毎日学校でクラスメイトや先生と、コミュニケーションを取らなければならない中高生にとって、人見知りは大きな悩みです。
 
なんとかしたいと思いつつ、どうしても不安や恐怖で一歩を踏み出せない人も多いでしょう。人見知りに悩んでいる人は、コツを押さえたコミュニケーションを繰り返すことで、少しずつ会話が上手になり、不安や恐怖を払拭できます。
 
今回は、中高生にありがちな人見知りの特徴と原因、コミュニケーションのコツを解説します。人見知りで悩んでいる人は、参考にしてみてください。

人見知りとは

人見知りは「見慣れない人に対して不安を感じたり、恥ずかしがったりすること」を指します。
 
もともとは、子どもの発達段階における特性を指していました。赤ちゃんは、人を区別できるようになるとともに感情が成長し、知らない人を見て泣いたり、顔をそむけたりして、人見知りをする場合があります。
 
赤ちゃんだけでなく、初対面の人やよく知らない人とうまくコミュニケーションが取れない中高生や大人もたくさんいます。

中高生の人見知りの特徴

人見知りの中高生には、以下のような特徴があります。あてはまっている項目があれば、あなたは人見知りかもしれません。

自分に自信がない

人見知りの人は、自分に自信がない人が多く、知らない人とコミュニケーションを取るのが苦手です。
 
例えば「自分があいさつをしても返してもらえない」と決めつけて、あいさつや声かけができないケースが該当します。
 
「自分が話して笑われたらどうしよう」「自分の話なんかみんな興味ないはず」などと自分で決めつけてしまい、会話を避けがちです。
 
また、家庭で自分の意見を否定されたり、話を聞いてもらえなかったりという経験が多いと、コミュニケーションが怖くなることがあります。
 
過去のコミュニケーションの失敗を引きずっている場合、一歩踏み出すことができず、新しい人間関係を作ることを躊躇してしまうことがあるでしょう。その結果、自分の殻に閉じこもってしまい、悪循環が生まれます。

会話中に目を合わせられない

人見知りの人のなかには、会話中に目を合わせられない人がいます。
 
背景には「話しているときにどこを見てよいのかわからない」「話している最中にこのまま続けてよいのか不安になる」などの心理が考えられます。不安や焦りが形となって、視線を合わせられないのです。
 
こうした不安や焦りの発生源も、正しいコミュニケーションの経験が少ないことでしょう。雑談の仕方がわからないと目がキョロキョロ動いてしまったり、目をそらして大人数の会話に参加しないことでコミュニケーションを避けたりなどにつながります。

受け身になることが多い

人見知りの人は、自分の意見をどう伝えればよいかわからず、相手の発言を待つことが多い傾向にあります。
 
例えば、部活の先輩にアドバイスをもらったものの、なんと言えばいいかわからず、気まずい笑顔でうなずくだけになってしまうなどです。
 
どこまで本心を打ち明けてよいのかわからなかったり、相手のリアクションを気にしすぎて言葉数が少なくなったりなどの人は、受け身になりがちです。
 
自分からアクションを起こさなければ失敗することもないので、発言しないほうが安心なのです。

打ち解けた人となら話せる

人見知りの人は、一度打ち解けた人となら比較的リラックスして話せる傾向があります。
 
信頼できる相手には、なんでも好きなように話せる人も多いでしょう。例えば、大人数のなかでは静かだけれど、親友と2人きりになると急にテンションが上がって、たくさん喋る人が該当します。
 
親しい人とは良好な関係を築けているため、多少失敗しても許してもらえるという安心感を抱いているのです。一方、親しくない人とはそこまで関係を築けていないので、警戒しており自分を解放できないでいます。

中高生の人見知りの原因

中高生の人見知りの原因は、大きく分けて3つあります。原因がわかっても解消が難しいものもありますが、改善につなげるためにも、まずはこれまでの経験を振り返ってみましょう。

生まれつきの気質

生まれつきの気質が内向的で、新しい環境や人に馴染むのに時間がかかるタイプは、人見知りになりやすいです。
 
以下に該当する人は、生まれつきの気質が原因で人見知りになっているかもしれません。

● 大人数の場や初対面の人との会話で疲れやすい
● もともと慎重な性格で、相手の様子をうかがいすぎて積極的に話しかけられない

心理学の世界では、生まれつき持っている気質は、変えられないとされています。かといって、一生人見知りのままだと落ち込む必要はありません。あとで、人見知りを治すコミュニケーションのコツを紹介するので、参考にしてみてください。

過去のネガティブな経験

人間関係やコミュニケーションなどで、過去にネガティブな経験をたくさんしてきた人は、不安や恐怖から人見知りにおちいることがあります。

以下は、ネガティブな経験の例です。

● 小中学校で友達関係の構築に失敗し「また嫌われるかも」と不安になる
● 発言をからかわれたり否定されたりした経験があり、話すことに自信がない
● 仲間外れや無視をされた経験があり、人と関わるのが怖い
● 自分の意見を伝えてトラブルになった経験があり、発言を控えるようになった

人間には、苦痛や不快な感情から無意識に自分を守って心の安定を保つ「自己防衛機制」という機能が備わっています。そのため、人とのコミュニケーションのなかでたくさんネガティブな経験をしてきた人は、無意識に会話を避けるようになり、人見知りの状態になりがちです。

家庭環境の影響

人見知りの人は、家庭環境の影響を受けている場合があります。
 
例えば、親子で病院に訪れたとき、何歳になっても親が子どもの病状を説明してしまうなど、子どもが自分で伝える場面を奪ってしまうケースが考えられます。子どもは「本当は違うのにな」と思いつつも、口を出すと怒られるからという理由で黙っていることもあるでしょう。
 
