小学校、中学校に続き、令和2年度からは高等学校でもプログラミング教育が必修科目となりました。プログラミング教育に対する注目度は、ますます高まっています。しかし、なぜプログラミングを学ぶ必要があるのか、実際にどのようなことを学べるのかといった点は、なかなかイメージが湧きにくいのではないでしょうか。
今回は、プログラミング教育が導入される背景、そしてその学びを今後社会でどのように活用していくのかといった点を詳しく解説していきます。
令和4年から高校のプログラミング教育が必修に
プログラミング教育は、小学校では令和2年から、中学校では令和3年からすでに必修化しています。そして令和2年度に施行された新学習指導要領に基づき、令和4年からは高校でも必修となりました。
プログラミングを学ぶ背景には、技術革新の急速な進展があります。今後10年〜20年で人間の担っている仕事の半数近くが自動化し、2045年頃にはAIが人間の代わりに知的労働をする時代「Society5.0」が訪れるという予測があります。この大きな変革を迎える時代において、情報や情報技術(IT)を主体的に活用できる能力が、これまで以上に重視されるのです。情報に関する技術や素養を学ぶことは、これからの時代を生き抜くための必須スキルであるといっても過言ではありません。
高校のプログラミング教育とは?
高校のプログラミング教育には、共通必履修科目の「情報Ⅰ」、選択科目の「情報Ⅱ」があります。それぞれの学習項目は以下のとおりです。いずれも、最初の項目で情報社会との関わりや情報技術の活用についての理解を深めてから、実践的な学習へと進みます。
情報Ⅰ
- (1) 情報社会の問題解決
- (2) コミュニケーションと情報デザイン
- (3) コンピュータとプログラミング
- (4) 情報通信ネットワークとデータの活用
情報Ⅱ
- (1)情報社会の進展と情報技術
- (2)コミュニケーションとコンテンツ
- (3)情報とデータサイエンス
- (4)情報システムとプログラミング
- (5) 情報と情報技術を活用した問題の発見・解決の探究
プログラミング教育の目的は、必ずしもエンジニアを養成することではありません。プログラミング手法のみではなく、コンピュータや情報ネットワークの仕組み、情報セキュリティ、データの活用方法など幅広い知識の習得を目指すものとなっています。
高校のうちから実践的なプログラミングを学ぶ理由とは?
プログラミング教育の目的は、ITへの理解を深め、情報を適切に活用する力をつけることです。そのためにまず、コンピュータの仕組みを理解することが重要だと考えられています。また、問題解決のプロセスを整理・効率化するための論理的思考「プログラミング的思考」の習得も重要なポイントです。プログラミング的思考は若いうちに習得することが望ましいため、小学校の授業から取り入れられています。さらに中学校では情報処理の基本を学び、高校での「情報」の授業へと展開していきます。
実践的なプログラミングには、数学や英語など中学校までの学習内容が必要です。また、目まぐるしいスピードで進化する情報処理の世界では、若く柔軟な思考を持っていることが有利とされています。これらのことから、高校で実践的なプログラミング学習を始めるのが最適だと言われているのです。
通信制高校ならより専門的で実践的なプログラミングを学べる
明聖高校では千葉本校、中野キャンパスともに「全日ITコース」が設置されています。カリキュラムにはITに関する知識やスキル習得に特化した内容が盛り込まれ、指導にあたるのは、IT業界で活躍中のプロの講師陣です。ここでは、ITコースで実際に学べる内容についてご紹介します。
なお、明聖高校のITコースについて詳しく知りたい方は、こちらのページもご覧ください。
ゲームプログラミング
ITコースのカリキュラムには「ゲームプログラミング」の時間があります。授業では、ゲーム開発エンジン「Unity」を使用します。さまざまな有名ゲームの開発や、VR空間や映像作品制作にも用いられているUnityを学び、独自のゲームを開発しながら操作方法を習得します。
コンピュータグラフィックス
コンピュータグラフィックス(CG)とは、コンピュータを使って作られた画像全般を指す用語です。授業では、3DCGを制作できる「Maya」をはじめ、「Illustrator」、「Photoshop」などのグラフィックデザイン制作に必須とされるソフトの基本知識を学びます。
プログラム言語
コンピュータに指示を伝えるための言語を「プログラム言語」といいます。明聖高校では、プログラム言語の「Python」を学びます。PythonはAIの開発やデータ分析など、現代社会で重視される技術開発に幅広く活用されているプログラミング言語です。YouTubeやInstagramなどもPythonで開発されたサービスとして知られています。
現代社会で注目されている情報技術とは?
情報技術は飛躍的に発展し、私たちの生活のさまざまな場面で活用されるようになりました。プログラミングを学ぶことで仕組みを理解し、よりよい仕組み作りのために何ができるのかを主体的に考えられるようになります。
ここでは現在注目されている情報技術の一例をお伝えします。
AI(人工知能)
AI(Artificial Intelligence)は人工知能と呼ばれるプログラムで、入力に対し自動的に処理をおこなうコンピュータシステムやソフトウェアのことを指します。既定のプログラム実行だけではなく、データから自ら学ぶことができるのがAIの特徴です。AppleのSiriやAmazonのAlexaなど実用化されているサービスに加え、今後は自動運転をはじめ製造業、医療、農業まで、AIは幅広い分野での活用が期待されています。
ロボット技術
ロボット技術は、自動車工場をはじめ製造業で導入されています。最近では、接客の現場で活躍するPepperや、介護や高齢者支援の現場で活躍する介護用ロボットなど、私たちの身近なところでもロボット技術は活用されています。今後、サービスロボットはさらに多くの分野への拡大が見込まれており、新たなロボットを開発できる技術者の需要が高まるでしょう。
まとめ
従来は一部のスペシャリストが担う技術と認識されていたプログラミングですが、今後の情報社会で活躍していくためには、欠かせない知識のひとつになりつつあります。今後はあらゆる業種・業態でより一層AIやロボット技術の導入が進むでしょう。
高校でのプログラミング学習は、発展と変化を続ける情報社会に備えるという意味で、今後ますます重要となっていきます。高校時代からより実践的な技術と知識を習得したいと考えている方は、プロから学べる通信制高校の専門コースへの進学も選択肢のひとつとして検討してみてはいかがでしょうか。
参考URL:
千葉本校-全日ITコース|通信制高校(千葉・中野)|明聖高等学校
2022年度から高校のプログラミング教育が必修に!背景や授業例を紹介 | 通信高校生ブログ
小学校プログラミング教育の趣旨と計画的な準備の必要について
【高等学校情報科「情報Ⅰ」教員研修用教材(本編)】表紙・はじめに・目次・序章
高等学校情報科「情報Ⅱ」教員研修用教材 表紙・はじめに・目次・序章
教育の情報化の手引き-追補版-(令和2年6月)第3章
参考資料2 小学校段階におけるプログラミング教育の在り方について(議論の取りまとめ)
総務省|平成28年版 情報通信白書|サービスロボットの事例、最近の動き
高等学校情報科「情報Ⅰ」教員研修用教材(本編):文部科学省
明聖高等学校は、千葉・中野にキャンパスを構える通信制高校です。全日コース・全日ITコース・通信コース・WEBコースに分かれており、一人ひとりに合わせた高校生活を過ごすことができます。