通信制高校は、私立の学校が多いことから比較的学費が高い傾向にあります。通信制高校に進学したいと考えたとき、「学費が払えない」という思いが頭をよぎるかもしれません。しかし、通信制高校でも全日制高校と同様に、学費の負担を軽減できる制度を利用できます。国や都道府県、進学先の学校でおこなわれている経済的支援の制度は、ご存じでしょうか?
この記事では、通信制高校の学費負担を軽減できる制度をまとめてご紹介します。

通信制高校にかかる費用や制度を知ろう

通信制高校に進学する際、どのような費用が必要になるのでしょうか。ここでは、学校生活で必要な費用と、それらの費用負担を軽減する制度について詳しくご紹介します。

通信制高校で必要な学費や費用

私立高校の場合、学校、コースによって学費が異なります。ここでは通信制高校である明聖高校で年間にかかる費用を例にご説明します。

■全日制コース

全日制コースは週5日登校して基礎を学ぶコースです。学校行事や部活動も充実しており、登校時は制服を着用します。

入学金(初年度):40,000円
授業料(年額):180,000円
施設費(年額):10,000円
コース費(年額):600,000円
学費合計(年額):830,000円
3年間の学費合計:2,410,000円

■通信コース・WEBコース

通信コースは、自主学習と年間約20日のスクーリングで学習するコースです。WEBコースは動画授業の視聴と確認問題の学習コンテンツを備えたコースで、年間4~6日程度のスクーリングがあります。

入学金(初年度):40,000円
授業料(年額):180,000円
施設費(年額):10,000円
学費合計(年額):230,000円
3年間の学費合計:610,000円
 
なお、こちらに記載しているのは令和4年時の学費です。年度によって変動する場合があります。最新の情報は明聖高校のホームページでご確認ください。
学費|通信制高校(千葉・中野)|通信制高校 明聖高校
 
通信制高校の学費について詳しく知りたい方は、こちらのページもご参照ください。
通信制高校の費用はどれくらい?全日制高校の平均と比較すると?支援金制度についても解説

公立と私立での学費の違い

文部科学省の調査によると、保護者が1年間に支出した子ども1人当たりの経費は、全日制高等学校の学習費総額は457,380円、全日制私立高校は969,911円です。比較すると私立の方がかなり高額であることがわかります。背景として、私立の学校は施設が比較的新しく、教材や設備も最新のものが導入されることが挙げられます。より快適な環境で、充実した学校生活を送れることは私立のメリットだといえるでしょう。

さまざまな学費負担を軽減できる制度

通信制高校への進学で利用できる制度は、下記のような制度があります。いずれも、家庭の経済的負担を軽減することを狙いとしたものです。

  • 高等学校等就学支援金
  • 学校独自の支援制度
  • 高校生等奨学給付金
  • その他の修学支援策

「高等学校等就学支援金」「その他の修学支援策」と似た名称の支援がありますが、それぞれ受け取れる条件や支援内容などが異なるため、注意して読み進めてください。
それでは順にご紹介していきます。

自己負担額がかなり減る!高等学校等就学支援金制度とは

家庭の経済的負担の軽減や教育の機会均等を狙いとした国の制度の一つに、高等学校等就学支援金制度があります。

高等学校等就学支援金制度を活用すると、授業料に充てるための支援金が国から支給されます。この制度の受給資格があるのは、日本国内に住所を有している人に限られます。また、同時に、世帯年収約910万円未満でなければいけません。この910万円はあくまで目安で、世帯構成などによって金額が変わります。

高等学校等就学支援金制度は、全日制高校に通う生徒だけでなく、通信制・定時制高校に通う生徒も利用できます。ただし、高等学校等の卒業生や3年(定時制・通信制は4年)を超えて在学している生徒は対象外です。

支給額は世帯年収や、在学する高等学校等の公立/私立、全日制/通信制などの条件によって異なり、118,000円~396,000円と幅があります。また、支援金は生徒や生徒の保護者ではなく学校に支給され、生徒の授業料に充てられることになります。
 
