子どもが不登校やひきこもりになったとき、親として何かできることはないのでしょうか。この記事では不登校とひきこもりの違いを説明するとともに、不登校やひきこもりになる原因や、親として子どもにしてあげられる3つの対応について解説します。

1. 不登校とひきこもりの違いとは?

1 不登校の定義

まずは、「不登校」の定義を確認してみましょう。
義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律」の「別添3 第一章 第二条 三」では、以下のように定義されています。
「不登校児童生徒 相当の期間学校を欠席する児童生徒であって、学校における集団の生活に関する心理的な負担その他の事由のために就学が困難である状況として文部科学大臣が定める状況にあると認められるものをいう」。
引用元:別添3 義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律(平成28年法律第105号) – 文部科学省
なお、文部科学省が実施した令和2年度の調査において、高等学校における年度30日を超える長期欠席者数のうち、不登校者は43,051名にのぼります。

2 ひきこもりの定義

不登校と似た言葉として「ひきこもり」も使用されますが、こちらはどのような定義がされているのでしょうか。ひきこもりに関して、厚生労働省のガイドラインでは以下のように説明しています。

「さまざまな要因の結果として社会的参加(義務教育を含む就学,非常勤職を含む就労,家庭外での交遊など)を回避し,原則的には6ヵ月以上にわたっておおむね家庭にとどまり続けている状態(他者と交わらない形での外出をしていてもよい)を指す現象概念である」。
引用元:ひきこもりの評価・支援に関するガイドライン

不登校とひきこもりの2つを比較すると、「不登校」は高校生までの学校に通う児童や生徒までが対象なのに対し、「ひきこもり」はそれ以上の年齢の方までを含む広範な定義となっています。また、ひきこもりの場合は6ヶ月以上にわたって家にふさぎ込む状況が続くという長期間に及ぶものです。
例えば、近所のコンビニエンスストアに他者と交わらない形での外出をしていても「ひきこもり」に含まれますが、習い事に行くなど社会的な交流がある場合は「ひきこもり」には該当しません。
なお、平成27年の内閣府調査では、15歳~39歳までの「ひきこもり」状態にある人は、54.1万人いるとされています。

2.不登校やひきこもりになる原因とは?

このように、不登校とひきこもりの定義は異なりますが、その原因には共通しているものもあります。文部科学省が実施する「令和2年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果について」から、不登校の原因となるものをピックアップしました。

1.不安・情緒不安定など精神的なもの

転校によって環境が変わったり、学業不振に陥ったりすることなどが原因で、子どもにストレスがかかり、学校に行きたくない気持ちから不登校になることが考えられます。その状態が長く続いてしまうと、そのまま家にひきこもってしまうことにもつながるでしょう。

2.無気力

学校生活が楽しくなかったり、学業や部活動にやりがいを感じられなかったりすると、学校生活に対してやる気が出ず、不登校になってしまうことがあります。無気力になったまま放置してしまうと、社会からも孤立してしまい、ひきこもりになる可能性があります。

3.人間関係の悪化

いじめとまではいかないにしても、友人からからかいを受けたり、喧嘩などで人間関係が悪化したりすることも不登校の原因になりえます。友人関係だけでなく、教職員との関係まで含めると、不登校のきっかけとしても多くの割合を占めています。

4.いじめ

上記の調査では、いじめは不登校の原因としてはそこまで高い比率を占めているわけではないことがわかります。小・中学校の児童・生徒がいじめを原因として不登校となっているのは全体の2%程度です。ただし、この結果は学校からの回答をもとにしている点は、考慮すべきかもしれません。
また、北海道大学の研究によると、いじめが関係して不登校になると、ひきこもりにまで発展しやすくなることが示唆されています。

