お子さんが不登校になると、保護者の方はなんとか原因を探って解決策を見つけたいと思うはずです。
 
ただし、本人にも学校の先生にも原因がわからないときもあります。そのため、原因がわからないときの対処法として新たな選択肢を紹介しますので、参考にしてみてください。

子どもが不登校になる10の原因と保護者の対応方法

不登校は、原因を特定して取り除けると、お子さんの回復や学校復帰につながる可能性があります。ここでは、複数の文部科学省の調査をもとに、不登校の原因を10個にカテゴリ分けして紹介します。
 
原因を探るためにお子さんを問い詰めるのではなく、まずはここで紹介する10の原因のなかに当てはまる項目がないか、保護者目線で考えてみてください。

①学校生活への無気力

文部科学省が発表した「令和4年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果について」によると、不登校の要因でもっとも高い割合を占めるのが「無気力・不安」です。

引用:令和4年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果について
 
無気力になる要因には、以下のようなものが挙げられます。

● 身体の不調
● 声や音がうるさい、嫌なにおいがする(感覚過敏)
● 授業がわからない
● 成績が下がった

このように、必ずしも精神的な問題で無気力になっているとは限りません。また、あとで紹介するほかの不登校原因が無気力の背景要因になっていることも考えられます。
 
無気力の背景要因を特定すれば、不登校の原因がわかるのは明らかです。しかし、なにが問題で無気力になっているのかを「お子さん自身がわかっていない」「言語化できない」というケースも多いものです。
 
そこで問い詰めてしまうと、お子さんは家でも居場所がなくなり、辛い思いをすることになります。不登校の初期段階は、とくにエネルギーが足りない状態なので、原因究明よりもエネルギーの回復に集中することが大切です。

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②生活習慣の乱れ

夜寝るのが遅く睡眠不足だったり、土日も部活動などで休めなかったりなど、生活習慣の乱れが原因で心身の不調が起こり、学校に行けなくなることがあります。
 
これは、人間の心身の働きを適切に保つ自律神経の機能が乱れるためです。自律神経が乱れると、頭痛や吐き気、便秘などの身体症状が起こります。こうした身体症状が続くと、イライラしたり気分が落ち込んだりといった精神的な症状も見られるようになるのです。
 
生活習慣の乱れが原因で不登校になった場合、初期段階では生活習慣の乱れが継続されます。最初から整えようとすると、心身がついていかず逆効果なので、いったんは見守ることが大切です。
 
お子さんの様子を見守りながらも、今後のために今以上に強固な信頼関係を構築しましょう。お子さんの話をじっくり聴いて寄り添うことで、本人の罪悪感や自己否定感を和らげることが可能です。
 
子どもが回復して、行動できるようになってきたら、正しい習慣を意識した生活に少しずつ切り替えていきます。

③怖さや不安などの心の症状

お子さんが気分の落ち込みや不安、恐怖を訴える場合は、背景になんらかの原因があります。
 
例えば、人間関係のトラブルや学校への不適応などです。「学校に行くと自分にとって怖いことが起こる」と学習すれば、無意識にそれを回避するために、心身が拒否反応を示すことがあります。
 
お子さん自身が不安の原因がわからないことも多いので、明確にしたい場合は丁寧な傾聴やカウンセリングを通じて推測する必要があります。ただし、決めつけるのはよくありません。あくまで対応方法を考えるための、ひとつの手段として考えましょう。
 
それ以前に、まずはお子さんの不安を受けとめてあげることが大切です。間違っても、仮病や怠惰などを疑って、責め立てることのないようにしましょう。辛抱強く対話を重ねるなかで、不安の要因が見えてくることもあるはずです。

