中学校や高校へ進学する際「スクールカーストってあるのかな?」と不安に感じている小中学生はたくさんいます。
 
ドラマや漫画でスクールカーストが出てくることも増え、カーストの底辺にいるといじめられるというイメージをもっている人もいるでしょう。
 
この記事では、少しでもみなさんの不安をやわらげられるよう、スクールカーストの意味や属さない方法を解説します。スクールカーストに不安を抱いている人や、気にせずに学校生活を送りたい人は、ぜひ最後まで読んでください。

スクールカーストとは?

スクールカーストとは、クラスメイトそれぞれがランクづけされた状況で、例えば次のように上位から順に1〜3軍またはA~Cなどとランクづけされています。

ランク 特徴
1軍またはA ・カーストの最上位
・クラスの人気者というイメージが強い
2軍またはB ・カーストの中間
・1軍またはAのクラスメイトと交流がある
3軍またはC ・カーストの最下位
・1軍またはAのクラスメイトとはあまり交流がない

スクールカーストには、はっきりとしたルールがないため、ランクが4つ以上に分かれることもあります。ランクづけの理由もさまざまあり、だれかが決めた枠組みや雰囲気によって自然発生するのが特徴です。
 
漫画やドラマの影響で、カーストの最下位にいるといじめられるというイメージをもつ小中高生も多いですが、そうとは限りません。一般的に各ランク間の交流は薄く、同じランクどうしのクライスメイトと仲良くなる傾向があるためです。
 
また、スクールカーストが存在しない学校でも、SNSをはじめインターネットで得た知識をもとに、自分自身をランクづけするケースもあります。

スクールカーストのランクづけの要因

スクールカーストのランクづけの要因には、次のようにさまざまな種類があります。

● 性格
● 学力
● 運動能力
● 部活動
● クラスでの存在感

もし、スクールカーストがすでにできあがっている場合は、どのような要因があるのか観察してみるとおもしろいかもしれません。

スクールカーストが生まれる理由

みなさんのなかには、自分がスクールカーストのどのランクに位置づけられているか、気になる人もいるのではないでしょうか。
 
そもそも、なぜスクールカーストが生まれるのか、そしてなぜランクが気になるのか、人間の性質をもとに考えてみましょう。
 
フランスの社会学者ピエール・ブルデューは、人は他者より少しでも優位に立とうとする「卓越化」を無意識に目指していると説いています。
 
学校は、クラスで小さなグループを形成して過ごすことが多く、小さなグループが複数集まっている状態です。「卓越化」をもとにすると、あるグループがほかのグループより少しでも優位に立とうとして、無意識に競い合う状態になるでしょう。
 
その結果、上下関係をはっきりさせるスクールカーストが生まれると考えることができます。
 
また、心理学の「類似性の法則」もスクールカーストの形成に関係していそうです。「類似性の法則」とは、人は共通点のある人と親近感を覚えるという法則を指します。
 
同じ趣味や性格が似た人とは親近感を覚えやすいため、グループをつくりやすくなります。人気者どうしでグループを作り、それがカーストの上位に認定されるケースもあるでしょう。
 
このように、スクールカーストが生まれる理由は、人間の性質によるものだと考えられます。

人が人の上に立ちたいのはなぜ?

ピエール・ブルデューの「卓越化」では、人は無意識に優位に立とうとすると説明しました。なぜ、人の上に立ちたがるのかは、オーストリアの精神科医アルフレッド・アドラーの「優越コンプレックス」からわかります。
 
「優越コンプレックス」では、人は自分の劣等感を消すために、自分が優れた人間であるかのように見せかける態度を取る傾向があると説明されています。優越コンプレックスが「人の上に立ちたい」という気持ちにつながると考えられるでしょう。
 
もし、スクールカーストの上位に立ちたいと思っている場合、なにか劣等感を抱えている可能性があります。自分自身と向き合って劣等感を紐解いていくと、スクールカーストの上位に立ちたい気持ちは消えるかもしれません。

スクールカーストに属さない方法はある?

