高校では、中学校以上に部活動も本格的におこなわれるようになります。充実した学生生活を送るために、自分に合った部活動を選びたいと考えている人も多いのではないでしょうか。そこで今回の記事では、高校の部活の種類をはじめ、部活をするメリットや失敗しない部活の選び方について詳しくお伝えします。

そもそも部活動に入るメリットは?

学校生活では、同じクラスの同級生との関わりが中心になりがちで、他のクラスの生徒や上級生や下級生と関わる機会は限られています。ただ、部活動に入れば、交友関係の幅も広がります。友人が増えるのはもちろん、日々の部活動を通してコミュニケーション力も強化されるでしょう。

運動系部活の種類

高校には、大きく分けて運動系、文化系の部活があります。ここではまず運動系の部活についてお伝えします。

なお、各部活動の登録人数については、『令和5年度(公財)全国高等学校体育連盟 加盟・登録状況【全日制+定通制】』を参照しています。

球技

運動系の部活のなかでも特に種類が多いのが、「球技」です。多くの学校でおこなわれている部活としては、硬式野球、軟式野球、バスケットボール、バレーボール、卓球、軟式テニス、硬式テニス、ハンドボール、サッカー、ラグビーフットボール、ソフトボール、バドミントンなどが挙げられます。いくつかの代表的な競技について、競技人口や大会などを詳しくご紹介します。

硬式野球

硬式野球の競技人口は非常に多く、2023年に日本高等学校野球連盟に加盟している硬式野球部の部員数は、全国で128,357人にのぼります。春の甲子園と呼ばれる「選抜高等学校野球大会」、さらに夏の甲子園と呼ばれる「全国高等学校野球選手権大会」という大きな競技大会があり、全国のチームが出場を目指して切磋琢磨しています。

バスケットボール

バスケットボール部の登録人数は、全国で男子84,296人、女子49,747人となっています。「ウインターカップ」とも呼ばれる「全国高等学校バスケットボール選抜優勝大会」、夏の「全国高等学校総合体育大会(インターハイ)」、秋の「国民体育大会(国体)」が、高校バスケットボール3大大会とされています。

卓球

卓球部には、全国で男子44,406人、女子19,977人が登録しています。卓球は体格に優れた大人だけが有利な競技ではありません。身体的な能力はもちろんですが、幅広い戦術を駆使する必要があるため、「走りながらチェスをするような競技」ともいわれます。

硬式テニス

硬式テニス部の登録人数は、全国で男子42,458人、女子26,389人です。中学校までの部活では、やわらかいゴムボールを使う軟式テニス(ソフトテニス)が一般的ですが、高校では硬式テニス部の割合が多くなっています。

サッカー

サッカー部の登録人数は、全国で男子139,487人、女子9,751人です。高校サッカーには「三冠」と呼ばれる大会があります。それは「全国高等学校総合体育大会サッカー競技大会」「全国高等学校サッカー選手権大会」「高円宮杯 JFA U-18 サッカーリーグ」の3つで、全国のチームがこれらの大会を目指して日々のトレーニングに励んでいます。

ラグビーフットボール

高校のラグビーフットボール部(ラグビー部)は、男子のみの登録となっており、全国で17,034人が活動しています。ラグビーワールドカップでの日本代表の活躍で、近年特に注目を集めています。高校の部活においては、東大阪市の花園ラグビー場でおこなわれる「全国高等学校ラグビーフットボール大会」が最も有名な大会です。

武道・格闘技

高校の部活における武道・格闘技には、相撲、柔道、剣道、弓道、空手道、レスリング、ボクシングなどの競技があります。競技によっては、設置されている学校数が限られるものもあります。例えばボクシング部は、全国でも264校、2,050人の登録にとどまっており、かなり珍しい部活だといえるでしょう。

剣道

剣道部は、柔道部と並んで多くの学校に設置されている部活です。男子19,750人、女子12,036人が活動しています。剣道は、武道のなかでも特に礼節を重んじるとされており、練習を通じて心身の強化をはかっていく競技です。

陸上・水泳

陸上部、水泳部は、同じ部活内でもさまざまな種目があります。陸上部の活動には、

  • ・トラック競技と呼ばれる、短・中・長距離走、リレー、ハードル
  • ・フィールド競技である、走り高跳び、走り幅跳び、三段跳び、棒高跳び
  • ・投てき競技である、砲丸投げ、円盤投げ、やり投げ

