ネット高校での学習は、パソコンやスマートフォン、タブレットを使ったネット授業の視聴を中心に進めます。最近では、ネット授業を受けられるオンライン学習サイトやアプリもさまざま登場し、さらに新型コロナウイルス感染症流行の影響で、公立の中学校・高校でもネット授業が取り入れられるなど、ネット授業はネット高校の生徒以外にとっても、身近なものになりつつありますよね。
今回は、そんなネット授業の特徴や、学習内容をしっかり身に付けられる受け方、ストレスなく集中して学べる環境の整え方について解説していきましょう。

【ネット授業のメリット】時間や場所を問わず学習でき、理解も深めやすい

ネット授業の特徴として、次のようなメリットを得られることが挙げられます。

好きなときに、どのような場所でも学習できる

決まった時間に学校に通う必要がなく、いつでもどこでも、自分のペースで学習できるのがネット授業の特徴です。この理由から、ネット高校は不登校から学校復帰を目指す人をはじめ、スポーツ活動や芸能活動、仕事と学業を両立している人、病気の治療をしながら高校卒業を目指す人などに選ばれています。
また、学校のキャンパスから遠く離れた地域に住んでいても授業を受けられたり、災害や感染症流行の影響で登校できなくなった際にも学習を続けられたりするメリットもあります。

教科書や参考書より理解を深めやすい

自主学習をする際、教科書や市販の参考書など紙の教材を使った学習方法よりも、ネット授業のほうが理解を深めやすいことがあります。
ネット高校の中には、単純に授業を録画したものを配信するのではなく、自主学習でも飽きずに、わかりやすく学べるようなネット授業を制作・配信しているところもあります。例えば、板書にアニメーションを加えたり、実写の資料映像や実験映像を組み合わせたりといった工夫は、ネット授業ならではです。
さらに、授業内容でわからないところがあれば、動画を巻き戻して繰り返し見直せるのも、ネット授業の強みだといえます。

チャットなどで先生や友だちと交流できる

多くのネット授業では、授業を視聴するだけでなく、その前後に先生や友だちとチャットなどでコミュニケーションを取れる機会が設けられています。独りでの自主学習に不安を感じたときには、先生や友だちが力になってくれるでしょう。
また、先生に学習や日々の生活について相談する際、対面よりチャットのほうが、人目を気にせず気軽に悩みを打ち明けられるという意見もあります。

【ネット授業のデメリット】ICT環境の整備ややる気の維持、健康面での注意が必要

一方、ネット授業には注意しておきたいデメリットもあります。

デジタル機器や通信の状況に左右されやすい

パソコンやスマートフォン、タブレットといったデジタル機器の性能・状態や、インターネット通信環境の影響を受けやすいのは、ネット授業の難点です。これらに不具合があると、学習に支障が出る恐れもあります。

強制力や監視の目がなく、自主学習への強い意志が必要

いつでもどこでも学習できるというネット授業のメリットは、裏を返せば、学習に対する強制力がなく、怠けてしまいやすいというデメリットにもなります。学習するためには、自ら進んでネット高校のコンテンツを開こうとする、強い意志が必要です。また、ネット授業の視聴中も、監視の目がないためになかなか集中力を保てないという声も聞かれます。

不適切な視聴方法だと健康を害する恐れがある

長時間にわたってネット授業を視聴していると、目の疲れや肩こりなどの不調につながる恐れがあり、十分な注意が必要です。

ネット授業を受ける際には、これらのデメリットを把握し、適切に対処することが重要です。

ネット授業を快適に受けるには?環境の整え方や便利なグッズも紹介

ネット授業のデメリットをできる限り軽くし、よりメリットを感じられるようにするためには、次のような工夫を実践してみましょう。

デジタル機器や通信環境の整備

・デジタル機器

パソコンやタブレット、スマートフォンの性能(CPU、メモリなど)やOS(Windows、Android、iOS、Mac OSなど)のバージョンが、受けるネット授業に対応しているかどうかを確認しましょう。OSについては、セキュリティの観点から常に最新のものにしておくことも大切です。

・通信環境

ポケットWi-Fiや、光回線、ケーブルテレビによるネット回線などが利用できます。いずれの場合も、ネット授業の動画をスムーズに視聴できるような速度・容量のプランを選びましょう。一般的に、速度は10~30Mbpsあればストレスを感じず通信できるといわれています。容量は無制限のプランが安心です。
また、自宅に設置したWi-Fiがネット授業を視聴する部屋まで届きにくい場合には、家電量販店などでWi-Fiルーターや中継器を購入してみてもよいでしょう。

・各種ソフトやアプリケーション

学校によっては、ネット授業用のアプリケーションのほか、チャットツール(Slackなど)やWeb会議ツール(ZOOMなど)を利用する場合もあります。アプリケーションのインストールに加え、アカウントの作成も必要です。

・その他のデジタル機器

教材を印刷するときに備え、プリンターもあると便利です。
また、リアルタイムでネット授業・面談を受ける場合、パソコンやスマートフォンに内蔵されているカメラやマイクに不安があれば、Webカメラやヘッドセットなども準備しておくとよいでしょう。

学習のやる気や集中力を保つための工夫・環境づくり

自宅で集中してネット授業に取り組める環境づくりも大切です。「自分の部屋の勉強スペースを整える」「あえて家族の目が届くリビングで学習する」など、自分に合った学習環境をつくってみましょう。また、ネット授業での学習には周囲の協力も不可欠です。家族にも事前に相談しておきましょう。
加えて、学習習慣を身に付けることでも、やる気や集中力を保ちやすくなります。やみくもに勉強するのではなく、「いつまでに、どの範囲まで勉強する」といった目標を立て、スケジュールに沿って学習することで、気持ちのメリハリをつけましょう。
さらに、先生や友だちと積極的にコミュニケーションを取ることも、モチベーションアップにつながります。

健康を損なわないような学習スタイル

ネット授業を視聴する時間や学習の姿勢に気を付けて、目や体が疲れないようにしましょう。例えば、視聴中には画面に近づきすぎないようにし、ネット授業を1つ視聴するごとに席から立ってストレッチをする、といった方法が有効です。必要に応じて、ブルーライトカット眼鏡やタブレットスタンドなどのグッズを活用するのもよいでしょう。