子どもが不登校になった親の心配は尽きません。とくに勉強は進路や就職につながるため、焦る気持ちがうまれるかもしれませんが、親が焦っても状況は改善しません。勉強を強制すると心の負担になりかねず、不登校が長引く可能性もあります。心のバランスを取り戻すまでは回復の支えとなり、勉強したい気持ちになったときに全力で支援しましょう。
今回は、不登校の子どもを持つ親に向けて、自宅勉強のコツや問題集の選び方を解説します。子どもの自宅勉強で悩んでいる人は、参考にしてください。
問題集は子どもの特徴と目的にあわせて選ぶ
自宅勉強で使う問題集などの教材は、子どもの特徴と目的にあわせて選びましょう。例えば、学校に復帰したい子どもと興味がある分野の勉強がしたい子どもとでは、選ぶべき教材が変わってきます。
自宅勉強にはさまざまな方法があります。机に向かって教科書を読むだけが勉強ではありません。オンライン授業に対応している学習塾や家庭教師も増えています。学習用動画や音声素材なども上手に活用しましょう。
不登校の状態から抜け出すためには、きっかけが必要です。ただし、何がきっかけになるかは誰にもわかりません。子どもが少しでも興味を持てることがあるなら、積極的に取り組めるよう支援の手を差し伸べましょう。
きっかけが見つかれば子どもの心に前向きな気持ちが生まれ、自信回復にもつながります。自分の目標を達成するために学びが必要だと認識できれば、勉強にも自発的に取り組めるようになるでしょう。
勉強の仕方がわからない
高等学校の授業は小学校や中学校の学びをベースにしているため、基礎学力がないと授業についていけない状況になりやすいです。学びの楽しさや必要性を理解できなければ、モチベーションは上がりません。
勉強に対する自発性(自己決定感)が成績に影響すると指摘する研究もあります。自らの意志で勉強に取り組まなければ、自分にどのような勉強の方法が適しているのかをつかめません。そもそも、椅子に長時間座る状況やテキストを読むこと自体が苦手な子どももいます。
勉強の仕方がわからない場合やテキストが苦手な子どもには、基本的に独学は向きません。講師とコミュニケーションがとれるオンライン授業や家庭教師、動画、音声教材などを積極的に活用して、モチベーションの維持を図りましょう。
学校の勉強に追いつきたい
人間関係のトラブルが原因で不登校になる子どもは少なくありません。「勉強したい気持ちはあるが、学校に行けない」場合なら独学も可能です。教科書の内容を補完する参考書や資料集、問題集などを準備しましょう。
独学の問題点は、わからない部分が出てきたときに質問できないことです。疑問点を放置すると成績は伸びません。親が対応できない場合は、質問に対応している通信教育や家庭教師の利用も選択肢に入ってきます。オンライン授業や個別指導に対応している学習塾なら、集団行動や外出が苦になる子どもでも利用しやすいでしょう。
高卒認定が欲しい
高卒認定とは、高等学校を卒業した人と同等の学力を持つと認定してもらうための試験です。文部科学省が年2回実施しており、正式名称は「高等学校卒業程度認定試験」です。大学入学資格を持たない人なら、16歳になる年度から受験可能です。
高卒認定を受けても最終学歴は高卒にはなりませんが、大学受験に挑戦できるメリットがあります。独学で高卒認定を目指すなら、参考書や過去問題集を用意しましょう。高卒認定向けの通信教育を利用すれば疑問点が出てきたときに質問できるため、勉強がスムーズに進みます。
将来の夢をかなえたい
子どもにかなえたい将来の夢がある、好きなことがある場合は、専門の勉強ができる環境を整えましょう。
例1:Webデザイナー
Webデザイナーとは、Webサイトのデザインを担当する職業です。Webサイトを作りたい企業や個人のニーズを形にする仕事で、幅広い知識とスキルが求められます。基本的にチームで業務に当たるため、コミュニケーション能力も必要です。就業形態はさまざまで、フリーランスとして働く方法もあります。
Webデザイナーを目指すなら、PhotoshopやIllustratorなどのツールを使いこなすスキルやデザインの法則、配色知識は欠かせません。また、HTML/CSSやJavaScriptなどのコーディングスキルも求められます。
自宅勉強をする場合は、パソコンとWebデザイナー向けの参考書や問題集などを用意しましょう。Web関連では唯一の国家資格「Webデザイン技能検定」3級用の参考書や過去問題集を活用する方法もおすすめです。
