「学校に行きたくない」という思いを抱き、不登校になる原因はさまざまですが、原因のひとつとして「友達関係」が挙げられます。また、逆に対人関係が良好であることが、不登校になった人の自立や自信回復につながるケースも少なくありません。今回は、友達関係の重要性や、友達がいない場合に取れる選択肢をご紹介します。
不登校の原因として「友達関係」が多いという調査結果も
小学校、中学校、高校を対象として、文部科学省のおこなった「不登校となったきっかけと考えられる状況」の調査によると、不登校の原因のなかで「いじめを除く友人関係をめぐる問題」が、3番目に多いとされています。また、1番多い原因、2番目に多い原因は以下のとおりです。
- 不登校の原因1位:不安など情緒的混乱
- 不登校の原因2位:無気力
- 不登校の原因3位:いじめを除く友人関係をめぐる問題
(出典)文部科学省 「児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査」(平成26年度)
上記の順位は、小中高の学校側におこなわれた調査の合計です。小学校だけの場合を見ると、「親子関係をめぐる問題」が不登校の原因3位になっており、小学生にとっては親子関係の影響力が大きいことがわかります。
不登校になった人にとっても友達関係は大切
不登校になった人が、友達関係によって学校に登校しやすくなるケースがあります。不登校かどうかに関わらず、思春期の時期は友達の存在が重要です。悩みを抱えているとき、相談しやすい相手がいることが心の支えになることは珍しくありません。もし、友達が不登校になってしまったら、今までどおり遊んだり、話を聞いたりすることで、本人の気持ちが落ち着くこともあります。
北海道大学がおこなった調査では、「対人関係が良好であれば、不登校によるネガティブな影響を緩和できる」というデータがあります。調査によれば、不登校経験のある人は、不登校経験のない人より、生活の充実度が低いと感じているようです。しかし、この調査では「親・親族」「学校の友人・同級生」「職場の人」「地域の人」「ネットでの人」など、いずれかの対人関係が良好であれば、生活の充実度は改善される可能性が示されています。
学校内の友達関係になじめない、頼れる相手がいないと感じたら?
友達関係は大切ですが、「そもそも学校に仲のいい友達がいない」「日常会話はできるけど、悩みを相談したり、頼ったりはできない」という場合もあると思います。もし、学校での友達関係がうまくいっていないのであれば、学校の外に目を向けてみるのもよいかもしれません。
習い事を始めてみる
選択肢のひとつとして、民間の学習塾や習い事、サークルなどを始めるというものがあります。勉強に対して抵抗感が少ないのであれば、学校以外の学びの場として活用してみてはいかがでしょうか。学校の友人関係がうまくいっていない、クラスになじめない場合は、学習塾などで友達を作ってもよいかもしれません。
不登校生徒向けの活動に参加してみる
不登校支援のひとつとして、不登校生徒を対象としたキャンプなどが実施されていることがあります。これらの活動は、単発のイベント、継続的に運営されている活動など、実施形態はさまざまです。キャンプなどをとおした不登校支援活動の効果は、研究の対象ともされており、キャンプ参加前と参加後を比較した場合、ポジティブな結果が見られたものも多くあります。
キャンプ活動をとおして人間関係の形成を調査した例では、不登校生徒が想定より多くの人間関係形成をおこなっていた事例が報告されています。さらに、人間関係の形成度合いを不登校でない生徒と比較した場合も、あまり差が見られませんでした。
また、別の調査では、自己の受容に関して、キャンプ後は多くの生徒のなかで自己受容が改善されたという調査結果もあります。
これらの調査からキャンプなどの活動を体験することで、新たな人間関係形成が促進されたり、自己に対するポジティブ認識の変化を得られたりする場合があることがわかっています。
通信制に進学・転校するという選択肢も
学校に登校できなくなったとき、もともと通っていた学校に復学するだけが選択肢ではありません。通信制高校に進学したり、転校したりすることで、より本人に合った学校を選ぶこともできます。通信制高校は、自宅学習やレポート提出をベースに、年数回のスクーリングに出席しながら卒業を目指す高校です。基本は自宅で勉強を進めるため、集団生活に抵抗がある人や、自分のペースを崩したくない人には、全日制の高校より通いやすい場合があります。
また、地元の全日制高校から離れ、通信制高校へ通うことで、これまでの学校生活で出会わなかった人と出会う機会が得られます。人間関係に悩んでいた人にとっては、人間関係がリセットされることで、新しい友人を作りやすくなるかもしれません。
さらに、通信制高校のなかには、カウンセラーが常駐している学校や、教員にカウンセリング講習を義務付けている学校もあります。対人関係で悩みやすい人や、学校生活に不安を抱いている人などは、カウンセラーの有無をチェックして高校を選んでもよいでしょう。
まとめ
友達関係をはじめたとした対人関係は、よくも悪くも不登校に影響する場合があります。良好な対人関係は、不登校を経験したあとの人生にもポジティブな影響を与える可能性があることがわかってきているため、「相談できる相手」「頼れる相手」などの存在は重要といえます。そういった相手が周りにいないのであれば、カウンセラーなど、専門職の人を頼ってみてもよいでしょう。
また、「習い事を始める」「不登校支援の活動に参加する」など、学校の外へ視野を広げてみるという方法もあります。在学中の学校への復帰することだけが選択肢ではありません。通不登校支援の環境が整っている通信制高校など、選択肢の幅を広げてみましょう。
参考URL:
子供・若者の意識に関する調査 (令和元年度)
不登校になった時の居場所とは!今いる学校に行く以外の選択肢も | 通信高校生ブログ
不登校対策自然体験活動事業 | 神奈川県立 足柄ふれあいの村
不登校児のためのキャンプが参加親子の自己受容に及ぼす効果
不登校等の子供への教育について
不登校生徒に対する友達の援助の有効性
不登校児童・生徒の人間関係形成に関する研究
明聖高等学校は、千葉・中野にキャンパスを構える通信制高校です。全日コース・全日ITコース・通信コース・WEBコースに分かれており、一人ひとりに合わせた高校生活を過ごすことができます。