通信制高校は、時間の融通が利きやすく、じっくり自分のペースで学習を進められる自由度の高さが特徴です。一方で、自由だからこそ卒業後の進路や高校生活についてよく考えておく必要があるといえます。
今回の記事では、通信制高校における生徒の卒業後の進路と、希望の進路を実現するためにやっておきたいことについて考えます。

1.通信制高校卒業後の進路事情は?

<通信制高校卒業者の進路>

大学等進学 …19.45%
専修学校(専門課程)進学 …24.72%
就職 …20.45%
(その他 …32.75%)
(「令和2年度学校基本調査」)
 
専修学校や大学などに進学した人は全体の約4割、就職は約2割で、通信制高校卒業者の約6割が進学か就職のいずれかの道に進んでいることがわかります。

この「その他」は、必ずしも消極的な状況だけを指しているわけではありません。例えば、この中には通信制高校を卒業後、芸能活動を仕事にすることを目指し、アルバイトをしながらレッスンやオーディションを受けているといった人も多く含まれています。通信制高校を卒業してすぐに就職・進学していなくても、夢の実現を目指して前向きに進んでいる人はたくさんいます。

通信制高校の卒業生には、進学や就職を含むさまざまな進路を実現したり、その実現に向けて努力したりしている人が多くいると考えるのがよいでしょう。

通信制高校は大学進学に不利?

通信制高校は全日制高校と比べて大学進学に不利にならないか、と不安に感じる人もいるのではないでしょうか。しかし、通信制高校を卒業しているからといって大学入試の際に不利になることはありません。
入試の際に大学側が確認するのは学習の成績や課外活動の状況など、高校時代に取り組んだ成果の部分です。卒業証明書にも通信制課程とは記載されないため、進学の際に区別される理由はないといえます。
ただし、通信制高校は必ずしも大学進学に特化したカリキュラムを組んでいる学校ばかりではありません。大学進学を検討する場合は、きちんとサポート体制が整った学校を選択することが重要です。
 
通信制高校からの大学進学について、詳しくはこちらのページもご覧ください。
通信制高校から大学進学は目指せる?進学率やカリキュラムをチェックしよう | 通信高校生ブログ

通信制高校を卒業すると就職に影響はある?

通信制高校を卒業したあと、就職する人の割合は約5人に1人で、この割合は全日制高校を卒業した人の割合とほぼ同じです。通信制高校を卒業した人の就職率が特別に低いということはありません。
そもそも、全日制・定時制・通信制のどの高校を卒業しても学歴は「高校卒業」となり、卒業資格に差はありません。また近年では、通信制高校の生徒数は増加の傾向にあり、それと同時に世間の人が抱くイメージも着実に変わってきています。
とはいえ、就職活動下の面接などで「なぜ通信制高校を選択したのか」と聞かれることもあるかもしれません。その場合は、どのような目的で通信制高校を選んだのかを明確に伝えることが重要です。学業以外に力を入れていることなどがあれば、大きなアピールポイントになります。
また、卒業後に就職したい分野について、通信制高校なら在学中に必要な資格やスキルを取得できます。就職活動では大きな武器になるので、積極的にアピールしていきましょう。
 
通信制高校卒業後の就職について、詳しくはこちらのページもご覧ください。
通信制高校を卒業したら就職に影響するの?履歴書や面接の対応方法もご紹介 | 通信高校生ブログ

就職したい人の通信制高校生活

就職を希望する場合は、まず、入学時や在学中に、どのような仕事に就きたいのかをよく考えましょう。そして、希望する仕事で必要なスキルがあれば、できるだけ在学中の取得を目指すのが得策です。

通信制高校で再スタートを切った場合の伝え方は?