④いじめや友人間のトラブル

いじめや友人間のトラブルが原因の不登校では、集団に所属したいという欲求が満たされず、お子さんが無力感や劣等感を抱きやすい状態にあります。
 
トラブルの原因を特定しても、お子さんのなかに気持ちや記憶は残っているので、学校に足が向かないこともあるでしょう。
 
そのため、家庭では傷ついた自尊感情を取り戻すことが大切です。そのためには、対話を通じて、お子さんが「安心して過ごせる」と思える居場所づくりが必要になります。
 
また、場合によっては環境を変えることも検討しましょう。特認校や不登校特例校、フリースクールのように、マイペースに学習を続けられる環境はあります。
 
関連記事:いじめとは?定義や種類、不登校になったときの対応を紹介|通信高校生ブログ|明聖高等学校

⑤勉強のトラブル

勉強が難しくて授業についていけない、宿題を出せないといった勉強のトラブルが続くと、学校から足が遠のくことがあります。
 
こういったお子さんには、勉強に関するサポートが必要です。学校で支援してもらえないかを相談するとともに、家庭や学校外でサポートできないかを検討しましょう。
 
例えば、教科書の文字が人と違って見えて読めない・書けないといったことが見落とされていて、勉強がわからないといったケースもあります。本人の努力では改善できないこともあるため、先生から普段の様子を聴いたうえで、専門機関に相談することも大切です。
 
ただし、まずはエネルギーの回復が優先です。回復状況をみて、少しずつ勉強に取り組ませるようにしましょう。
 
関連記事:勉強ができないのはなぜ?理由と対処法を知って自分のペースで取り組もう|通信高校生ブログ|明聖高等学校

⑥教職員とのトラブル

学校の先生と合わない、過度な叱責があったなど、教職員とのトラブルが原因となってお子さんが不登校になることもあります。
 
先生に対応の仕方を変えてもらう必要がありますが、保護者から進言するとかえって悪化するケースもあるため、慎重に対応したいところです。
 
信頼関係がある場合は、お子さんの意思を確認したうえで、保護者と先生の間で話し合いの場を設けましょう。当事者と直接の対話が難しいのであれば、校長や教頭などの管理職に相談する方法もあります。
 
学校側の改善が見込めないケースでは、学校以外の場所に頼るのが適切です。なお、教育局や教育委員会に訴えても変わらないこともあるので、思い切って環境を変える選択をしたほうが、お子さんがよい方向に向かうこともあります。

⑦学校への不適応

お子さんが、学校のルールや集団生活に適応できないことで、不登校になるケースもあります。
 
こうしたお子さんを無理に学校に適応させようとすると、心身の不調が悪化し、さらに学校に行けなくなってしまいます。お子さん自身が発達に特性を抱えている場合は、とくに難しい問題です。
 
学校と本人の相性が悪いのであれば、環境を変える方法が効果的です。義務教育であれば、特認校や不登校特例校、フリースクールがあります。高校であれば、通信制高校など、全日制高校以外の選択肢も視野に入れましょう。
 
本人がのびのびと学習できる場所は、どこかにあるはずです。まずは、家が一番の居場所となるよう、本人の気持ちを受け止めつつ、新たな環境を探してみてください。
 
関連記事:通信制高校とは?全日制・定時制の違いなどわかりやすく解説|通信高校生ブログ|明聖高等学校

⑧発達障害や感覚過敏

お子さんによっては、発達障害に起因するさまざまなストレスや、感覚過敏による学校不適応などが原因で不登校になっているケースもあります。
 
発達障害が疑われる場合は、専門機関を受診してサポートを受けましょう。
 
感覚過敏であれば、専門家のサポートを受けつつ、改善策を打つことも大切です。例えば、聴覚過敏なら学校のなかでイヤーマフを装着して、音の刺激を緩和するといった方法があります。
 
先生から学校での様子を聴いたうえで、専門家に相談しましょう。

⑨あそびや非行

お子さんが、学校以外のことにハマっていて、不登校になっているケースもあります。最近だと、ゲームやスマートフォンへの依存による不登校も増えてきているようです。
 
まずは、学校復帰を目指す前に、家庭でのルールを守れるように少しずつ働きかける必要があります。そのためには、対話を通じてお子さんの考えや思いを受け止めつつ、親の想いを伝えていくことが大切です。
 
根気が必要なケースで、保護者の方にとっては大きなストレスになるかもしれません。しかし、子どものうちに「ルールを守る」ことを徹底しておくと、大人になってからも決められた枠組みのなかで力を発揮する習慣がつくはずなので、辛抱強く取り組みましょう。
 
