通信制高校は、「一般的な高校」としてイメージされる全日制高校や、主に働きながら通学する人に向けた定時制高校とは異なる仕組みの高校です。高校選びの選択肢のひとつとして耳にしたことはあっても、どのような人がどんな風に学んでいるのか、具体的な様子は思い浮かばないかもしれません。
今回は、通信制高校の特徴について、全日制高校・定時制高校と比較しながら解説していきましょう。

多様な生徒が学ぶ通信制高校!不登校経験者や社会人、スポーツ・芸術活動をする人も

通信制高校には、全日制高校や定時制高校以上に多様な生徒が在籍しています。

例えば、年齢層の幅広さが特徴です。文部科学省の調査によると、通信制高校の生徒の約16%を20歳以上が占めています(「学校基本調査」平成30年度)。

また、学習とそれ以外の活動を両立させている通信高校生も多数です。別の調査によると、日中に仕事(アルバイトを含む)をしている生徒は約半数、スポーツや芸術活動をしている生徒も約10%となっています(「高等学校定時制課程・通信制課程の在り方に関する調査研究」2011年)。

さらに、同じ調査結果では、中学校までで不登校を経験したことのある人も約14%いることがわかっています。

さまざまな事情で全日制高校や定時制高校では学習を続けることが難しい人も、通信制高校には多く在籍していることがわかるでしょう。

▼どのような人が通信制高校に向いているかの詳細はこちら。
通信制高校と全日制高校の違いは?通学・授業や卒業要件、費用について解説

全日制・定時制と比較!通信制高校の登校や授業

さまざまな生徒が学ぶ通信制高校は、全日制高校・定時制高校とどう違うのでしょうか。具体的な特徴を見ていきましょう。

入学時期と卒業時期

通信制高校の入学時期と卒業時期は、学校の単位認定のタイミングによって、それぞれ1回の場合(4月入学、3月卒業)と2回の場合(4月・10月入学、3月・9月卒業)があります。
また、他校からの転入学・高校中退者の編入学のタイミングが多いのが特徴です。例えば、明聖高校は5~1月の期間で月1回転入学できるチャンスがあります。

登校頻度と授業時間

通信制高校は、全日制高校や定時制高校と違い、毎日登校する必要がありません。登校は「スクーリング」とも呼ばれ、頻度は学校によって週1~3回、月1~2回、年4回などさまざまです。
授業時間は、全日制と同じように1日6時間の学校もあれば、定時制の2部制や3部制と同じ3~4時間という学校もあります。

授業スタイル・内容

ほとんどの通信制高校は、後ほど紹介する「単位制」という仕組みであるため、生徒によって履修する授業が異なることもあります。
授業内容は、登校回数が少ない分、自宅学習で理解を深められるようなポイントの解説が中心です。学校によっては、中学校の基礎の復習からスタートすることもあります。
さらに、最近では明聖高校WEBコースのように、オンラインで動画授業を繰り返し視聴できる学校も登場しています。

在籍期間

通信制高校の在籍期間は、法律で「3年以上」とされています(学校教育法)。実際には、学費を抑えながら集中的に学習して3年間で卒業することも、仕事や他の活動、病気の治療との兼ね合いを考えながら4年以上かけて卒業することも可能です。全日制高校は3年、定時制高校は4年(法律では3年以上)での卒業が基本ですので、通信制高校ではより期間に縛られずに学習を進められると言えます。

▼全日制高校と通信制高校の詳しい違いについてはこちら
通信制高校と全日制高校の違いは?通学・授業や卒業要件、費用について解説

卒業資格はどの高校も同じ!

全日制高校・定時制高校と通信制高校は多くの点で異なりますが、卒業資格は法的にどれもまったく同じです。そのため、通信制高校卒であることを理由に大学入試で不利になったり、就職活動で高卒求人に応募できなかったりすることはありません。あくまで仕組みが違うだけであることが重要です。

▼通信制高校卒業で得られる「高卒資格」の詳細はこちら
高卒資格と高卒認定、どちらを取得するほうがいい?取得方法や証明内容の違いを解説

通信制高校を卒業するには?卒業条件と学習の進め方

登校や授業の在り方がユニークな通信制高校では、以下のように学習を進めて卒業を目指します。

卒業条件と単位

通信制高校を含むすべての高校の卒業条件は、次のように定められています。

  • ・3年以上高校に在籍する
  • ・卒業までに74単位(必履修科目を含む)を修得する
  • ・卒業までに30単位時間以上の特別活動に出席する

これらの条件を、一般的な通信制高校では「単位制」という仕組みで満たしていきます。
単位制は、学年によって履修する科目が決まっている高校や、ある一定の制約の中で自由に履修科目を決められる高校があります。3年以上の在籍期間で必要な数の単位を修得すれば卒業できる仕組みです。

▼通信制高校の卒業方法についての詳細はこちら
通信制高校って簡単に卒業できるの?卒業要件とサポート体制

単位修得までの3つのステップ

通信制高校で単位を修得するには、次の3つのステップをクリアする必要があります。

①レポート提出

教科書や補助教材、オンライン教材で自宅学習をした成果を、レポートで報告します。提出回数は学校によって変わりますが、例えば、都立通信制高校では年間約82~86通のレポート提出が求められています。

▼レポートについての詳細はこちら
通信制高校で必須のレポートとは?難易度や頻度などを知ろう

②スクーリング(面接指導)

対面授業に出席します。教科の授業内容は、これまでに提出したレポートの解説や問題演習、試験対策などです。また、ホームルームでは進路指導も行われます。

③単位認定試験

決められた回数のレポート提出数とスクーリング出席数を満たすことで受験でき、合格すると単位を修得できます。回数は年1回または2回の学校がほとんどです。内容・難易度は、基本的にはレポートをきちんと復習していれば解けるものになっています。

▼単位認定試験の詳細はこちら
通信制高校のテストはどんなもの? 内容や回数について解説

卒業後の進路は?

通信制高校卒業後は、高卒資格を活かしたさまざまな進路の可能性が広がっています。調査によると、卒業生の約4割が進学、約2割が就職という進路です。そのほか、夢に向けたトレーニングに励む人もいます。
明聖高校では、進学や就職などそれぞれの希望進路に合わせたサポートを丁寧に行っています。将来の夢をかなえるには、高校卒業の先まで一緒に考えてくれる高校選びがカギになるでしょう。

▼通信制高校からの進学についての詳細はこちら。
通信制高校から大学進学は目指せる?進学率やカリキュラムをチェックしよう

▼通信制高校卒業後の進路についての詳細はこちら
就職、進学…通信制高校生の卒業後の進路とは?