自由度の高い学習方法で高卒資格の取得を目指せる通信制高校。とはいえ、入学を検討している人の中には「不登校であまり勉強ができていないから、入試で落ちてしまうんじゃないだろうか」「高校を中退してから期間が経っているけれど、年齢が上でも入学できるのかな」と不安を感じる人もいるのではないでしょうか。
今回は、そんな通信制高校への入学方法や受験について解説していきましょう。

通信制高校生活をイメージしよう!入学から卒業までの流れ

まず、通信制高校に入学してから卒業するまでを簡単にイメージしてみましょう。

通信制高校の入学時期は、基本的に多くの全日制高校と同じ4月です。学校によっては、10月など秋に入学できることもあります。

入学後は、自宅で自主学習を進め、規定通数のレポートを〆切りまでに作成して学校に提出します。並行して、決められた日に登校して授業を受ける「スクーリング」にも出席します。レポートの提出通数とスクーリングの出席時数の条件を満たせば、年度末に単位認定試験を受けることが可能です。試験に合格したら、高校卒業に必要な単位を修得できます。さらに、学校行事やホームルームなど特別活動にも出席します。

これらを繰り返して単位や特別活動の要件を満たし、3年以上在籍すれば卒業です。後ほどご紹介する転入・編入の場合は、それ以前に在籍していた学校に通っていた期間も含めて、最短3年で卒業できます。

卒業の時期も一般的な全日制と同じ3月が主流で、秋に入学できる学校では9月にも卒業できるタイミングがあります。卒業式を終えれば、晴れて高卒資格取得です。

通信制高校の入学方法は4種類。他校の生徒や高校中退者も受験可能!

通信制高校の入学方法は、受験者の区分によって主に3つに分かれます。

新入学

通信制高校にカリキュラムの最初(1年生)から入学する方法です。1~3月ごろに入試があり、4月までに合格発表があります。全日制高校よりスケジュールがやや遅めであることが特徴です。

また、明聖高校では、1月より推薦入試が実施されます。

この新入学の区分になるのは、中学校3年生で3月に卒業見込みの人や、過去に一度も高校に在籍をしたことがない人です。
「同級生と年齢が違って気になるな」という人もいるかもしれませんが、通信制高校は生徒の約20%が20代以上という調査結果もあり、幅広い年齢の人が通っています。再受験したからといって、入学後に浮いてしまう心配はほとんどないといっていいでしょう。

転入学

現時点で高校に在籍中の生徒が、学年はそのままで別の高校に移る入学方法です。
転入できる時期は学校によって異なりますが、例えば、明聖高校は5月~1月に転入できるタイミングがあります。

編入学

高校を中途退学した人や海外から帰国・移住してきた人などが、すでに修得している単位を生かして、カリキュラムの途中(2年生以降)から高校に入学する仕組みです。
編入できるタイミングは学校によってさまざまで、例えば、明聖高校は年1回4月に編入できます。
 
▼転入・編入について詳しくはこちら
通信制高校へ転入学・編入学する条件は?こんな悩みを持った人におすすめ

通信制高校の入試は難しい?気になる受験資格と試験内容

通信制高校へ入学するためには、転入・編入を含め、どの方法でも入試を受ける必要があります。ここでは、入試の受験資格や内容について解説していきましょう。

受験資格

新入学の場合は、中学校を卒業見込みの人や中学卒業後に一度も高校に在籍をしたことがない人、または中学校卒業と同等に準ずる学力があると高校に認められた人が受験できます。また、先ほどご紹介したように、転入は現在高校に在籍中であること、編入はすでに高校を中途退学している方が条件です。
これらを満たしていれば、年齢の上限はありません。

なお、公立の通信制高校などでは、居住地や勤務地が学校と同じ都道府県であることも原則です。一方、明聖高校をはじめとした私立の広域性通信制高校では、地域的な条件は各高校で定めています。

試験内容・形式・難易度

学校によって大きく異なります。例えば、都立の通信制高校の入試は、国数英の3科目を合計60分で解くというものです。

一方、学力検査がなく、書類審査や作文、面接で合否を決める通信制高校も多くあります。例えば、明聖高校の入試では、出願書類の内容と出願時に提出する作文、そして個人面接を行っています。

いずれの場合も難易度はそれほど高くなく、生活態度などによほどの問題がない限り、不合格になる心配はありません。

通信制高校と全日制高校の併願もできる!

第一志望は全日制高校だという人も、併願校(滑り止め)として通信制高校を受験することができます。
私立の通信制高校を併願する場合は、第一志望の全日制高校が公立でも私立でも基本的に問題ありません。ただし、推薦で私立通信制高校を受ける場合は、推薦(単願・専願)と推薦(併願)など、入試制度が各高校で違うためしっかりと調べる必要があります。

ちなみに、公立通信制高校については、前期日程の入試で公立全日制高校が不合格になった場合、後期日程で同じ地域の公立通信制高校に出願できることがあります。
 
▼全日制高校と通信制高校の違いについて、詳しくはこちら
通信制高校のスクーリングでは何をする?日数や時間割例を紹介!

通信制高校の受験に必要な準備は?書類や入試対策

実際に通信制高校を受験することになったら、次のように準備を進めましょう。

出願書類の準備

入試を受けるために提出する出願書類には、受験生自身が準備するものと、出身中学校・高校に用意してもらうものがあります。

受験生自身が準備するメインの書類は、入学願書です。本人と保護者が記入する欄がそれぞれあり、名前や住所、出身学校などを記入します。
また、入学願書とあわせて、受験生が所定のフォーマットに書いた作文を提出しなければならない通信制高校もあります。
そのほか、公立通信制高校の場合は居住地や勤務地が受験資格にかかわってくるため、住民票や在勤証明書などの準備も必要です。

出身中学校・高校では、次の書類を作成してもらいます。いずれも厳封されており、受験生が開封すると無効になってしまうため注意しましょう。
 
・調査書
出身中学校や高校での成績や出欠状況が記入されます。転入・編入の場合は「単位修得証明書」「成績証明書」といった形で提出することもあります(東京都など)。
 
・転学照会書、在学証明書
転入の場合に、在籍中の高校に作成してもらう必要があります。
 
・推薦書
推薦入試の場合に、出身中学校の校長または担任の先生に書いてもらう書類です。

受験料の支払い

受験する通信制高校に、指定された金額の受験料を支払います。支払うタイミングは学校によって異なり、出願前に振り込んで出願書類とあわせて提出したり、出願書類の提出と同じタイミングで学校の受付に直接支払ったりします。また、明聖高校のWEBコースなど、一部の通信制高校ではクレジットカードやコンビニ支払いも可能です。

出願書類の提出

出願書類は、決められた期間に通信制高校の窓口に直接持参したり、郵送したりして提出します。明聖高校のWEBコースでは、WEB上で出願手続きすることもできます。

入試対策

通信制高校の入試は決して難しいものではありませんが、普段あまり機会のない作文試験や面接については事前に対策しておくと安心です。例えば、よく問われる志望動機をあらかじめ整理したり、予行演習として作文を書いて添削してもらったり、先生や家族に面接の練習をしてもらったりしておきましょう。