などがあります。

水泳部では、平泳ぎ、背泳、バタフライといった種目があります。他にも、水球や飛び込みを専門に活動している学校もあります。また、数は少ないながら、アーティスティックスイミング(シンクロ)の活動をおこなっている学校もあります。

特色ある運動系部活

ここまで挙げてきた一般的な運動部以外にも、さまざまな特色のある部活があります。例えば、新体操、サーフィン、スキー、ボート(カヌー・ヨット)、自転車競技、登山などです。

新体操

新体操、体操部に所属している生徒数は、男子2,127人、女子4,091人となっています。新体操は女子競技のイメージが先行していますが、男子新体操の活動も年々広がっています。柔軟性や華麗な演技が特徴の女子競技に対して、男子の競技はタンブリングを多用した力強い演技が特徴です。

サーフィン

サーフィン部は非常に珍しく、全国の高校でも数えるほどの学校にしか設置されていません。サーフボードを使って波に乗り、高得点の技を競い合う競技です。その特性上、部活をするためには学校近隣にサーフィンに適した海があることが大前提となります。

文化系部活の種類

文化系の部活も学校ごとに特色があり、英語や生物など学問に関する部活や、将棋・囲碁などの競技系の部活、茶道、華道、園芸など非常に多岐にわたります。ここでは、いくつかの部活をピックアップしてご紹介します。

芸術系

まず、芸術系の部活から見ていきましょう。芸術系に分類されるのは、吹奏楽、軽音楽、美術、チアリーディングなどです。

吹奏楽

全日本吹奏楽連盟によると、2021年の高等学校の吹奏楽加盟数は3,688校です。毎年開催される「全日本吹奏楽コンクール」には各都道府県から選抜された学校が出場し、2023年は全国30校によって競われました。フルートやクラリネット、サキソフォンなどの木管楽器、トランペット、トロンボーンなどの金管楽器、さらに弦楽器であるコントラバスや打楽器も含めて編成されるのが一般的です。

軽音楽

軽音楽とはクラシック以外の音楽を指す言葉であり、ポピュラー音楽全般がこれにあたります。2013年からは「全国高等学校軽音楽コンテスト」という全国大会も開催され、活躍の場が広がっています。

美術(イラスト)

美術部の活動は、デッサンや陶芸、彫刻など学校によってさまざまです。さらに近年はデジタルイラストに取り組む学校も多く、アニメやイラスト、漫画など、幅広いジャンルの制作活動がおこなわれています。

チアリーディング

チアリーディングは、サッカーや野球など、他のスポーツの応援から始まり、徐々にアクロバティックな技が取り入れられ、一つの競技となりました。大会では、技の正確性、完成度、難易度、連続性、スピード感・同調性に加え、元気さ、笑顔なども評価の対象となります。

ダンス

ダンスのジャンルは幅広く、部活においても各学校がさまざまなダンスに取り組んでいるのが特徴です。一例として創作ダンス、ジャズダンス、ストリートダンスなどがあり、ジャンルごとの大会も実施されています。毎年夏には、オールジャンルを対象にした全国大会、日本高校ダンス選手権(ダンススタジアム)が開催されています。

近年活動の幅が広がっている文化系部活

最近では、部活動の幅も広がり、さまざまな活動が部活として認められるようになってきました。ここからは、近年注目を集めるようになった文化系の部活を2つ紹介します。

パソコン

パソコン部は、学校によってコンピューター部、プログラミング部などの名称もあります。活動内容は学校、また生徒によっても異なる場合が多く、パソコンの使い方を学びたい初心者から、検定合格を目指している、プログラミングを学びたい、ゲームを制作したいという生徒まで、幅広く活動しています。

e-スポーツ

eスポーツとは、「エレクトロニック・スポーツ」の略称で、コンピューター機器を使ったゲームの総称です。「ストリートファイター」シリーズや「グランツーリスモ」シリーズなど、著名なゲームタイトルでは大規模な大会も頻繁に開催されており、最近ではeスポーツのプロ選手(プロゲーマー)という存在も珍しくなくなってきました。高校の部活としての活動数はまだ少ないものの、全国でその数が増加傾向にあります。

失敗しない部活動の選び方

部活は、基本的に高校1年生から3年生の1学期頃の引退まで、約2年間にわたって継続します。その時間を有意義に過ごすためには、最初の部活選びが何よりも大切です。ここでは、失敗しない部活の選び方のポイントをお伝えします。