3.親が子どもにできる対応3つ

それでは、子どもが不登校やひきこもりになったときに、親はどのようなことができるでしょうか。以下に3つの対策を挙げました。

1.子どもの話を真剣に聞く

もしも、子どもが何かに悩んでいるのであれば、真剣に話を聞いてあげましょう。ストレスの感じ方や感受性は人それぞれです。子どもにとって、どこにストレスがかかっているかに耳を傾けることが重要となります。
子どもの置かれた状況や心境を把握できれば、解決に向けて行動を起こすこともできるかもしれません。子どもが話し始めたら、「ほかの子も一緒だ」「大した悩みじゃない」などと頭から否定はせず、子どもの気持ちに共感してあげましょう。

2.子どもを焦らせない

子どもの話を聞くことは大切ですが、悩みを打ち明けるように強要することや、学校に行くよう無理強いさせることは、子どもとの関係が悪化する要因にもなるため危険です。子どもの置かれた現状を認めつつ、関係を維持しておくことで、子どもから親に話しやすい環境を整えておきましょう。
また、不登校やひきこもりになっていることに対して親が焦燥感を抱いていては、それが子どもにも伝わってしまいます。現状に不安を感じても、長期的な視点を持って子どもと接することが大切です。

3.子どもの友人や知人に協力をあおぐ

特に、人間関係の悪化が原因で不登校やひきこもりになっている子どもに対しては、友人や知人の力を借りることもひとつの手です。同年代とのコミュニケーションや関係構築ができるようになれば、自然と自信の回復もできるでしょう。
こうした対策は親の力だけでは難しいのも現実です。親だけで抱え込んでしまっては自分も不安な気持ちが強くなりますから、外部にも目を向けて協力をあおぐことで有効な解決策が生まれる場合もあります。

4.原因が学校なら転入学・編入学やネット通学も検討しましょう

1.転入学・編入学

それまで通っていた学校の環境や人間関係が合わないために、不登校やひきこもりになってしまった場合、通う学校を変えることで解決につながることがあります。

まだ学校に在籍しているのであれば、学年はそのままで別の学校に「転入学」することが可能です。また一度中退してしまった場合も、すでに修得した単位を活かして別の学校に「編入学」するという選択肢があります。

週に5日、毎日学校に通うことを負担に感じるときは、通信制高校も選択肢のひとつです。子ども本人が、無理のないペースで学びを続けられる環境を選ぶことが、何よりも重要です。

転入学・編入学について、詳しくは以下のページもご覧ください。
全日制高校から通信制高校への転入学・編入学のすすめ。よくある疑問にも答えます | 通信高校生ブログ
通信制高校へ転入学・編入学する条件は?こんな悩みを持った人におすすめ | 通信高校生ブログ

2.ネット通学

不登校・ひきこもりになった理由が、いじめや学習ペースの不一致などの学校内の問題だった場合、また学校に戻ることを不安に感じる場合もあるでしょう。学校に通学することなく勉強したい人や、体調の都合で通学が難しい、自身の時間やスペースを大切にしたいといった人には、インターネットを通じて通学・学習できるシステムを活用することをおすすめします。

通信制高校である明聖高校には、年間4~6日程度の登校スクーリング以外は、すべてオンラインで学習を進められる「WEBコース」があります。WEBコースのコンテンツ「サイバー学習国」では、動画授業を受けるだけではなく、オリジナルのアバターを作って先生たちやほかの生徒とコミュニケーションをすることも可能です。学校の教室、職員室、さらに自分だけの場所「マイアイランド」も作って、学校生活を楽しみながら学習への意欲を高めましょう。

サイバー学習国について、詳しくは以下のページをご覧ください。
サイバー学習国 | 明聖高等学校WEBコース

5. 専門カウンセラーが常駐するなど明聖高校は充実のサポート体制

明聖高校には通信制ならではのサポート体制が整っているため、一人で悩むことなく不登校の生徒を支援できます。教員はカウンセリングやメンタルヘルスの専門的な知識や資格を有しており、専任のカウンセラーが常駐している点も特徴です。
また、学校説明会でも相談会を設けていたり、夜間にも保護者相談室を開いていたりしますので、ご家族単位でサポートすることができます。