現在、不登校ぎみの中学生やその保護者の方にとって、高校受験で不登校がどう扱われるのかが気になるところでしょう。最近は、内申点の付け方や欠席日数の扱いが、以前とは変わってきています。
 
今回は、不登校の高校受験で知っておきたい欠席日数と内申点、それらの扱いについて詳しく解説します。高校受験が不安という中学生や保護者の方は、参考にしてみてください。

不登校の高校受験で知っておきたい2つの項目

不登校の高校受験で不安になりやすい要素が欠席日数と内申点です。これらが合否に影響を与えると耳にしたことがある人もいるでしょう。まずは、この2つについて詳しく解説します。

欠席日数

欠席日数とは、学校を休んだ日数の記録のことです。
 
高校入試における「出欠の記録」の扱いは、自治体や学校によってルールが異なります。例えば、中学3年生の記録のみを重視する自治体もあれば、中学1年生からの3年間分をすべて記載する自治体もあります。

内申点

内申点とは、中学校が作成する調査書(内申書)に記載された学習成績の評価を、各自治体や学校が定めたルールにしたがって数値化したものです。
 
算出の対象となる学年や具体的な計算方法は地域によって異なりますが、入学者選抜における合否判定の資料として広く活用されています。

不登校でも大丈夫!変わってきている高校受験

昔は、欠席日数と内申点の関係で、成績がつけられない不登校の生徒は高校受験が不利になるといわれていましたが、近年では変わってきています。ここでは2つの変化を紹介します。

不登校の生徒が学校外でおこなった学習は成績評価に反映できる

令和6年8月29日の学校教育法施行規則改正によって、不登校の生徒が学校外でおこなった学習が、成績評価に反映できることが明確化されました。条件を満たすことで、以下の学習が内申点に反映されることになります。
 

  • ● 教育支援センター(適応指導教室)での学習
  • ● フリースクールでの学習
  • ● 自宅でのオンライン学習
  • ● 家庭学習
  • ● その他の学校外での学習

 
参考:「不登校児童生徒が欠席中に行った学習の成果に係る成績評価について(通知)」令和6年8月29日|文部科学省
 
以前は、以下の流れで不登校の生徒は内申点が低くつけられることがありました。

  1. 1. 欠席が多い
  2. 2. 定期テストを受けられない
  3. 3. 成績評価ができない
  4. 4. 内申点がつけられない、または低くなる

 
しかし、今回の通知を踏まえた評価がおこなわれることで、以下のような道が開かれました。

  1. 1. 学校外で学習できる
  2. 2. 成績評価ができる
  3. 3. 内申点がつけられる

 
実際、令和5年度は、81,467人の学校外の学習成果が指導要録に反映されました。
 
ただし、条件を満たす必要があること、また「義務」ではないので学校の判断で評価されないケースもあることに注意が必要です。
 

欠席日数を記載する場合は配慮するよう指針が出ている

令和7年6月の文部科学省通知では、不登校などやむを得ない欠席のある生徒については、配慮するよう指針が出されています。
 
例えば、欠席日数欄を設ける場合の配慮とは、以下のようなものです。
 

  • ● 欠席の理由を記載できる欄を設ける
  • ● 入学志願者が自ら欠席の理由を申告できる機会を設ける
  • ● 欠席のみを理由に、合理的な理由なく不利に扱うことがないようにする

 
また、不登校の生徒に対して以下のような指針も出ています。
 

  • ● 在籍学校の出席状況のみで不利益な取扱いをしない
  • ● 欠席日数のみをもって出願を制限する措置は望ましくない
  • ● 生徒自身の自己申告書や学校以外での学習状況に係る資料等も選抜において適切に勘案する
  • ● 不登校の生徒が志願しやすいように募集時の内容を工夫する