例2:プログラマー
プログラマーとは、プログラミング言語を使ってプログラムを作る職業です。IT業界ではキャリアパスの入り口に位置する仕事ですが、IT人材不足が危惧されるなか需要が高まっています。
学習指導要領の改訂にともない、2020年度には小学校、2021年度には中学校でプログラミングが必修化されました。高等学校では2022年度から「情報Ⅰ」が必修となります。
プログラミング言語は種類が多いうえに、分野によってもメインで使われる言語が異なります。新言語が次々に開発される点にも注意が必要です。例えば、Web開発ではHTML/CSSやJavaScript、Rubyなどの言語が使われます。人工知能(AI)関連ではPythonが人気です。
プログラマーを目指す場合は、自分の進みたい分野で使われているプログラミング言語の参考書や問題集を使って勉強を進めましょう。実際にプログラミングができるパソコンなどの環境整備も必要です。
インターネット上には無料で学習できるサイトや動画が多数あるため、上手に活用しましょう。ITの入門編に該当する国家資格「ITパスポート」や「基本情報技術者試験」の参考書や過去問題集を使う手もあります。
例3:英語を使った仕事
英語を使う仕事がしたい場合は、英語力のアップが一番の目標になります。TOEFLやTOEICなどの英語能力検定試験で一定のスコアを取れれば、就職にも有利です。
英語はさまざまな方法で勉強できます。TOEFLやTOEICの問題集、英会話スクール、学習塾、アプリ、通信教育などから、自分にあった方法を探しましょう。音声付き日常会話集や音声付き単語集、言語変換アプリなども役立ちます。
テレビやラジオの英語講座や動画など、無料で利用できるツールがたくさんあります。Appleの音声SNS・Podcastを利用すれば英語の勉強向け番組を無料で聴けるため、積極的に活用してみてはいかがでしょうか。
将来の夢がわからない
「将来の夢がはっきりしない」「やりたいことが見つからない」子どもには、さまざまな体験をさせてあげましょう。友人やSNS、動画などで人の話を聞いてみる、好きなことを深堀りするなど、どのようなことでもかまいません。料理や手芸をはじめる手もあります。やりたくないことから絞り込んでみてもいいでしょう。できることを増やしていけば、自分に向いていることや好きなことが見えてきます。
明聖高等学校は、千葉・中野にキャンパスを持つ通信制高校です。不登校の子どもが無理なく勉強に取り組むための支援を提供しています。中学の総復習や個別指導、自宅学習支援にも対応しているため、自分にあった支援を受けられます。教員がメンタルヘルスやカウンセリングなどの専門資格を取得している点も安心材料です。以下で全8コースを紹介します。
- ・千葉本校:全日コース、全日ITコース、通信コース
- ・中野キャンパス:全日デザインコース、全日ITコース、全日総合コース、3日制コース
- ・WEBコース:スマートフォンで学べるサイバー学習国とサイバーアカデミー
まとめ
子どもが不登校になると親は不安や焦りを感じますが、学びはいつからでもはじめられます。子どもの気持ちに寄り添いながら、働きかけを続けましょう。勉強したい意欲が高まっているなら、その気持ちを尊重してあげてください。
以前通っていた学校に戻りたくない場合は、通信制高校の利用や転校も検討してみてはいかがでしょうか。ただし、無理強いは禁物です。あくまでも本人の希望に沿った形での提案を心がけましょう。
参考URL:
不登校中の学力が心配……学校復帰・社会復帰に向けた自宅学習方法を解説|明聖高等学校
神戸薬科大学薬学基礎教育センターのリトリーブアワー支援プログラムにおける学習動機と学力の関連性について(61~62ページ)|神戸薬科大学機関リポジトリ
高等学校卒業程度認定試験(旧大学入学資格検定)|文部科学省
高卒認定試験とは|生涯学習のユーキャン
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政府広報オンライン|内閣府
小学校プログラミング教育の趣旨と計画的な準備の必要性について(1)(14ページ)|文部科学省
基本情報技術者試験|IPA
明聖高校の特徴|明聖高等学校
明聖高等学校は、千葉・中野にキャンパスを構える通信制高校です。全日コース・全日ITコース・通信コース・WEBコースに分かれており、一人ひとりに合わせた高校生活を過ごすことができます。