このように、自分の意見を伝えたり話したりする場面を奪われてきた人は、他人との間でも無意識に同じように行動して、押し黙ってしまいます。
 
また、家庭内で会話が少ないとコミュニケーションの練習ができていないため、対人関係に影響が出ます。本来家庭内で済ませておくべき失敗やネガティブな経験を、他人との関係のなかで積み重ねてしまい、人見知りにつながるのです。
 
ほかにも「失敗してはいけない」と厳しく育てられたため、人前で間違うことを極端に恐れているケースもあります。
 
子どもにとっては、家庭でのコミュニケーションが自分のなかで自然なコミュニケーションの方法になります。それが、世間一般や友達との認識と食い違うと、うまく関係を築けない経験につながり、不安や恐怖を生むのです。

中高生の人見知りは治せる?コミュニケーションのコツ

コミュニケーションのコツを押さえると、うまくできなかった会話が改善され、不安や恐怖を和らげることが可能です。ここで3つのコツを紹介するので、参考にしてみてください。

あいさつや短い会話からはじめよう!

人見知りの場合、クラス替え後の新学期や進学後のタイミングは不安や恐怖が大きいでしょう。知らない人に自分から話しかけられず、受け身になってしまった結果、出遅れたり、長期間友達ができなかったりします。
 
こうした事態を避けるためにも、自分から話しかけられるようになることが大切です。まずは、少しの挨拶や短い会話から始めてみましょう。
 
例えば、教室で席が隣の人に、小さい声でもよいので朝登校したときに「おはよう」と言ってみてください。ハードルが高いように思いますが、「返してくれればいいな」くらいの気持ちでやってみましょう。
 
また、友達になりたい人に対しては、挨拶とともに短い会話を投げかけてみてください。「〇〇のYouTube見た?」など、「はい」か「いいえ」で答えられる話題だと、短い会話でも成立します。そのあと会話が続かなくても大丈夫です。少しずつ慣れていくはずです。
 
1対1の会話に慣れたら、複数の人と話してみましょう。輪に入るのは大変かもしれませんが、1対1がクリアできたら問題ありません。ただし、無理はせずできる範囲で少しずつ挑戦してみてください。

相手の話を聴くことに専念してみよう!

自分から話しかけるのが難しい人は、相手の話を聴くことに集中してみましょう。
 
無理に話さなくても、うなずいたり相づちを打つだけで会話は成立します。このとき、目をそらすと、相手に「興味ないんだな」と思われてしまうので注意してください。目を合わせるのが苦手なら、相手の鼻や眉間を見ると自然です。
 
相手が話しているときは、静かに聞いて「へぇ、そうなんだ」と思うだけでも大丈夫です。笑顔で、「うんうん」とうなずいていれば、相手は安心して話せるでしょう。
 
相手が話題を振ってくれたり、意見を求められたりしたときは、頑張りどきです。すぐに返答できないときは「少し考えてみてもいい?」などワンクッション置くなどして、待ってもらうのもひとつの手です。

失敗しても大丈夫という考え方を身につけよう!

人見知りを改善するためには、失敗しても大丈夫という考え方が大切です。失敗しても「みんなそんなに気にしてない」と思うようにします。実際、人の失敗なんて覚えていない人のほうが多いものです。
 
過去のネガティブな経験から、同じ失敗をしたらどうしようと不安になる人もいるでしょう。他人とコミュニケーションを取った日の夜、「あのときああ言ったけど大丈夫だったかな?」「こう言えばよかったな」など反省会をしがちな人もいるはずです。
 
こういう人たちは、他人の顔色をうかがいすぎだったり、コミュニケーションに正解を求めすぎだったりします。
 
他人の考えが見えないからこそ、言葉を通じてコミュニケーションを取ります。もし相手に嫌な思いをさせてしまったのであれば、「ごめんね、次から気を付けるね」と伝えれば大丈夫です。
 
相手の考えを知りたいという姿勢で誠実に対応すれば、基本的には大事になりません。もし、それで関係がうまくいかなくなっても、自分とは相性が悪かったと切り替えましょう。

人見知りでも大丈夫!自分のペースで人と関われる場所を探そう

中高生にとって、学校はコミュニケーションの連続です。そのなかで「人見知りを治さなくては!」と思うと、学校生活に疲れてしまうでしょう。
 
人見知りを前向きにとらえて、付き合っていく方法もあります。自分のペースでゆっくり人と関われる場所を見つけて、少しずつコミュニケーションを増やしていくことです。
 
明聖高校のような通信制高校なら、それが可能です。通信制高校とは、オンライン授業や自宅学習などの通信教育を通じて高校卒業資格の取得を目指せる学校です。全日制高校とは違って、毎日学校に通わなくてよいため、クラスメイトや先生と顔を合わせる回数も少ないのが特徴です。
 
コミュニケーションを取る機会は減りますが、毎日頑張る必要がなくなるため、自分のペースで人と関われるようになります。
 
明聖高校のWEBコースは、年に3~4回の登校で単位を修得できます。普段は「サイバー学習国」というオンラインの学校を通じて授業を受けたり、クラスメイトと話したりできます。
 
対面とはちがって、テキストによるコミュニケーションが主体です。ゆっくり文面を考えられるので、対面のコミュニケーションよりも不安や恐怖を感じにくいでしょう。興味があれば、ぜひ一度遊びに来てみてください。
 
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