 
ただし、これはあくまで「指針」であり、「義務」ではありません。そのため、実際の運用は自治体によって異なる点に注意が必要です。
 
参考:高等学校入学者選抜等における配慮事項等について(通知)|文部科学省

不登校の高校受験における欠席日数の扱いの例

変わりつつある高校受験の欠席日数の扱い方を解説するため、東京都と山梨県の例を紹介します。

調査書に欠席日数を記載しない|東京都

東京都立高校入試では、令和5年度から調査書の欠席日数記入欄が削除されました。これにより、欠席日数が合否判定に直接影響しなくなったのです。
 
このように、不登校の生徒でも都立高校受験の可能性が制度上閉ざされてはいません。欠席日数ではなく学力検査の得点で評価されるため、学力があればすべての都立高校を受験できるといえます。
 
参考:令和5年度東京都立高等学校入学者選抜検討委員会報告書|東京都

長期欠席者向けの特別選抜を実施する|山梨県

山梨県では、不登校を経験した生徒だけでなく、ヤングケアラーや病気なども含めて長期にわたって欠席などをした生徒が志望する高校に出願できる制度を設けています。これは、令和8年度入試(2026年度入試)から導入される新しい制度です。
 
調査書を用いない入試制度(特別選抜)で、すべての県立高等学校と甲府商業高等学校で実施されます。学校の規模に応じて2~4名程度の募集人数とのことですが、長期欠席者等が通常の入試方法とは別の方法で受験できる機会であることから注目が集まっています。
 
参考:長期欠席者等を対象とした特別選抜|山梨県

不登校の高校受験における内申点の扱い例

内申点の扱いの変化については、東京都と愛知県の例を紹介します。

評価できない教科は斜線措置をとる|東京都

東京都では、通知表に評価がつかない教科は「/」(斜線)で記載され、評定判定不能とされます。内申点がゼロになるわけではなく、入試当日の学力検査の得点などから補完的に判断される仕組みです。
 
この斜線措置により、不登校でも学力があればすべての都立高校を受験できるようになります。
 
参考:令和7年度東京都立高等学校入学者選抜実施要綱・同細目|東京都

学習の記録を参考として取り扱う|愛知県

愛知県では、すべての公立高校で「長期欠席者等にかかる選抜方法」を実施しています。これは、調査書の「学習の記録(内申点)」を参考として扱い、直接合否に影響させない制度です。
 
3年次の欠席日数が出席すべき日数の半分以上の生徒が申請できます。面接を実施する高校では、個人面接を実施し配慮するようになっています。
 
参考:8.欠席日数が多い生徒が高校受験をする際の配慮について|愛知県

不登校でも高校受験は挑戦できる!入りやすい学校

最近は配慮も増え、不登校の生徒でも高校受験に挑戦しやすくなっています。ここからは、各高校を入りやすい順に紹介します。

通信制高校

通信制高校は、報告課題(レポート)、面接指導(スクーリング)、単位認定試験をクリアすることで単位が認定され、卒業できる高校です。
 
レポートの内容はさまざまですが、例えば私立の明聖高校通信コースでは、論文形式ではなく問題形式のレポートとなっており、取り組みやすいのが特徴です。
 
スクーリングの日数は学校によって異なります。明聖高校通信コースは年間約20日、月二回の金曜日登校です。一方、WEBコースは年間3~4日となっており、同じ学校でもコースによって日数が違うこともあります。
 
単位認定試験の実施回数も学校によります。明聖高校通信コースの場合、年1回です。
 
詳しくは以下の記事をご覧ください。
 
関連記事:通信制高校とは?全日制・定時制の違いなどわかりやすく解説|通信高校生ブログ|明聖高等学校

定時制高校

定時制高校は、17時~21時ごろの夜間4時間をメインに通学する高校です。公立の学校が多く、各学年1クラスという少人数であることが多くなっています。
 
定時制高校には2種類あり、1つ目は4年(または3年)授業を受けることで卒業できる「学年制」、2つ目は決められた単位数を満たすことで学年に関係なく卒業できる「単位制」です。
 