やってみたい部活で選ぶ

部活を2年間続けるためには、モチベーションの維持が欠かせません。「誘われたから」「友達が入るから」という理由ではなく、自分が心からやってみたいと感じるもの、興味があるものを選ぶと続けやすいでしょう。

部活内の雰囲気を見る

部活選びの際には、活動内容だけでなく、メンバーの雰囲気も確認しておきましょう。人数や、先輩・後輩の関係性などは部活によってそれぞれです。入ってから後悔することがないよう、自分に合った雰囲気かどうか慎重に見極めるようにしましょう。

活動のスケジュールを確認する

「勉強の時間を長めに確保したい」「学外での活動の時間を取りたい」「休む時間もしっかり取りたい」など、高校生活に求めるものは人それぞれです。部活のスケジュールを事前に確認して、毎日の生活に無理が生じないようにしましょう。

部活動を始めた場合の1日のスケジュールはどうなる?

ここからは、高校での1日の生活について、通信制高校である明聖高校の例でお伝えします。

朝のホームルームが9:30にスタートし、5限までの授業と清掃、帰りのホームルームを終えるのが15:05となります。通常は、それ以降が部活の時間です。

平日のスケジュール

部活の平日の活動時間は、スポーツ庁、文化庁のガイドラインによって「2時間程度」と定められています。部活の状況によって増減することが想定されますが、計算上は、部活に入っていない生徒よりも、1日あたり2時間ほど自由に使える時間が短いことになります。

休日のスケジュール

休日の部活については、スポーツ庁、文化庁のガイドラインで示された時間は「3時間程度」です。ただし、実際には練習試合、公式試合などもあり、3時間には収まらないケースも多いと想定されます。
休日1日あたり3時間の活動であっても、週に6時間、1年間では300時間以上になります。部活に入った場合は、年間で自由時間がかなり制限されることは頭に入れておきましょう。

通信制高校も部活動は活発!

部活が活発なのは、全日制高校に限った話ではありません。通信制高校でも運動系、文化系ともにさまざまな部活がおこなわれています。
明聖高校を例に、部活動の活動状況をご紹介します。

硬式野球部

硬式野球部は強化指定部として、激戦区千葉で上位進出を目指して活動しており、毎週土日は練習試合をおこなうなど、日々熱心に取り組んでいます。第103回、第104回の全国高等学校野球選手権 千葉大会では、150を超える出場校のなかで、いずれもベスト32という結果を残しました。

e-スポーツ部

e-スポーツ部では、2020年の第3回全国高校生eスポーツ選手権「ロケットリーグの部」に、中野キャンパスeスポーツ部3年生チーム「なかのんず」が参加し、全国16位に輝いた実績があります。後輩たちも先輩の記録に続くべく、活動に励んでいます。

明聖高校のeスポーツ部については、以下の記事で詳しく紹介しています。あわせてご参照ください。
明聖高校のeスポーツ部を紹介!高校生で参加できる大会や競技は? | 通信高校生ブログ

新体操部

明聖高校の新体操部は、関東大会やインターハイ、全国高校選抜の各大会に出場し、非常に優秀な成績を収めています。本校の海保結愛さんは、2023年9月に中国・杭州で開催された「アジア競技大会」の日本代表選手として出場しました。
日々の練習が多忙を極める中、通信コースに在籍しながら、練習と勉強を両立させています。活動と勉強を両立させられるのも、通信制高校の良い面です。

海保さんの活躍は、千葉本校のブログでもたびたび取り上げておりますので、ぜひご覧ください。

通信コース 海保 結愛さん 新体操 関東大会 優勝!|ニュース&お知らせ(千葉本校)|明聖高校情報局

優勝おめでとう!|ニュース&お知らせ(千葉本校)|明聖高校情報局

サーフィン部

明聖高校のサーフィン部は、全日本サーフィン選手権では毎年上位の成績を収め、数々のタイトルを獲っています。通信制高校では自分の都合に合わせて学ぶことが可能なので、海外遠征や試合日程との調整が容易であることから、卒業生に大勢のプロサーファー、強化指定選手がいることも特長です。日本代表選出のための強化指定選手も輩出しており、卒業生の大原洋人選手はオリンピックに出場しています。

なお、明聖高校の部活動について詳しく知りたい方は、以下のページもご覧ください。
通信制高校にはどんな部活動があるの?種類や活動内容を紹介 | 通信高校生ブログ