不登校は子どもの状態によっていくつかの種類に分けることができますが、その1つに「無気力タイプ」があります。子どもの状態によって支援の方法も変わってくるため、無気力タイプの特徴や原因を理解し、それに合わせた支援をおこなうことが重要です。当記事では、無気力タイプの不登校を解説し、タイプに合わせた支援方法を紹介していきます。

無気力タイプの不登校とは?

不登校になる原因の1つに、子どもが無気力に陥ってしまうことが挙げられます。これは、なんらかの理由で自己肯定感が低かったり、日々の生活に物足りなさを感じたりすることで無気力になり、通学に対して意欲が湧かない状況です。
 
文部科学省の調査※によると、小中高を通じて不登校の主因として「無気力・不安」と回答する割合が最も高くなっています。

小中学生の不登校の理由
 
高校生の不登校の理由

令和元年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果について
 
以下の記事にも不登校をタイプ別にして対処法などを記載しています。あわせて参考にしてみてください。
不登校とはどのような状態?5つのタイプ別に対処法を紹介

不登校になってしまう原因とは?

小学校から中学校に進学すると、学校生活が大きく変化します。この環境変化にうまくなじめず、不登校になってしまうことも少なくないようです。中学校における大きな変化として、まず人間関係が挙げられます。学級担任制が教科担任制になり、先生との関わり方が変わります。さらに生徒数が増え、部活動も始まるので生徒同士の関わり方も多様になります。慣れない先輩、後輩の関係性をストレスと感じる場合もあるでしょう。さらに、小学校にはなかった校則や制服を窮屈に感じたり、難易度が上がった学業に焦りを感じたりすることで、学校から足が遠のいてしまう子どももいます。
 
以下の記事にも不登校をタイプ別にして対処法などを記載しています。あわせてご覧ください。
中学生が不登校になる原因は?親ができることや今後の進路も紹介 | 通信高校生ブログ

無気力タイプの子どもに見られる特徴

無気力タイプの子どもに見られる3つの特徴を紹介します。

登校自体にもともと意欲的でない

そもそも学校に行くことに意味を見出せないという子どももいます。「学校に行く理由が見当たらない」「なぜ勉強をしなくてはいけないのか」と考えてしまうタイプです。最近では、インターネットやSNSの影響を受けてそのような考えに傾いてしまうケースも見られます。
 
それとは別に、学校での勉強以外の活動に時間をあてていて「学校に行く時間を作れない」というタイプの子どももいます。目標を持って活動するのは好ましいことですが、学業と両立させていく方法は考えておく必要があるでしょう。

不登校になった原因が明確でない

明確な理由がなく「何となくだるい」「めんどくさい」などの気分が続き、学校に行こうとする気力が起こらず、不登校になってしまうのが無気力タイプの特徴です。本人のなかでも明確な理由がわからず、どうしていいかわからない状態であることが少なくありません。
 
また、学校には行かないかわりに、テレビやゲームなどには熱中してしまうことがあります。ただし、ゲームなどに熱中すること自体は有害ではありません。遊ぶ時間を本人がコントロールできているのであれば、リフレッシュとして効果的なこともあります。ただし、ゲームに没頭するあまり、昼夜逆転してしまうなど、生活が大きく乱れる場合は本人と話し合うなどして、ルールを設けるなど、なんらかのアプローチをおこなったほうがよいでしょう。
 
子どもの状態が心配である場合は、下記の記事で詳しくご紹介しています。あわせてご覧ください。
不登校中にゲームばかり、依存症の心配はない?家庭での適切な対処法 | 通信高校生ブログ

精神的には落ち着いている

無気力タイプのなかには、学校生活に対して強い不安や不満を感じているわけではない子どももいます。自尊心が低くなっていることも少なくないため一概にはいえませんが、精神的には落ち着いているように見え、日常的な会話や生活はある程度こなすことはできるのも特徴です。
 
打ち込むものがないなどの理由から生活に充足感がなく、どこかうわの空といった状態が続いています。放っておくと不登校が長期化する恐れがあるので、早めにケアを考えたほうがよいでしょう。

不登校の前兆から回復までは4つの段階に分けられる

不登校に陥る子どもの精神状況は、大きく以下の4つの段階に分けることができます。もちろんすべてのケースがこれに当てはまるわけではありませんが、不登校の子どもと向き合ううえで知っておいて損はありません。

前駆期

心理的に不安定になり、不登校傾向が現れる段階です。「登校時間になっても学校へ行きたがらない」などの変化が起きます。この時期は、本人としては頑張りたい気持ちがあるのにうまく問題を整理できないという状態です。子どもから相談をもちかけるなどの明確な意思表示が少ないため、周囲が気付きにくい段階ともいえます。

進行期

感情や行動のコントロールが難しくなり、学校の話題に拒否感を示すようになります。段階が進むにつれ、保健室や相談室通いになったり、欠席が目立ちはじめたりします。

生活面では体調不良や、朝起きられない、睡眠時間がズレるなどの生活の乱れが生じる場合があります。「部屋に閉じこもって出てこない」などの行動変化が現れるのも特徴です。この段階は、本人も混乱や身体症状が現れる不安定な状態です。親子が不登校を受け入れて、心身ともに落ち着くまでの期間ともいえるでしょう。

混乱期

不登校を受け入れ、子どもの精神的不安定さがいったん治まる段階です。本人や周囲から「復学しなければ」という焦りがなくなることで、家庭内では落ち着きを取り戻します。行動が沈静化する一方で、趣味や遊びに興味が湧きはじめ、気持ちを言葉で表現できるようになるなど、ポジティブな要素も見られます。
 
