通信制高校とは、オンライン授業や自宅学習などの通信教育と課題(レポート)の提出などで必要な単位を修得し、高校卒業資格の取得を目指す学校です。全日制高校よりも登校日数が少ないため、さまざまな事情で毎日学校に通えない人から注目を集めています。今回は、通信制高校がどのような学校なのかを、わかりやすく解説します。自分に合った進路を選ぶためにも、通信制高校への理解を十分に深められるよう役立ててください。

1. 通信制高校とは

通信制高校とは、通信教育を主体とした教育課程で必要な単位を修得し、高校卒業資格の取得を目指す高校です。全日制高校との大きな違いは登校日数で、なんらかの事情で毎日登校できない人たちでも、自分のペースで学習を進めながら高校卒業資格を取得できます。
 
通信制高校における通信教育の方法を端的に紹介すると、以下のとおりです。

通信教育の方法 概要
授業・学習 ・一般的に、オンライン授業や自宅学習などの方法を通じて、自宅で学習を進める
・学校によって、ラジオやテレビ放送などを使った指導をおこなうこともある
添削指導(レポート) 学習習熟度や課題を把握するために、生徒から先生へ提出する
面接指導(スクーリング) 対面指導や生徒同士の活動をおこなうなかで、学習上の課題を考慮した指導をおこなう
試験:学習状況の評価 添削指導や面接指導を踏まえて、生徒の学習状況を測る

参考:高等学校通信教育の現状について|文部科学省
 
上記のほかにもさまざまな特徴があるので、1つずつ解説します。

1.1. 入試(入学者選抜試験)

通信制高校の入試(入学者選抜試験)は、学科試験を実施せず、書類選考や面接のみが一般的です。これまでの成績で合否を問われることがほとんどないため、学習に不安がある人でも合格できる可能性が大いにあります。
 
例えば明聖高校では、いずれのコースでも学科試験をおこなっていません。必要な書類を提出し、個人面接を実施して合否を決定します。WEBコースではオンライン面接も選択できるため、遠方にお住まいでも受験可能です。
 
学校によって入試方法はさまざまなので、興味のある各学校の公式サイトを見てみましょう。
 
以下の記事では、通信制高校入試の面接対策を解説しているので、参考にしてみてください。

関連記事:通信制高校入試の面接はどう対策する?よくある質問や当日のマナーを押さえよう|通信高校生ブログ|明聖高等学校

1.2. 入学時期

通信制高校の入学時期は、4月の1回だけではなく年間で複数回設けられることが多い傾向にあります。学校やコースによっても異なりますが、新入学・編入学・転入学などの入学形態の違いによっても入学できる時期が変わるので注意しましょう。
 
例えば、都立の通信制高校は、4月のほか9月(2学期)・1月(3学期)の3回にわたって、編入学・転入学のチャンスがあります。

参考:都立高等学校の転学・編入学について|東京都教育委員会
 
明聖高校の場合、編入学できる時期は4月のみですが、転入学は3月以外の期間はいつでも受け入れています。
 
全日制高校や定時制高校と比較して、入学時期が複数あるため、自分の状態に合わせて適切なタイミングで受験可能です。
 
なお、転入学と編入学の違いは、以下の記事で詳しく解説しているので参考にしてみてください。

関連記事:通信制高校へ転入学・編入学する条件は?こんな悩みを持った人におすすめ|通信高校生ブログ|明聖高等学校

1.3. 通学頻度

一般的に、通信制高校の通学頻度は、1年に数日間程度です。ただし、学校やコースによって異なる点に注意しましょう。
 
例えば、明聖高校のWEBコースは、年間4日程度の登校が必要です。全日コースは、それぞれの事情に合わせて登校頻度を相談して決められるため、無理なく学校生活を送れます。
 
学校で授業を受ける必要がある全日制や定時制と比較すると、登校頻度が少ないため、登校することに負担がかかる人でも高校卒業資格を取得しやすいでしょう。

1.4. 授業

通信制高校の授業は、基本的に自宅学習を中心に進めます。リアルタイムで先生が授業を進めるオンライン授業や、録画された動画を見て課題を進める自宅学習など、さまざまな授業形態があります。
 
例えば、明聖高校のWEBコースでは、次の流れで授業をおこないます。

  • 1. 授業動画を視聴する
  • 2. 「サイバーチェック」で理解度を確認する

授業動画をただ見るだけではなく、理解したかどうかを確認するための「サイバーチェック」をおこないます。十分に理解できていない場合は回答を提出できない仕組みです。理解度が一定のラインを超えるまで反復学習することで、確かな基礎学力が身につけられます。
 
全日制・定時制高校は、対面式の授業が一般的であるため、自分のペースで学習を進めることが難しいでしょう。一方、通信制高校は、わからないところは何度も授業を見返して、自分のペースで学習を進められます。
 
以下の記事では、通信制高校の授業内容やスケジュールを詳しく解説しているので、あわせてご覧ください。

関連記事:通信制高校の授業って何をするの?スケジュールは?インターネット授業の例も紹介|通信高校生ブログ|明聖高等学校

1.5. 単位認定試験(テスト)

