不登校の子どもは家に引きこもる時間が長くなり、運動不足になりがちです。
「運動をしたほうが心身にもよいのでは?」と考えて、お子さんの運動不足を解消したい保護者の方も多いでしょう。
 
実際、不登校の子どもが運動不足になると悪影響が及ぶ場合があるため、なるべく運動習慣を保ちたいところです。
 
今回は、不登校中の子どもに対する運動不足の影響や運動による効果、おすすめの運動不足解消法を紹介します。
できることから少しずつ始め、お子さんの心身の健康を取り戻しましょう。

不登校の子どもの運動不足による影響

不登校の子どもは、体育の授業や登下校などで身体を動かす機会がなくなり運動不足になりやすいです。
家に引きこもりがちで運動不足になると、お子さんの心身に以下のような影響が及ぶことがあります。
 
参考:健康づくりのための身体活動・運動ガイド 2023|厚生労働省
参考:健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023 こども版|厚生労働省
参考:子どもを元気にする運動・スポーツの適正実施のための基本方針|日本学術会議

体力が低下し体調を崩しやすくなる

運動不足が続くと、筋力や持久力といった基礎的な体力が低下します。
体力の低下は、日常生活での疲れやすさにつながるだけでなく、骨格の発達にも影響を及ぼすことがあるのです。
 
また、運動不足は将来的に肥満や糖尿病、高血圧などの生活習慣病になるリスクを高めることがわかっています。
座りすぎの生活は肥満症の増加や体力低下と関連しており、家に引きこもりがちな不登校の子どもは特に注意が必要です。
 
子どものうちから適度な運動習慣を身につけることが、将来の健康を守ることにつながります。

気分の落ち込みやストレスを感じやすくなる

身体活動は、認知機能やメンタルヘルスを向上させる効果があることがわかっており、心の健康にも大きく関わっています。
そのため運動不足になると、意欲や気力の低下、集中力の欠如など心にも影響が及ぶのです。
 
また、スクリーンタイム(動画の視聴やゲームなど)が長くなると、心身の不調が起こりやすくなります。
不登校で家にいる時間が長いとスマートフォンやゲームに触れる時間が増えがちですが、それが心の不調につながる可能性もあるのです。
 
このように、不登校中の子どもは気分の落ち込みやストレスを感じやすくなる環境にあるといえます。

生活リズムが崩れ昼夜逆転しやすくなる

運動不足は、睡眠の質や生活リズムにも悪影響を及ぼします。
日中に体を動かさないと、夜になっても体が疲れず眠くならないため、就寝時刻が遅くなります。
その結果、朝起きられなくなり、昼夜逆転の生活パターンに陥りやすくなるのです。
 
また、運動不足で体力が落ちると、朝起きる気力も湧かなくなり、ますます生活リズムが崩れるという悪循環に陥ってしまいます。
 
規則正しい生活を取り戻すためにも、適度な運動習慣が重要です。

運動不足の解消が不登校の子どもに与えるよい影響

不登校の子どもが運動不足に陥るのはよくないというのは、感覚的にもわかりやすい内容です。
反対に、運動不足が解消されると以下のようなよい影響が及ぶ場合もあります。
 
参考:体を動かす|こころもメンテしよう~若者を支えるメンタルヘルスサイト~|厚生労働省
参考:健康づくりのための身体活動・運動ガイド 2023|厚生労働省
参考:健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023 こども版|厚生労働省
参考:子どもを元気にする運動・スポーツの適正実施のための基本方針|日本学術会議

気持ちが前向きになり、心が安定しやすくなる

不登校の状態が続くと、運動不足以外の要因もあって、気分の落ち込みやストレスを感じやすくなります。
 
運動にはネガティブな気分を発散させ、心と体をリラックスさせる作用があるので、気持ちが前向きになり、心が安定しやすくなる効果を期待できます。
 
散歩や公園でのんびり身体を動かすだけでも効果が見込めるため、外出が難しい状態の子どもでも無理なく取り入れやすいでしょう。

失われたエネルギーの回復につながる

不登校の背景には、長期にわたる身体的・精神的疲労によるエネルギーの低下があります。
 
運動不足の状態が続くと何事にも意欲がわかなくなったり、物事を前向きにとらえられなくなったりすることがあります。
これに対し、身体活動をおこなうことで、うつや不安の症状が軽減されるとともに、思考力や学習力、総合的な幸福感が高まることがわかっています。
 
そのため、少しずつ身体を動かす習慣をつけることで、失われた意欲やエネルギーを徐々に回復しやすくなるでしょう。

ぐっすり眠れるようになり、生活リズムが整いやすくなる

不登校で一日中家にいると、体を動かす機会が減り、夜になっても眠くならず、朝起きられないという状態になりやすくなります。
 
運動には睡眠リズムを整える作用もあるため、日中に体を動かすことで、夜に自然な眠気が訪れやすくなり、ぐっすり眠れるようになります。
 
朝や日中に太陽の光を浴びながら身体を動かすと、体内時計を整えるうえで重要な役割を果たすセロトニン神経が活性化され、夜の睡眠を促すメラトニンの生成につながります。
 
しっかり眠れるようになると体内時計が整い、朝起きられない・夜眠れないという昼夜逆転の状態が改善されやすくなるはずです。
規則正しい生活リズムを取り戻すためにも、日中に体を動かす習慣が大切となります。