なお、家庭の力だけでは難しい場合は、依存症と考えて病院を頼るのもひとつの方法です。
 
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⑩家庭環境の影響

共働きで保護者がほとんど家にいない場合や経済的困窮・家庭内不和など、家庭環境は、子どもの心身に多大な影響を与えます。たとえば、家庭環境の不和が原因で非行に走るケースも少なくありません。
 
お子さんのために不登校の原因を調べている保護者の方は心配ないことも多いですが、念のため家がお子さんにとって安心して過ごせる居場所になっているかを再確認してみてください。
 
お子さんは、思っている以上に保護者の方を必要としています。対話を通じてお子さんに寄り添いながら、一緒の時間を過ごしましょう。

不登校の原因はわからないときもある

子どもから話を聴いても、不登校の原因を特定できないこともたくさんあります。
 
とくに、無気力状態で原因がわからないお子さんの場合、保護者の方は対応がわからず不安が大きいでしょう。
 
原因がわからないときは、以下のような不登校の段階ごとに、お子さんの状態に合わせて対応することが大切です。

不登校の段階 お子さんの状態 対応のポイント
前兆期 ・朝起きられない
・忘れ物が増える
・頻繁に保健室に行く
・エネルギーを減らさないように、登校時間や学校での過ごし方を調整する
・学校や専門家に相談する
初期 ・お腹や頭が痛い
・食欲がない
・夜眠れない
・学校の話題を避ける
・お子さんが安心できる時間や環境を大切にする
・無理に原因を聞き出さない
中期 ・学校に行けない日が続く
・昼夜逆転が起こる
・ゲームやスマートフォンなどに依存気味になる
・受容的対応で自尊感情を取り戻す
・本人の気持ちを受け止めながら「今できること」を見つける
後期 ・家の外に出られる日がある
・進路や将来について話し始める
・今後について一緒に話し合う
・お子さんに無理なく関わりを広げていく
回復期 ・生活リズムが整い始める
・家庭学習やテストに取り組み始める
・学校復帰に向けたリハビリ期間と捉え、焦らず段階的にサポートする

不登校の段階は、お子さんによって期間の長さが変わります。お子さんのエネルギーが空っぽであれば、初期が数ヵ月や年単位に長くなることもあります。そのため、お子さんの状態を見ながら、対応を判断するのが望ましいでしょう。
 
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不登校の原因がわからなくても大丈夫!ほかの選択肢も考えよう

不登校の原因が特定できないと「対応方法がわからない」「このまま学校に復帰できないのではないか」などの不安が生じます。
 
しかし、そもそも現在通っている学校に復帰するだけがゴールではない点に留意が必要です。
 
学校復帰をゴールにすると、不登校が長引くことで見通しが持てなくなり、不安が大きくなります。しかし、ほかの選択肢を持っておけば、現在の学校に戻れなくても、別の場所でお子さんが輝ける希望を持てるようになります。
 
ほかの選択肢には、以下のようなものがあります。

● 特認校:少人数教育や特色あるカリキュラムで、通学区域外からの入学も認められている公立小中学校
● 不登校特例校:不登校の子どもに配慮した特別な教育課程を持つ、文部科学省指定の公立学校
● フリースクール:学校に通えない子どもたちが自分のペースで学べる民間の教育施設
● 通信制高校:オンライン授業や自宅学習で高校卒業資格を目指せる高校

例えば、明聖高校は千葉県に本校を置く通信制高校です。WEBコースは年間登校日数が3~4日ほどなので、現在不登校で悩まれているお子さんも無理なく学校生活を送れます。
 
また、コースの変更や登校日数の調整が柔軟にできるので、無理のない範囲で段階的に登校日数を増やすことも可能です。3年間をかけて、毎日登校できる心と身体を育てられます。
 
先生方は全員カウンセリングやメンタルヘルスの資格を持っており、不登校経験のあるお子さんに寄り添ってサポートしています。
 
お子さんが安心できる居場所をお探しなら、ぜひ一度足を運んでみてください。
 
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