授業の時間帯については、夜間だけでなく、午前部・午後部・夜間部の3部制を採用している高校もあります。東京都や千葉県などの夜間の定時制高校では、給食があることもあります。
 
定時制高校のなかには、不登校の経験のある生徒を積極的にサポートする高校もあります。例えば、都立のチャレンジスクールは、学力検査や中学校からの調査書によらない生徒の学習意欲を重視した入試や、中学校の復習や基礎学習に重点を置いた授業、心のケアを重視した生活サポートなどをおこなっている定時制高校です。
 
詳しくは以下の記事をご覧ください。
 
関連記事:定時制高校とは?授業の時間帯や卒業までの年数、学費や就職率を解説|通信高校生ブログ|明聖高等学校

全日制高校

全日制高校は、毎日学校に通い、規定の試験をクリアすることで単位を修得し、卒業を目指す高校です。多くの時間を友達と過ごせるのが大きな特徴でしょう。
 
最近では、不登校の経験のある生徒を積極的にサポートする高校が増えてきています。公立では、都立のエンカレッジスクールが代表的です。特に学力面で不安のある生徒に向いており、学力検査によらない試験、二人担任制、少人数授業、1年次の30分授業といった特徴があります。
 
私立は学校によってさまざまな特色があります。明聖高校は通信制高校ですが、全日制高校のように毎日学校に通う全日コースを設けています。
 
全日コースでは、中学校の総復習や習熟度別授業といった学力面のサポートはもちろん、心のサポートにも力を入れています。カウンセリングの資格を所持した教員と相談しながら、段階的な登校が可能です。
 
また、専門の心理カウンセラーが校内に常駐しているほか、教室で授業が受けにくい場合は個別学習室で学習することもできます。そのため、不登校経験のある生徒が自分のペースで慣れていきながら、全日制高校と同じような学校生活を送れるようになります。
 
以下の記事では、各高校の違いを詳しく解説しているので、あわせてご覧ください。
 
関連記事:通信制高校と全日制高校の違いは?通学・授業や卒業要件、費用について解説|通信高校生ブログ|明聖高等学校

不登校でも高校受験で頑張りたい人へ

高校受験は、制度を正しく知れば選択肢が広がります。最近では、不登校でも不利になる条件が減りつつあり、公平に受験することが可能です。
 
ただし、欠席日数や内申点の扱いは都道府県や高校によって異なるため、志望校の制度を必ず確認する必要があります。入試の学力検査で挽回できる場合もあるため、あきらめずに自分に合った進路を探すことが大切です。
 
以下の記事では、高校受験について詳しく紹介しているので、あわせてご覧ください。
 
関連記事:後悔しない高校の選び方!将来の夢がなくても大丈夫な進路の決め方|通信高校生ブログ|明聖高等学校
関連記事:もし高校受験に落ちたら?次の選択肢とメンタルの持ち直し方を解説|通信高校生ブログ|明聖高等学校

高校受験で悩む不登校のお子さんをもつ保護者の方へ

不登校の生徒の高校受験における配慮は年々拡充されており、以前より選択肢が広がっています。そのため、各都道府県や志望校の入試制度を早めに調べ、お子さんと一緒に情報を整理することが大切です。
 
可能であれば、中学校の先生と相談しながら、調査書の記載内容や特別選抜の申請方法を確認しましょう。同時に、お子さんの状況に合わせて、全日制・定時制・通信制など幅広い選択肢を検討することが大切です。
 
不登校のお子さんについてお悩みの場合は、以下の記事も参考にしてみてください。
 
関連記事:不登校は甘えじゃない!親ができる不登校になった子どもへの4つの対応|通信高校生ブログ|明聖高等学校
関連記事:不登校から学校に行くきっかけをつかむには?保護者が子どもにできること|通信高校生ブログ|明聖高等学校