通信制高校とは、オンライン授業や自宅学習などの通信教育によって学習できる高校で、毎日学校に通わなくてよいのが特徴の高校です。高校には、通信制以外にも全日制や定時制があり、それぞれ学校に通う頻度や授業の方法が異なります。
今回は、通信制高校とはなにか、全日制・定時制との違いと特徴を解説します。それぞれの違いを理解して、自分に合ったスタイルを選び、充実した高校生活を送りましょう。
通信制高校と全日制・定時制の違い
通信制高校とは、通信教育によって学習を進められる高校です。なんらかの事情で毎日高校に通えない人たちのために、全日制・定時制よりも少ない登校日数で高校卒業資格を取得できるカリキュラムが組まれています。
高校には、通信制のほかに全日制や定時制という種類があり、それぞれ以下のように異なります。
特徴 | 通信制 | 全日制 | 定時制 |
---|---|---|---|
取得できる資格 | 高校卒業資格 | ||
卒業に必要な単位 | 74単位以上 | ||
課程 | 通信による教育をおこなう | 日中に授業をおこなう | 夜間やその他の特別な時間・時期に授業をおこなう |
学校に通う頻度 | 週0~5日(学校による) | 週5日 | 週1~5日(学校による) |
授業の方法 | ・オンライン授業・自宅学習 | ・学校での対面授業・オンライン授業 | ・学校での対面授業・オンライン授業 |
修業年限(※) | 3年以上 | 3年 | 3年以上 |
※ 修業年限とは、学校を卒業するために必要として決められている教育期間のこと
ここでは、大きな違いである次の2項目について、通信制高校の特徴を解説します。
●学校に通う頻度
●授業の方法
全日制と定時制との違いから、通信制高校の特徴を理解しましょう。
学校に通う頻度
通信制高校の学校に通う頻度は、学校によって異なりますが、1年に数日間程度が一般的です。例えば、明聖高校のWEBコースで登校が必要な日は、年間4日程度となっています。
学校で授業を受ける必要がある全日制や定時制と比較すると、登校頻度が少ないため、登校に負担がかかる人でも高校卒業資格を取得しやすいでしょう。
授業の方法
授業の方法は、学校によってさまざまありますが、通信制高校は自宅でも単位を修得できるよう、オンライン授業や自宅学習などでおこないます。
例えば、明聖高校のWEBコースでは、配信型の動画授業を24時間いつでも閲覧できるようにしたうえで、オンラインで授業の理解度を測るミニテストを実施し、学習を進めます。
全日制・定時制の場合、対面式の授業が一般的であるため、自分のペースで学習を進めるのが難しいでしょう。これに対し、通信制高校は、わからないところは何度も授業を見返して、自分のペースで学習を進められます。
通信制高校にはどんな人が通ってる?
通信制高校は、仕事をしなければならない青少年が高等教育を受けられるようにと、戦後に設置されました。時代の変化もあり、最近は以下のような人が通っています。
●仕事をしている人
●なんらかの事情で毎日学校に通えない人
●不登校経験のある人
●芸能活動やスポーツに力を入れている人
文部科学省が平成30年に発表した「定時制・通信制高等学校における教育の質の確保のための調査研究」では、小・中学校及び前籍校における不登校経験がある生徒の割合が以下のように示されており、不登校経験のある人たちにとって学びやすい環境だといえます。
種別 | 小・中学校及び前籍校における不登校経験がある生徒の割合 |
---|---|
狭域通信制高校(※1) | 48.9% |
広域通信制高校(※2) | 66.7% |
※1 受け入れ地域が学校が所在する都道府県と隣接する1都道府県
※2 受け入れ地域が3都道府県以上
出典:定時制・通信制高等学校における教育の質の確保のための調査研究|文部科学省
また、修業年限が3年以上ということもあり、10代だけではなく20代以上の大人も通信制高校で高等教育を受けています。
出典:高等学校通信教育の現状について|文部科学省
登校日数が少ない通信制高校では、クラスメイトと顔を合わせる機会が少ないため、周りの目を気にしなくてよい点が特徴です。そのため、さまざまな背景をもつ人たちが在籍しています。
