不登校に悩んでいると、「自分は将来、社会に出て働けるんだろうか」と不安になることがあるかと思います。また、すでに不登校を乗り越えた人も「不登校になった経験があると企業に知れたら、就職活動で不利になるのではないか」と心配になってしまうかもしれません。
不登校の経験がある人が就職するにあたっては、どのようなことに気を付ければよいのでしょうか。詳しく解説していきましょう。

不登校経験があっても就職できる!挫折を乗り越えた経験が評価されることも

まず、不登校の経験があっても、そのことが直接的な原因になって、就職で不利になることはありません。

確かに、不登校の原因を根本的に解決できていなければ、社会人になっても繰り返してしまい、引きこもりになってしまう恐れはあります。しかし、不登校を乗り越え、自分への自信を取り戻すことができれば、就職することは可能です。公的な調査でも、不登校を経験した大半の人が「不登校の経験が理由で不当な扱いを受けたことはまったくない」と回答していることがわかっています。

そして実際に、世の中には不登校の経験を乗り越えて就職し、社会で活躍している人は大勢います。企業は「不登校の経験」という過去以上に、「これから企業でどのように活躍してくれるか」という未来を見ているためです。中には、就職活動の際に不登校を乗り越えた経験を明かしたとき、「挫折を乗り越えることができた」として評価されたという例もあるといいます。

ですから、たとえ登校できていなくても、就職について焦ったり、自分を追い詰めたりせず、ゆっくりと不登校を乗り越えることを考えましょう。

不登校経験がある人は就職で何に気を付ければいい?注意しておきたい4つの課題

一方で、不登校の経験が、間接的に就職を難しくしてしまう場合があるのも事実です。具体的にどのようなことが課題になる可能性があるか、気を付けておきたいポイントを見ていきましょう。

最終学歴が採用条件・資格取得条件を満たしていない

正社員求人の応募条件や、専門技術の資格取得条件(資格試験の受験要件)が「高校卒業以上」となっているものも少なくありません。したがって、不登校のために高校を卒業できなかった場合は、就ける仕事の幅が狭まってしまう場合があります。

基礎学力、教養の不足

不登校の期間に学習が滞ってしまい、基礎学力や教養が不足していると、就職活動が難航する可能性が高くなります。例えば、就職試験の筆記試験や、就職のための資格試験を難しいと感じやすくなるでしょう。

また、仕事に必要な計算や、コミュニケーションをするうえでの語彙など、数学や国語の一般常識が欠けていると、就職したあとに「仕事の説明を正しく理解できない」という問題も起こりやすくなります。

体力不足、生活習慣の乱れ

不登校の間に自宅から出られない状況が続いていると、体力が落ちてしまい、就職活動や、就職後の業務が思うようにできなくなってしまう場合があります。

また、昼夜逆転しているなど生活リズムが乱れている場合も、日中の活動が難しくなり、就職にも響く恐れがあるでしょう。

他人とのコミュニケーションや集団行動への不安

就職活動では、企業の採用担当者とのやり取りや、選考プロセスでの面接など、見ず知らずの他人とコミュニケーションを取ることが不可欠です。また、実際に働き始めてからも、基本的にはグループやチームで仕事をすることになります。

不登校を経験している人は、そうしたコミュニケーションや集団行動に不安を感じるケースも多いでしょう。先ほどご紹介した調査でも、不登校を経験した人の7割以上が、「(不登校を乗り越えたあとも)他人との関わりに不安を感じることがあった」と回答していることがわかっています。

高卒資格を取れば、不登校の経験がある人も就職の選択肢が広がる!

これら4つの課題は、高校卒業資格(高卒資格)を取得することで解消しやすくなります。

例えば、2019年3月の中学校・高校新卒者の求人状況を見ると、中学新卒者を対象としたものは、全国で1,116件しかないのに対し、高校新卒者を対象とした求人は426,119件も公表されています。現実には、中学校・高校それぞれの既卒者に対する中途採用の募集もありますが、これら新卒求人だけ見ても、大きな違いがあることがわかるでしょう。

また、厚生労働省の統計によると、最終学歴が「高校卒業」のほうが、就職しやすい業種が増えることも明らかになっています。具体的には、中卒の人の就職先は「宿泊業、飲食サービス業」「卸売業、小売業」に偏っていますが、高卒の場合は「製造業」(メーカー)や「医療・福祉」といった業種への就職も多数です。

さらに、高卒資格の取得を目指す過程で、基礎学力を付けたり、高校の友だちや先生とコミュニケーションを取る中で社会性を育んだりすることも可能です。加えて、習慣的に学習することで日中の活動量が増えれば、体力の向上や生活リズムの改善にも役立ちます。

不登校の経験がある人も、学習を続けて高校卒業資格を取れば、より就職しやすくなるのです。

不登校経験があっても高卒資格が取れた!通信制高校から就職した先輩の体験談

就職に向けて高卒資格を取得したほうがよいとはいえ、不登校を経験している人は、高校へ通うことに抵抗がある場合も多いでしょう。そこでおすすめなのが、通信制高校で学ぶという選択肢です。

通信制高校は自宅での自主学習をメインに学習を進め、毎日登校する必要がないため、不登校に悩むたくさんの人に選ばれています。また、不登校を経験している人へのサポート体制が整っている学校が多いのも、通信制高校の特徴です。例えば、明聖高校では、先生たちが「カウンセリング」「メンタルヘルス」などの専門研修を受講し、資格を所持しています。また、集団で授業を受けるのが難しい生徒は、少人数制の「個別学習室」で授業を受けることが可能です。

実際に、明聖高校で高卒資格を取得し、就職した先輩の体験談をご紹介しましょう。

Oさん(男性):勉強が苦手でも高卒資格を取得し、希望の業界に就職できた!

Oさんは当初、全日制高校に通っていましたが、クラスの雰囲気になじめず、勉強にもついていけなくなり、不登校になりました。それでも高卒資格は取得したいと考え、明聖高校に転入したといいます。
明聖高校のカリキュラムは、中学校の基礎的な内容も復習しながら基礎学力を付けられるため、Oさんは「勉強が苦手な自分でも続けられる」と感じたそうです。また、自宅学習が中心であるため、不登校の経験があっても取り組みやすかったといいます。
さらに、自分で自由に使える時間を利用してアルバイトや資格取得の勉強にも取り組みました。充実した高校生活の中で視野が広がり、自分への自信を取り戻すことができたといいます。
卒業後は希望していた物流会社に就職し、社会人としてのキャリアを積み重ねています。高卒資格を取得したことで就職しやすくなっただけでなく、明聖高校で学んだ知識や、高校生活での体験が、今の仕事でも役に立っているそうです。