通信制高校に通う人には、以前の学校を中途退学している人も少なくありません。「履歴書で中退しているとわかったら、選考に影響が出ないか」と心配になる人もいるのではないでしょうか。
しかし、中退していることが必ずしもネガティブな評価につながるわけではありません。まず前提として、履歴書には必ず正しい情報をありのままに記入しましょう。面接の際には、中退した理由について聞かれるケースも多いものです。その際に面接官が納得できるよう「なぜ中退したのか」「どのような気持ちで再スタートしたのか」といった内容を、きちんと話せるように準備しておきましょう。
 
高校中退後に再スタートを切った場合、就職時にどう伝えればよいのか、詳しくは以下のページもご覧ください。
高校中退の理由で多いのは?就職活動でどう伝える?再スタートを切るための向き合い方 | 通信高校生ブログ

大学へ進学したい人の通信制高校生活

進学を目指す場合は、まず十分な学力を身につけていく必要があります。
卒業要件になっている単位の修得だけを目指すのではなく、受験を視野に入れて日々の学習に取り組むことが大切です。教科書や学校で使用している参考書だけでなく、志望大学・専門学校の入試に特化した教材を活用したり、場合によっては塾・予備校に通ったりすることも検討するとよいでしょう。

全日制と通信制の勉強量に違いはある?

全日制高校では中学校までと同様に毎日学校で授業を受けて、3年間で必要な勉強をします。学期ごとの定期試験で赤点を取らなければ次の学年に進級することが可能で、多くの学校は3年間在籍すれば卒業できる「学年制」をとっています。
一方通信制高校は、毎日登校するコースもありますが、基本的には自宅学習がメインです。教科書やワークのほか、学校によってはWeb上での動画授業や練習問題などでも勉強を進めていきます。多くの通信制高校では、試験に合格して単位を修得し、必要単位数を満たせば卒業できる「単位制」という仕組みが採用されています(3年以上は在籍する必要があります)。
全日制と通信制は学習のスタイルは大きく違いますが、高校卒業までに必要な単位はまったく同じです。ただし、通信制の場合は自主学習がメインになるため、必要な単位を修得するための自己管理が大切になります。特に大学進学を考えた際には、決められた学習をこなすだけではなく、強い意志を持って主体的に学習を進めることが重要です。
 
通信制高校の勉強方法について、詳しくは以下のページもご覧ください。
通信制高校の勉強方法は全日制高校とどう違う?自分に合った勉強方法の考え方を解説 | 通信高校生ブログ

高卒資格や高卒認定は進学・就職にどう影響するか

高校卒業に際しては「高卒資格」と「高卒認定」という制度があります。名称はよく似ていますが、内容が異なるため、自分の将来に必要なのはどちらなのか、確認しておきましょう。
高卒資格とは「高等学校卒業資格」のことで、「高校を卒業した」という事実を示しています。一方の高卒認定は「高等学校卒業程度認定試験」のことで、「(高校を卒業していないけれど)高校卒業と同等程度の学力を認定する」ものです。
大学へ進学を検討した場合は「高卒資格」でも「高卒認定」でも受験資格があるので、どちらでも出願が可能です。ただし、進学しない場合は、高卒資格を持っているときは「高校卒業」が最終学歴になるのに対し、高卒認定を受けているときは「中学校卒業」が最終学歴になるという違いが生じます。
 
高卒資格や高卒認定について、詳しくは以下のページもご覧ください。
高卒資格と高卒認定、どちらを取得するほうがいい?取得方法や証明内容の違いを解説 | 通信高校生ブログ

卒業後に夢をかなえるために。進路サポートの充実した通信制高校を選ぼう

通信制高校には、スクーリングという登校日が設定されています。スクーリングでは、対面で授業を受けたり、先生に個別に相談したりすることが可能です。進路に関する相談もこのタイミングでおこないましょう。

さらに、明聖高校では「進路対策ウィーク」という取り組みを実施しています。これは、校内・外部の進路指導のスペシャリストが中心となり、一週間かけて生徒自身が自分の進路をじっくり考えるプログラムです。適性検査や面接指導はもちろん、受験・就職に向けた具体的なレクチャーも満載の「進路対策ウィーク」で、自分にピッタリの進路を探しましょう。
 
明聖高校の進路指導について、詳しくは以下のページもご覧ください。
進路指導|通信制高校(千葉・中野)|明聖高等学校