通信制高校の学習では、レポートの提出が欠かせません。通信制高校のレポートは、生徒が毎日学校へ通って授業を受けているわけではない中、教員が生徒の日々の学習成果を把握する意味を持ちます。
ここでは、「通信制高校のレポートはどのような内容なのか」「難しくはないのか」「どのくらいの頻度や期限で提出しなければならないのか」など、通信制高校のレポートに関する疑問について解説していきます。

通信制高校ではレポート提出が単位修得と卒業の条件

通信制高校では、日々のレポート(添削指導)と、定められたスクーリング(登校・面接指導)への参加、そして教科ごとに実施されるテスト(単位認定試験)で一定の成果をあげることで、単位を修得していきます。基本的に、レポート提出とスクーリング出席の基準をクリアすることが、単位認定試験受験の条件です。

学校へ通うスクーリングの部分が少ない分、レポートという形で学習成果の報告を行わなければならないところが、全日制高校との大きな違いです。また、学力を測る単位認定試験だけでは単位が修得できないところが、高校卒業資格と高等学校卒業程度認定(いわゆる高認)との違いでもあります。

通信制高校を卒業するには、単に通学するだけでも、学力を証明だけでも足りず、学習している過程を高校に報告することが必要だとわかるでしょう。

通信制高校のレポートの内容や難易度~ 教科書を見ながら問題形式で作れるレポートがほとんど

「レポート」と聞くと、大学などで課されている論述形式のものを想像する人も多いでしょう。「大変そうだな」というイメージを抱く人もいるかもしれません。

ですが、実際の通信制高校のレポートは、基本的に独りで取り組めないほど難しいことはありませんし、内容から構成まで自分で考えて書き上げなければならないようなものでもありません。
大学のレポートは小論文に近く、自身の考察を求められる課題です。これに対して通信制高校のレポートは、生徒が学習内容をどれだけ理解しているか、どこでどのようにつまずいているかを教員がチェックし、添削指導していくことを目的としています。そのため、例えば教科書の対応ページを読みながら空欄を埋める基礎問題集のような内容・形式になっているものが多く見られます。また、総合的な学習の時間のレポートなどでは、自分で資料を探してまとめるような自由研究に近いものもあるようです。いずれにしても、問題に答える形式で作成できるレポートが一般的だといえます。

もっとも、通信制高校でも学校・コースによって学習内容や難易度が異なるため、例えば、難関大学進学を目標としているような通信制高校では、難易度の高いレポートが課される可能性もあります。とはいえ、単位認定試験に至るまでの準備ともいえるレポートですから、基本的には合格できないほど難しいものはないと考えてよいでしょう。

ただし、簡単だからといって、学習をしなくてもレポートを作成できるわけではありません。例えば、文部科学省が2016年9月に策定した「高等学校通信教育の質の確保・向上のためのガイドライン」では、「マークシート形式のように機械的に採点ができるような課題や、択一式の問題のみで構成される課題は不適切である」と明記されていることから、レポートは原則として、用語や短文を記述する形式になっていると考えられます。レポートをオンラインで提出できる通信制高校も増えていますが、その場合でも単純なクイズ形式ではないと考えましょう。

通信制高校のレポートの本数・頻度~ 週2~3通で全日制高校の宿題より少なめ

レポートの提出数については学校やコース、履修科目などによっても異なりますが、例えば、東京都教育委員会によると、都立通信制高校では「30単位登録の場合、年間約82~86通の報告課題を学校に送付する」とされています。

年間80通を超えると聞くと多いように感じるかもしれませんが、全日制高校の登校日数が年間約40週ですから、単純に割れば週に2~3通の計算です。実際にはそんなに均等にレポートの締め切りが設けられることはありませんから、レポートが集中する時期はあると思いますが、妥当な量ですよね。全日制高校ではほぼ毎日宿題が出ていることもありますから、通信制高校のレポートの本数は決して多くないことがわかるでしょう。

レポートを提出しなければ単位はもらえない!レポートの流れは?

全日制高校では少しくらい宿題を出さなくても卒業できるかもしれませんが、通信制高校ではレポートを提出しなければ単位を修得できず、卒業できません。しっかり学習の予定を立てて、早めに、確実に取り組んでおく必要があります。

また、レポートは単に出せばよいというものではなく、ある程度の水準を満たさなければ再提出になります。「レポートが不合格だから単位が修得できない」ということはありませんが、不合格の場合は合格するまで提出しなければならないこともあわせて覚えておく必要があるでしょう。

  • レポート提出の流れは学校によって異なりますが、おおむねは以下のようになっています。
  • 1. レポートに取り組む
  • 2. レポートを提出する(郵送/オンラインなど)
  • 3. 担当の先生が添削(採点だけでなく、コメントや解説ももらえる)
  • 4. 生徒に返却

レポートの添削では、採点だけでなく、学習のポイントやアドバイスも記載してくれることになっていますから、次回以降のレポートや単位認定試験に活かすことができます。不合格でもしっかりアドバイスを聞いて再チャレンジしましょう。