通信制高校は単位制の学校がほとんどであり、年に1~2回の単位認定試験が実施されます。
 
単位制とは、各科目ごとに卒業に必要な単位が決められており、それを修得すると高校卒業資格を取得できる仕組みです。これに対し、1年ごとに修得単位が決められている仕組みを「学年制」と呼びます。
 
通信制高校では、単位認定試験の結果によって単位の修得が認められます。単位認定試験は、学年制を採用する高校の定期テストよりも実施回数が少なく、1回あたりの学習範囲が広いのが特徴です。
 
ただし、難易度はあまり高くないことが多く、日頃からコツコツと学習に取り組んでいれば試験もクリアできるでしょう。

1.6. レポート

通信制高校で単位を修得するためには、レポートを提出したうえで、先生からの添削指導を受けなければなりません。
 
全日制・定時制と比較して登校日数が少ない分、学習状況や進み具合を確認するために、レポートを使ってやりとりします。合格するまでは、レポートの提出と添削指導が繰り返しおこなわれます。
 
ただし、難易度はそれほど高くないうえ、教科書を見ながらレポートを作成することが可能です。
 
レポートの提出量は、学校によって異なりますが、都立通信制高校では「30単位登録の場合、年間約82〜86通の報告課題を学校に送付する」と定められています。1週間に2~3通のレポートを提出すればよい計算です。
 
なお、全日制・定時制の宿題や課題は学校によって大きな差があるため、通信制高校のレポートと量を比較するのは難しいでしょう。
 
以下の記事では、通信制高校のレポートについて詳しく解説しているので、あわせてご覧ください。

関連記事:通信制高校で必須のレポートとは?難易度や頻度などを知ろう|通信高校生ブログ|明聖高等学校

1.7. 卒業要件

文部科学省の定義によると、通信制高校は3年以上在籍するなかで、74単位以上を修得し、30単位分の特別活動(ホームルームや学校行事など)に参加することで卒業できます。
 
単位を修得するためには、単位ごとに定められた数のレポートの提出とスクーリング、単位認定試験の合格が必要です。
 
学年制を採用する全日制高校では、1年間で決められた単位を修得できないと留年となり、1年分の単位を取り直す必要がありますが、通信制高校は在籍期間中にいつでも取り直せます。
 
スクーリングさえクリアすれば、学校に行かなくても卒業要件をクリアできる仕組みです。そのため、毎日学校に通うのが難しい人でも、高校卒業資格の取得を目指しやすくなっています。

参考:高等学校学習指導要領の改訂について|文部科学省
 
以下の記事では、それぞれの高校の卒業までの期間の違いを解説しているので、参考にしてみてください。

関連記事:通信制高校の卒業までにかかる年数は?転入・編入時の例も紹介|通信高校生ブログ|明聖高等学校

1.8. 費用

通信制高校の費用は、学校やコース、学校の種別によって大きく異なります。
 
例えば、公立と私立では、以下のような違いがあります。

種別 都立高等学校の
通信制課程
私立明聖高等学校
WEBコース
入学金      500円   40,000円
授業料/年   8,400円(※1) 300,000円
1年次の学費   8,900円 340,000円
3年間の
学費(※2)
25,700円 940,000円

※1 336円/単位×25単位で算出
※2 入学金+(授業料×3年間)で算出
参考:都立高等学校、中等教育学校(後期課程)の授業料・入学料及び特別支援学校高等部の授業料について|東京都教育委員会

学費|明聖高等学校
 
学費だけをみると、私立の通信制高校への進学が難しいと感じる人もいるかもしれません。しかし、高等学校等就学支援金制度を利用できれば、学費を抑えることが可能です。
 
この制度を使うと、私立の通信制高校では最大297,000円分の支援を返還不要で受けられます。判定基準を満たす必要があるので、進学をあきらめる前にチェックしましょう。
 
なお、同制度以外にも、自治体独自の支援制度や奨学金、学校ごとの特待生制度を活用することで、学費を抑えられます。
 
詳しくは、以下の記事をご覧ください。

関連記事:通信制高校の費用はどれくらい?全日制高校の平均と比較すると?支援金制度についても解説|通信高校生ブログ|明聖高等学校

2. 通信制高校と全日制・定時制の違い

高校には、通信制のほかに全日制や定時制という種類があり、それぞれ以下のように異なります。

特徴 通信制 全日制 定時制
取得できる
資格
高校卒業資格
卒業に
必要な単位
74単位以上
教育課程 通信による教育をおこなう 日中に対面授業をおこなう 夜間やその他の特別な時間・時期に対面授業をおこなう
登校頻度 週0~5日
(学校による)
週5日 週1~5日
(学校による)
授業方法 ・オンライン授業
・自宅学習
・学校での対面授業
・オンライン授業
・学校での対面授業
・オンライン授業
修業年限(※) 3年以上 3年 3年以上

