不登校中の勉強の遅れや学力の低下は、本人にとっても保護者にとっても、大きな心配事のひとつでしょう。学校復帰やその先にある将来のことも考えると、焦ってしまうこともあるかもしれません。
今回は、不登校の間にも自宅で学習を続け、できる限り学力を保つためにはどうすればいいのか、詳しく解説します。

不登校中も勉強はしたほうがいい!学力や知識が将来の可能性を広げることも

いわば心と体の休息期間である不登校ですが、ある程度回復してきたら、可能な範囲で勉強を再開することをおすすめします。

学校復帰したときに授業についていけないと、通学するモチベーションが下がり、不登校を繰り返してしまう恐れも否定できません。また、中学生なら高校への、高校生なら専門学校や大学などへの進学を考えるうえでも、学力は重要です。仮に進学しなかったとしても、勉強する中で身に付けた知識や思考力は、必ず将来の可能性を広げてくれます。さまざまな学びを通じて夢ができれば、その夢に向かって学び続ける意欲もわくでしょう。目標を目指して勉強する過程で、自信を取り戻していくこともできます。

ただし、家族をはじめ、周りの人が無理やり勉強させることはあまり好ましくありません。本人に心理的な負担が掛かり、場合によっては心を閉ざして、ますます勉強から遠ざかってしまうなど、むしろ逆効果になってしまう可能性もあります。

確かに、勉強をしない間は学力が低下してしまいますが、何歳からでも学び直すことは可能です。保護者にとっては「一刻も早く勉強を再開してほしい」と焦る気持ちもあるかもしれませんが、不登校になった本人自身が「勉強する必要がある」と気づき、自主的に取り組むようになるまでは、温かく見守ることも大切です。

不登校でも勉強できる!学力を保つ自宅学習方法
不登校の間、自宅などで実践できる学習方法には次のようなものがあります。本人に合った方法を活用して、学力を維持したり、低下してしまった学力を少しずつ取り戻したりしましょう。初めは、自分のペースで、人目を気にせずに学習できる自宅学習から始めるのがおすすめです。

●教科書や市販の参考書での自主学習

学校の教科書や副教材、市販の参考書や問題集などを使って学習する方法です。教科書に準拠した問題集を利用すれば、学校復帰への足掛かりにもしやすくなります。ただし、紙の問題集で完全に独学するスタイルだと、なかなか理解が進まなかったり、モチベーション(やる気)を保つのが難しかったりする場合もあります。

●オンライン学習(WEBサイト、アプリ)

WEBサイトやアプリを通じてオンライン学習(インターネット学習)する方法です。予備校の講師による動画授業で理解を深められるもの、ゲーム感覚で楽しく学習できるもの、添削指導とセットになっているものなど、さまざまなサービスがあります。スマートフォンやタブレットでも学習できるため、取り組みやすいのもメリットです。一方で、教科書などでの自主学習と同じく、モチベーションの維持は課題になります。

●家庭教師

マンツーマンで指導してもらえる家庭教師は、本人に合った学習レベル、ペース、方法で勉強することが可能です。学習スケジュールの立て方や疑問を解消するコツといった勉強方法も指導してもらえるほか、日常生活の悩みを打ち明けられる相談相手になってもらえるケースもあります。いきなり対面で指導を受けることが難しい場合は、オンライン家庭学習を利用するのも有効です。ただし、いずれの場合も、他の学習方法に比べて料金が高額になりやすいという難点もあります。

●その他、学習塾や不登校支援施設への通学・通所

自宅の外に出てみようと思ったときや、自宅での自主学習に限界を感じたときには、学習塾や適応指導教室などの施設を利用し、通学・通所してみるのも手です。友だちや先生と交流する中で、学校以外の居場所ができる可能性もあります。また、適応指導教室の中には、通所を学校への出席として取り扱ってもらえるものもあります。
ただし、外出や集団生活にまだ不安を感じる人には負担が大きい可能性もあるため、無理をしないよう注意が必要です。また、学習塾などの利用には、少なくない費用も掛かります。

不登校生の学力をサポートする通信制高校も。明聖高校のカリキュラムを紹介

高校以降の不登校で学力の悩みを解消する方法としては、通信制高校で学ぶという選択肢もあります。自宅での自主学習をメインに、少しずつ学校復帰しながら、高卒資格の取得を目指すことが可能です。中には、不登校経験者を学力面・メンタル面の双方からサポートする体制が整っている通信制高校もあります。

例えば、明聖高校のカリキュラムにある独自の学校設定科目「リラーン」では、英語・数学・国語の3教科を中学校の範囲から学び直すことが可能です。不登校中に低下してしまった学力を取り戻しながら、高校以降の学習内容の基礎を確立することができます。

また、登校して指導を受けるスクーリングの際、集団が苦手な場合は、少人数体制の個別学習室を利用できます。万が一スクーリングに出席できなくても、「放送視聴制度」(テレビやラジオの講座視聴、DVD教材などで自宅学習し、視聴報告課題を提出する方法)で、出席時数に振り替えることが可能です。

登校や勉強に対する不安と負担を和らげながら、不登校からの復帰を目指せるようになっています。