通信制高校の特徴
ここでは、通信制高校の特徴を8つの項目に分けて解説します。
●入試(入学者選抜試験)
●入学時期
●通学頻度
●授業
●単位認定試験(テスト)
●宿題・課題
●卒業要件
●費用
通信制高校に魅力を感じたら、高校進学の選択肢として考えてみてはいかがでしょう。
入試(入学者選抜試験)
通信制高校の入試では、学科試験を実施せず、書類選考や面接のみの実施が一般的です。
例えば明聖高校は、いずれのコースでも学科試験をおこなっていません。必要な書類を提出し、個人面接を実施して合否を決定します。
全日制・定時制の場合は、学力を計るために学科試験をおこなう高校も多いため、通信制高校のほうが学力に自信のない人でも挑戦しやすいでしょう。
以下の記事では、通信制高校入試の面接対策を解説しているので、参考にしてみてください。
関連記事:通信制高校入試の面接はどう対策する?よくある質問や当日のマナーを押さえよう|通信高校生ブログ|明聖高等学校
入学時期
通信制高校の入学時期は、2回あるケースが多くなっています。
●4月(春入学)
●10月(秋入学)
転入学や編入学が可能な高校は、入学時期にかかわらず月の途中からでも入学できます。また、場合によってはいつでも受け入れてくれる通信制高校もあります。
そのため、全日制高校に入学したものの自分に合わなかった人は、通信制高校へ転入学・編入学すると、自分のペースで学び直せます。
なお、全日制・定時制の入学時期は、特殊な場合を除いて4月が基本です。転入学・編入学は、学期末や年度末など特定の時期のみ可能なパターンが多く、好きなタイミングでの入学は難しい特徴があります。
通学頻度
学校によって異なりますが、通信制高校では週0~3日の通学頻度が一般的です。
なかには、明聖高校のWEBコースのように、年数回の登校で単位を修得できる学校もあります。一方、明聖高校の全日制コースのように、通信制でありながら全日制高校のように毎日学校に通うパターンもあります。
明聖高校の場合、年度の変わり目にコースを変更できる(※)ので、WEBコースで慣れてから全日コースに変更し、登校日数を増やすことも可能です。
※ ただし、定員やカリキュラムを踏まえて変更の可否を決定するため、希望が通らないケースもあります。
授業
通信制高校の授業は、オンライン授業や自宅学習で学び、レポート課題の作成・提出によって理解度を確認する流れが一般的です。スクーリングでは対面指導がおこなわれ、同じ通信制高校の仲間とともに学習します。
明聖高校のWEBコースでは、次の流れで授業をおこないます。
1.授業動画を視聴する
2.「サイバーチェック」で理解度を確認する
授業動画をただ見るだけではなく、理解したかどうかを確認するための「サイバーチェック」をおこないます。十分に理解できていない場合は回答を提出できません。理解度が一定のラインを超えるまで復習するなかで、確かな基礎学力が身につく仕組みです。
なお、全日制高校の場合は、朝から夕方まで合計6〜8時間の対面授業を受けるのが一般的です。定時制高校は、学校にもよりますが、4時間前後の場合が多くなっています。
このような違いから、通信制高校の授業のほうが、自分のペースで学習を進めたい人やわからないところを残したくない人に合っているでしょう。
以下の記事では、通信制高校の授業内容やスケジュールを詳しく解説しているので、あわせてご覧ください。
関連記事:通信制高校の授業って何をするの?スケジュールは?インターネット授業の例も紹介|通信高校生ブログ|明聖高等学校
単位認定試験(テスト)
通信制高校は単位制の学校がほとんどであるため、年に1~2回の単位認定試験が実施されます。
単位制は、各科目ごとに卒業に必要な単位が決められており、それを修得すると高校卒業資格を取得できる仕組みです。単位認定試験の結果によって、単位の修得が認められます。
定時制高校も単位制の学校が多いため、通信制高校と同様に単位認定試験がおこなわれます。一方、全日制高校で学年制を採用している場合は、単位認定試験ではなく学期ごとに定期テストがおこなわれます。
なお、学年制とは、修得すべき単位が1年単位で決まっている仕組みです。