周囲から見ると、本人が意欲を失っているように感じられますが、本人の心の内では「今後どうすればいいのか」といった混乱が生じている段階です。

回復期

本人が外へ向けて具体的に動きはじめる時期です。学習を始める、登校や進学、就職など、自立に向けたポジティブな変化が見られるのが特徴です。友人と遊んだり、好きな教科の学習に取り組んだりするなどの行動も増えます。勉強や学校に関心を持つようになるため、人によっては登校を試みて、徐々に安定しはじめる段階です。
 
心理状態とエネルギーが回復することで行動力も増しますが、ここで焦って頑張ってしまうことで、状況が少し逆戻りするように見える場合もあります。
 
以下の記事でも詳しくご紹介しています。あわせてご覧ください。
不登校からの回復にはどんな段階がある?子どものためにできることを紹介 | 通信高校生ブログ

無気力タイプの不登校を改善する方法

それでは、無気力な状態が続いてそのまま不登校になってしまった子どもにはどのような対処をすべきでしょうか。下記では3つの対策を挙げています。

強い言葉をかけない

不登校になった子どもに対して登校するように強い言葉をかけても、親子関係がこじれてしまい、逆効果になってしまう可能性があります。基本的には良好な関係を保つことで、子どもが今どのような気持ちを抱えているのかを理解し、時間をかけて解決策を導いていくことが望ましいでしょう。
 
むしろ、子どもの友人関係が不登校を脱するきっかけにもなるため、友人と連絡を取ったり遊ぶよう促したりすることも解決策の1つとして考えられます。学内に友人がいなければ、フリースクールなど学校外のコミュニティを活用するのもいいでしょう。親だけで対処するのではなく、さまざまな角度から子どもへのケアが必要になりますから、以下の記事も参考にしてみてください。
不登校は甘えじゃない!親ができる不登校になった子どもへの4つの対応

学校の先生との関係を良くする

これはあくまでも子どもの状態によりますが、学校の先生との関係を良くすることで通学できるようになることもあります。北海道大学の適応指導教室に通う中学生を対象にした調査によると、先生との関係が改善すると、無気力状態が改善する場合があることが示されています。
 
とはいえ、ケースバイケースではあります。子どもの状態によってはあまり効果が期待できないこともあるため、子どもの現状を踏まえながら支援していくことが大切です。

意欲の回復が見えたら行動を支援する

子どもに進学の意欲が見えてきたら、その行動をしっかりと支援していきましょう。学校に通っていないと、進学先に関して得られる情報が限られるため、子どもに代わって親が情報収集をする必要があります。ただし、親の期待や願望が先行して子どもにプレッシャーを与えないよう、十分な配慮が必要です。あくまでも、子どもの気持ちに寄り添う姿勢を保ちましょう。
 
以下の記事でも詳しくご紹介しています。あわせてご覧ください。
不登校から高校へ進学するときの注意点や親ができることは? | 通信高校生ブログ

全日制から通信制の学校へ転校する方法も

不登校から復学する場合、全日制高校から通信制高校に転校するという選択肢もあります。ここからは、通信制高校に転校するメリットについて解説していきます。

通信制高校がおすすめな理由とは?

通信制の学校は、基本的に通学せずに家庭で学べるため、不登校になった子どもでも学習しやすい環境だといえます。全日制の高校にはない、ITやデザイン系など魅力的なコースを揃えている高校も多く、不登校の子どもが学習に興味を持つきっかけになることも期待できます。多くの全日制高校は学年制を採用していますが、通信制高校は「単位制」を採用している場合が多く、それぞれのペースに応じて焦らずに勉強を進められるのもメリットだといえるでしょう。
 
さらに通信制高校では、不登校経験をはじめ人間関係に不安を抱えている生徒も大勢在籍しています。そのため心理面でのサポート体制が整った学校が多く、安心して学校生活と向き合えます。

通信制高校に通ったOBの声

明聖高校のWEBコースでは、パソコンやスマートフォン、タブレットを活用した学習動画で勉強を進める方式で、登校スクーリングは年間4日程度です。さまざまな目標を持った生徒が、この学習スタイルを活用して日々勉強に励んでいます。

Mさんの例:

中学時代は休みがちだったため、全日制高校に通うことに不安を抱いていたMさん。明聖高校のWEBコースでは、自分のペースで中学校の復習もできることに魅力を感じたとのことです。将来はスクールカウンセラーになりたいという目標を持っています。勉強以外の時間を活かして接客業のアルバイトにも励み、充実した日々を過ごすことができているそうです。

Kさんの例:

将来、海外で活躍するボーカリストを目指すKさん。歌の練習や語学の勉強に集中するためには、全日制高校では難しいと考え、明聖高校のWEBコースに入学したそうです。「やりたいことのためなら、勉強は苦にならない」と、語学の勉強とWEBコースの勉強を並行して取り組み、将来のために頑張っています。
 
明聖高校のWEBコースについて、以下の記事でも詳しくご紹介しています。あわせてご覧ください。
WEBコースの特徴 | 明聖高等学校WEBコース

子どもの不登校に悩んだら明聖高校にご相談ください

明聖高校では、家庭にいながら学習できるように、オンライン学習の教材やサポート体制を充実させています。教科書に対応した動画形式の教材などを用意していますので、自宅にいながら学校の授業のように勉強ができます。
 
また、専門のカウンセラーも常駐しており、精神面でのケアにも対応しています。担任の先生はもちろん、カウンセラーに相談すれば、今抱えている不安や悩みを和らげることができるでしょう。