通信制高校は、文字どおり通信教育によって卒業を目指す学校ですが、実際にはどのように勉強を進めるのでしょうか。中学校や一般的な「高校」としてイメージされる全日制高校とは仕組みが大きく異なるため、なかなか想像できない人もいるかもしれません。
今回は、通信制高校における勉強方法の特徴や、自分に合った勉強方法を考えるポイントについて解説します。

通信制高校と全日制高校の勉強方法を比較してみよう

通信制高校の勉強方法は全日制高校とさまざまな点で異なります。

全日制高校での勉強方法は、基本的に中学校までと同じです。平日に毎日学校に通って授業を受け、帰宅したらその日の宿題と復習、次の日の予習をします。また、1年に5回(3学期制)あるいは4回(2学期制)の定期試験があり、主に試験前の1~2週間で集中的に試験対策をします。高校には中学校と違って留年がありますが、試験で欠点(赤点)を取らなければ次の学年に進級することが可能です。留年しない限り、3年間在籍すれば卒業できる「学年制」の学校が多くなっています。

一方、通信制高校では、毎日登校して授業を受ける学校はそれほど多くありません。そのため、自宅学習も毎日の宿題・予習・復習といったスタイルではなくなります。
また、試験の頻度が1年に1回程度と少ないのも特徴です。試験の内容や範囲が全日制高校と異なるため、対策の仕方も変わってきます。
さらに「学年」というものが基本的にありません。試験に合格して単位を修得し、必要単位数を満たせば卒業できる「単位制」という仕組みが採用されています(3年以上は在籍する必要があります)。

通信制高校と全日制高校の仕組みの違いが、勉強方法の違いを生んでいることがわかるでしょう。

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通信制高校と全日制高校の違いは?通学・授業や卒業要件、費用について解説

通信制高校の勉強方法を紹介!レポート、スクーリング、単位認定試験の3本柱

通信制高校では、次のような方法で勉強を進めます。

自主学習とレポート(添削指導)

登校日数が少ない通信制高校では、自宅での自主学習がメインです。教科書やワークのほか、学校によってはWEB上での動画授業や練習問題などでも勉強します。わからないところがあったときには、電話やメールなどで先生に相談することも可能です。

自主学習の進み具合や理解度は、学校にレポートを提出して報告します。レポートといっても論述形式ではなく、基礎的な問題を解く形式が主流です。提出したレポートは数日後、学校の先生に添削されて返ってくるため、アドバイスを読みながら復習します。レポートの本数は学校によって異なりますが、全日制高校で毎日宿題がある場合に比べると少ないケースが多いようです。

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通信制高校で必須のレポートとは?難易度や頻度などを知ろう

スクーリング(面接指導)

学校に登校して、対面で授業を受けたり、先生に個別に相談したりします。自主学習を効果的に進めるサポート的な位置づけです。

スクーリングの日数や時間帯は学校によってさまざまですが、文部科学省から示されている決まりで、スクーリングが0時間という通信制高校はありません。

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単位認定試験

高校卒業のために必要な単位を修得するための試験です。受験に条件があり、科目ごとに決められた本数のレポートを提出し、一定のスクーリング出席時間を満たさなければ受験できません。

タイミング・回数は年度末に1回が基本です。科目ごとの総まとめとしてのテストであるため、全日制高校よりも試験範囲が広くなります。ただし、出題内容や難易度は、これまで提出してきたレポートを重点的に復習すれば十分解答できるよう設定されているケースが多いようです。

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通信制高校では勉強方法の自己管理が大切。受け身の勉強では卒業は難しい

自主学習を基本とする通信制高校では、勉強への意志をしっかり持ち、自分に合った勉強の仕方を自ら考えて、それを実行することが大切です。

全日制高校は極端にいえば、3年間学校に通い、決められた授業を受けて、出された宿題をこなせば卒業できる側面があります。
一方、通信制高校では、受け身の姿勢で勉強していては卒業が難しいのが現実です。宿題が出されなくても自分から勉強を進めなければレポートは提出できませんし、レポートが提出できなければ単位認定試験も受けられません。

時間の融通が利く分、自分の勉強方法を主体的に管理することが必要です。

【3ステップ】自分に合った通信制高校での勉強方法を考えよう!

通信制高校における自主学習では、自分に合った勉強方法を見つけることが重要です。次の3つのステップで考えてみましょう。

【ステップ1】目標を設定する

やみくもに勉強するのではなく「いつまでに何をどこまで勉強するか」という目標を立てます。まず長期的で大きな目標(3年で高校を卒業する など)を立ててから、より短期的で小さな目標(1年間で●単位修得する など)に落とし込んでいきましょう。小さな目標を積み重ねていけば、最終的に大きな目標を達成できるようにするのがポイントです。
さらに、レポート提出の〆切や単位認定試験の日程と、そこまでに取り組まなければならない学習範囲(単元数、教科書の項目数、問題集のページ数)など、学校で決められている目標も書き出してみましょう。

目標は入学当初や年度初めにすべて決めなくても構いません。勉強を進める中でだんだんとやるべきことがはっきりしてきたら、少しずつ目標を細かくしていきます。
また、目標は無理をしないと達成できないようなものを立てるのではなく、実現できる範囲で余裕を持って設定することが大切です。

【ステップ2】スケジュールを立てる

細かい目標まで立てられたら、それを達成するためのスケジュールを考えましょう。目標の学習範囲を、勉強できる日数・時間数で割るのが基本的な考え方です。スケジュールも目標と同様、余裕を持って立てることが大切です。

例えば、次のレポート提出までに勉強できる日数が10日で、教科書の2つの項目が範囲になっているとしたら、5日間で1項目勉強しなければなりません。1項目がだいたい5ページだとしたら、単純計算して1日で1ページ前後勉強すれば間に合います。

また、次のような点に注意しましょう。

  • ・仕事やトレーニングの予定、体調などを考えて、1日の勉強時間や勉強量に無理はないか。
  • ・予定が入っていて勉強できない日はないか。
  • ・スケジュールに遅れてしまった場合の予備日は確保できているか。

【ステップ3】目標とスケジュールを必要に応じて見直す

もし、スケジュールをこなすことが厳しい場合は、スケジュールの立て方や目標を見直してみましょう。
通信制高校の先生は、学習内容だけでなく、勉強方法についても指導してくれるため、独りで目標やスケジュールを立てるのが難しいときは相談してみるのがおすすめです。