小学校や中学校での不登校が辛くて高校への進学を考えられない。今通っている高校を辞めたいと考えている。自分の子どもがそのように考えていると、親としては心配で仕方がないと思います。しかし、学校を休むのは決して悪いことではありません。世の中には不登校の子どもが一歩踏み出すための支援もあります。
この記事では不登校のタイプを踏まえ、親の心構えや不登校生徒への支援についてご紹介します。

そもそも不登校とはどんな状態?

不登校の状況は、法律で定義がなされています。「義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律」の文部科学省省令では、不登校を次のように定めています。
『何らかの心理的、情緒的、身体的若しくは社会的要因又は背景によって、児童生徒が出席しない又はすることができない状況(病気又は経済的理由による場合を除く。)』

また、文部科学省が毎年度おこなっている調査「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果について」では、法律上の「不登校」の定義に当てはまり、なおかつ30日以上欠席した児童生徒を「不登校」の調査対象としています。

不登校になる子どもは、下記の5つのタイプに大別できます。

人間関係タイプ

クラスの友人や部活動での先輩・後輩、教職員などとの人間関係を理由に不登校になっているタイプです。理由には、いじめも含みます。

遊び・非行タイプ

学校へ通うことに意味を見出せず、遊ぶために不登校となっているタイプです。なかには、子どもが非行グループに入っているケースもあります。

無気力タイプ

何らかの理由で学校生活に物足りなさを感じ、無気力となっているタイプです。無気力の原因が、自分を肯定できないことからくる場合もあります。

不安タイプ

本人が登校したくても、漠然とした不安があるために登校できないタイプです。不安から体の不調が起こり、学校を欠席するケースもあります。

複合タイプ

人間関係、遊び・非行、無気力、不安の4タイプの特徴を複数あわせ持っているタイプです。例えば人間関係が直接的な原因ながらも結果的に無気力状態になっている、というケースが当てはまります。

不登校のそれぞれのタイプについては、以下の記事で詳しく解説しています。あわせてご参照ください。
不登校とはどのような状態?5つのタイプ別に対処法を紹介

子どもが不登校中に親ができることとは?

子どもが不登校になれば、親は心配せずにはいられないでしょう。しかし、焦って子どもを急き立ててしまえば、かえって事態を悪化させてしまう可能性もあります。不登校の子どもの親には、どのような対応が求められるのでしょうか?

対応1. 強く励まさない、厳しい指導をおこなわない

まずは、親や他の家族から、強く励ましたり厳しい指導をおこなったりしないことです。不登校になった子どもは、心身ともに疲れており休息が必要な状態です。休息を十分にとらないまま強く励まされると、子どもにはかえって負担となってしまいます。強く厳しい言葉は不要と心得て、子どもの現在の状態を受け入れましょう。

対応2. なんでも話しやすい親になる

わが子が不登校ともなれば、親としては「原因は何か」と考え、問い詰めたくなるかもしれません。しかし、子ども自身が悩みや原因を話し出すまで待つことが大切です。もしかすると、子ども本人ですら不登校の明確な原因がわからないかもしれません。いずれにしろ、必要となるのは子どもに「親はあなたの味方」だと伝え続け、相談してもらえる雰囲気をつくることです。

対応3. 家の中に居場所をつくる

子どもの心身を回復するために、できれば子どもがひとりになれる部屋を確保できるとよいでしょう。自由に使える場所があれば、子どもは自分自身を振り返り、趣味を楽しむこともできます。もちろん、子どもをずっとひとりにするばかりではなく、親や家族からの継続的な働きかけも忘れずにおこないましょう。

対応4. 友人と連絡を取り、遊ぶことを勧める

子どもに、友人と連絡を取ったり遊んだりすることを勧めてみてはいかがでしょうか。不登校だからといって、遊びに行ってはいけないわけではありません。仲間と遊ぶ機会は、不登校から脱するきっかけづくりに役立ちます。通っている学校に信頼できる友人がいない場合は、児童相談所や自治体がおこなうイベントで相談するという手もあります。

不登校になった子どもに親が取るべき対応について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
不登校は甘えじゃない!親ができる不登校になった子どもへの4つの対応

不登校の子どもへの支援とは?

政府や学校側でも、不登校の子どもへの支援を用意しています。ここからは、不登校の子どもへの支援を政府の支援と学校の支援に分けて紹介していきます。

政府がおこなっている支援

内閣府は、すべての子どもや若者が自らの居場所を得て、成長・活躍できる社会を目指し、支援をおこなっています。内閣府の取り組みのひとつが、「子供・若者育成支援推進大綱」の制定です。大綱の基本的な方針は、5つ定められています。方針のひとつ「困難を有する子供・若者やその家族の支援」では、困難な状況から脱したり状況をコントロールして過ごしたりできるよう、家族も含めてすべての子どもや若者に支援していくことを宣言しています。具体的には、SNSで子どもが気軽に相談できるサービスの提供などを進めています。

政府の支援内容について、詳しくは下記の記事をご参照ください。
不登校への支援は何がある?最新の支援情報まとめ

学校がおこなっている不登校生徒への支援

学校でも、不登校生徒への支援をおこなっている場合があります。通信制高校である明聖高校では、不登校の経験がある生徒へ向け、次のような支援をおこなっています。

個別学習室の設置で少人数体制のサポート

明聖高校では、教室で授業を受けるのが困難な生徒を少人数でサポートする「個別学習室」を設置しています。個別学習室で授業に慣れたあとに通常クラスに移るという段階的な流れで、無理なく学校になじめます。

Web配信型の講座、受験指導などの学習コンテンツ

オンラインのアカデミー講座が受講可能です。業界のプロが教える講座が多く用意されており、生徒の資格取得や悩み解決に役立ちます。

常駐カウンセラーやカウンセリング専門研修済の教員による相談

不安なことがあれば、カウンセリング専門研修を受けている教員はもちろん、校内に常駐しているカウンセラーにも相談ができます。

明聖高校がおこなっている支援について、詳しい内容は下記記事をご参照ください。
不登校生徒へのサポート体制|明聖高校

不登校で辛くなったら学校を変えるという選択肢も

不登校で辛くなって学校に行きたくないと思っても、進学を諦めたり退学したりすることのデメリットは考えておかなければなりません。高校へ行かなければ高校卒業資格を得られず、大学へ進学するハードルも上がり、就職活動の際に志望企業の応募要件を満たせない場合もあります。そのようなデメリットを避けるために、通信制高校への入学・転校するのもひとつの手段です。

学校を辞めることのデメリットや通信制高校への転校の詳しい内容は、下記記事をご参照ください。
高校・学校を辞めたい…と思ったときに知っておきたいデメリットや解決方法