その他、制度について詳しくは、下記ページをご参照ください。
就学支援金とは?通信制高校も対象?受給要件や申請方法をチェックしよう

学校独自の支援制度・明聖高校全日コースの場合

通信制高校によっては、学費の減免など、学校独自の制度を掲げているところもあります。学校独自の支援制度を併用できれば、さらに通信制高校を進学先の候補としやすくなるでしょう。

例えば、明聖高等学校では独自の学費減免制度を運用しています。学費を減免できる額は世帯年収によって異なり、世帯年収の目安が250万円以上350万円未満の場合は120,000円、250万円未満の場合は180,000円を減免が可能です(いずれも年額)。ただし、学費減免制度は全日コースのみ適用対象となります。

学校独自の支援制度・減免制度についてはWebサイトに詳しく書かれていない場合もあるため、学校へ問い合わせるのがおすすめです。

高校生等奨学給付金とは

高校生等奨学給付金は、授業費以外の教育費に対する給付金です。授業料以外の教育費とは、教科書や教材、学用品や通学用品の費用、教科外活動や生徒会の活動費などを指します。この制度は高等学校等就学支援金制度と同様に、家庭の経済的負担の軽減や教育の機会均等を狙いとしているものです。

通信制高校に通った場合に受け取れる金額

高校生等奨学給付金を利用できるのは、生活保護受給世帯、非課税世帯です。高等学校等の公立・私立に関わらず利用できます。

通信制高校に通う場合、受け取れる金額は下記のとおりです。

■生活保護受給世帯

国立・公立の場合 年額32,300円
私立の場合 年額52,600円

■非課税世帯

国立・公立の場合 年額48,500円
私立の場合 年額50,100円

また、世帯年収の目安が約270万円未満の場合は、高等学校等就学支援金と高校生等奨学給付金の両方を利用できます。

高校生等奨学給付金の申し込み方法

高校生等奨学給付金の窓口は都道府県となります。詳しくは進学先の学校の所在する都道府県にご相談ください。手続きは毎年7月頃となりますが、新入生の場合は4~6月に一部の早期支給を申請できます。

その他の修学支援策(都道府県から受けられる支援制度)とは

ご紹介したもののほかにも、ご家庭の事情によって活用できる支援制度や、都道府県独自の修学支援の制度があります。

中途退学した人への支援(学び直しへの支援)

中途退学した人が高等学校等で学び直す場合に、就学支援金が支給される制度があります。本来の就学支援金の支給期間は、全日制は3年、通信制は4年です。しかし、学校を中途退学した後に再入学する場合は、就学支援金支給期間である3年(通信制は4年)を経過したあとから卒業までの間、継続して就学支援金が支給されます。支給期間は最長2年です。

家計急変への支援

保護者の失職や会社の倒産、新型コロナウイルス感染症による影響などで、家計の収入が激減してしまう可能性があることは否めません。家計が急変した場合には、低所得世帯として就学支援金の対象となり得ます。ただ、就学支援金の額を判断するための状況確認の回数は、1年生は2回、2・3年生は1回であり、正式に支援金が支給されるのは先になってしまいます。
収入の変動が反映されるまでの処置として、就学支援金と同等の支援を受けることが可能です。

都道府県独自の制度

都道府県によって、独自の支援制度があります。例えば、千葉県では私立高等学校への入学金を軽減する制度があります。この制度は一定の低所得世帯で入学金の納入が困難な家庭が、各学校で入学金の軽減を受けられるものです。ほかに国の支援金に加えて独自の支援金を支給する都道府県もあります。

支援制度の内容は都道府県によって異なります。詳しくは都道府県のサイトなどで、調べてみるのがよいでしょう。

申し込み方法

中途退学した人への支援や家計急変への支援、都道府県独自の支援はいずれも、進学する学校が所在する都道府県が窓口となっています。不明点があれば進学先の学校が所在する都道府県に問い合わせてみてください。