※ 修業年限とは、学校を卒業するために必要として決められている教育期間のこと
 
それぞれ、授業の進め方や単位の修得方法が異なるものの、高校卒業資格を得られることに変わりはありません。

3. 通信制高校に通う人の主な特徴

通信制高校は、青少年が仕事をしながら高等教育を受けられるようにと、戦後に設置されました。時代の変化もあり、最近は以下のような人が通っています。

  • ● 仕事をしている人
  • ● なんらかの事情で毎日学校に通えない人
  • ● 不登校経験のある人
  • ● 芸能活動やスポーツに力を入れている人

これを裏付けるかのように、平成30年に文部科学省が発表した「定時制・通信制高等学校における教育の質の確保のための調査研究」では、小・中学校及び前籍校における不登校経験がある生徒の割合が示されています。

種別 小・中学校及び前籍校における
不登校経験がある生徒の割合
狭域通信制高校(※1) 48.9%
広域通信制高校(※2) 66.7%

※1 受け入れ地域が学校が所在する都道府県と隣接する1都道府県
※2 受け入れ地域が3都道府県以上
出典:定時制・通信制高等学校における教育の質の確保のための調査研究|文部科学省
 
割合が多いことからも、不登校経験のある人たちにとって、学びやすい環境だといえるでしょう。
 
また、10代だけではなく20代以上の大人も通信制高校で高等教育を受けています。

出典:高等学校通信教育の現状について|文部科学省

登校日数が少ない通信制高校では、クラスメイトと顔を合わせる機会が少ないため、周りの目を気にする必要がありません。
 
そのため「不登校経験がある」「大人になってから高校卒業資格を取得したくなった」など、さまざまな背景をもつ人たちが高校卒業資格の取得を目指しやすい環境です。

4. 通信制高校に通うメリット

通信制高校に通うメリットは、次のとおりです。

  • ● 学校に毎日通えない人も高校卒業資格の取得を目指せる
  • ● 自分のペースで学習を進められる
  • ● 人との関わりに悩む機会が少ない

毎日学校に通う必要がないため、体調や事情に合わせて柔軟に学習を進められます。また、人との関わりが少ない環境で過ごせるため、対人関係に悩みを抱える人も安心して学校生活を送ることが可能です。

5. 通信制高校に通うデメリット

通信制高校では、自己管理が求められます。学習の進捗を自分で管理する必要があり、計画的に取り組まないと単位を落とすこともあるでしょう。
 
また、通学の機会が少ないため、友人ができにくく孤独を感じやすいこともあります。
 
こうしたデメリットを感じないよう、手厚いサポートをおこなっている通信制高校もあるので、よく調べてみてください。
 
例えば、明聖高校のWEBコースは、サイバー学習国というインターネット上の学校に通う仕組みです。アバターを通じて先生や同級生とコミュニケーションを取れるため、孤独感を感じにくくなります。
 
以下の記事では、通信制高校のメリット・デメリットをより詳しく解説しているので、参考にしてみてください。

関連記事:通信制高校を選ぶメリット・デメリットを紹介!どんな人が向いているか全日制や定時制と比較して解説|通信高校生ブログ|明聖高等学校

6. 通信制高校卒業後の進路

文部科学省が実施している「学校基本調査」によると、通信制高校の卒業後の進路は以下のとおりです。

項目(※) 大学等進学率 専修学校
(専門課程)
進学率
卒業者に
占める
就職者の
割合
通信制高校
(公立)
15.5% 14.3% 19.3%
通信制高校
(私立)
25.2% 23.9% 14.3%

※ 進学・就職以外は省略
参考:令和5年度 学校基本調査|文部科学省
 
通信制高校に進学する際、卒業後の進路を心配する人もいますが、データを見ると大学や専門学校への進学、就職も可能だとわかります。気になる学校の進路状況をあらかじめ確認しておけば、その学校でどのような進路を選択できるかが見えるでしょう。
 
例えば、明聖高校の場合、卒業後の進路は以下のようになっており、全国的なデータよりも進学率が高い特徴があります。

引用:明聖高校の特徴|明聖高等学校
 
通信制高校へ進学しても、将来の道が閉ざされることはありません。さまざまな進路を選択できる通信制高校を選べば、在学中にゆっくりと将来のことを考えられます。

7. 通信制高校に通うのがおすすめの人

通信制高校の特徴を踏まえると、「自由な時間を確保したい人」「自分のペースで学習したい人」におすすめです。
 
【通信制高校の大きな特徴】

  • ● スクーリングが少ないため、学習以外の時間を確保しやすい
  • ● 自宅学習がメインで留年がないため、自分のペースで学習できる

例えば、アルバイト・趣味・学習を両立したい人や、自分で立てた計画に沿ってじっくり学習したい人にとって、通信制高校はぴったりです。
 
また「部活動や友だち作りよりも、高卒資格を取るための学習に集中したい」と考える人にも適しています。
 
明聖高校のWEBコースは、オンライン授業と自宅学習を通じて学習を進め、単位を修得できます。
 
サイバー学習国というオンラインの学校で、先生や友達ともコミュニケーションをとりながら、学校生活を送ることが可能です。スクーリングは、年3~4回程度で、登校の負担も大きくありません。
 
通信制高校を選ぶ際は、ぜひ明聖高校も検討してみてください。

WEBコース|明聖高等学校