単位認定試験は定期考査よりも実施回数が少ない分、1回あたりの学習範囲が広いですが、難易度はあまり高くないといわれています。
宿題・課題
通信制高校で単位を修得するためには、レポートを提出したうえで、先生から添削指導を受けなければなりません。
全日制・定時制と比較して登校日数が少ない分、先生とのコミュニケーションや学習状況の確認のため、レポートをやりとりするのです。ただし、難易度はそれほど難しくなく、教科書を見ながら作成できる形式が一般的です。
レポートの提出量は、学校によって異なりますが、都立通信制高校では「30単位登録の場合、年間約82〜86通の報告課題を学校に送付する」と定められており、1週間に2~3通です。
なお、全日制・定時制の宿題や課題は学校によって大きな差があるため、通信制高校と量を比較するのは難しいでしょう。
以下の記事では、通信制高校のレポートについて詳しく解説しているので、あわせてご覧ください。
関連記事:通信制高校で必須のレポートとは?難易度や頻度などを知ろう|通信高校生ブログ|明聖高等学校
卒業要件
通信制高校は、3年以上在籍し、決められた単位を修得すれば卒業できます。
単位修得のために必要な条件は、定められた数のレポートの提出とスクーリング、単位認定試験の合格です。もし、ある科目の単位を落としてしまっても、修業年限のなかで取り直せば卒業が可能です。
これに対し、学年制の全日制高校では、1年間で決められた単位を修得できないと留年となり、すべての単位を取り直さなければなりません。また、出席日数も加味されるため、欠席が多いと単位を取得できなくなります。
毎日学校に通うのが難しい人にとっては、単位制を採用している通信制高校のほうが卒業しやすいでしょう。
以下の記事では、それぞれの高校の卒業までの期間の違いを解説しているので、参考にしてみてください。
関連記事:通信制高校の卒業までにかかる年数は?どんな人が通う?転入学・編入学時の例も紹介|通信高校生ブログ|明聖高等学校
費用
例えば、都立の通信制高校は、1単位336円の通信教育受講料がかかり、卒業には74単位以上が必要です。卒業までに必要な受講料を合計すると、2万4,864円になります。
ただし、加入する場合は日本スポーツ振興センター共済掛金かかるほか、実習のための教材費、レポート提出のための郵送費など、細かい費用が別途発生します。
私立の場合、例えば、明聖高校の通信コース・WEBコースの授業料は、就学支援金の適用有無によって大きく変動しますが、年間約18~30万円です。その他、施設費が年間1万円、教材費が約1万6,000円かかります。
これに対し、全日制高校の学習費総額は、以下のとおりです。
●公立高等学校:51万2,971円
●私立高等学校:105万4,444円
参考:令和3年度子供の学習費調査の結果を公表します|文部科学省
このように、通信制高校と全日制高校では、学費にもやや差が生まれます。以下の記事では、通信制高校の費用についてより詳しく解説しているので、参考にしてみてください。
関連記事:通信制高校の費用はどれくらい?全日制高校の平均と比較すると?支援金制度についても解説|通信高校生ブログ|明聖高等学校
関連記事:通信制高校の学費が免除・無償になる?支援金制度や奨学金について紹介|通信高校生ブログ|明聖高等学校
通信制高校のメリット・デメリット
通信制高校の特徴をもとに考えると、メリット・デメリットは次のようになります。
メリット | デメリット |
---|---|
・学校に通うのが難しくても高校卒業資格を取得できる・自分のペースで学習を進められる・人との関わりに悩む機会が少ない | ・人との関わりが少なくなる・計画的に学習を進める力が求められる |
通信制高校に魅力を感じつつも、自分で学習を進められるか心配な人は、学習の進め方についてお家の人と話し合ったり、協力してもらったりして、力を借りながら取り組むのがおすすめです。
以下の記事では、通信制高校のメリット・デメリットをより詳しく解説しているので、参考にしてみてください。
関連記事:通信制高校を選ぶメリット・デメリットを紹介!どんな人が向いているか全日制や定時制と比較して解説|通信高校生ブログ|明聖高等学校
通信制高校の卒業後の進路は?