スクールカーストは、自然にできるものなので、自分の意思とは関係なく勝手に分類されることがあります。その場合、スクールカーストに属さない方法を探すのは難しいでしょう。
 
スクールカーストに属さない方法ではなく、スクールカーストを気にしない方法を考えたほうが、どのような状況にも対応できるはずです。
 
スクールカーストを気にしない人には、次のような特徴があります。

● ひとりでも平気、ひとりで過ごすのが好き
● なにか自信をもてる要素がある
● 自分とほかの人を比較しない
● だれとでも分け隔てなく関われる
● 一定の距離を置いて他者と付き合える

スクールカーストを気にしない人は、他人に振り回されたり、他人のことで不安になったりせず、確固たる自分をもっているといえます。
 
スクールカーストを気にしない人の特徴を参考に、ほかの人ではなく自分に目を向けて学校生活を送ると、スクールカーストへの不安を取り除けるかもしれません。

スクールカーストを気にせずに学校生活を送りたい人へ

スクールカーストを気にせず、自分のペースで学校生活を送りたい人は、通信制高校も考えてみてください。
 
通信制高校とは、全日制や定時制よりも学校に通う日数が少なく、自宅学習やオンライン授業を中心におこなう学校です。クラスメイトと関わる機会が少ないため、スクールカーストが形成されにくい特徴があります。
 
明聖高校のWEBコースは、1年間で学校に登校する日数が4日程度です。残りの日数は、サイバー学習国というバーチャルスクールで勉強したりクラスメイトや先生と交流したりできます。
 
アバターで通い、チャットでコミュニケーションをとるサイバー学習国なら、外見でランクづけできないため、差別的なスクールカーストが形成されにくい特徴があります。
 
スクールカーストは心配だけど、友達を作りたい人も安心してください。通信制高校でも、心が通じ合う友達を作ることは可能です。詳しくは、以下の記事をご覧ください。
関連記事:通信制高校は楽しい?友達はできる?高校の魅力や友達の作り方を紹介|通信制高校生ブログ|明聖高等学校

【保護者向け】スクールカーストに不安を抱える我が子のためにできること

スクールカーストに不安を抱えているお子さんのなかには、学校に行きたがらない、行けなくなってしまった子もいます。
 
自然発生するスクールカーストを消すことは難しいため、問題が解決できずにお困りの方も多いのではないでしょうか。
 
ここでは、スクールカーストに不安を抱えているお子さんをもつ保護者の方ができることを解説します。

スクールカーストの問題点

子どもにとって、スクールカーストは学校生活の不安の種になります。スクールカーストはどこにでもある学校文化のように思えますが、大きな問題を孕んでいることも事実です。
 
カースト上位の子どもは、下位の子どもを目下の存在だと認定するため、下位の子どもたちがいじめの標的になりやすくなります。もし、いじめを回避できても、カーストを気にしながら生活しなければならず、大きなストレスにつながるケースもあるでしょう。
 
ただし、スクールカーストが必ずしもいじめにつながるわけではありません。学級の雰囲気やクラスメイトの性格によって、いじめの発生状況は変わります。

我が子のために保護者ができること

保護者の方には「我が子をいじめから守りたい」という願いがあるでしょう。また、子どもたちも「スクールカーストの最下位になったらいじめられるんじゃないか」と不安に感じているはずです。
 
保護者の方が、お子さんのためにできることは次の3つです。

● 子どもの清潔感・身だしなみをチェックする
● いつでも相談できる雰囲気をつくる
● スクールカーストの底辺になっても大丈夫であることを伝える

あまりやりすぎると過干渉になってしまうため、様子を見ながら必要に応じてサポートしましょう。
子どもの清潔感・身だしなみをチェックする
お子さんの清潔感・身だしなみのチェックは、いじめの予防策として有効です。

● 子どもの清潔感を保つ(お風呂に入る頻度・洗濯の頻度)
● 子どもの身だしなみに気を遣う(服装)

子どもたちは、不衛生な見た目やニオイを理由にカーストの最下位に位置づけることがあります。いじめに発展するおそれもあるため、保護者の方が気をつけてあげると、予防につながります。
いつでも相談できる雰囲気をつくる
お子さんが保護者の方にいつでも相談できる雰囲気づくりも大切です。根掘り葉掘り聞こうとするのではなく、お子さんが自然と話しやすくなるようにしてみてください。
 
食事やドライブなど、なにかをしながら話を聞くと、お子さんも話しやすいでしょう。
 
同時に、保護者の方が悩みすぎないよう、ご自分が相談できる人や場所を確保しておくことも必要です。
スクールカーストの底辺になっても大丈夫であることを伝える
もし、スクールカーストの底辺になってしまっても大丈夫であるとお子さんに話しておくことも必要です。
 
環境はいつでも変えられることや、変える方法を具体的に提示し、安心させてあげましょう。
 
お子さんが他の人を気にしなくなれば、スクールカーストへの不安も消える可能性があります。そのため、お子さんが自信をもって過ごせるよう声をかけたり、サポートしたりすることも大切です。