通信制高校は、自宅学習をメインに、自分に合ったペースで学習を積み重ねて、高校卒業を目指せるのが魅力です。なかには、スクーリングがない日の自由に使える時間を使って、アルバイトをしたいと考える人もいるでしょう。とはいえ、「学習とアルバイトを両立できるの?」「通信制高校の生徒はアルバイトで不利になる?」など、不安に思うこともあるかもしれません。今回は、通信制高校で学習しながらアルバイトをすることについて解説します。

通信制高校とアルバイトを両立させている人はたくさんいる!

通信制高校では、学習とアルバイトを両立している生徒がたくさんいます。

調査によると、高校生全体でアルバイトをしている人の割合は約6%です(平成29年就業構造基本調査)。一方、通信制高校でアルバイトをしている人の割合は約28%(平成23年度文部科学省委託事業「高等学校定時制課程・通信制課程の在り方に関する調査研究」)となっています。通信制高校によっては、40~50%以上の生徒がアルバイトをしているというケースもあるようです。また、「高等学校定時制課程・通信制課程の在り方に関する調査研究」によると、通信制高校の生徒の約半数が、「スクーリング以外の日の日中に仕事(アルバイトを含む)をしている」と回答しています。

アルバイトは、自分で働いてお金を稼げるメリットがあるだけでなく、卒業後に社会に出たときに役立つ貴重な経験を得られる機会でもあります。国語や数学といった教科の学習だけではなく、幅広い意味での「勉強」をするために、アルバイトを検討してみるのもよいと言えるでしょう。

通信制高校のスクーリング・自宅学習スケジュールとアルバイトのスケジュール

実際に、通信制高校のスクーリングや自宅学習のスケジュールと、アルバイトのスケジュールを比較しながら、どのように両立できるか見ていきましょう。

通信制高校のスクーリングスケジュール例

スクーリングの日は、週1回、月2回など、学校によってまちまちです。例えば、明聖高校の通信コースでは、月2回金曜日がスクーリングの日になっており、時間割は以下のとおりです。

  • ・1年次、3年次:9:00~12:30 スクーリング(1~4限)
  • ・2年次:13:00~16:30 スクーリング(5~8限)

通信制高校の自宅学習スケジュール例

「高等学校定時制課程・通信制課程の在り方に関する調査研究」によると、通信制高校の生徒の自宅学習時間は、1日30分未満という人が多いようです。ただし、当然のことですが、まったく学習しないで通信高校を卒業することはできません。

例えば、都立の通信制高校では、年間約72~80通のレポートを提出する必要があります。月で考えると約6~7通、週で約1~2通の計算です。1通のレポートに2時間かかるとすると、週2~4時間はレポート作成のためにかかることになります。また、レポートを書けるようになるためには、事前にある程度学習しなければなりません。さらに年1~2回の単位認定試験の前には、プラスアルファの学習も必要になるでしょう。

ただ、通信制高校の場合は、毎日学習しなければならないわけではありません。平日は将来の夢のための勉強やアルバイトで忙しければ、平日は30分以下の学習にとどめ、休日に数時間まとめて学習するといったことも可能です。自由に使える時間が多い分、しっかりと自己管理して、学習スケジュールを立てることが大切になります。もちろん、スケジュールの立て方がわからないときは、通信制高校の先生に相談すれば、丁寧にアドバイスしてもらえます。

アルバイトのスケジュール

アルバイトの勤務方法には「シフト制」と「固定制」があります。

シフト制は、日にちや時間によって交代して勤務する方法です。例えば勤務日数は、月1回から可能な場合もあれば、週1回、3回、5回など、多くの日数働ける場合もあります。時間も、10時から17時、14時から18時、16時から20時など、さまざまなスケジュールで働くことが可能です。シフト制のアルバイトであれば、通信制高校の生徒でも、自分の学習スケジュールに合わせて柔軟に働けます。例えば、「普段は10時~18時に働くけれど、スクーリングのある日は17時~20時に働く」「単位認定試験のある週は働かずに学習に専念する」といったことも可能です。

固定制は、勤務する曜日や時間帯がアルバイト先によって決められている方法です。通信制高校の生徒にとっては、スクーリングのない日にも一定の生活リズムを作れるメリットがありますが、学習との両立を考えると難しい面もあるでしょう。

以上を見てみると、通信制高校であれば、自分に合ったやり方で学習時間とアルバイトの時間のバランスを取り、両立できることがわかります。

 

通信制高校の生徒はアルバイト探しで不利になる?アルバイトをする際の注意点は?

結論から言うと、通信制高校の生徒であることで、アルバイト探しで不利になることは少ないとされています。むしろ、有利になるケースも多数です。その理由は、通信制高校の生徒は学校に拘束される時間が少ないため、長時間・多くの日数働けて、シフトの融通も利きやすいことにあります。

ただし、有利になるからと言って、どんなアルバイトでもやっていいわけではありません。通信制高校の生徒がアルバイトをする際には、次のことに注意しましょう。

労働条件

満18歳未満は、安全などの観点から、働ける時間や就ける仕事が制限されています。例えば、午後10時から翌日午前5時までは働いてはいけませんし、1週間の労働時間は40時間未満、1日の労働時間は8時間未満でなければならないとされています。さらに、危険な業務やお酒を提供する業務のあるアルバイトは禁止されています。自分の身を守るためにも、これらの条件に注意してアルバイトを選ぶようにしましょう。

働き方

アルバイトに専念しすぎて、学習がおろそかにならないようにしましょう。「高等学校定時制課程・通信制課程の在り方に関する調査研究」によると、通信制高校の生徒の40%が、「疲れ」によって学習が妨げられていると回答しており、アルバイトとの両立ができていない生徒が多いと分析されています。せっかく通信制高校に入学したのに、十分に学習できず、高卒資格を取得できないということのないよう、アルバイトのシフトや学習スケジュールをしっかり考えることが大切です。