それぞれの事情で高校を中途退学(中退)したいと考えている人や、すでに中退した人がいると思います。今後の進路を考えるとき、中退が進路にどのような影響を及ぼすかについては知っておいて損はありません。中退が進学や就職にどのように影響するのか、中退した後は何をしたほうがよいのかを考えていきましょう。

高校を中退した場合に生じるデメリットは?

大学へ進学するハードルが上がる

大学に入学するには「高等学校又は中等教育学校を卒業した者」であるか「高等学校卒業程度認定試験(高卒認定)に合格した者」でなければいけません。高校を卒業した場合はそれだけで大学入学資格も得られますが、高校を中退すると大学入学資格が認められません。

高校を中退した人が大学に進学したい場合、別の高校に編入学して卒業するか、高卒認定に合格して大学入学資格を得なければいけません。また、高卒認定に合格しても大学への入学資格が得られるだけですので、それぞれの大学の入学試験は改めて受ける必要があります。

就職する際に応募ができない企業が増える

高校を中退すると就職先の選択肢は狭くなってしまいます。求人数が少なく、募集している業種も偏る傾向があるからです。一般的に、高校中退の場合は「宿泊業、飲食サービス業」「卸売業、小売業」などの就職先が多くなります。
一方、「高校卒業(高卒)」の場合、上記の就職先以外にも、「建設業」「製造業」「運輸業・郵便業」「生活関連サービス業・娯楽業」「医療・福祉」など、幅広い業種で募集が行われています。

また、高校を中退した場合、最終学歴は「中学校卒業(中卒)」になります。高卒認定に合格しても、学歴に関しては「高卒」にはなりません。そのため、高校を中退した人は応募資格を「高卒」以上にしている企業に応募できなくなってしまいます。

どんな選択肢があるの?高校を中退した後の進学や就職について

全日制高校や通信制高校、定時制高校に編入学する

高校中退が就職の際にデメリットになるのは、中退後の最終学歴が中卒であることが影響しています。しかし、別の高校に入り卒業すれば、高卒の学歴を手に入れることが可能です。
何らかの事情で高校を中退した人も、自分の事情に合った高校へ編入学することで、無理なく卒業できるケースもあります。

「一度中退した自分が、他の高校に入り直せるのだろうか」と悩む人もいるかもしれませんが、高校中退者の編入学を受け入れてくれる高校は少なくありません。加えて、不登校だった人や勉強についていけなかった人、集団生活が苦手な人に対するサポート体制が整った高校もあります。
もし、そういったことが原因で高校を中退したものの、「できることなら高校を卒業したい」と考えているのであれば、自分に合った高校を探すことから始めましょう。

※高校への編入に関しては、こちらのページもご覧ください。

高校を中退しても編入学できる?中退者を受け入れてくれる高校を紹介

高等学校卒業程度認定試験を受けて大学進学を目指す

「もう高校に通うつもりはないけど、大学へは進学したい」という場合は、「高等学校卒業程度認定試験(高卒認定)」を受けるという選択肢もあります。高卒認定に合格すれば、高校を卒業していなくても大学入学資格を得ることができます。

高卒認定は一度ですべての科目を合格する必要ありません。一度合格した科目は記録に残り、次回以降の試験で残りの科目に合格すれば、大学入学資格を得ることができます。

また、高卒認定に合格した時点では最終学歴は「中卒」のままですが、大学を卒業することで最終学歴を「大学卒業」に変えることができます。

就職を目指す

前述した通り、高校を中退した場合、就職先が少ないことや業種が偏りやすいというデメリットがあります。そのハンディキャップを乗り越えて自力で希望する就職先を見つけられた場合はそれに越したことはありませんが、別のアプローチとして若者向けの就労支援機関を利用するという方法もあります。

厚生労働省は、地域自治体と協力し「地域若者サポートステーション(サポステ)」を設置しています。この機関の目的は、若者の自立へ向けた就労支援です。
サポステではキャリア・コンサルタントなどに就職相談をすることができ、就職を希望する若者が職場に定着できるまで全面的にバックアップしてくれます。

コミュニケーション講座やビジネスマナー講座、履歴書の書き方・面接指導、就業体験など、就職を目指す上で役立つ取り組みも多くあるため、就職したいと考えている人は地域のサポステを使ってみてもよいでしょう。

高校を中退した人がやるべきこと。まずは「自分自身がどうしたいか」を考えよう

高校を中退した人は、進学を選ぶにしろ就職を選ぶにしろ、自分自身が「どうしたいか」をしっかりと考えることが大切です。進学であれば、それを指針に高校を探せますし、就職の場合は面接などで自分の考えを話す機会もあります。

もちろん、心身に負担を感じて高校を中退したのであれば、しっかり休んでからでも大丈夫です。焦る必要はありません。

家族が協力的な場合は、家族と相談しながら自分の考えをまとめてもよいでしょう。「誰かに相談したいけど家族には相談しづらい」という場合は、教育相談センターなどの支援機関に相談する方法もあります。教育相談センターであれば、高校中退のことや進路のことだけでなく、家族関係などについても相談できます。
自治体ごとに運営している機関ですので、詳しくはお住まいの地域にある教育相談センターのWEBサイトなどを確認してみましょう。