼を受けるためには、自分だけのアイディアや個性を取り入れたイラストを描ける能力も必要です。オリジナリティを持つことで他のイラストレーターとの差別化ができ、多くの依頼が寄せられるようになります。

個人で始められる準備とは

イラストレーターになるために特別な経験や資格は必要ありません。以下のような個人で始められる準備を進めておくことで、イラストレーターになれる可能性を高めることができます。ぜひチェックしてみましょう。

イラストの勉強・練習

イラストレーターとして活躍するためには、クライアントの要望通りに作画する力が必要です。イラストの勉強や練習を怠らずに続けましょう。ただやみくもにイラストを描くのではなく、構図やデッサン、手法の勉強をしたり、Web向け、ビジネス向けなど、テーマを定めて練習してみたりする方法がおすすめです。

ツールの使用方法の勉強

イラストレーターとして働く際には、基本的にイラスト制作ツール(ペイントツール)を使用します。特に近年はデジタルでの作画が求められているため、イラスト制作ツールを使いこなせることで、より多くの依頼を受けるチャンスが広がります。イラスト制作ツールの使用方法を勉強し、操作に慣れておきましょう。
 
イラストレーターの業務に使用されている主なイラスト制作ツールは以下のとおりです。

ツール名 特徴
Adobe PhotoShop 写真加工用のソフトで、イラスト制作も可能
デザイン業界や広告業界で多用されている
Adobe Illustrator バナーやロゴなどのイラスト制作ができる
グラフィックデザインの必須ツールとして広く使われる
CLIP STUDIO 通称「クリスタ」
イラスト制作に特化したツール
SAI イラスト制作に特化したツール

資格の取得

前述のとおり、イラストレーターに特定の資格は不要です。ただし、取得することで自分の技術を証明できたり、スキルアップに役立ったりする資格はあります。取得しておくとイラストレーターとして有利な資格を以下にまとめました。

資格名 特徴
Illustratorクリエイター能力認定試験 Illustratorに関する技術を認定する試験
「スタンダード」「エキスパート」の2段階がある
色彩検定 色彩に関する知識を認定する試験
3級、2級、1級がある
CGクリエイター検定 2D・3DCGの制作方法や知識を認定する試験
アニメ、動画、広告などで3SCGイラスト制作を目指すなら取得したい資格
「ベーシック」「エキスパート」の2段階がある

中学生・高校生がイラストレーターを目指すための進路

イラストレーターになるための進路
イラストレーターになるための進路として一般的なのは、芸術系の学校でイラストに関する基本的な技術を身に付けた後で企業の採用試験を受けるか、卒業後にフリーランスになるかです。高校卒業後の進路には、芸術系の大学や短大、専門学校、専門塾などがあります。また、中学生の時点からイラストレーターを志している場合は、芸術専門のコースを設置している高校に進学すればイラストレーターとして必要な画力や技術などが学べますし、将来の進学を見据えてまずは普通科高校で学ぶ方法もあります。
 
学校選びで重要なポイントは、行きたいと思う学校にどんな芸術系の授業があるのかを知ることです。美大や芸大、芸術系の学校では、イラストを含め作画について幅広く学べます。一方、デジタルイラストや3DCGなど、ある分野に特化したカリキュラムを用意している学校もあります。
自分が将来どのようなイラストレーターとして活躍したいかを考えたうえで進路を選びましょう。

明聖高校ならイラストレーターを目指すことも可能!

将来イラストレーターを目指しているものの、「どんな学校に行けばいいかわからない」「高校生のうちから専門的な技術を学べる学校を探しているが見つからない」といった悩みをお持ちの方におすすめなのが、明聖高校の中野キャンパス・全日デザインコースです。系列校「千葉デザイナー学院」と完全提携し、アナログとデジタルの両面からデザインや作画の基礎を学べます。自分の学びたい内容や進路に合わせたカリキュラムが充実しているため、イラストレーターとして必要な基礎力を身に付けられるのはもちろん、美大や芸大、専門学校などへの進学も目指せます。
 
明聖高校は通信制高校のため、学び方は生徒によってさまざま。幅広い年齢層の生徒が在籍しているのも特徴です。中学卒業後の進路としてはもちろん、編入や中退者の受け入れも行っています。さらに、社会人の方があらためてイラストレーターとして必要な勉強をすることも可能です。