家でできる!不登校の子どもにおすすめの運動不足解消法

運動習慣が重要なことがわかっていても、不登校中の子どもは家に引きこもりがちなので、なかなか行動につながらないことも多いでしょう。
 
そこで、家で簡単にできるおすすめの運動不足解消法を紹介します。
 
参考:子供の運動あそび応援サイト|スポーツ庁

ラジオ体操・ストレッチ

ラジオ体操は、テレビや動画の音に合わせて、決まった13種類の動きを約3分間おこなう運動です。
背筋を伸ばして大きく体を動かすことで、座りっぱなしで固まった体の血行が良くなります。
 
畳1畳くらいの広さがあれば、腕を振る、体をねじる、ジャンプするなど、いろいろな動きができます。

家庭用トランポリン

家庭用トランポリンは、安全な場所に置いて、両足で跳ねたり足踏みをしたりしながら、自分の好きなリズムで自由に体を動かせる運動です。
 
外に出るのが難しいときでも、室内で短時間跳ぶだけでジョギングと同じくらいのしっかりした運動になり、運動不足を解消できます。
 
ピョンピョンと跳ねる「楽しさ」を感じることで、溜まったストレスを吐き出し、自分から進んで体を動かそうという気持ちがわきやすくなる効果も期待できます。

風船バレー

風船バレーは、膨らませた風船を床に落とさないように、手や頭を使ってふわっと打ち上げ、家族と回数を数えながら交互に打ち合う遊びです。
 
風船はゆっくり落ちてくるので、運動が苦手な子どもでも「触れた」「続いた」という成功体験を感じやすく、自信をなくしている子どもの心が落ち着く助けになります。
 
また、遊びながら家族と楽しい時間を共有することで、無理に話そうとしなくても自然なコミュニケーションが生まれ、一歩踏み出すための心の元気を蓄えられます。

外でできる!不登校の子どもにおすすめの運動不足解消法

不登校中の子どもに体力がついてきたら、外での運動も取り入れてみましょう。
ただし、室内運動よりも負荷が大きいので、無理をせずに元気になってから取り組むことが大切です。
 
ここでは、すぐにできる簡単な屋外運動を紹介します。
 
参考:スポーツが健康にもたらす効果等のエビデンスに関する調査研究(委託事業:株式会社エーフォース)|スポーツ庁

散歩(ウォーキング)

散歩(ウォーキング)は、背筋を伸ばし、視線をまっすぐ前に向けて、いつもより少し歩幅を広げてリズミカルに歩く運動です。
 
一定のリズムで歩く有酸素運動は、脳内のセロトニン(幸せホルモン)やβエンドルフィン(快感ホルモン)の分泌を促し、不安な気持ちを抑えてリラックスさせる効果があります。
 
外の景色や季節の変化を感じながら歩くことで、家のなかにこもることで溜まったストレスが解消され、心の元気が回復しやすくなります。
 
参考:第1章 「歩く」効果・効用とそれを習慣化する方法の整理|健康増進のライフスタイル 形成支援・連携方策に関する調査 報告書|国土交通省・厚生労働省健康局・静岡県袋井市
参考:プラス「10」分のウォーキングから始めるストレス対策|スポーツ庁

サイクリング

サイクリングは、周囲の景観の変化を楽しみながら、心拍数が適度に上がる強度で継続的に自転車のペダルをこぐ運動です。
 
有酸素運動として心肺持久力(スタミナ)を高めるとともに、歩行にも重要な足の筋肉(下肢筋力)を効率よく鍛えることができます。
 
風を切って走る爽快感がメンタル面のストレス解消につながり、外に出ることへの意欲を高めるきっかけになるでしょう。
 
親子で一緒に取り組むことで、コミュニケーションを取りながら楽しい時間を過ごすことが可能です。

なわとび

なわとびは、笑顔で会話ができる程度の「ニコニコペース」を目安に、リズミカルに跳び続けるのがコツです。
 
全身を使う有酸素運動であり、短時間でも効率的に心肺機能を高め、持続力をつけることができます。
 
下肢の筋力アップに効果があり、跳んだ回数などの目標を達成することで、自分への自信につながります。
 
参考:なわとび体操|米原市

不登校の子どもに運動をうながすときの注意点

不登校の子どもの状態やタイミングによっては、運動どころではない場合もあります。
そのため、不登校の子どもに運動をうながすときは、次の2点に注意が必要です。

不登校の初期段階では無理をさせない

不登校の初期段階はエネルギーが枯渇している状態が多いため、無理をさせると症状(無気力や腹痛など)が悪化するおそれがあります。
 
まずは休養を優先し、落ち着いてきてから運動のことを考えるとよいでしょう。
 
以下の記事では、不登校の3つの段階について解説しているので、あわせてご覧ください。
 
関連記事:不登校の回復期とは?3つの段階ごとのサインと保護者に求められる対応を解説|通信高校生ブログ|明聖高等学校

運動にこだわらず身体を動かすことから始める

本記事では身体をしっかり動かす運動を紹介しましたが、スタートは必ずしも運動ではなくても構いません。
 
例えば、庭の草むしりや雪かき、買い物についていくなど、日常生活の延長で身体を動かせれば十分です。
 
少しずつ身体を動かす時間を増やし、最終的に運動に取り組むという段階的なステップを踏むことで、お子さんへの負担を減らしながら運動習慣を身につけられるでしょう。