ネット高校は、自宅でのインターネット学習をメインに高卒資格取得を目指せることで注目を集めています。とはいえ、これまでも自宅学習を中心に学べる高校として「通信制高校」という形がありました。
ネット高校と通信制高校にはどのような違いがあるのでしょうか。比較して解説していきます。

ネット高校は通信制高校のひとつ!共通の仕組みを確認しよう

ネット高校は、実は通信制高校の一形態です。言い換えれば、通信制高校の中に、ネット高校が含まれているということになります。

法律で定められている高校には「全日制高校」「定時制高校」「通信制高校」の3種類しかありません。この「通信制高校」のうち、インターネット教材を中心に学習する仕組みを整えたものが「ネット高校」なのです。

そのため、ネット高校と一般的な通信制高校には次のような共通点があります。

卒業の条件

ネット高校を含む通信制高校の卒業条件は、以下のとおりとなっています。

  • ・3年以上高校に在籍する。
  • ・卒業までに74単位(必履修科目を含む)を修得する。
  • ・卒業までに30単位時間以上の特別活動*に出席する。

*特別活動:ホームルーム活動や学校行事など

したがって、「ネット高校のほうが少ない勉強量で卒業できる」「ネット高校なら、新入学から3年もかけずに卒業できる」といったことはありません。

単位認定の仕組み(レポート提出、スクーリング、単位認定試験)

上で紹介した卒業条件のひとつである単位は、年に1~2回行われる単位認定試験に合格することで修得できます。多くの通信制高校は「単位制」という仕組みを採っているため、一般的な学年制の全日制高校のように「3年間在籍してさえいれば、ほぼ自動的に単位を取れて卒業できる」というわけではありません。

この単位認定試験には受験資格があり、試験までに次の要件をクリアする必要があります。

  • ・各科目ごとに定められた規定通数のレポートを締め切りまでに提出する。
  • ・各科目ごとに定められた規定時数のスクーリングに出席する。

レポートは、ネット高校も従来の通信制高校も、論述形式ではなく、教科書などを見ながら取り組める問題形式であることが多くなっています。
スクーリングでは、学校または定められたスクーリング会場に登校し、対面授業や個別指導を受けます。

入学(転編入含む)のチャンスが多い

一般的な全日制高校では、新入学や編入(高校を中途退学した人が別の高校に入り直すこと)のタイミングは、原則年に1回・4月のみです。転入も、学期の変わり目など、限られたチャンスでしかできません。

これに対して、ネット高校をはじめとする通信制高校では、転編入を含む入学のチャンスが多めに設定されています。例えば、明聖高校では、毎月1回(5月~1月)転入学試験を実施しています。

入試の負担が比較的軽い

ネット高校を含む通信制高校の入試は、一般的な全日制高校のものより負担が少ない傾向にあります。特に、明聖高校などの私立通信制高校では、入試に学科試験がないケースも珍しくありません。その場合は、出願書類や作文、面接などで合否が判定されます。

ネット高校と通信制高校はこう違う!登校頻度の少なさには理由も

では、通信制高校のひとつであるネット高校は、一般的な通信制高校と具体的にどう違うのでしょうか。2つを比較しながら、ネット高校ならではの特徴をご紹介しましょう。

インターネット教材を使って学習する(自主学習、レポート提出)

最初に触れたとおり、ネット高校ではインターネット教材を中心に学習を進めるのが特徴です。主に紙の教科書などを使って学習するこれまでの通信制高校と異なり、タブレットやスマートフォンでも学習でき、より自由なスタイルで学習できるようになっています。

明聖高校WEBコースの例を挙げると、学習はインターネット上の動画授業と、授業内容の確認問題「サイバーチェック」に取り組んで進めていきます。また、レポートの作成・提出もインターネット上で完結させることが可能です。

登校頻度(スクーリング時数)がより少ない

一般的な通信制高校のスクーリング時数は、年間20日程度となっています。これに対して、ネット高校では、年数日程度しか登校しなくてもいいケースも少なくありません。明聖高校WEBコースも、登校スクーリングは年4~6日程度となっています。

これは、通信制高校の標準的な登校スクーリングの時間の一部を、インターネット学習で置き換えていることが理由です。逆にいえば、動画授業などを含むネット高校のインターネット教材は、一般的な高校の対面授業に近い学習ができると認められているクオリティのものであるということになります。

ただし、すべてのスクーリング時数をインターネットなどのメディア学習で置き換えることはできない決まりがあるため(高等学校学習指導要領)、登校スクーリングが0日というネット高校はありません。

インターネット上で先生や友達と日々交流できる

一般的な通信制高校は、登校頻度がネット高校より多い分、先生や友達とリアルに顔を合わせる機会も数日~数週間に1回あります。

一方、ネット高校では、友達や先生と直接会える機会はそれほど多くありません。ただし、ネット上で日々交流できる仕組みが整っているネット高校は多数あります。例えば、明聖高校WEBコースの学習コンテンツ「サイバー学習国」では、掲示板やアバターによるチャットを通じて、生徒同士で日常的に交流することが可能です。さらに、「サイバー学習国」の中で、バーチャル文化祭を楽しむこともできます。

先生が生徒の状況を適宜把握してくれる

ネット高校はスクーリング時数が少ないため、「一般的な通信制高校以上に先生の目が届きにくく、挫折する人が特に多いのでは?」と感じる人もいるかもしれません。しかし、実際には、メールや電話など通常のサポート体制に加え、先生が生徒一人一人の学習状況を、インターネットを通じて把握してくれているネット高校もあります。ログイン状況や学習コンテンツの取り組み状況をもとに、生徒のつまずきを未然に防げるのは、ネット高校ならではの強みだといえるでしょう。

ネット高校も通信制高校も、卒業資格は全日制高校と同じ!

ここまでを振り返ると、ネット高校を含む通信制高校は、一般的な全日制高校と比べて、学習スタイルや卒業までの仕組みにさまざまな違いがあることがわかります。

しかし、ネット高校など通信制高校の卒業資格は、法律上、全日制高校とまったく変わりません。学習指導要領でも、高校の種類によって、学習量や学習時間、学習内容に差が出ないよう定めらており、全日制高校と通信制高校・ネット高校の高卒資格が同じであることの根拠のひとつになっています。

誰でも自分に合った学習方法で高卒資格を得られる仕組みのひとつとして、ネット高校や通信制高校があるといえるのです。