子どもが不登校になって兄弟間で喧嘩が繰り返される場合、親として何とかしたいと思うのは当然の心情でしょう。では、不登校が原因で兄弟喧嘩になった場合、家族としてどのような対応ができるのでしょうか。不登校の子どもへの対応や兄弟間のトラブルにお悩みの方はぜひ参考にしてください。

兄弟が不登校で悩んでいる方

自分の兄弟が不登校で悩んでいる場合、喧嘩になる理由や解決方法はあるのでしょうか。

兄弟喧嘩になる理由

男同士の喧嘩

兄弟間での喧嘩は、主に自分と兄弟との比較や親への独占欲により生じます。一般的に男性は他者との競合性のなかに自分の価値を見出す傾向があるため、親が不登校の兄弟ばかりを気遣っていると不公平だと不満に思いがちです。また、ほかの誰かよりも優位でいたいという心理が強く、自分よりも兄弟が大切にされていると感じると、嫉妬から兄弟喧嘩へと発展するケースがあります。

女同士の喧嘩

一方、姉妹間での喧嘩の主な理由は、共感性の欠如です。姉(妹)や親が自分の気持ちを理解してくれないと感じた場合に、不満が喧嘩につながる傾向にあります。たとえば、不登校である姉(妹)の生活面におけるルーズさについて、心理的なストレスを一方的に我慢し続けているケースです。不満を募らせると、突然リミッターが切れて喧嘩になります。女性同士の喧嘩の場合も、親が不登校の姉(妹)に一方的に肩入れすることは攻撃性が強まる要因です。

異性の喧嘩

異性の喧嘩の主な理由は、両性の価値観の違いに起因します。また、同性間の喧嘩と同様に、自分と兄弟(または姉妹)を比較し、誰よりも親に愛されたいという欲求があります。

兄弟喧嘩になったときの解決法

兄弟が不登校になると、「なんで学校に行かないの?」「勉強しなくていいの?」と相手を責めたくなる気持ちになるかもしれません。しかし、「学校に行かないなんてズルい」という心理には注意が必要です。その気持ちの背後には、学校生活に対して不満や不安があります。状況を放置していると最悪、兄弟の不登校が転移する可能性があります。兄弟が不登校になった場合、学校生活についてのとらえ方を家族間で共有することが重要です。

自身が不登校で兄弟に迷惑をかけていると感じる方

自身が不登校で兄弟に迷惑をかけていると感じる子どもにとって、兄弟と喧嘩をしてしまう理由はあるのでしょうか。

兄弟喧嘩になる理由

負い目を感じている

不登校の子どもが負い目を感じてしまう相手に兄弟の存在があります。身近な人だからこそ、兄・姉(弟・妹)と自分は違うのだと劣等感を感じやすくなるかもしれません。そして、やり場のない気持ちが溢れた結果、攻撃性の強い言葉や行動で表出されます。

羨ましさを感じている

不登校になった多くの子どもは、不登校になりたくてなったわけではありません。「本当は学校に行きたい」「学校は嫌いではない」という気持ちがあっても、学校に行けない状態にある子もいます。気持ちと現状が裏腹である場合、学校に行けることはとりわけ羨ましいことです。ゆえに、当たり前に登校できる兄弟が身近にいる場合、自らの葛藤を喧嘩として不適切な手段で昇華しようとします。

兄弟喧嘩になったときの解決法

学校に通っている兄弟に対する負い目や羨ましさで苦しいと思っているかもしれません。しかし、まずは子自身が他者とは違う点を個性として認め、大切に育ててあげてください。世界にはさまざまな場所で個性を大事に活躍している人たちがいます。子どもの世界を広げるためにもいろんなジャンルの本を読むように、親から子どもへ伝えてみることもひとつの方法です。少数派の人たちの体験談から疑似体験でき、子自身の糧になります。他者評価は気にせず、まずは自分の好きなことややりたいことを見つけられるように働きかけてみることで、問題の根本が解決し、喧嘩も少なくなるでしょう。

兄弟どちらも不登校で悩んでいる保護者の方

兄弟どちらも不登校で悩んでいる場合、保護者は兄弟どちらの気持ちも尊重することが大切です。また男兄弟の場合、異性である母親が理解できないケースもあるかもしれません。その場合は父親など同性の大人に相談するようにしましょう。

兄弟喧嘩になる理由

親が贔屓しているように感じる

兄弟がいる子はさまざまな理由で、親が自分ではなく兄弟をを贔屓していると感じることがあります。親は子どもにとって、いつでも絶対的な味方でいて欲しい存在です。兄弟どちらか片方に肩入れするのではなく、どちらにも対しても中立を保ちましょう。

コミュニケーションに偏りがある

不登校の子どものなかには、「他者とうまく関われない」「人間関係のなかでパニックになってしまう」といったコミュニケーションの偏りが指摘されています。

専門家の研究によると、子どもの発達診療センターを訪れた80名の児童生徒のうち、57%に発達障害の特性がみられたと発表しています。そのうち87%が不登校になってはじめて発達障害と診断を受けており、再び登校できるようになるには発達特性の把握と教育的かつ心理的な支援が必要です。

参考URL:
旭医科大学小児科 鈴木 菜生「不登校と発達障害:不登校児の背景と転帰に関する検討」

兄弟喧嘩になったときの解決法

仲裁しない

兄弟喧嘩になった場合に仲裁に入っても解決になりません。
不登校ではない子どもをかばうと、不登校の子どものネガティブな行動はますますエスカレートする可能性があります。しかし不登校の子どもを無条件にかばうと、不登校ではない子どもの不満を増幅させる要因です。大喧嘩をしてケガをしそうな状況を除き、まずは静観しましょう。

第三者へ相談する

子どもが大人へと成長する過程で関わる人間は親だけではありません。相談役となる第三者の大人も一緒になって粘り強く子どもと併走し続けることも大切です。不登校から脱出するには、「学校に行きたくても行けない」という子どもの気持ちの理解が求められます。

明聖高校では子どもとの関わり方に悩むご家族もしっかりサポートします

明聖高校の夜間保護者相談室では、子どもの不登校に関わる家族の悩みに寄り添う体制が整っています。担当の先生への相談はもちろん、校内に駐在するスクールカウンセラーへの相談も可能です。保護者は仕事や家庭と両立しながら、子どもや自身のメンタルケアが受けられます。不登校が原因で生じた兄弟間のトラブルにお困りの方はぜひ一度、明聖高校の専門スタッフに相談してみてください。