音楽を聴きながら勉強したい人にとって、それが勉強に悪影響を及ぼさないか心配ですよね。
 
音楽を聴きながら勉強しつつ、集中力や記憶力を維持するには、選曲や聴き方に工夫が必要です。
 
今回は、音楽を聴きながら勉強する効果やポイントを科学的根拠に基づいて解説します。音楽を上手に活用すれば勉強もはかどるので、参考にしてみてください。

音楽を聴きながら勉強するときは聴き方に気を付けよう!

音楽を聴きながら勉強したいと思いつつ、集中できなかったら意味がないと心配な人もいるでしょう。
 
実は、音楽を聴きながら勉強すると、集中力や記憶力が高まるという研究もあります。ただし、そのためには選曲や聴き方に気を付けることが大切です。

音楽を聴きながら勉強する効果

ここからは、音楽を聴きながら勉強した場合の効果について、各種研究で効果が示されているものを厳選して紹介します。
 
ただし、実験をおこなったときと家では環境や条件の違いがあるので、必ず同じ効果が得られるとは限りません。また、「音楽を聴きながら勉強するのがよい」というよりは、「こういう条件なら音楽を聴きながら勉強しても悪影響は少ない」というとらえ方が正しいです。
 
自分で試してみて、効果を感じるものがあれば、取り入れてみるという考え方で参考にしてください。

音楽を聴くと気分が上がり、単調な作業に集中しやすくなる

ある実験(※1)では、単調な作業中に好きな音楽をかけると、以下の効果が見られました。

  • ● ぼんやりして関係のないことを考えてしまうことが減る
  • ● 気分や覚醒度の高まりが見られる
  • ● 反応速度が速くなる

この実験は、あくまで単調な作業が対象となっていますが、勉強にも応用できます。
 
例えば、なかなか勉強に取りかかれないときに、音楽をかけながら漢字練習や計算ドリルなど頭をあまり使わない単調な勉強から始めてみましょう。スモールスタートで気分良く勉強を始めれば、そのあとの勉強にも取り組みやすくなるかもしれません。
 
ただし、新しい内容を暗記したり、文章を読んで理解したりする勉強では、音楽が妨げになる可能性があります。そのため、本格的な勉強に入るときは音楽を止めたり、聴き方や曲選びを工夫したりすることが大切です。

歌詞のない音楽のほうが集中を妨げにくい

ある実験(※2)では、歌詞なし音楽と歌詞あり音楽を聴きながら、単語の記憶や文章読解、計算などの課題に取り組みました。その結果、歌詞なし音楽は悪影響が少なかったのに対し、歌詞あり音楽では記憶力や読解力の低下が見られました。
 
また別の実験(※3)では、歌詞なしの音楽を聴きながら計算問題を解いたところ、音楽なしや歌詞あり音楽の条件と比べて、もっとも解答数と正答数が高いという結果も出ています。
 
このように、音楽を聴きながら勉強するときは、歌詞ありの音楽よりも歌詞のない音楽のほうが集中を妨げにくいといえます。

適度な音量は集中力へ悪影響を及ぼしにくい

ある実験(※4)では、95デシベルという大きな騒音のなかだと、明らかに集中力が落ちることがわかりました。これはパチンコ店内に近いレベルの音量です。
 
一方で、75デシベルや85デシベル程度なら、45デシベル(静かな環境)とそれほど変わらない結果でした。75〜85デシベルとは、日常生活でいうとコーヒーショップやファミリーレストランの店内、電車内くらいの音量です。
 
別の実験(※5)では、50デシベルの静かな環境と比較すると、70デシベルの適度な騒音のなかのほうが、創造的なタスクのパフォーマンスが向上したという結果が出ています。創造的なタスクを勉強に置き換えると、小論文や記述式の問題などがあてはまるでしょう。
 
つまり、勉強するときに音楽を聴くなら、70〜85デシベル程度(カフェやファミレス、電車のなかくらいの音量)が適していると考えられます。

自然音や環境音が集中を助ける

ある実験(※6)では、都市の音よりも以下のような自然音のほうが、集中力や注意力、記憶力の向上が見られました。

  • ● 鳥の鳴き声
  • ● 水の音(川や波の音)
  • ● 風や雨の音
  • ● 複数の自然音を混ぜた音

このうち、特に「複数の自然音を混ぜた音」は、単一の自然音よりも効果が高いことがわかっています。
 
これらのことから、勉強するときに音楽を聴くなら、複数の自然音が混ざった環境音をBGMとしてかけると、集中力アップにつながる可能性があるといえます。

好きな音楽はモチベーションを高める

ある実験(※7)では、授業前に好きな音楽を聴くと、気分やモチベーション、集中力、学習効果が向上するという結果が得られました。特に元気で明るい音楽ほど効果が高く、なかでも気分とモチベーションへの影響が大きいことがわかっています。
 