文部科学省が実施している「学校基本調査」によると、通信制高校の卒業後の進路は以下のとおりです。
項目(※) | 大学等進学率 | 専修学校(専門課程)進学率 | 卒業者に占める就職者の割合 |
---|---|---|---|
通信制高校(公立) | 15.5% | 14.3% | 19.3% |
通信制高校(私立) | 25.2% | 23.9% | 14.3% |
※ 進学・就職以外は省略
参考:令和5年度 学校基本調査|文部科学省
通信制高校に進学する際、卒業後の進路を心配する人もいますが、データを見ると大学や専門学校への進学、就職も可能だとわかります。
明聖高校の場合、卒業後の進路は以下のようになっており、全国的なデータよりも進学率が高い特徴があります。
引用:明聖高校の特徴|明聖高等学校
通信制高校を選ぶ際は、先輩たちの進路状況も確認すると、将来の夢をかなえる道筋が見えるでしょう。
通信制高校がおすすめの人
通信制高校の特徴を以下のようにまとめると「自由な時間を確保したい人」「自分のペースで学習を進めたい人」におすすめです。
●スクーリングが少ないため、学習以外の時間を確保しやすい
●自宅学習がメインで留年がないため、自分のペースで学習できる
アルバイト・趣味・学習を両立したい人や、自分で立てた計画に沿ってじっくり学習したい人にとって、通信制高校はぴったりです。
また「部活動や友だち作りよりも、高卒資格を取るための学習に集中したい」と考える人にも適しています。
明聖高校のWEBコースは、オンライン授業と自宅学習で高校卒業資格を取得できます。サイバー学習国というオンラインの学校で、先生や友達ともコミュニケーションをとりながら、学校生活を送れます。
通信制高校を選ぶ際は、ぜひ明聖高校も検討してみてください。
WEBコース|明聖高等学校
まとめ
通信制高校は、オンライン授業や自宅学習を通じて学習を進め、高校卒業資格を取得できる高校です。全日制・定時制と比較して登校日数が少なく、不登校経験がある人でも就学しやすい特徴があります。自分のペースで学習を進められる点も大きなメリットです。ただし、自分で学習を進める必要があるため、スケジュールや学習の進度管理などが必要です。通信制・全日制・定時制には、それぞれメリット・デメリットがあり、向いている人が異なります。自分がどのようなスタイルで学習したいか、どういう生活を送りたいかをよく考えて、自分に合った高校を選びましょう。
参考URL:
定時制・通信制高等学校における教育の質の確保のための調査研究|文部科学省
高等学校通信教育の現状について|文部科学省
令和3年度子供の学習費調査の結果を公表します|文部科学省
令和5年度 学校基本調査|文部科学省
通信制高校入試の面接はどう対策する?よくある質問や当日のマナーを押さえよう|通信高校生ブログ|明聖高等学校
通信制高校の授業って何をするの?スケジュールは?インターネット授業の例も紹介|通信高校生ブログ|明聖高等学校
通信制高校で必須のレポートとは?難易度や頻度などを知ろう|通信高校生ブログ|明聖高等学校
通信制高校の卒業までにかかる年数は?どんな人が通う?転入学・編入学時の例も紹介|通信高校生ブログ|明聖高等学校
通信制高校の費用はどれくらい?全日制高校の平均と比較すると?支援金制度についても解説|通信高校生ブログ|明聖高等学校
通信制高校の学費が免除・無償になる?支援金制度や奨学金について紹介|通信高校生ブログ|明聖高等学校
通信制高校を選ぶメリット・デメリットを紹介!どんな人が向いているか全日制や定時制と比較して解説|通信高校生ブログ|明聖高等学校
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