また、自分で選んだ好きな曲ほど効果があるようです。
 
これらのことから、勉強前に好きな曲を1曲聴いてみると、勉強へのモチベーションを高められる可能性があるといえます。

音楽を聴きながら勉強するときのポイント

ここからは、前章で紹介した効果を踏まえて、勉強するときのポイントを紹介します。

集中したいときは歌詞のない音楽を選ぶ

暗記や読解など、集中力を必要とする勉強では、歌詞のない音楽が向いています。歌詞のある曲を聴くと、無意識に言葉を追ってしまい、勉強内容が頭に入りにくくなってしまうためです。
 
ピアノやクラシックなどのインストゥルメンタル音楽や自然音などを選びましょう。

音量はカフェくらいに抑える

音量が大きすぎると集中が途切れやすくなるため、カフェで流れているBGMの音量くらいに抑えましょう。
 
イヤホンやヘッドホンを使うのであれば、音量を半分以下に設定し、周囲の音がわずかに聞こえるくらいに設定するのがおすすめです。

好きな音楽は勉強前や休憩中に聴く

勉強を始める前や休憩中に1〜2曲だけ聴くと、気持ちを切り替えやすくなります。
 
好きな音楽が歌詞ありの場合は、勉強中ではなく前後の短い時間に聴くほうが効果的です。勉強中はインストゥルメンタル曲や自然音に戻して、集中をキープしましょう。

音楽と組み合わせると効果的な勉強方法

ここからは、単純に音楽を聴くだけではなく、組み合わせることでさらに学習効果が期待できる方法を紹介します。
 
なお、これらを実践するときも、先ほど説明したポイントを守った選曲や聴き方が大切です。

音楽 × ポモドーロ・テクニックで集中をリズム化する

25分勉強して5分休憩するというサイクルに音楽を取り入れると、集中のリズムをつくりやすくなります。これは、ポモドーロ・テクニックと呼ばれる方法です。
 
時間を区切って勉強することで、脳の疲労を防ぎやすくなります。加えて、休憩中の5分間で好きな音楽を聴くと、気分やモチベーションが上がりやすくなります。
 
音楽を聴きながらポモドーロ・テクニックを使うのであれば、勉強中はインストゥルメンタルや自然音のBGMを流し、休憩中は好きな曲を流すというサイクルがおすすめです。

音楽 × 軽い運動で記憶の定着を促す

勉強中に音楽を聴くだけではなく、軽く体を動かすと、さらに記憶への定着効果が高まる可能性があります。
 
ある研究(※8)では、30分の有酸素運動をおこなったあとに記憶課題に取り組むと、運動をしなかった場合と比べて長期記憶の成績が向上することがわかりました。運動によって脳がほどよく刺激されて、記憶の定着が促進されると考えられています。
 
また、別の研究(※9)では、音楽は運動のリズムを安定化させる役割を果たすことが明らかになっています。音楽のビートに合わせて体を動かすことで、運動がより継続しやすくなり、自然なリズムが生まれるのです。
 
これらを応用して、暗記カードを使って英単語や歴史用語を覚えるときは、音楽を聴きつつリズムに合わせて歩きながらやってみると、記憶が定着しやすくなるかもしれません。

音楽 × 睡眠で勉強内容を整理する

勉強したあとは、寝るときにクラシック音楽を聴くことで、勉強した内容が記憶として定着しやすくなる可能性があります。
 
ある研究(※10)では、寝るときにクラシック音楽を45分間流したところ、睡眠の質が向上することが示されました。クラシック音楽を聴くことで入眠が早まり、深い睡眠が増加したのです。このとき、音楽を聴きながら寝落ちしても構いません。
 
また、別の研究(※11)では、夕方に学習してすぐに睡眠をとったグループは、朝に学習して長時間起きていたグループと比べて、記憶の定着率が高いことがわかりました。さらに、学習後に徹夜をしたグループは、睡眠をとったグループよりも48時間後の記憶成績が低下していたのです。
 
これらを踏まえると、勉強を終えたらすぐに寝る準備をし、クラシック音楽を聴きながら眠りにつくことで、その日に学んだ内容が記憶に残りやすくなる効果が期待できます。

自分に合った音楽環境を見つけて勉強するのがおすすめ!

音楽の効果は人によって変わるため、自分が一番集中できる音や環境を見つけることが大切です。
ある研究(※12)では、自分の理解度を振り返りながら学習を進めることが、成果の向上につながると示されています。
 
これを応用して、勉強のたびに「どんな音楽を流したか」「集中できたか」を振り返って簡単にメモしておくと、自分に合ったパターンが見えてきます。
 
静かなBGMで集中しやすい日もあれば、環境音のほうが落ち着く日もあるかもしれません。こうした自分の傾向をつかめば、テスト前や宿題中など、場面ごとに音楽を使い分けられるようになるでしょう。